防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

政権交代論議は五十歩百歩

2009年09月30日 | 技術動向
ある大手同業者の部長さんが、選挙前に「自民党に投票しようぜ」と言ったという話をききました。まあ酒飲み話程度での話だということですが、私はどっちでも大勢は変わらなかったのではないかとみています。ハードランディングかソフトランディングかの違いであって、いずれにせよ公共事業縮小、地方分権の流れは変えられず、それこそ5年で縮小・廃止されるようなものが10年程度になるに過ぎなかったのではないでしょうか。いずれにせよ、自立した業界ではないことが如実に現れています。

防災に関しては、暮らしの安全・安心に関わる事業だから縮小・廃止には向かわないだろうという、自然災害の正常性バイアスに似たムードがあります。

政治献金も業者から個人のネット献金へシフトしているようです。防災業界も、一般市民向け、個人でできる防災対策をうまくビジネスにしていくため、種をまき続ける必要があります。

東名路肩崩落 原因は盛り土の下層の劣化

2009年09月29日 | 盛土が安定すれば安心
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090928-00000022-maip-soci
駿河湾を震源とする8月の地震で、東名高速道路の路肩が崩落した原因を調査する中日本高速道路の検討委員会が28日開かれた。ボーリング調査などの結果、盛り土の下層が劣化し、浸透性が低下していたことが判明。盛り土内に地下水がたまりやすい軟弱な地盤になっていたところに揺れが加わり、崩落したと推定した。
検討委と同社によると、崩落現場で12カ所をボーリングしたところ、盛り土の最下層に使用していた泥岩が粘土のように変質していた。泥岩の劣化は建設当時は知られておらず、対策が講じられていないという。また、現場は尾根状の谷地に盛り土されて造成されており、雨などが流れ込みやすい地形だった。このため、検討委は今後、東名高速の盛り土部分のうち、泥岩使用地点や水が流れ込みやすい類似地形などを優先的に点検する場所として選定する方針。

 検討委では、本復旧工事に水はけの良い土を使うことや、盛り土の安定性を確保するためくいを盛り土内部に打つなどの工法案が了承された
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政権交代やオリンピックなどの話題にすっかり隠れてしまいました。しかし、東名高速は日本の大動脈です。切れたらCO2削減や子供手あてなど悠長なこととなるでしょう。地味で確実な防災をすることは、経済活動の基盤を支えます。

この時勢に出版された本 - 土木地質達人の知恵

2009年09月28日 | 技術動向

政権交代選挙が終わり、ダム事業見直しの議論が喧々諤々のなか、『土木地質達人の知恵』という本が9月10日に発刊されました。

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土木地質の達人編集委員会

http://ssl.ohmsha.co.jp/cgi-bin/menu.cgi?ISBN=978-4-274-20765-5#shosai
 土木構造物の施工や設計にとって必要な地質情報を真に理解するためには、地盤の良し悪しや強度といった情報の背後にある地質学の知見、地質技術者の経験や視点が必要である。
 本書は、経験豊富な複数の地質技術者が、安全で経済的な土木構造物をつくるために欠かせない土木地質についての知識を提供する実務書である。調査現場のスケッチや図写真を適宜盛り込み、理解を助ける各種の工夫をしている。
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この本の編纂にあたった達人17名の方々のうち半分ぐらいの方と、議論を交わしたことがあります。そして、この本の内容に用いられた事例は、ほとんどがダム造成に関わる地質技術でした。

ダム地質は、堤体基礎の岩盤だけでなく貯水池の地すべり、緑化対策も含め生態系にも精通していることが求められるため、地質技術の集大成ともいえるものです。例えば、掘削して現れた除荷節理と弛み(ゆるみ)や断層と破砕帯の違い、CM級岩盤は全国共通か、といった話題はいかにもダム現場出身でとても勉強になります。

しかし、あとがきにこのような事が書かれていました。

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少し前から若手技術者との話題に、地質技術者をはじめとするコンサルタントの社会的な地位の低さが話題に上るようになった。日々の仕事を通じて住民の安全,社会資本の整備に貢献しているはずなのに、新聞やテレビでは「公共事業イコール悪」という論調で、世間の目が厳しいことは確かであろう。また、公共事業に携わるには、技術士という国家資格が不可欠だが、同じ「士」のつく職業、例えば弁護士、公認会計士などに比べ、目立たない地味な資格、職業なのだいう。私たちの仕事が縁の下の力持ち的な存在であるのは、わかりきったことだが、もう少し社会に認知されたいものである。
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違和感を持ったのは、『少し前から若手技術者との話題』であるということ。私はずっと前から社会的認知度の低さは感じておりました。それはなぜかというと、縁の下の力持ちはよいとして、その縁側の上に座っているのは誰かという視点が欠けていたように思うわけです。弁護士も公認会計士も一般市民社会に直接していますし、目立とうという努力をしています。地質業界の場合、この目立とう、一般市民に直接訴えようという発想がなかったのです。

政権交代によって143のダムを見直そうという機運があります。これまでとは正反対の『造らないための見直し』です。もうダムマーケットが拡大することはありません。

先月の地すべり学会で、「ブログ読んでますよ、刺激になりますね、面白いですね」というほめ言葉を見ず知らずの方から頂きました。私ごときのこんなブログひとつでもそういう効果があるのです。ダムに関わってこられた地質技術者の方は、自然環境を科学的に語るスペシャリストです。その技術力は、私は足元にも及びません。だからこそ”秘伝”にしないで、縁の下から出てきていただきたいと思うわけです。職人気質な方が多くて、自分の技術力を積極的にアピール、プライドが高いために抵抗を感じたりしていたのではないでしょうか?


Y150さびしく閉幕

2009年09月27日 | 各地でのTOPICS
今日横浜開港150周年の記念イベントが終了しました。かなり不人気だったようで、ハコモノ時代の終焉ともささやかれています。横浜という観光スポットの常設地ともう言うべき場所に、あたらめて博覧会もないだろうということです。

例えば、ある一定の期間中に結婚式を挙げると、どんなに豪華でも150万円、おいしい料理が150円にするだとか、質的な新しさを追求した方が一般市民の反応はよかったのではないでしょうか。

防災の分野は、いまだハコモノ的構造物に代表される昭和的価値観が跋扈する世界です。そして、防災は命を守るのだから、国は守ってくれるしそういう国民的コンセンサスもあるだろうという、おそらくは幻想があります。

投資規模に応じた防災効果を”みえる化”し、市民社会にどんどんアピールせねばならないということです。

土石流フェンス

2009年09月26日 | 技術動向

月に一度ぐらい国立国会図書館で知恵の収集をすることにしています。マニュアル、カルテ仕事にどっぷり使ったままでは、脳みそは運動不足になるからです。今回は、こんな論文(砂防学会誌の技術ノート)を見つけました。

水山高久・和田 浩・吉田一雄(2009):下流に流路が準備できないゼロ次谷等の土石流対策-土石流フェンスの提案-,砂防学会誌,Vol62,№1. pp.74~76

・0次谷の出口のごく近くに家が立ち、土砂・水の量は多くはないが、家が全壊するような被害が出る。
地形解析のためのルールである谷の定義を土石流危険渓流の抽出に持ち込んだのは適当ではなかったが、現在は0次谷からも抽出している。
・0次谷の防災対策は、現象的にも対策的にも急傾斜地対策と土石流対策との中間にあり、このような渓流に従来の概念で砂防堰堤を建設しようとすると、充分に断面が確保できない。
・このための対策は基準に基づく砂防堰堤ではなく、土石流フェンスとか土石流バリアとでも呼ぶ。
・対策費用は基礎コンクリートも含め3000万円程度か?

概要はこんな感じです。

別に基準書にあることだけが防災ではありません。このようなことは、技術者は薄々考えていたと思いますが、今になって表に出てきました。


手段の目的化

2009年09月25日 | 技術動向
武田先生のブログに『手段の目的化はやめたいものだ』という記事がありました。
例えば砂防調査にもありえます。人々の生活圏に入ってくる恐れのある土砂が、どこにどれだけあるか、土砂移動履歴、地形発達史的背景を念頭において歩き回るのがシンプルで確実な調査方法なのですが、GISや数値解析を成り立たせるための現地視察になっている感は否めません。

政権交代の影響で、国の出先機関が存続の意義をアピールするために、調査のための調査が始まったという声が、水面下でまことしやかに聞こえてきました。もうお上に頼らず、自立した防災産業を目指すべきなんですが、、、

さりげない語り口

2009年09月24日 | 雑感
読書の季節です。どういうわけかこの年になって『思考の整理学』や『考えるヒント』など、本来学生のうちに読んでおくべき古典に興味を持っています。最近仕事で求められる内容が、どうも自然観をゆがめられる方法によることが多いため、グチも増えている自分に対する清涼剤として効果的です。

この2冊の本に共通することは、格調高い思想がとてもさりげない語り口調で書かれていることです。私もこのブログのサブタイトルに「北風より太陽」と言っておきながら、どうもハードな語り口になることがしばしば。。。

いまマスコミをにぎわしているダム問題もCO2にしても、殆ど極論に近く、金の話ばかりです。どちらにしても自然科学の成果なしに成り立たない問題であるにもかかわらず、やはり経済効果の話ばかりです。自然は繊細で、数学で美しいといわれる数式をグラフにするとソフトランディングしています。でもやはり必要性が話題にあがることはありません。

雑感の100回目に『考えるヒント』を読んでみた

2009年09月23日 | 雑感

このブログのカテゴリーのひとつである、「雑感」がついに三桁の100に達します。と大仰に言うことでもないのですが、少なからずブログを書くときは”考えている”ので、現代の古典とも言うべき、小林秀雄『考えるヒント』を読んでいます。

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現代の合理主義的風潮の乗じて、物を考えている人々の考え方を観察していると、どうやら、能率的に考える事が、合理的に考えることだと思い違いしているように思えるからだ。当人は考えている積りだが、実は考える手間を省いている。(中略)。物を考えるとは、物を掴んだら話さぬということだ。画家が、モデルを掴んだら得心の行くまで離さぬというのと同じことだ。

文藝春秋昭和34年10月号「良心」
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”当人は考えている積りだが、実は考える手間を省いている。”
これはまさに、土砂新法基礎調査のYRゾーンの設定法と同じようなことです。ひとつの定式いよって範囲を決めてしまえば、調査者による見解の相違もなくワンクリックで設定できるため、人が現場を歩き回るよりは”能率的”な調査ができるであろうという発想からでてきたものです。その発想自体は”考えた”結果ですが、その後(地形発達史的背景とか土地利用の履歴など)なにも考える必要がないのです。”つもり”という言葉を”積もり”と漢字で表現されていましたが、このごろ”見積もり”意外にあま使われません。”考える”ということが、その程度になってしまったのでしょうか。

”物を考えるとは、物を掴んだら話さぬということだ。画家が、モデルを掴んだら得心の行くまで離さぬというのと同じことだ。”
私の周りにはひとつの露頭をみて何時間も議論を戦わせる人がいます。私だって空中写真をみてその議論に参加することがあります。そのときは、その場所の地形・地質の成り立ちについて、場合によっては何億年分のモデルと対峙しているわけです。もちろん得心の行くまでです。実際これほどたのしいことはないのですが、最近ではこのような行動は”オタク”と評されることが多いように思います。生産とは”即物的”なことだけではなく、その裏の知的生産を”見える化”しなければ、アピールできない時代でもあるでしょう。


楽しむ防災

2009年09月22日 | 防災・環境のコンセプト
矢守克也先生の『防災人間科学』は、心理学の精通していないとちょっと敷居が高い書籍です。災害の記憶の風化過程の定量的な解析など、興味深い研究も多いので、秋の夜長にしっかりと読み込んでおこうと思います。

また、矢守先生の研究の目玉ひとつに『防災クロスロード』があります。基本的にはYew Noで”成解””最適解”を導いていくゲームです。内閣府のページにも紹介されていました。

災害被害を軽減する国民運動のページ
http://www.bousai.go.jp/km/gst/kth19005.html

炭素税 - 主体なき税金 -

2009年09月21日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題

神奈川県ではCO2削減のための対策として、全国初の「炭素税」の導入を検討しているんだそうです。この不景気に新税もなにもあったもんじゃないだろうと思ったら、県民の半数しか反対していないのだとか。

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http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909557/
二酸化炭素(CO2)排出量を削減させる地球温暖化対策として、県が全国初の導入を検討する「炭素税」について、県民の5割弱、県内の各種産業団体の6割弱が反対していることが、今夏実施した県のアンケートで分かった。全国一律で導入しなければCO2の削減効果が期待できないとの指摘に加え、景気回復が進まない中での家計の負担増を懸念する声も根強い。県は、民主党政権で国の温暖化対策がどう変わるかを注視しながら、慎重に検討を進めるという。

 県地方税制等研究会が3月、化石燃料の使用量抑制や、環境に配慮した事業に充てる財源として、県独自で炭素税を導入するよう答申。石油などで製造されるガソリンや電気・ガス料金に、新税を上乗せするほか、重油などを使う工場や大規模ビルなどの事業者には申告納付を義務づけることを提案した。1世帯当たり年1000~2200円の負担で、年160億~340億円の税収増をもたらすとされる。
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あえて何ももうしますまい。上の画像をみてみんなで考えましょう。

図3は、ドームふじ氷床コアから得た過去34万年にわたる気温と大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の変動,海底コア研究から知られている過去の海水面の変動とを比較したものです。なお海水面は大陸上にある氷の量で決まり,最も海面が下がった時期には,南極氷床2個分に匹敵する膨大な量の氷が,アメリカ大陸やヨーロッパを中心とした陸地を覆っていた計算になります。気温と海水面変動とが調和的に変動していることから,南極内陸の気候がグローバルな気候と調和的に変動していたことが分かります。
このグラフから,過去34万年の間には,温暖かつ海水面が現在と同じくらいの「間氷期」が現在を含めて4回あり(黄色で塗られた部分),それ以外の時期の大部分は寒冷な「氷期」だったことが分かります。CO2濃度は南極の気温と密接に関係していて,間氷期に高く氷期に低いことから,気候変動によって温室効果気体の循環が大きく変化していたことが分かります。さらに,氷期から間氷期に向かって気温が急上昇するとき,CO2濃度も同期して上昇しています。これは,氷期-間氷期の移行初期の温暖化がCO2濃度を上昇させ,その温室効果によってさらに温暖化が進み,それがCO2濃度をさらに上昇させるといった,気候とCO2の間の正のフィードバック,あるいはCO2による気候変動の増幅作用が,過去に働いていたことを示唆しています。


出典 東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター」のホームページ


矢守克也先生の著作 - 文系の防災学 -

2009年09月20日 | 技術動向
矢守克也先生が新しい著作を出版されたようです。明日にでも買いにいこうと思います。秋の夜長にいい読書ができそうです。

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防災人間科学(東京大学出版会)
http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-011126-3.html

被災者の心のケア,破壊されたコミュニティの再建,ボランティアの活躍など,自然巨大災害の「すぐれて人間的な面」を浮き彫りにしたのが,阪神・淡路大震災でした.建物の免震化や効果的な予知,治水などにも匹敵する“文系の防災学”がありうるとしたら,それは何をすることなのか,著者の真摯な探求と実践は,いつしか人の輪をつくり,あるうねりを作ってゆきます
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ここで”文系の防災学”という言葉が印象に残りました。防災の主語は・目的語は、もともと地域社会や人、命・財産といった”人文系”であり、最近話題になっている”ムダのない”という言葉は「費用対効果」という”経済系”であったからです。安定計算や不安定土砂量などは本来力学的解析なのですが、目指す数値はいろんあ”都合”で動きます。むしろ、自然を正直に解析した結果を素直に防災に生かした事例はすくないといえるでしょう。そのためには、真に理系の防災学を確立する必要もあるでしょう。そのあたりは、本をしっかり読んで考えてみたいとおもいます。

国の出先機関”原則”廃止

2009年09月19日 | 各地でのTOPICS
原口総務大臣は「国の出先機関の原則廃止」を打ち出しました。私は砂防を中心として、”国の出先機関”からの仕事を多数関わってきましたので、複雑な想いがあります。

さて、この場合、”防災の必要性”と”現場に近い”という2つで抵抗があることは、容易に想像がつきます。しかし、砂防に限って言えば、国の潤沢な予算を使わなければできないかというと、そうでもないなあという現場もよく見てきました。

しかし、地方公共団体に技術系職員がいないことがよくあります。土石流の調査などやっていると”うちの防災をやってくれと役場に言ったのだが、いっこうにやってくれん”という言葉を本当によくききます。地域住民は、県よりも市町村といった”基礎自治体”に対する帰属意識が強いのです。地域主権というならば、市町村に”考える技術者”が必要です。それなりの予算も与えられるべきです。

思考の整理学を読んでみた (2)

2009年09月18日 | 資格に関すること
『思考の整理学』によると、朝飯前が血液の循環もよく勉強に向いているのだそうです。この朝飯前という言葉ですが、いわゆる午前中という時間帯ではなくて、いかに効果的に休息をとって、かつ食事前の状態を作るかがポイントのようです。食事の後は、血液が消化のために労力を使うので、頭が本調子でないとのこと。

なるほど、資格の勉強も朝がよいわけですね。宅建まであと一ヶ月。

6,000円で家族を守るきっかけがわかることはお得ですよ

2009年09月17日 | 防災・環境のコンセプト
来る10月8日に、次の講習会があります。

火山工学・斜面工学講習会 案内
http://www.jsce.or.jp/journal/kaikoku/m200909/08.shtml

会員の方の申し込み
http://www.jsce.or.jp/event/active/beforeform.asp

非会員の方の申し込み
http://www.jsce.or.jp/event/active/form.pdf

・主 催 土木学会 地盤工学委員会 火山工学研究小委員会、同斜面工学研究小委員会
・共 催 長崎大学安全工学教育センター
・後 援 砂防学会、地盤工学会、日本応用地質学会、日本火山学会、日本災害情報学会、日本災害復興学会、日本自然災害学会、日本地すべり学会、日本地質学会関東支部、砂防・地すべり技術センター、全国治水砂防協会、新・住宅ジャーナル出版事業部等

 このうち、私は、地盤工学会、日本応用地質学会、日本地すべり学会に入っており、新・住宅ジャーナル出版事業部では、宅地トラブル解決虎の巻を連載しています。

 このところの国民的関心事といえば、”景気災害対策”です。この夏の選挙で議論されたのは、景気の防災対策ばかりで、『防災の日』の9月1日には殆ど話題にあがりませんでした。民主党は公共事業削減、地域分権を強力に推し進めようとしています。まあ、自民党でもこのあたりの大勢は変わらなかったでしょう。
 防災に関わる知識、防災のプロの存在を知る、そして、自らも考えるヒントをつかむ。そのためのわかりやすいテキストが手に入る。それを含めて6,000円です。やすいじゃないですか。

依りかからず考えるヒント

2009年09月16日 | 雑感

民主党政権がついに指導しました。この情勢を受け、私たちの業界も公共事業はどうなるのかといった話題を中心に、戦々恐々とした話題が続いています。やれ、CO2の25%削減は無理があるだ、ダムや道路の凍結で地方が疲弊するだ、民主党じゃあ不安だ、いや自民でもいかがなものか、様々mな声が聞こえてきます。

私たち防災に関わる分野では、主に国土交通省と農水省起源の公共事業を主体に行ってきました。地域住民の生命や財産を守るための(砂防や道路防災点検)公共事業は必要で、ムダではないというコンセンサスがあるから大丈夫だろうというのが楽観論、いやいや一律に減らされるだろうし、地域分権が進めば県外の業者はまず新規参入できないし予算もパイも少なかろうというのが悲観論でしょうか。

私たち建設コンサルタントの最大の弱点は、自力でマーケットを創出してこなかったことです。”建設”コンサルタントという言葉jはあっても、”防災”や”環境保全”コンサルタントは存在しない。自民党であろうと民主党であろうと、政治家に必要とされる産業ではなくて、地域住民に必要とされる産業でありたい。

公共事業であれば1物件あたり、1000万円単位の受注額ですが、個人の依頼だと最大20万円、いまのところ年に数件ですからひとりの年収を確保するには全然至っていません。民主党は、かなり極論的な公約を掲げていますが、その現実性をどうこういうより、いままでの考え方を変えろというメッセージと捉えるのがよいかと思います。

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私の好きな詩人(なくなりましが)茨木のり子さんがいます。以下の2編の詩の内容、みんなで感じ取る時代が来たのではないでしょうか。

 倚りかからず    茨木のり子
     もはや
     できあいの思想には倚りかかりたくない
     もはや
     できあいの宗教には倚りかかりたくない
     もはや
     できあいの学問には倚りかかりたくない
     もはや
     いかなる権威にも倚りかかりたくない
     ながく生きて
     心底学んだのはそれぐらい
     じぶんの耳目
     じぶんの二本足のみで立っていて
     なに不都合のことやある
     倚りかかるとすれば
     それは
     椅子の背もたれだけ

 自分の感受性くらい  茨木のり子
    ぱさぱさに乾いてゆく心を
     ひとのせいにはするな
     みずから水やりを怠っておいて
     
     気難しくなってきたのを
     友人のせいにはするな
     しなやかさを失ったのはどちらなのか
     
     苛立つのを
     近親のせいにはするな
     なにもかも下手だったのはわたくし
     
     初心消えかかるのを
     暮らしのせいにはするな
     そもそもが ひよわな志にすぎなかった
     
     駄目なことの一切を
     時代のせいにはするな
     わずかに光る尊厳の放棄

     自分の感受性くらい
     自分で守れ
     ばかものよ