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欧州危機、「ギリシャ破綻」から「スペイン破綻」へ Out of Fear

2010-05-25 | グローバル経済
2010年5月25日(火)

週明けのNY株式は、欧州の金融危機に関する「恐怖」が支配し、大引けにかけて大きく値を下げ、ダウ平均は、先週金曜日に戻した125ポイントとほぼ同額の126.82 ポイント下げて、10066.57となった。

週末にスペインの地方銀行CajaSurを、中央銀行が接収したとのニュースが一気に欧州各国の財政破たんの連想をよび、ロンドンの銀行間貸借金利(LIBOR)がさらに上昇し、0.50969%となった。ユーロも金曜日の戻しを吐き出して、対ドルで4年ぶりの底値である1.2370まで下落した。

The New York Timesは、「この銀行の国有化は、それ自体は小さい問題だが、サブプライムローン問題に端を発したリーマンショックが小さい問題から、破局に進んだことを連想させているのだ」と解説している。

また、現在米国の金融改革法が、上下両院の個別案の可決後、調整案つくりの段階に達しており、すでに規制強化が確実視されている。しかし、「政治的駆け引き(horse trading)の結果、さらなる規制強化法案となってしまうのではないか」との懸念から、「規制強化が信用収縮につながるのでは」との不安心理を掻き立てている。

このように、市場では、「ファンダメンタルズの判断ではなく恐怖に駆られた動き」(out of fear and not any fundamentals)となり、リスク資産である通貨ユーロや株式から資金が引き揚げられ、比較的安全な米国国債へと流入している。

このあおりを受けたポンドも売り浴びせに遭っている。前労働党政権から引き継いだ巨額財政赤字を、新連立政権でも処理しきれないのではないかとの不安が市場を支配している。投機筋は、ポンドの下落に大きく張っていて、現在ポンドの空売り(short selling)は、買い持ち(long)の9倍に達している。

新政権は、「前政権が、選挙前に、(負けるとわかっていたので、新政権に付けを回すように)いわば焦土作戦(a scorched earth policy)に出て、各所で財政支出による支援を秘密裏に約束して回っていた」と暴露したことは、さらに市場に不安感をあおった。その結果ポンドは下げ(sterling negativity)を続けているとFinancial Timesが解説している。




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