もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

栄コーチと伊調選手について

2018年03月05日 | カープ・スポーツ

 女子レスリングの栄コーチ(女子レスリング強化本部長)に対するパワハラ告発が話題を呼んでいる。

 告発は、日本レスリング協会等の社団法人を監督する内閣府公益認定等委員会に提出されたものであり、告発状に記載されている内容の真偽は定かでないが、個人的な感想を言わせてもらえれば栄コーチの分が悪いようである。告発状が明らかになった日に、日本レスリング協会が間髪を置かずに疑惑否定の会見を行ったことも疑惑の根深さと真実味を垣間見せたものと感じている。吉田沙保里、伊調馨、登坂絵莉等々、人気と実力を兼ね備えた選手を育てた実績を持って、日本レスリング協会の強化本部長に就任した栄氏であれば、協会内の発言力は極めて高いものと考えられるし、過去の発言の端々に奢ったものが無かったとは言い切れないと思う。また、新たな練習法を求めてコーチを変えたいとする伊調選手と、人気選手を手放すことにより生じるであろう協会内での発言力の低下を恐れる栄コーチとの確執は当然あったものとも思う。しかしながら告発の根底には、コーチと選手の関係を浪花節的ウェットな師弟関係とする世代と、一時的なドライな関係と割り切る世代の価値観の違いが見られるように思われてならない。協会に所属しなければ、オリンピックはおろか国際大会にも参加できないことから、協会と所属選手の関係は絶対君主と家臣の関係にも等しいものと思う。国際大会への代表選考では陸連や水連での不透明さが表面化され、選考会の一発で代表選考が行われることになった結果、上り調子の選手が代表入りして好結果を残していることを考えれば、選手に対する協会の過度の干渉と束縛、実績重視は如何なものかと思う。

 事案の真偽と決着はさておき、考えなけれがならないことは協会の主要ポストに座る人は傘下の個人コーチをすべきではないということに尽きるのではないだろうか。栄氏も真に強い選手を育てたいならば、協会のポスト就任を辞退すべきであり、全選手の強化を目指すならばポスト就任と同時に個人コーチを辞めるべきであったと思う。栄氏にも言い分はあろうが「李下に冠を正した」ことは、責められても仕方ないことと思う。