もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

アメリカの台湾旅行法成立に思う

2018年03月18日 | 中国

 トランプ大統領が台湾旅行法に署名したことにより米台要人の往来が可能となった。

 当然のことながら台湾を一つの省であるとする中国は、台湾への武力行使の根拠となる反国家分裂法の発動までちらつかせる外交では禁止(抑止)業に近い反発をしている。アメリカは習王朝体制の確立・強化に対して、鉄鋼関税に次ぐ第2弾の牽制球の意味を込めているものと思われるが歴史の歯車を逆転させることが困難であることを痛切に感じていると思う。中台の確執は、国共内戦に敗れた蒋介石が台湾に逃れて国民党の存続を図ったことに端を発しているが、もし蒋介石が中華思想と本土反攻の野望を捨てて台湾独立を決断していれば中台関係は現在とは大きく変わったものとなっていたであろう。蒋介石の本土反攻にはアメリカの支援が必要であったが、当時のアメリカは中国共産党を過小評価するものの一枚岩であったソ連の参戦を恐れるとともに、世界大戦後の厭戦気分もあり国民党を積極的に支援できる状態ではなかった。次いで中ソの支援を受けて北朝鮮が仕掛けた朝鮮戦争でも義勇軍を名乗る中国人民軍の介入に対して、鴨緑江を超えての中国侵攻と原爆の使用を要請したマッカーサーの提案を退け解任したことで歯車は更に回転した。極め付けはニクソン訪中とカータ大統領による米中国交正常化において台湾を切り捨てたことで歯車を修復不能なまでに回転させてしまった。その後、中共が国連の安保理拒否権を引き継いだことにより、中台関係を含めて中国の横暴を座視するしかない現在の状況を招いてしまったものと思う。もし米朝会談でアメリカが一歩でも譲歩すれば、中台の歯車を更に回転させることに繋がると思うものである。

 政治家を含む人類が将来を正確に予測することが不可能であり、最良と思われる選択が将来に禍根を残すことは避けられないものの、歴史に学ぶべきことは多いと思う。”賢者は歴史に学び愚者は現実にも学ばない”との至言もある。スロットの大敗を繰り返す愚者が言うのもなんだが。