ピピのシネマな日々:吟遊旅人のつれづれ

歌って踊れる図書館司書の映画三昧の日々を綴ります。たまに読書日記も。2007年3月以前の映画日記はHPに掲載。

蒼き狼

2007年11月03日 | 映画レビュー
 焦点の定まらない映画。いったい何が言いたいのかどこを山場にしたいのかもわからない。まだまだ続くのかと思ったら意外と早く終わってしまった。まだモンゴルが世界帝国になっていないのに。

 所詮は角川春樹の映画だからね、どうせ…と期待していなかったのがよかったのか、そこそこ見られる作品にはなっている。特に戦闘シーンは大迫力でありました。がっ、やっぱりほかはどうしたもんかというような出来で、特に役者の演技がなってないのが困りもの。もうちょっと芸の出来る子役を使いなさい。

 まず言いたいこと。モンゴル建国800年記念の映画を日本人に作らせていいのかね? よりによってカドカワ・ハルキですよ。その上全部日本語でしゃべるってそんなモンゴル映画あり? もう少しモンゴル人が出演しているのかと思ったら、とんでもない。でも日本語があやしい韓国人女優なら出てました。

 出生の秘密を抱えて一生苦悩の人であったテムジンが、モンゴル建国神話の蒼き狼の血を引く者であることを証明するために闇雲に戦いの人生を選んだ。…という展開だけれど、これがなんだか軸がぶれていくので説得力がない。戦争にしても「平和のための戦いだ」と言い訳するけど、結局なんのために戦っているのか、観客にはよくわからない。モンゴルの女の悲しみを二度と繰り返してはならないと「反戦の誓い」を立てるのかと思うが実際には戦争に次ぐ戦争の日々なのだ。ただ、この点は劇場パンフレットの解説によればもう少し違うらしいが。戦闘を開かずに勝った戦もあるというから、テムジンはかなりの策士だったらしい。

 大河ドラマは山場作りが難しいと思うのだが、波乱万丈のテムジンの物語は淡々と描写してもそれなりに面白い。しかし、結局のところなんで今この映画を日本人が作るのか意味不明で、伝わるものがまるでない。単に25000人のエキストラを使いたかっただけなんだろうか。

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日本、モンゴル、2006年、上映時間 136分
監督: 澤井信一郎、製作: 千葉龍平、製作総指揮: 角川春樹、原作: 森村誠一 『地果て海尽きるまで 小説チンギス汗』、脚本: 中島丈博、丸山昇一、音楽: 岩代太郎
出演: 反町隆史、菊川怜由美 若村麻由美、袴田吉彦、保阪尚希、榎木孝明、津川雅彦、松方弘樹

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