もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

米国の制裁的関税に思う

2018年03月08日 | アメリカ

 アメリカが鉄鋼に25%、アルミに10%の制裁的輸入関税を科すとしている。

 当初は対中国への経済制裁的措置と捉えられていたが、日本やEUも含むすべての国を対象とするものであることが判明した。経済に暗いので、高関税によって米国内経済のバランスシートはどうなるのか良く分からないまま所感を書くが。今回の措置は、短期的には対中・対日・対EUの貿易赤字の縮小と米国内の鉄鋼産業の活性化が期待できる反面、相手国の報復措置としての高関税賦課によって輸出量の縮小や生活消費財の値上がりとなるであろうし、中長期的に見れば鉄やアルミの基幹材料の値上がりによる生産コスト高から自動車産業等は国際競争力を失うとまではいかなくても低下することは避けられないと考えられる。本来ビジネスマンであるトランプ大統領であるならば、そんなことは百も承知・織り込み済みのシナリオであろうが、win,winのパートナーシップ構築を目指してきた自由貿易の理念を経済大国が捨て去って保護主義的な行動に走る背景は何なのだろうか。前オバマ政権が主導した環太平洋TPPの構想からの脱退を就任当初に表明したにもかかわらず、最近はウォール街出身の補佐官の台頭もあってかTPP構想への再参加に色気を見せていたのにである。トランプ大統領の選挙公約であるラストベルト(さびついた工業地帯)の解消を強く求める勢力への配慮で長期間継続されるのか、中間選挙を見据えての短期的な措置であるのかは不明であるが、今回の関税措置が習皇帝の誕生、一路一帯構想の進展、北を使嗾した南北会談等々の中華覇権を挫く思惑ならば歓迎すべき事態とも思うが、アメリカの熟慮と翻意を期待するところである。

 アメリカの保護貿易化は日本経済にとっても憂慮すべき事態と思うので、安倍総理の外交手腕に期待するところである。

 (データ改竄で窮地にある神戸製鋼には一陣の追い風・余得となるかも。・・・馬鹿者と叱られそうなジョークで恐縮)