もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

アメリカの懲罰的関税発動に思う

2018年03月24日 | アメリカ

 鉄鋼等に関するアメリカの懲罰的関税が発動された。

 適用を除外されたのは対米貿易赤字や個別貿易協定協議中の6カ国とEUだけである。EUは鉄鋼関税措置が発動された場合は報復措置をとると宣言するとともに、構成国のメルケル独首相等が免除に向けて積極的に行動したことが報じられている。一方、日本はアメリカの高関税賦課の発動要因が安全保障上の措置とあることから、対中国を標的としたもので日米安保の現状を考えれば当然に適用除外されるだろうとの甘い認識があったのではないだろうか。しかしながら、トランプ政権は議会対策のために経済問題を安全保障問題にすり替えた単純な図式で、真の狙いはトランプ大統領のアキレス腱である貿易赤字の解消と、輸入超過に起因する重工業の不振を打開して雇用を促進することにあることは明白である。安全保障のパートナーとしても中国の武力拡大の脅威に対して憲法を盾に対決姿勢すら見せない片務的な日米安保よりも、アメリカ人の心情的母国ヨーロッパを双務的に守ろうとするNATOを重視したものと考えることもできる。話はそれるが、欧米人の心底には白人絶対主義ないしは黄禍論が紛れもなく存在することを常に念頭に置かなければならないとも思うものである。閑話休題。今回の日本の出遅れの最大の要因は、最も重要な時期に開催されたG20へ副大臣が出席せざるを得ない状況を作った国会審議ではないだろうか。G20への財相欠席は、討議されるであろう事案に重きを置かないとするシグナルと受け取られ、日本与し易しの印象をアメリカを含む参加各国に与えたものと思う。

 刑事被告人の籠池証言に拘泥して検察官まがいの審議に明け暮れ、国際感覚と重要課題の選択眼を持たない野党議の愚かな言動が、国会空転と外交・行政の停滞を招いた結果、アメリカからの経済制裁によって最終的には彼等の支持母体である労組構成員に不利益をもたらすであろうことを自覚した上での国会運営であろうか。