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世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

オバマ、健保改革擁護の大演説 It is a lie, plain and simple.

2009-09-10 | 米国・EU動向
2009年9月10日(木)

オバマ大統領は水曜日の夜の両院合同会議において、懸案の健康保険改革法案について、47分間にわたる演説を行い、反対陣営が繰り広げている「恐怖心をあおる戦術」(scare tactics)を強く非難し、議会に提出する自らの法案について、強い弁護を展開した。

政治的意図を持ってオバマ大統領に反対する人々の相手をしている暇はないと言い切り、健康保険の支出を削減し、保険未加入者を救済するためなら、共和党議員とも協力する余地があると訴えた。

「ののしり合いに、明け暮れるときは終わった。ゲームをしているときは過ぎた。いまや行動を起こす季節が来たのだ」(“The time for bickering is over, The time for games has passed. Now is the season for action.”)との言葉に、議場の民主党議員からは万来の拍手が巻き起こった。

しかし、共和党が「法案の中に高齢者の治療を打ち切ることを決める 『抹殺審査会』(death panel)が含まれている」と悪宣伝を繰り広げていることを、大統領が、「それはウソだ。誰にもわかる、単純なウソだ」“It is a lie, plain and simple.”と否定した際には、共和党議員の中から野次が飛んだ。

夏休み中を通して、各選挙区で行われていた住民大会(town hall meetings)での大混乱の結果、大統領の支持率が大きく下がってきた背景には、この法案に対する共和党の世論操作的な攻撃があったのも事実であった。

夏休み明けの議会における、もっとも重要な健康保険改革法案に対する論戦は、この大統領の力強い演説で火蓋が切られた。ABC放送などのニュースを見る限り、大統領の失地は、これで相当回復したとの印象であった。



オバマ健保改革の真意 Better phrases for a moral imperative

2009-09-01 | 米国・EU動向
2009年9月1日(火)

夏休み明けの議会の最重要課題は、オバマ大統領が提唱している政府管掌保険の導入による国民皆保険制度(the public option)の賛否を決することである。

共和党右派からの強い反対のみならず、対話集会(town hall meetings)における庶民特に、高齢者からの激しい非難にあって、オバマ大統領も、時には明らかに一貫性を欠く説明や、釈明をするという事態に陥っている。

そのような中、ホワイトハウス内で、健康保険問題の総責任者に任じられている、民主党 上院院内総務Tom Daschle氏は、「大統領は改革の真意を国民に十分納得させることができているか」と問われて、「この問題を、道徳的な義務(a moral imperative)であると国民に認識してもらうためには、もっと丁寧に努力する必要がある」と否定的な反応をした。

そして、「大統領の説明は、ホワイトハウスとして望んでいるようには、国民の心の中に反響を巻き起こしていない(not resonating)」 と語り、さらに解決策は?と問われて、「メッセージを正しく伝えるキャッチ・フレーズが必要だ」と答えた。

サラ・ペイリン知事が、オバマ大統領構想に対して行った、「高齢者・障害者に対して、医療支出を抑制するために生死を宣告する、’death panel’を設置しようとするものだ」との攻撃は効果的であった。これに対抗できるキャッチ・フレーズを考えようというのである。

オバマ健保改革、「テッドが生きていてくれたなら」:compromise

2009-08-31 | 米国・EU動向
2009年8月31日(月)


故テッド・ケネディー(Edward M. Kennedy)上院議員の、荘厳にして感動的な葬儀が週末に行われた。

そして、夏休み後の米国議会では、オバマ大統領が進める健康保険改革法案の審議が再開される。それを前に、Massachusetts州選出の民主党上院議員John Kerryは、オバマ大統領の法案の進め方について支持率が急減していることを心配して次のような発言をした。

「テッドが生きていたなら、政府管掌保険の導入による国民皆保険(the public option)を実現させるために全力を尽くしてくれたと思う。しかし、上院の進歩派のライオン(the 'Liberal Lion' of the Senate)ともいわれた彼でも、健保改革法案を通すためとあれば、妥協(compromise)をも辞さなかったはずだ」と、共和党との話し合いによる解決策を説いた。

そして、「テッドは、一部の民主党議員が言うように、『もし皆保険制度が入らないのなら廃案にするべし』という意見には与しなかっただろう。それは『赤ちゃんを行水させたあと、使った水と一緒に、赤ちゃんも捨ててしまうようなものだ』("throw the baby out with the bath water")だ」とことわざを持ち出した。

オバマ大統領の健保改革案に反対する共和党側からも、「テッドがいてくれたら、今のような混乱状態にはなっていなかっただろうに」との声も上がっているという。テッドの、「信念は曲げないが、妥協も辞さず」という遺産が、この難局を乗り切る解決策との声が、両党からあがりつつある。

(John Kerryは、2004年の大統領選挙でGeorge W. Bushに惜敗した民主党候補者であった人で、現Massachusetts州選出上院議員)



オバマ、CIAのテロ取調官訴追を決意 enhanced interrogation

2009-08-26 | 米国・EU動向
2009年8月26日(水)

オバマ大統領は、CIAのテロリスト取調官の違法行為を調査し、訴追する特別検察官を任命することを決定したが、これに対してチェイニー元副大統領は激怒し、「オバマ政権は国家安全保障に無責任極まりない」と、異議を唱えた。

同時に、オバマ大統領は、テロリスト容疑者の取調べの権限をCIAから剥奪し、大統領府に移すと発表していることに対しても、「これこそオバマ政権の国家安全保障に対する「責任力」に投げかけられた国民の重大な疑問を、またも思い出させてくれるものだ(a reminder)」と非難した。

「今でも、特別強化尋問プログラム(enhanced interrogation program)は、必要と思っている。」といい、「これをやらなければ、他の方法で吐かない手ごわいテロリストが吐くはずがない。合法的で、必須で、かつ正当化できるし、うまくいった手法であり、アメリカにとって正しいことだ(legal, essential, justified, successful, and the right thing to do)」とありとあらゆる形容詞を動員して弁護した。

このenhanced interrogation は、拷問(torture)の婉曲表現(euphemism)である。また、官僚が好んで使う官僚用語(officialese)でもある。今度のグアンタナモ収容所で使われた拷問手法である「水責め」を表すwaterboardingもその線上にある用語である。

一回聞いただけでは、何をさしているかわからず、そして善悪判断を抜き取った言葉であり、事実を歪曲し、隠蔽するときに、発明される一連の用語である。
Enhanced interrogationは出色の婉曲表現のひとつとして、米国の歴史にのこるであろう。


オバマ、健保改革で決意を表明 with or without Republicans

2009-08-21 | 米国・EU動向
2009年8月21日(金)

政府管掌健康保険(the public option)に対する共和党からの攻撃に対して、オバマ大統領は、初めて共和党幹部を、「改革を政争の具にしている」と非難し、「超党派(bipartisan)で、法案を通したいと思うが、場合によって単独でおこなう可能性もあると表明した。

そして、自身や、厚生長官が、the public option抜きで、改革をする可能性を示唆したことを、全面的に否定し、「共和党が、参加しなくても、健康保険改革法案可決のためには党としてやるべきことはなんでもする。」(We're going to get this done one way or another)という意味の発言を繰り返して、その決意の固いことをしめした。

これは、オバマ大統領が、最近妥協的な発言したことに、民主党内部から強い非難の声が上がったことに対して、「政府管掌保険で、国民皆保険の理想を実現しようとする、当初の意図にまったく変更はない」とこたえたものである。

The public optionなしの改革法案は通させないと、完全に否定したので、大統領は、この道を突き進むことになる。夏休み明けの議会での論戦が激しくなることは、疑いがない。

テキサスの旱魃 Its worst drought for half a century

2009-08-20 | 米国・EU動向
2009年8月20日(木)

テキサス州南部の旱魃が深刻な事態になっている。ある町の6月と7月の降雨量は、0.8mmであったという。州都オースチン市では同期間で、華氏100度(約38℃)を超えた日が、39日もあった。サンアントニオ市では、芝生に散水することが禁じられていて、目撃されると警察に通報される。

テキサスの254の郡(counties)のうち、77郡で、「異常渇水」(exceptional drought)と農務省が発表しており、通常この時期までに毎年農家や牧場主は、2兆円の収入を得るが、今年はそのうち3,600億円が失われたと推定されている。

州政府は、すでに災害地域指定(a disaster proclamation)を出しているが、農民は連邦政府が非常事態宣言(a state of emergency)を出してくれるのを心待ちにしている。この宣言が出ると、低利融資を含めさまざまな救援措置が講じられるからである。

芝生への散水禁止くらいでは問題解決にはならないが、水の重要性を再認識させる効果はあるはずと、州の担当官は言うが、やはり「雨が降ってくれれば」とテキサス州民は祈るばかりである。日本は長梅雨と日照時間不足で、作柄が悪いが、かの地の旱魃をThe Economistが報じている。

オバマ、政府管掌健保案放棄か?Pull the plug on grandma

2009-08-18 | 米国・EU動向
2009年8月18日(火)


オバマ大統領は、政府管掌の健康保険制度の導入をめぐって、反対の声が激しく高まるという、予想外の難しい立場に立たされているが、休暇明けの議会で、健康保険制度改革法案を通すためには、大きな修正が必要との考えに傾いているようだ。

しかしそれは、国民皆保険の理想を自ら放棄することになるかも知れず、オバマ大統領を、微妙な立場(a delicate dance)にたたせるものだ、とABC放送のJake Tapper記者は論評している。

オバマ大統領は、各地の対話集会(town hall meeting)でのあまりにも激越な選挙民の反応を見て、「公的健保案(the public option)を除外しても、健康保険改革にとって、その完全性を損なうものではない。それは、重要な要素ではない。右派、左派含めてあまりにこの件にこだわって、ほかのことを忘れている」と、主張を後退させた。

問題の焦点にあるのは、46百万人の健保未加入者をなくすために導入しようとしている政府管掌保険制度(the public option)である。この制度導入によって、同時に、民間保険と競合させてその保険料を下げさせ、医薬品のコストを下げさせ、過剰診療をなくそうというのが、その狙いでもあった。

しかし、特に高齢者の恐怖心をあおったのは、改革法案の中の一項が「治療をやめさせて終末治療を選ばせる」のが、目的であるという共和党右派の宣伝であった。とりわけPalinアラスカ州知事の使ったdeath panel(抹殺審査会)という言葉が、まさに必殺の一撃となった。

オバマ大統領は、昨年私も祖母をなくしたので、年老いて弱っていく肉親を看取るということがどういうものかよく知っていると前置きして、「大統領に立候補したのは、おばあちゃんの生命維持装置をはずして回る(go around pulling the plug on grandma)ためだった」などと悪宣伝をするのは, 誠実さにかける(simply dishonest)ものだと反論。

また、「終末治療を、治療費のコストダウンという観点から論じているのではない」と、火を消すことに躍起になっているが、シーベリアス厚生長官は、「家族が終末治療を望む場合、その相談に乗る医師にきちんとした報酬を払おうというのが目的であるのに、反対派が恐怖心をあおる作戦に出てきたため、撤回せざるを得ないかもしれない」と後退発言をした。

クリントン政権は、医療機関や製薬業界からの圧力で政府保険制度の導入に失敗した。今回は、民間保険に入っている人々が、自分たちの入っている保険に悪影響が出るのではないかと心配して反対に回っている。そして高齢者も、恐怖にかられて反対に回った。共和党はもともと民業の官業による圧迫を税金で行うものだと反対している。そして反対者は、民主党議員にもいる。



クリントン、失言続くアフリカ歴訪 Clinton's rhetorical missteps

2009-08-15 | 米国・EU動向
2000年8月15日(土)

ホワイトハウスの中で、なにやら影が薄くなったことを気にしていたところに、夫が北朝鮮から2女性を救出したことで脚光を浴びたことに、あせっているクリントン国務長官の言動のその後をABC放送が、詳細に報道している。

クリントン国務長官が、コンゴ民主主義共和国(旧ザイール)の首都キンシャサで、感情をあらわに大人気ない態度を取って顰蹙を買ったことは、昨日も取り上げたが、さらに物議をかもす放言を、次の訪問国のナイジェリアで行った。

長官は、ナイジェリアでは、選挙が不正と暴力に満ちていることで有名なこの国で、「その選挙が公正に行われるように、同国政府が努力していることを多とする」という、ご都合主義のはぐらかし発言をしたが、その翌日に、今度は公開演説会(a town hall event)で、2000年の大統領選挙の際のフロリダ州における票数数えなおしの事態があったことを持ち出して、ナイジェリアの不正選挙(the allegedly rigged election)にたとえたのである。

「2000年のときは、わが国の大統領選挙で、候補者(ブッシュ)の弟が知事をしている州(フロリダ)で、問題があったのです。ですから、われわれにも(同じような)問題はあります」("In 2000, our presidential election came down to one state where the brother of the man running for president was the governor of the state.So we have our problems, too.")

この発言に、ワシントンの共和党を中心とする右派は激高している。「投票箱が盗まれたり、票数の数え方がでたらめで、投票に来る人を銃で狙たりする国の選挙とわれわれの国を並べて比較するとはけしからん」というわけである。

さらに、国務省スポークスマンは、「長官が言いたかったのは、選挙結果について論争が起こっても、負けたほうが、間違った結果でも、それを受け入れて、暴動に走ったりしないしないという潔さのことだった」のだと弁護したが、この一般化は、フォローにもなっていない。

そして、7カ国訪問の最後の国、西大西洋の天国のような島国カーボベルデ(Cape Verde)で、長官は今回の訪問を次のように総括した:

「アフリカに来てよかった。アメリカでは想像もつかない、ひどい状態に置かれて、圧制にさらされている人々が、私に示してくれた、やさしさとすばらしさに感動した。これで帰国したら待ち受けている問題にも立ち向かうエネルギーが出てきました」と記者団に語った。

さらに、「夫はカーベルデには来たことがないと思いますから、どんなところか教えてあげたいとわくわくしますわ」と締めくくった。

明らかに、クリントン長官に変調が起こっている。
 


クリントン, アフリカで「私が国務長官よ」と叫ぶ Lost her cool

2009-08-14 | 米国・EU動向
2009年8月14日(金)

クリントン国務長官が、今回のアフリカ7カ国歴訪の途次、コンゴ民主共和国(旧ザイール)の首都キンシャサの大学で行われた対話集会で、感情を激発させたことは世界に報道されているが、それはYouTubeを見れば、彼女が鬼のような表情で、若い黒人男性の質問に怒りもあらわに答えている様子がわかる。

その男性は、英語で、「中国がコンゴと通商関係を強化しようとしているが、Mr.Clintonはこの問題をどう思っているか?」と質問している。それに対してMrs. Clintonは:

“You want me to tell you what my husband thinks? My husband is not secretary of state, I am. If you want my opinion I will tell you my opinion. I am not going to be channeling my husband.”

(私の夫の意見をわたしにお聞きになってるの?私の夫は、国務長官ではないわよ。国務長官は私です。わたしの意見が聞きたいとおっしゃるなら話しますけど。私は、夫のスポークスマンになるつもりはありません)と、にべもなく質問をはねつけている。

米政府関係者が、質問がフランス語だったので、通訳が、Mr.Obama をMr.Clintonといい間違えたしたとか、”lost in translation”(誤訳の婉曲表現)だと、取り繕おうとしたが、無駄な努力であった。

また、マスコミによっては「質問内容は、クリントン元大統領の訪朝に関するもので、その成功に嫉妬した長官が怒った」という誤った報道や解説もたくさんあった。

騒ぎはまだ尾を引いている。ナイジェリアを経て、リベリアに到着したクリントン国務長官は、記者団から「中国とコンゴの通商関係について、クリントン元大統領の考えはどうかと聞かれて、どうしてキレタ(lost her temper)のか」と聞かれたが、彼女は、「今回の歴訪は、アフリカ各国との関係改善にある。新聞報道もうまく機能していると書いている。これからも困難な問題から逃げないで努力を続ける」という趣旨のことを答えにして、質問の趣旨を完全に無視した。

一方国務省は、この件の沈静化に懸命で、スポークスマンは、「今回の長官のアフリカ訪問のひとつのテーマは女性の地位向上(empowering women)でもありました。あの質問は、とりようによっては、女性の国務長官のあなたの意見より、二人の男性大統領の意見が聞きたい、とも取れるので、長官はそこに反応したのです」と、女性差別の発言が原因だったという意味づけ(context)をしようとした。

苦しい言い訳である。




オバマ健保改革に、ペイリン知事噛み付く Death Panel

2009-08-12 | 米国・EU動向
2009年8月12日(水)

オバマ大統領の、健康保険法案は、思わぬ方向からの攻撃にさらされている。議会休会中に地元に戻った議員たちによって各地で開かれている選挙民との対話集会(town meeting)で、すでに民間保険に加入している人や,高齢者層からの、感情的な反発の発言によって、立ち往生したり、会場が大混乱しているのである。

まず、民間保険に加入している人たちからは、政府による「健康保険制度の簒奪」(take-over by the government)だとする、共和党の主張に基づく異論である。もうひとつは、法案の中にある医療保険審査会(health care panel)制度に対する不安を訴える、高齢者や障害児を持つ両親からの反発である。

そのような不安を、さらにあおる発言が、共和党副大統領候補として数々の物議をかもした、ペイリンアラスカ州知事から飛び出した。

彼女は、Facebookへの書き込みで、「オバマ大統領の健康保険改革は、とんでもない害悪(downright evel)をもたらすものだ。私の両親や子供を、「抹殺審査会」(death panel)に呼び出して、社会的生産性を勝手に判断して、健康保険の支出の要・不要を宣告する仕組みだ」と、健康保険改革法案を非難した。

ペイリン知事の子供の一人はダウン症であり、この発言は、ナチの悪名高い非アーリア人種抹殺や、障害者抹殺政策を思い出させようとするものである。また「高齢者に、医療をあきらめさせて、ホスピスに送るものだ」と制度を非難するひとたちは、この制度を、「安楽死(euthanasia)推進制度」となずけて、反対の火に油を注いでいる。

これに対して、オバマ大統領は、「法案の中には存在しないことを、捏造して言いたてている(wild misrepresentation)人たちは、いまに、存在もしない化け物がいるというだろう(They'll create boogeymen out there that just aren't real)」と、この「抹殺審査会」(death panel)というレッテルはがしに躍起となっている。

「健康保険改革をしようとすると、それに反対する利益団体が必ず妨害工作に出てくる。この問題もそのひとつだ。医療保険審査会は、医療専門家によって、各個人のケースで最善の医療方針を示そうとするものだ。今民間保険に入っている人はそのまま維持したいならそれも可能である。かかりつけの医師を選びたいならそれもできる。この制度を導入すれば過剰診療・治療の問題解消になり、健保支出の節約が可能となる。大体この制度を法案に盛り込んだのは、共和党議員の発案である」とオバマ大統領は、懸命に新制度を弁護している。


オバマ、アフガンへの深入り WTF: Whisky Tango Foxtrot

2009-08-11 | 米国・EU動向
2009年8月11日(火)

オバマ大統領は、イラク撤兵とアフガン増派を同時進行で実行中である。

しかし、軍関係者の間には、「アフガン平定には、思い切った増派が必要」との意見が強まっている。最近大統領の国家安全補佐官であるJames Jones氏が、軍幹部との面談から出てきたときに、「大統領は、軍関係者からの重なる要求を受け続けたら、『何言ってんだ、この野郎』といいたくなる危険がある」と発言した。

この卑語間投詞に当たる、ペンタゴン用語は、Whisky tango foxtrotである。軍では、アルファベットを聞き誤らないように、おのおのおの文字に、単語を当てはめているので、Whisky tango foxtrotとは、W.T.Fのことである。そして、W.T.Fは、軍の隠語で、’What the fxxx !’である。

オバマ大統領は、年末までに、アフガニスタン駐留軍を68,000人に倍増させる方針で、すでに21,000人を急派している。そこまでやっていても、軍関係者から、派遣軍が不足しているとなじられるようでは、そのような卑語(expletives)を発しても許されるであろうと、Financial Timesが論評している。

ではなぜ、軍関係者は、増派をこれほどまで強く要求するのであろうか?それは、ロシア軍までも撃退したタリバンの強靭な攻撃力への不安である。皮肉なことに冷戦下で、タリバンを育てたのは米国である。事実7月に入って、米軍の死傷者の数は急増している。

そしてアフガン戦争は、それを始めたブッシュではなく、もはや「オバマの戦争」(obama owns the war.)になった。

オバマ、失業増加率減速を誇る The worst may be behind us.

2009-08-09 | 米国・EU動向
2009年8月9日(日)


米国株式は、雇用情勢の「好転」を材料に、いっせいに騰勢を強め、S&P500指数は3月の底値圏から、50%ちかく、値を戻した。今回の景気後退局面に入ってから、米国では、あらたに670万人の失業者を出しているが、失業率が7月になって、95%から9.4%にわずかながら減少し、新たに職を失った人の数も、前月に比べて24.7万人に急減した。

確かに失業の騰勢ペースに急ブレーキがかかっている。月間失業者の増加は、5-7月で月間平均33万人であり、昨年11月から4月の月間平均64.5万人に比べると劇的な減少であるといえる。

オバマ大統領は、この情勢をさして、「最悪期は脱した可能性がある」("The worst may be behind us.")と語った。そして、自分の就任時に比べて「米国経済は、正しい方向に向かっている」(Today, we're pointed in the right direction。)と、自らの経済策の正しさを強調した。

しかし、全米の失業者総数は、1450万人であり、5月の食料配給券(food stamp)の
受給者は、3440万人」が存在し、これからは白人の受給者が増えると予測されている。食料スタンプは農務省が所管し、各州に運用を任せているので、州ごとに受給資格が異なるが、全額国庫予算による。2007年の受給者が2800万人であったことを考慮すると、米国の下層階級の窮乏は、失業とともに急速に進行していることがあきらかである。

そして、多少の収入、たとえば月収15万円程度があると、食料配給券の受給資格を満たしていないとされる市町村もある。その人たちは、生活をさらに切り詰め、教会に行って、無料の野菜の入った袋をもらったりして毎日を暮らしているのである。

「入り口」の平等さえあれが、あとは個人の努力しだい。「出口」の平等は、社会主義的な悪平等として、新自由主義が排除してきて40年が経過した。そして、この市場原理主義が昨年完全に破綻して、世界は新パラダイムを求めて2年目に入っている。そして、いまや世界は、「入り口」の平等さえ本当はなかったことに気がつき始めた。


米国のポンコツ買い替え補助金増額 "Cash for Clunkers"

2009-08-08 | 米国・EU動向
2009年8月8日(土)

米国で、燃費の悪い車の廃車を促進し、合わせて景気浮揚を図ろうとするのが、オバマ政権の切り札である、俗に「ポンコツで現金」政策("Cash for Clunkers")である。

当初、総額10億ドルの予算であったが、一台買い替えにぼろ車を持ち込めば、新車代金から3,500ドルないし4,500ドルの値引きをしてもらえるとあって、消費者が殺到して、資金は、2週間で枯渇してしまった。 そのために20億ドルの追加予算が組まれ、昨日上院を通過し、大統領の署名によって成立した。

このプログラムのおかげで、新車の売り上げは好調であり、このペースで行くと、今年の新車販売は、1960万台に達して、数年前の記録1740万台を抜くだろうとの、予測が出ている。

しかし、このプログラムで売れる車種の上位10社は、6車種は外国勢で、顔を出すGMの車は、10位のChevrolet Cobaltのみである。純国産の後押しには、大してなっていないのが現状である。

Clunkerは、an old car in poor conditionで、ポンコツ・オンボロ車ということ。同意語で、日常生活で同じくつかわれているのが、Jalopyである。

EU、アフガン問題で対米協力強化 Bigger Afghan Role by EU

2009-08-04 | 米国・EU動向
2009年8月4日(火)

先週、英国ミリバンド外相が、急遽訪米し、アフガン問題で会談を行ったことを本欄でも取り上げたが、日曜日に、米国のGates国防長官以下、統合参謀本部長を含む軍幹部7人が、急遽ブリュッセルの、NATO軍本部を訪問した。目的は、「アフガニスタン問題」とのみ公表されている。一方、月曜日のカタールのアルジャジーラ国際放送は、アルカイダのNo.2であるザワヒリ氏が、「オバマ大統領に、モスレム勢力との停戦を呼びかけているのに、応じないのは不当」であると発言しているインタービューを放送している。

この二つのニュースが関係しているかどうかは、まったく不明であるが、いずれにせよ、アフガニスタン問題への米国とEUの協力問題を最優先課題として、NATO軍の緊急幹部会が開催され、米国がEUからの支援を求めたことは、想像に難くない。

この秘密会議の後、元デンマーク首相のラスムッセンNATO事務総長は、記者会見を行い、「EUのアフガン問題に対する米国支援を強化しなければならない」と発言、そして「タリバンとアルカイダとの戦いで米国が孤立感( feel alone in the fight against the Taliban and Al Qaeda)を持たないように配慮すべきである」と強調した。

アフガニスタンに駐留するNATO軍の総数は、64,000人で、米軍とEU軍の比はほぼ1:1であるが、オバマ大統領は年末までに米軍だけで68,000人まで増派することを決めているので、その時点で、米軍とEU軍の比は、2:1になる。しかし、7月の、同盟軍の犠牲者は76人に達している状況下で、最近英国などで世論が、増派に消極的になっていることを憂慮し、事務総長がEU各国の世論喚起のために、アフガニスタン戦争への積極的参加の意義を強調する発言をしたのである。



FBI ラスベガス・オーランドでの会議を禁止  AIG Effect

2009-08-02 | 米国・EU動向
2009年8月2日(日)

FBIの職員が、ラスベガスのホテルに送った一通のe-mailが、大きな論議を呼んでいる。

「FBIでは次の開催地をラスベガスにしないことになった。」と連絡したその職員は、その理由を、「法務省の幹部から、今後会議は、リゾートやギャンブル場のある場所で開催しないようにとの通達があったからだ。」と説明したのである。

そして、まず俎上(chopping block)にのせられた2都市は、ラスベガスと、ディズニーランドのあるオーランドで、この2都市や旅行協会からは「死活問題である」として、すぐさま、政府の処置に対する抗議の声が上がった。地元の自治体も、ホテル・旅行業界への悪影響を訴える抗議行動を取り始めた。

これに関して、法務省からは、「ラスベガスやオーランドでもどんな都市での会議開催を禁止(prohibit)はしていない。ただ2008年、2009年に、省内では、出張に関して、華美なところや、リゾートへの出張は避ける(avoid)ようにとのメモが回覧されている」と回答したところ、業界やこれらの都市に関係する米国議会の議員から集中砲火を浴びることになった。

昨年末に、政府からの巨額の救済を受けた保険会社AIGの幹部役員や社員が、高額報酬を取っているばかりでなく、リゾートで豪遊しているという実態をメディアがつぶさに報道したことが、影響して、最近では、経営者はメディアの目を気にして、こうした観光地で開催される展示会や、会議への参加を見送ろうとする傾向が強く、ビジネス客の大幅な減少に拍車をかけている。

旅行協会の会長は、こうした、「AIG効果」に、会社役員だけでなく、政府機関までがその影響を受けるようでは困るとの発言とともに、これらの観光都市のホテル料金は、平均で見ると決して高くないと強調している。