2010年5月24日(月)
毎年恒例となった米中の「戦略と経済に関する対話」(U.S.-China Strategic and Economic Dialogue)が、クリントン国務長官とガイトナー財務長官が率いる200名に達する大規模な米国代表団が参加して、今日明日の両日北京で開催される。欧米のメディアは一斉にこの一大行事を取り上げている。
The Wall Street Journalは、「日本にたった4時間しか滞在せずに上海入りした」クリントン国務長官に焦点をあわせた政治的側面からの報道、The New York TimesとFinancial Timesはガイトナー財務長官に焦点を合わせた経済面からの報道を行っている。
もっとも注目されるのは、ガイトナー長官が、出発前に記者団に語った言葉である。その見出しは、「ガイトナー長官、対中姿勢軟化」(Geithner softens his stance on China)。「中国が最近内需拡大の努力をした結果、過度の輸出依存経済から転換していることを高く評価する」との発言を伝えている。
中国の経常収支の黒字幅は、2007年に対GNP比で11%であったが、昨年は内需喚起策の導入により輸入が急増して、その比は5.8%にまで収縮しているが、これを理由にして、米政府の対中姿勢を転換させた。人民元の切り上げが逆に米国経済に与える悪影響と、米国国債の最大の買い手である中国への配慮を優先したのである。
このように人民元切り上げに関する米国の従来の政策を軟化させ(soft pedal over the currency issue)、焦点を外国企業への一層の市場開放要求に移した。昨年から中国が取っている「政府調達に関する自国産業優先、外国企業を締め出し」政策(“indigenous innovation” rules)、いわゆる”Buy Chinese”の撤廃を強く打ち出すものとみられる。
いずれにせよ、今回の米国側の狙いは、経済政策で中国を追い詰めることを避け、対イラン・対北朝鮮問題での中国の協力を得ることに重点を置いている。
The New York Timesの見出しは、”U.S. Presses China to Punish North Korea for Ship”「米国、中国に北朝鮮制裁を求める」となっている。
対北朝鮮では、韓国軍艦の撃沈事件に対する非難に中国が同調することを求め、対イランでは同国に対する核兵器製造疑惑にまつわる国連制裁への賛成を求めている。クリントン長官が今回どれだけ中国側の一歩踏み出した同意を引き出せるかに注目が集まっている。
中国は、北朝鮮問題では「北朝鮮との歴史的関係」から単純に同調できない(”The historic ties between the two countries would make that difficult”)」との態度で極めて慎重である。
そして対イラン問題では、中国のイラン国内への資源・エネルギー関連の投資が制裁対象になる可能性が高いことから、4回目となる対イラン追加制裁国連決議に二の足を踏んでいるのだ。
毎年恒例となった米中の「戦略と経済に関する対話」(U.S.-China Strategic and Economic Dialogue)が、クリントン国務長官とガイトナー財務長官が率いる200名に達する大規模な米国代表団が参加して、今日明日の両日北京で開催される。欧米のメディアは一斉にこの一大行事を取り上げている。
The Wall Street Journalは、「日本にたった4時間しか滞在せずに上海入りした」クリントン国務長官に焦点をあわせた政治的側面からの報道、The New York TimesとFinancial Timesはガイトナー財務長官に焦点を合わせた経済面からの報道を行っている。
もっとも注目されるのは、ガイトナー長官が、出発前に記者団に語った言葉である。その見出しは、「ガイトナー長官、対中姿勢軟化」(Geithner softens his stance on China)。「中国が最近内需拡大の努力をした結果、過度の輸出依存経済から転換していることを高く評価する」との発言を伝えている。
中国の経常収支の黒字幅は、2007年に対GNP比で11%であったが、昨年は内需喚起策の導入により輸入が急増して、その比は5.8%にまで収縮しているが、これを理由にして、米政府の対中姿勢を転換させた。人民元の切り上げが逆に米国経済に与える悪影響と、米国国債の最大の買い手である中国への配慮を優先したのである。
このように人民元切り上げに関する米国の従来の政策を軟化させ(soft pedal over the currency issue)、焦点を外国企業への一層の市場開放要求に移した。昨年から中国が取っている「政府調達に関する自国産業優先、外国企業を締め出し」政策(“indigenous innovation” rules)、いわゆる”Buy Chinese”の撤廃を強く打ち出すものとみられる。
いずれにせよ、今回の米国側の狙いは、経済政策で中国を追い詰めることを避け、対イラン・対北朝鮮問題での中国の協力を得ることに重点を置いている。
The New York Timesの見出しは、”U.S. Presses China to Punish North Korea for Ship”「米国、中国に北朝鮮制裁を求める」となっている。
対北朝鮮では、韓国軍艦の撃沈事件に対する非難に中国が同調することを求め、対イランでは同国に対する核兵器製造疑惑にまつわる国連制裁への賛成を求めている。クリントン長官が今回どれだけ中国側の一歩踏み出した同意を引き出せるかに注目が集まっている。
中国は、北朝鮮問題では「北朝鮮との歴史的関係」から単純に同調できない(”The historic ties between the two countries would make that difficult”)」との態度で極めて慎重である。
そして対イラン問題では、中国のイラン国内への資源・エネルギー関連の投資が制裁対象になる可能性が高いことから、4回目となる対イラン追加制裁国連決議に二の足を踏んでいるのだ。