ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

ハッピーフィート

2007年11月10日 | 映画レビュー
 フランスのドキュメンタリー映画「皇帝ペンギン」の成功にあやかろうとしたのか、南極に住む皇帝ペンギンのヒップホップなアニメを豪華なキャストで声の出演させた映画。音痴なペンギン、マンブルは、歌を歌うかわりにステップを踏んでしまうといういっぷう変わったペンギン。この世界では歌を歌えないとつれあいにめぐり合えないという掟があるというのに、マンブルは超音痴で、しかも誰も見たことも無いようなペンギンらしからぬタップダンスのステップを踏んでしまうのだ。で、変わり者として周囲から白い眼で見られるマンブルも、いつしか彼の素晴らしいタップで周りを魅了し、やがては感化させるまでになる。というお話。

 とにかくダンスが素晴らしく、カメラワークが雄大で絵が美しい。中盤のリュージュに乗っているようなスピード感も文句なし。歌は懐かしいスタンダードナンバーが目白押しで、歌も踊りもたっぷり堪能できるし、なんといってもペンギンが可愛い。DISCAS評では、前半の歌と踊りはいいけど後半の環境問題が出てくるあたりが興醒めという意見が多かったけど、それほど説教臭いわけでもなかった。とはいえ、人間の乱獲によってペンギンのエサが減っているという主張にはなにやら捕鯨禁止のプロパガンダも臭うような気がするのはうがちすぎか…?

 ストーリーには意外性もなく、異質な他者を排除してはいけないという表層を流れる思想もありきたりで、これが「カーズ」を押さえて2006年度アカデミー賞長編アニメ賞を受賞したとは納得できない。ストーリーの質よりもキャストの豪華さや絵と音楽の楽しさというハリウッドらしさのほうに軍配が上がったということか。(レンタルDVD)

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HAPPY FEET
オーストラリア、アメリカ、2006年、上映時間 108分
監督: ジョージ・ミラー、共同監督: ジュディ・モリス、ウォーレン・コールマン、製作: ジョージ・ミラーほか、脚本: ジョージ・ミラー、ジョン・コリーほか、音楽: ジョン・パウエル、アニメーションディレクター: ダニエル・ジャネット
声の出演: イライジャ・ウッド、ブリタニー・マーフィ、ヒュー・ジャックマン、ニコール・キッドマン、ヒューゴ・ウィーヴィング、ロビン・ウィリアムズ

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