防災ブログ Let's Design with Nature

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いろんな”ダム”-天然ダムという言い方は失礼なのか?-

2008年05月23日 | 防災・環境のコンセプト

中国四川省の地震で川が塞き止められてできた湖について、震災ダム、土砂崩れダム、地滑りダム、実にさまざまな言い方で報道されています。

なんでも、新潟県中越地震
で発生した現象として、この表現が「美しい印象を与えてしまう恐れがあり、被災者の心情にそぐわないとして、国土交通省はこの現象の表記を河道閉塞(かどうへいそく)に改めることにした。

のだそうで。インターネット上の記事でも、

「天然」というのは、「自然にできた」つまり「震災や台風や火山の噴火によってできた」と言う意味だと思いますが、「ダム」というのはあくまで人工的なもので、自由に放水ができて、貯水量を調整できるような機能を持たせた、鉄筋コンクリート製の「せき」を表しています。この言葉をくっつけるのは、どうしても無理があるように思います。
 もし「ダム」であるならば、水位の調節が簡単に出来るはずですよね。水を出すのに、あんなに苦労してるのに「ダム」なんですかね。

なんて意見も。

いままで「天然ダム」という言葉を使っていた研究者は、「人工」の対義語として「天然」があったためそう言っていただけです。実にシンプルな理由でしかないのです。

しかし、2004年以前に「天然ダム」による災害が、日本では久しく認知されてきませんでした。実際には日本海側の地域で雪が解ける時期を中心に地すべりが発生し、川や渓流が塞き止められた事例は多数あるのです。そして、災害伝承として伝える努力もなされてきました。

消防丁:災害伝承情報データベース :沢の水が止まるとそれは上流に天然ダムが
http://www.saigaidensho.soumu.go.jp/saigai/import.2007-03-13.185833-2/
天然ダムと災害 http://www.kokon.co.jp/h5065.htm

実際に被災された方の声として、天然ダムという言葉に不快感を覚えるとか、そのような意見があったのでしょうか。

ではなくて、マスコミ報道の単なる自主規制だったら、自然科学・災害科学に対して、もっと学んでから、理にかなった議論があるべきでしょう。