ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

Matisse and his circles

2009-06-02 | 美術
今日はブリジストン美術館に行ってきた。
「マティスの時代=フランスの野生と洗練=展」を開催中。

それを見たいというよりは、
ルノアールのジョルゼットちゃんや、モネの睡蓮が見たくて行った。

マティスとフォーヴィズム(野獣派)の仲間といっても、
モロー1点、ブラマンク1点、ルオー3点などなど、
もともとブリジストン美術館所蔵の作品を、
マティスを中心に展示してみましたという感じで、
物珍しさはないものの、こじんまりとまとまって、
私にはちょうどいいくらいの作品数だった。
マティスねぇ・・・・嫌いではないんです。
線は天才的だと思うし、色も確かに美しい。
仲の良かったキュビズムのお友達よりはず~っと好きです。
(はい、誰のことでしょう?笑)

こんな言葉も笑えるし。

私が描いている女性と、私が見ている女性は違うはずだと
指摘したある人に、私はこう答えた。
「生きているうちに、こんな女性に出会ったら、
私はびっくり仰天して逃げ出しますよ」

そんなことマティスに言える人が素敵だ(笑)

私は今、人を不安にさせたり混乱させたりしない、
平静で純粋な芸術を求めている。
私は、疲れ果て、過重な負担をかけられ、うちひしがれた人々が、
私の絵を見て平和と安らぎを見いだすことを望む。

そんなごもっともな言葉を横目で見つつ、
フォーヴィズムの次はキュビズム、そして抽象とすすみ、
ある部屋に入って、すぐそこにあったコローの小さな風景画。


「平和と安らぎを見いだす絵」っていうのは、
こういう絵のことを言うのよ・・・・。
と、目頭が熱くなって、しばし佇んで魅入ってしまった。
コローはいい!本当にいい!
大気や空気や風やそういう自然を描こうとした、
ターナーやコローは、
何か新しいことをしでかしてやろうとか、
これが俺様の個性だとか、
頭でっかちなイズムから遠く離れて、
淡々と静寂の中で自然と対話し、それを描いた。
押しつけがましさや奢りのない絵。
静かに語りかけてくる絵画。
私はそういう絵が好きだ。

そして、モネ。
私はブリジストン美術館にあるモネの「睡蓮の池」は、
世界一だと勝手に思っている。
ときどき無性に見たくなる。
夕暮れの池に映る柳の枝。
紫とピンクのまじりあった不思議な色の世界。
どの角度から見ても、パーフェクトな絵。
今ここでこの絵を見ているこの瞬間を、
「至福」というのだ、といつもそう思う。

お時間があったら是非本物を見てください。