このブログによくコメントを下さるhappymanさんのブログで、中央防災会議の被害想定が発表されたことを知りました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080514-OYT1T00557.htm 読売新聞記事
http://happy-man.jp/engineer/archives/2008/05/post-203.html 上町断層は活動するか?
これらの記事によると、大阪府の上町断層帯の地震では経済的被害が最大74兆円。。。一般会計が全部消えますねえ。。
関西では、上町断層や生駒断層などの南北方向の活断層と、有馬-高槻構造線といった東西方向の活断層が密集しています。これらの活断層がクロスするところが、有名な天王山です。天下分け目とは、まったくの文字通りなのです。
また、京都大学防災研究所では地盤の振動特性の解析から、活断層沿いと淀川沿いの軟弱地盤が厚く存在する地域が、強振動が起こるとしています。
http://www.dpri.kyoto-u.ac.jp/dat/nenpo/no50/ronbunB/a50b0p13.pdf
しかし、しかし、、、もっと散発的に振動による大被害が生じる可能性のある地盤が存在するとおもっています。なんどか取り上げた谷埋め盛土による住宅造成地です。生駒山地、京阪奈丘陵には無数にありそうです。
明日から谷埋め盛土の危険性・安全性の現地検討会で、阪神・淡路大震災で被災した地域に行ってきます。
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NHKのニュースを見ていたら、地すべりにより川がせき止められているとか。もう、いよいよオリンピックどころではありません
我が家の取り急ぎ地震対策ということで。写真のとおり。食事時に巨大地震がきても、直撃を避ける時間を作るくらいは金具ががんばってくれるでしょう。
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昨日の記事で、天然ダム発生を危惧していたら、東大地震研究所もコメントしていました。
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/topics/china2008/
1933年8月25日には今回の地震の約50km北東でM 7.5の地震が発生した.この地 震によって6800人の死者が出たほか,川がせき止められて4つの地震湖ができ た.この地震湖は45日後に決壊し,洪水によって2500人の犠牲者がでた(中国 地震目録による).
45日かかって二次災害なら、北京オリンピック本当に大丈夫でしょうか。
中国四川省で、死者1万人を超えようかという大地震が発生しました。まずは、被災された方の安否を見舞わずにはおられません。
さて、Google Eerth などを使って、改めて被災地を見てみると、北東―南西走向に向かって直線的に、また一部では波打つように、山と平野がとてもはっきりと分かれている様子が見て取れます。また、山から出てきた川は広大な扇状地を形成しており、おそらくその地下水が湧き出て、かつ洪水も穏やかになる地勢のところに成都市が成立したのでしょう。
この周辺はインド大陸の衝突によって世界一高いヒマラヤ山脈やチベット高原ができるなど、間違いなく世界で一番ダイナミックが近く変動が起こっている地域です。
東大地震研究所によると同じ断層系で、1933年にも大地震があったようです。
報道では手抜き工事による建物の倒壊が批判されていますが、私個人的には地すべり性大規模崩壊が多発しているのではないかということです。これほどの地殻変動地では、山は急峻になり、谷は深く狭くなるため、天然ダムができているのではないかと心配します。そうなると、天然ダム決壊による多大な二次災害も懸念されます。
Google Eerthをよくみると、山頂付近のかなり標高の高いところで、平行に波打つような(まるで刺身のスライスのように)尾根が連続しているような気がしてならないのです。あるいは、硬い地層と軟らかい地層との侵食差でできる組織地形かも知れませんが、いずれにしても山の斜面が流れやすい状態にあるのではないかと思っています。
話が飛躍しているように見えますか?とんでもない。
なにせ、地震→地すべり→天然ダム→天然ダム決壊一連の被害で、もっとも有名なのは、あの聖火リレーでもめた善光寺地震なのですから。
中央防災会議 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成19年3月
1847 善光寺地震
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/kyoukun/rep/1847-zenkoJISHIN/
○近未来×予測テレビ-都市に急増!!新型災害徹底解明スペシャル
昨日この番組をみた感想は、オーバーナレーションというか、そこまで大げさなムードを作ってよいものかということでした。
例えば、なんと東京23区内にがけ崩れの危険箇所が約600箇所!!え~こわーい、、、
まあ急傾斜地崩壊危険箇所の点検を主な生業としている私にとっては、笑うしかなかったのですが、、、もうちょっと大人の番組が作れないものか、、、ってこの番組に限ったことではないですけど。
しかし、キャッチコピーの新型21世紀型災害というのは頂けません。
なぜなら、私たちの防災技術者の間では、イロハのイの段階で出てくる昭和33年狩野川台風から今年で50年。都市災害のさきがけであり、小説『細雪』(今はドラマにもなってますね)に書かれた昭和13年阪神大水害から、ちょうど70年なのです。宅地開発が崖に向かって進む一方で、ライフスタイルも変わるから被害を受けるものやパターンが新しくなるだけ、崖のやることは急激な地中水の増加によって自重を支えきれなくなって落ちるという永遠のワンパターンです。
ここで、私の会社の宣伝を一席。http://www.kankyo-c.com/soil_hazard.html
斜面は崩れるものです。水は低いほうに流れることと同じくらい、自然にとっては当たり前なんです。
もう一度いうが、いくら専門外とはいっても、もう少し大人びた番組作りができないものか。
でも、よく考えたらこれは私たち専門技術者が、あまりにも公共事業の方を向いてきて、その恩恵を享受すべき住民の皆さんの方向を見てこなかったという反省点があります。
でも、知識のひけらかしや講習会ばかりでは、やっぱりいかんのであって、京都大学防災研究所の河田先生が防災産業を作るべしとおっしゃっているように、そいいったビジネスへの志をもって取り組むべきなのでしょう。http://www.drs.dpri.kyoto-u.ac.jp/staff/kawata.html
それは、ミャンマーが軍事政権であるから被害が拡大し、人災であるかのように報道されているということです。
確かに政情は日本が安定しているし、経済力のあると思いますが、日本もデルタ地帯に人口が集中する台風(ミャンマーで言うところのサイクロン)大国であることが見過ごされています。
最近中央防災会議では、「大規模水害対策に関する専門調査会」を設置し、大規模水害発生時の応急対策等の検討を行うため、利根川を題材に、利根川が氾濫して大規模な水害が発生した場合に想定される死者や孤立者の数、浸水想定時間に関する被害想定をとりまとめしました。
なんと
a)排水施設が稼動しないケースでは、死者数は約3,800人
b)排水施設が全て稼動するケースでは、死者数は約3,500人
そして、1/200年確率という数値に惑わされてはいけません。昭和22年のカスリン台風なみの台風は、毎年来る可能性があるのです。
この記事で示した画像はNASAが公表したものですが、カスリン台風時や伊勢湾台風時の被災時は似たいような状況だったかも知れません。
洪水の繰り返しによって平野ができている限り、メカニズムは同じなのですから。
地震だけが防災ではありません。
これまでの土石流災害報告と言えば、土石流の発生機構や砂防ダムをどう造成するか(砂防ダムの造成が前提にありき)でまとめられていました。
この報告書は、土石流は繰り返し発生するということ、岩石は風化するということ、山崩れはなくても水が飽和することで土石流が発生すること、森林こそ最大の砂防効果をもつこと、など、実に総合的な見方がされています。
お固いマニュアル報告書とは一線を画した、示唆に富む内容となっています。
http://www.shinmai.co.jp/news/20080509/KT080508FUI090003000022.htm
歴史は人間の叡智によって繰り返さないように努力することも可能だと思いますが、自然は必ず繰り返します。そういう前提にたって、自然とうまく付き合っていかねばなりません。
ついに東京も動いたか。東京都で宅地耐震化促進事業
地震の心配をするひとはたくさんいますが、地盤が危ないという気持ちを持つ人はまだまだ少ないようです。しかし、ついに巨人が動きだしました。首都東京、都大東京、ついに盛土地盤調査に動き出しました。
阪神・淡路大震災以前の”地震観”は、大正関東大震災であり、それを基準にして”震度5”以上だとガスがストップするとか、関東大震災にも耐えられる、とかいった文言がつかれていました。大正関東大震災は1923年のことであって、その後各地で地震被害は何度もあったのですが、首都東京は幸か不幸か(そりゃ幸なんだけど)大地震を逃れてきました。東京で事が起こる、東京で流行るというのは、全国にインパクトを与えます。
ところで、大正関東大震災で甚大な被害がでたということは、それだけ東京の街並みが発展していたこということで、古い盛土もたくさんあるということです。たぶんかなり大雑把に造成された盛土もあることでしょう。
21世紀は維持管理の時代です。さらに、土地という資産に安全という付加価値をつけることが重要になってきます。
○大阪府阪南市で道路陥没 http://www.asahi.com/national/update/0505/OSK200805050058.html
現場は傾斜地を開発した団地の一角で1947年当時の航空写真では谷だった。2月の15日と19日に同じ場所で陥没事故があり、市が補修をしたうえで地質専門のコンサルタントに委託して原因を調査中だった。
○川崎市で道路陥没 川崎でまた道路陥没/長さ40メートル、幅40メートル、深さ2メートル
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiiapr08044040/
同じ下水管工事では昨年二月、約百メートル北側でも大規模な道路陥没があった。犬を散歩中の近くの主婦(62)は「二度も同じ事故を起こすなんて、あまりにもずさん。(発注主の)市は住民に説明すべき」と憤っていた。
おなじように地盤の陥没として報道されていますね。でも、大阪の場合はもともとは谷でした。川崎の場合は、1947年当時の航空写真でみると水田でした。
川崎の場合、周囲をよく見ると自然堤防(河川の洪水による土砂堆積によって形成された高まり)の間の低地で、水田として利用されていました。でも、これじゃあ普通だなあ。軟弱地盤ではあるにせよ、特別な地盤ではないようです。むしろ、旧河道の見本のような土地に住宅が立ち並んでいる方が気になります。
大阪の場合は地質専門コンサルタントが調査中だったようです。川崎の場合は地盤に理由を求めるのはかなりきつそうです。
でも、対策は両方必須です。土地の成り立ちを知っておくことは、決して面倒でも損でもありません。維持管理を必要以上に行わなくて済むので、むしろ得策なのです。
全国にはいくつもの自主防災組織がありますが、そのなかで、たくさんの表彰を受けている『加古川グリーンシティ』という自主防災組織があります。
http://www.greencity.sakura.ne.jp/greencity_bousaikai/index.html
最強の力は、「コミュニティ・地域の防災力」です。
まずもって、これはそのとおりです。個人の力ではどうしても限界があります。
地域を歩き避難路確認
http://www.greencity.sakura.ne.jp/greencity_bousaikai/shinbun_pdf_jpeg/20080331-kobe-real.jpg
これはとても素晴らしい取り組みです。地図が頭の中にインプットされると、いざというとき、自分の居場所、相手への距離感がカーナビのごとく分かります(手に取るようにってやつです)。
加古川のハザードマップ
http://www.greencity.sakura.ne.jp/greencity_bousaikai/bousaikai_data/kouzui-hinan-map-main.htm
できれば、これを皆さんで作ってほしい。自然現象はマニュアルどおり行かないもので、過去の浸水実績が一番頼りになります。地域を歩き避難路確認の記事のように、みなさん地域を歩いていらっしゃるわけですから、もしかして、05㎝~1m程度の土地の起伏もある程度把握されていることと思います。それは、加古川の洪水の痕跡を示しているのです。
また、加古川の旧流路やため池を埋め立てたところなどは、軟弱地盤となっていて、地震時に液状化や地盤沈下が起こりやすいのです。
歩く力、協力する力、広域を俯瞰する力があるということは、”知域”が広がるということです。土地の成り立ちをしることが防災の第一歩です。
1100年以上変動していない盛土
太田ジオリサーチのブログにこんな記事がました。
日本最古の「一度も地震で変動していない盛土」を見に行きます(釜井先生の研究フィールドです)。1100年以上変動していない盛土というのはほとんど無く、なぜ変動しなかったのかということを確かめるための調査が行われています。他の盛土にはない極めて特徴的な歴史・物性がありますので、とても興味深いところです。
ここでは、すぐそばで慶長伏見地震(1596年;マグニチュード=7.5京都三条から伏見の間で被害がもっとも多く、伏見城天守が大破し、石垣が崩れて5百余人が圧死した。京都では寺院や民家の多数が倒壊し、「洛中の死者4万5千」の記事もある。)がありましたが、そのときにも動いていません。京都では約100年に1度大地震がありますが、それらを経験してもまだ変動をしていない希有な盛土です。
そういえば、渡辺邦夫先生の『地中の虹』にも古墳の安定性についてまとめられていました。
http://www.d1.dion.ne.jp/~kinmirai/01-Chichu-no-niji.html
いにしえの技術が最先端の知見につながる。興味深いところです。
○住宅セミナー 400万円損したくない
http://www.suzuki-jyuken.co.jp/08seminar/
具体的に金額を出されるとリアルですね。でもなんで400万円なのでしょうか。
宅建の参考書をみると、
宅建業者は、それぞれが自由に報酬額を定めることはできません。
宅建業者が受領できる報酬限度額というものが定められており、宅建業者はその限度額
を超えて報酬を受け取ることができないのです。不動産の専門知識がない一般人を保護するため
■売買・交換の媒介・代理の報酬
まず、宅建業者が課税事業者である場合と免税事業者である場合で計算式が異なります。
宅建業者が課税事業者(消費税を納める義務がある事業者)である場合
取引対象の代金・価額が200万円以下⇒代金・価額の5%×1.05
取引対象の代金・価額が200万円超400万円以下⇒代金・価額の(4%+2万円)×1.05
取引対象の代金・価額が400万円超⇒代金・価額の(3%+6万円)×1.05
宅建業者が免税事業者(消費税を納める義務が免除される事業者)である場合
取引対象の代金・価額が200万円以下⇒代金・価額の5%×1.025
取引対象の代金・価額が200万円超400万円以下⇒代金・価額の(4%+2万円)×1.025
取引対象の代金・価額が400万円超⇒代金・価額の(3%+6万円)×1.025
これだろうなあ。住宅やマンションを買うとき、400万円以下ってまずあり得ませんから。
知識が一般に知れ渡っていないという意味では、地盤防災技術者も一緒です。
でも、地盤調査費も、このようなルールを設けて一般買うすれば、ニーズが広まり、結果的に儲かるのではないでしょうか。
「全国を概観した地震動予測地図」報告書 http://www.jishin.go.jp/main/chousa/05mar_yosokuchizu/index.htm これは、今年地震が起こらなければ来年あがるし、詳しく調査された活断層があれば、その分も上がっていますし、そう考えると固く考える必要はありません。 しかし、数字にだまされてもいけません。阪神淡路や中越地域の震災をもたらした活断層を原因とする地震の確率は3~6%程度でした。 そうすれば、もう備えておくしかないわけです。 地震がくれば、家具、食器棚などは、確実に落ちるでしょう。だから、備える人も多いはずですね。 でも、足元の地盤も確実に落ちるものが存在します。 そして、それは実は、高く見積もっても100万以下で、できます。 その詳細はおいおい話していきます。 |
http://www.47news.jp/CN/200804/CN2008042901000261.html
現場こそ最高の教科書であり、基準なのです。
ワンクリックで買い物ばかりしていると、なぜその商品がそこにあるのか、周りにはどんなものがあるのかが分からなくて、1+1+の知識しかつかず広がりが持てない。でも、分かった気になっているのと同じです。
そんな、たったふたつの指標で大規模崩壊の場所がわかるんだったら、Google のスゴイ技術者が解決していそうなものです。
天上なき高い理想より、最低基準に合わせてしまったISOの凋落と同じ匂いがします。