2008-9 No.7
米国は、世界の他の地域と較べて、生産拠点として競争力がついてきたとの声が欧州のメーカーから上がっています。理由はドル安もありますが、むしろ各州が出す、工場誘致のための助成金です。
この助成金は従来の常識を破る巨額なものとなっています。いくつかの最近の例をあげてみましょう。テネシー州に約1,000億円の工場建設を決めたフォルクスワーゲンに対して、同州は約600億円の助成金を出します。またアラバマ州に製鉄工場建設を決めたティッセン・クルップに対して約900億円弱の助成金を出します。この製鉄所建設候補地として競合していたルイジアナ州は、2,200億円の助成金を申し出ていたとのことです。さらに各州は工場用の道路建設、労働者の確保と教育、法人税の減免などのパッケージも提示しています。
最近の中国や東欧の賃金上昇、またドルの低落傾向から考えて米国の生産拠点としての魅力が増しているのみならず、現在のEU域内の政府援助規制の下では不可能な巨額の助成金が出るとなると、欧州企業の米国再評価が行われるようになるのも当然です。中国やその他のアジア諸国のカントリーリスクや労働者の質も考慮にいれると、さらに魅力が増すというわけです。
一方受け入れ側の米国各州にとっても、これだけの助成をしても雇用と税収の増加を考えると十分な成算があるとの読みが成立しています。グローバリゼーションは、一方通行だけではないという好例です。ちなみに大統領選における民主党の立場は米国からの雇用の流出の原因がグローバリゼーションにあるとしています。従って北米自由貿易協定の見直しも要求していますし、雇用を海外に移転させた企業への税制上の恩典停止を訴えています。
一方共和党は自由貿易、市場経済擁護の立場を一貫させてきました。しかし、景気後退と失業率の急激な上昇が明らかとなった先週マケイン候補は、さすがに「市場経済優先政策は、労働者の再就職のための訓練支援と、グローバリゼーションの被害者救済策に裏打ちされなければならない」とブルーカラーのアンチ・グローバリゼーション感情に配慮を示しました。
米国は、世界の他の地域と較べて、生産拠点として競争力がついてきたとの声が欧州のメーカーから上がっています。理由はドル安もありますが、むしろ各州が出す、工場誘致のための助成金です。
この助成金は従来の常識を破る巨額なものとなっています。いくつかの最近の例をあげてみましょう。テネシー州に約1,000億円の工場建設を決めたフォルクスワーゲンに対して、同州は約600億円の助成金を出します。またアラバマ州に製鉄工場建設を決めたティッセン・クルップに対して約900億円弱の助成金を出します。この製鉄所建設候補地として競合していたルイジアナ州は、2,200億円の助成金を申し出ていたとのことです。さらに各州は工場用の道路建設、労働者の確保と教育、法人税の減免などのパッケージも提示しています。
最近の中国や東欧の賃金上昇、またドルの低落傾向から考えて米国の生産拠点としての魅力が増しているのみならず、現在のEU域内の政府援助規制の下では不可能な巨額の助成金が出るとなると、欧州企業の米国再評価が行われるようになるのも当然です。中国やその他のアジア諸国のカントリーリスクや労働者の質も考慮にいれると、さらに魅力が増すというわけです。
一方受け入れ側の米国各州にとっても、これだけの助成をしても雇用と税収の増加を考えると十分な成算があるとの読みが成立しています。グローバリゼーションは、一方通行だけではないという好例です。ちなみに大統領選における民主党の立場は米国からの雇用の流出の原因がグローバリゼーションにあるとしています。従って北米自由貿易協定の見直しも要求していますし、雇用を海外に移転させた企業への税制上の恩典停止を訴えています。
一方共和党は自由貿易、市場経済擁護の立場を一貫させてきました。しかし、景気後退と失業率の急激な上昇が明らかとなった先週マケイン候補は、さすがに「市場経済優先政策は、労働者の再就職のための訓練支援と、グローバリゼーションの被害者救済策に裏打ちされなければならない」とブルーカラーのアンチ・グローバリゼーション感情に配慮を示しました。