防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

竹内先生のホームページ

2008年05月31日 | 技術動向

○竹内の自然地下水研究所 http://homepage1.nifty.com/takeu-a/index.htm

今日、京都大学防災研究所の竹内篤雄先生の貴重なお話を伺うことができました。竹内先生は、地下水の通り道(水ミチと表現されています)を長年研究されてこられました。

地下水といえば、地理の時間に帯水層や被圧地下水といったように、面的に分布するものだというイメージが強かったのですが、竹内先生のお話を伺って、地下水には通りやすいミチがあることがわかりました。

例えば、地すべりの対策工としての集水井に設置した排水パイプには、地下水がとうとうと流れ出ているパイプとまったくでていないパイプがあることからも、水のとおりやすいミチが確実に存在するという話でした。

ホームページの言葉を引用すると、地すべり・山崩れなどの山地地盤災害あるいは近年大きな社会問題となっている地下水汚染など、地下水が大きく関与している現象を正しく解明するためには、地下水のあるがままの姿を明らかにし、それが各種災害とどのように関係しているかを解明する必要があります。ここに「自然地下水調査法」の必要性があると考えます。とのこと。

あらゆる地盤災害に水は関与します。常に現場の経験の積み重ねあるのみですが、ブログをよんで9万キロ走破としってびっくり。

頭が下がります。


朝まで生テレビ

2008年05月30日 | 雑感
今日は月末の金曜日です。テレ朝名物番組「朝まで生テレビ」をやっています。パネリストの顔ぶれと公務員制度改革というタイトルをみて、おそらく不毛という言葉を地で行くような内容になろうかという感じです。

縦割りという言葉もよく使われますが、防災省ってできないんでしょうか。社会的弱部がどこにでてくるかを分析すれば、実は地域の実態がよくわかり、縦割り亀裂の注入剤として結構いいのですが。

それより、やっぱり環境良心

Design with Nature です
http://blog.goo.ne.jp/geo1024/e/e18ade04a2d3de86ce2ac12698b231c9
http://blog.goo.ne.jp/geo1024/e/24447a4aaf88b8d899279cc925d7f8d0

またまた神奈川新聞川崎の話

2008年05月29日 | 各地でのTOPICS
○9割以上が震度6で「倒壊の危険性」/川崎市市営住宅の耐震診断
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiimay0805601/

市は06年1月に施行された耐震改修促進法に基づき国が示した目標に合わせ促進計画をつくって診断を進めている。計画は旧耐震設計基準だった1981年5月以前に着工した301棟のうち、建て替えや廃止を予定しているものを除く201棟が対象。07年度は最も平均的なタイプの1970年前後に建てられた62棟を診断した。

 いずれも震度5強程度の中規模地震では倒壊や崩壊の危険はないが、6以上で「倒壊または崩壊する危険が高い」(Aランク)が13棟(1809世帯)、「危険性がある」(Bランク)が47棟(1572世帯)、「危険性が低い」(Cランク)が2棟(112世帯)となった。

川崎市は谷埋め盛土の耐震化事業を全国に先駆けて推進していますが、建物の耐震化ももちろん進めてもらいたいものです。

川崎市 昼間人口密度で国内3位

2008年05月28日 | 各地でのTOPICS
私は神奈川新聞をとっていますが、今日の新聞にこんな記事がありました。

川崎市の人口過密化が顕著に/東京都区部、大阪市に次ぎ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiimay0805572/

いやあ。。びっくりしました。人口自体は日本で10位なのですが(約130万人)、全国的な広域中核都市である名古屋市や福岡市、札幌市を抜いているとは、、

さらにいえば、区別の接近度のトップは中原区と幸区で九・五メートル。今回初めてまとめた町丁別の接近度ランキングでは、わずか五百平方メートルの区域に昼間人口五千七百四十六人が集まる砂子一丁目が一位で接近度は三・三メートル。以下、【2】駅前本町三・六メートル【3】砂子二丁目三・八メートル【4】東田町四・〇メートルと、いずれも川崎駅周辺が上位を占めた。

のだ、そうで、具体的に3.3mといわれると熱気むんむんですねえ。

それはそれで、災害ポテンシャルも高まるわけで。。。

プロは圧倒してナンボ

2008年05月27日 | 技術動向
確か今年の正月番組だったと思いますが、シアトルマリナーズのイチロー選手のインタビューで印象に残ったことがあります。

打つのは当たり前。プロならお客さんを満足させるのは当たり前、技術でお客さんを圧倒できるがどうかそれができてナンボだと思う。

。。。圧倒されたのは自分でした。

地質や防災に関わる技術者の中にも、そのような方々はおられます。個人的にすごい思うのは、ロッククライミング調査のきぃすとんという会社です。特にすごいのは、

ひと目でぱぁっとわかる成果図面
http://www.rope-access.co.jp/j-seika.html

なみの業者は、いわゆる『ポンチ絵』から脱却することはできません。それどころか、ポンチ絵を短い時間で大量生産できることを売りにしている会社も多いのです。

しかし、エンドユーザーたる住民、また、本当に真剣な発注者は量より質にこだわります。○場○兆は”使い回し”が発覚して廃業に追い込まれましたが、実はこの業界、前例と基準書の使い回し(まあ、コピペってやつです)がとても多い。

しかし、真の防災・環境保全は、徹底した現場の描写からすべてが始まります。このブログのタイトルの『Design with Nature』です。

ハードな現場をソフトタッチに描く。私の求めるところでもあります。

※それにしてもすごい描写だなあ。イラストレータなんでしょうか。手書きのド迫力も感じてしまいます。

東急東横線日吉駅の発展のために

2008年05月26日 | 盛土が安定すれば安心
○東急電鉄東横線・日吉駅 今一番勢いのある学園駅
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080524/trd0805240908004-n1.htm

東京と神奈川を結ぶ新設鉄道“東横線”のほぼ中間地点に大正15年に誕生。まちづくりの一環として誘致を働きかけた慶応大学が昭和9年に日吉キャンパスを開校し、以来、学園を核に宅地化が一挙に進んだ。

日吉駅を中心に同心円状の整然とした街路が美しいこの町は、実はこのブログで何度も紹介した「谷埋め盛土」なのです。そしてもうひとつ気になるのは”宅地化が一挙に進んだ”点です。大学があるため、街行く人は若く活気にあふれ、かつ流行の発信地となるでしょう。

しかし、谷埋め盛土の材料は劣化(老化ともいうべきか?)するのです。地震時に被害を受けやすい地盤でもあります。

そのことを真摯に受け止め、安全という価値を加えるというポジティブな考え方で防災対策を行うことで、本当の『陸の王者』になれるとおもうのですが、、どうでしょう。

カテゴリーとして独立させました

2008年05月25日 | Design with Nature
Design with Nature

この本思いっ切って買いました。帯のフレーズがいい。

人は自然との関係を思い、考え、行動するとき、ある意図を持つ。この意図をデザインという。意図は結果を生み、複雑な因果関係を演出する。人はデザインの大切さを知る

いろんな”ダム”-天然ダムという言い方は失礼なのか?-

2008年05月23日 | 防災・環境のコンセプト

中国四川省の地震で川が塞き止められてできた湖について、震災ダム、土砂崩れダム、地滑りダム、実にさまざまな言い方で報道されています。

なんでも、新潟県中越地震
で発生した現象として、この表現が「美しい印象を与えてしまう恐れがあり、被災者の心情にそぐわないとして、国土交通省はこの現象の表記を河道閉塞(かどうへいそく)に改めることにした。

のだそうで。インターネット上の記事でも、

「天然」というのは、「自然にできた」つまり「震災や台風や火山の噴火によってできた」と言う意味だと思いますが、「ダム」というのはあくまで人工的なもので、自由に放水ができて、貯水量を調整できるような機能を持たせた、鉄筋コンクリート製の「せき」を表しています。この言葉をくっつけるのは、どうしても無理があるように思います。
 もし「ダム」であるならば、水位の調節が簡単に出来るはずですよね。水を出すのに、あんなに苦労してるのに「ダム」なんですかね。

なんて意見も。

いままで「天然ダム」という言葉を使っていた研究者は、「人工」の対義語として「天然」があったためそう言っていただけです。実にシンプルな理由でしかないのです。

しかし、2004年以前に「天然ダム」による災害が、日本では久しく認知されてきませんでした。実際には日本海側の地域で雪が解ける時期を中心に地すべりが発生し、川や渓流が塞き止められた事例は多数あるのです。そして、災害伝承として伝える努力もなされてきました。

消防丁:災害伝承情報データベース :沢の水が止まるとそれは上流に天然ダムが
http://www.saigaidensho.soumu.go.jp/saigai/import.2007-03-13.185833-2/
天然ダムと災害 http://www.kokon.co.jp/h5065.htm

実際に被災された方の声として、天然ダムという言葉に不快感を覚えるとか、そのような意見があったのでしょうか。

ではなくて、マスコミ報道の単なる自主規制だったら、自然科学・災害科学に対して、もっと学んでから、理にかなった議論があるべきでしょう。


大学院生の就職支援サービス

2008年05月22日 | 雑感

○こんな団体があることがわかりました。

http://www.d-f-s.biz/
DFSは、大学院生採用市場のスペシャリストとして、明快な「人材理念・企業理念」を持った理念企業と、優秀な大学院生・MBA人材・第三新卒の橋渡しを行い、社会に新しい価値を生み出すことを使命としています。

このような団体が存在しているということは「高学歴ワーキングプア」http://japan.cnet.com/blog/cafe_noir/2007/11/08/entry_25001319/
という本ではないですが、博士号はなぜ企業に歓迎されないのでしょうか。

知的生産のプロフェッショナルでるはずの博士号に難色を示すということは、「無形の力」を評価できない、度量の狭さを感じざるを得ないのですが。

防災に関しても、大学という時間無制限の知的生産の場にいるわけですから、研究対象フィールドの数千万年前の環境からおいしい飲み屋さんまで熟知しているわけですから、いざというときにはリーダーになってくれると思うのですが。


ミランコビッチ・サイクル

2008年05月21日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題
氷河性海面変動完結編ってなわけではありませんが。。。。

http://blog.goo.ne.jp/liberty7jp/e/e11238cce9ca49adfe3e46dfaa3d3317

氷河期が周期的に起こっていることを提唱したのは、セルビアの地球物理学者 M. ミランコビッチ(Milutin Milanković)です。説を発表した1920年代ごろは、過去の地球の気候変動のデータが得られなかったので、つい最近まで忘れられていました。

しかし、南極の氷床コアなどの分析から、地球の過去の気象データがわかりはじめるとミランコビッチ説とよく一致。その優れた計算式が一躍注目を浴び、世界に認められることになりました。

ミランコビッチによると、氷河期の周期は、おもに地球の自転軸に「歳差運動」や「微妙な振動」があること、地球の「公転軌道が楕円」になることの3つの要素によって決まるということです。


氷河性海面変動のこと

2008年05月20日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題

昨日のブログで、「氷河性海面変動」という言葉を使ってしまいました。洞爺湖サミットも近づき、「地球温暖化」の議論がつきないなかですので、この言葉は一見意外な感じがしますね。

恐竜の絶滅の起こった寒冷期の襲来は有名ですね。地球史上最大にして最強の陸上動物が忽然と姿を消したのですから、インパクトも強烈なものがあります。

しかし、私たちの生活にもっとも大きな影響を与えた氷河期は、実は2万年ほど前のことなのです。以下、ウィキペディアを引用します。

最終氷期の最盛期には、数十万立方kmといわれる大量の氷がヨーロッパや北米に氷河・氷床として積み重なった。海水を構成していた水分が蒸発して降雪し陸上の氷となったため、地球上の海水量が減少、世界中で海面が約120mも低下した。その影響で海岸線は現在よりも沖に移動していた。

10世紀初頭には現在の海水面まで上昇した。11世紀前半には現在の海水面より約50センチメートル低くなった。12世紀初頭に現在の海水面より約50センチメートル高くなった。『
更級日記』で真野の長者の家(現千葉県市川市)が水没した原因はこの海進であるとされる。またこの頃、ヨーロッパ中世の温暖期であった。


情報洪水のコントロール

2008年05月19日 | 災害の記憶と想像力

高床式の住宅促進を提案 温暖化で降雨量1.5倍も
http://www.usfl.com/Daily/News/08/05/0516_023.asp?id=60751
土交通省の社会資本整備審議会治水対策検討小委員会は16日、地球温暖化に伴って水害や土砂崩れ、渇水の危険が高まるとして、災害に強い地域づくりや1階部分を駐車場とした高床式の住宅の促進など、国の対策強化を求める最終報告をまとめた。

 報告書は、今後100年で国内各地の豪雨日が増え、年間で最も降雨量が多い日で平均1.1~1.3倍程度、最大1.5倍になると予想。既存のダムや防波堤などの治水設備では住民の安全を確実に保てないと指摘した。

このニュース、もうすこし気をつけて読む必要があります。
根拠となっている観測値は、おそらくアメダスと国交省のデータと思いますが、アメダスは今から30年前に整備されたばかりで、観測網が今の密度になったのは、もっと歴史が浅いのです。

今年は、昭和13年阪神大水害から70年、昭和28年西日本大水害から55年、局地的には現在以上の豪雨が発生している可能性は十分にあり、ただ単に"観測されなかっただけ”の可能性が高いからです。

地球温暖化によって発生しやすいのは、玉石混交の情報洪水です。氷河性海面変動など、地学的背景を十分に学んでおく必要があります。


楽観的ハザードマップ

2008年05月18日 | 技術動向

今日は、阪神・淡路断震災で、大きく被災した住宅地の巡検でした。関西の地質コンサルタントの方や、釜井先生(京大防災研究所)に詳しいご案内をして頂いて、大変勉強になりました。

さて、阪神・淡路大震災から13年が経過し、世代がひとまわり以上もしてしまうと、今はだいぶ復旧が進み(いや、化粧と言うべきか)、言われなければ何事もなかったかのようです。

でも、よくよく見れば、傾いた電柱、ずれた道路、ひび割れたままのコンクリート壁、爪あとは深く残っています。

ひるがえって、いや(この現場を見てしまったあとというべきか)川崎や横浜の街並みを思い出してみると、来るべき地震災害に対する安全性はどうか、、、ちょっと悲観的な気分になりました。

でも、悲観ばかりでは精神的にも産業的にもマイナスです。”こうすればプラス”ですという方向でないと、フィギュアスケートじゃありませんがテクニカルコンポーネントとプレゼンテーションのあわせ技で高得点は取れませんから。


日本にも天然ダム決壊の歴史がある

2008年05月17日 | 災害の記憶と想像力
中国で地すべりによって河川が塞き止められ、天然ダムが決壊しそうになっています。これは日本でも歴史時代何度もあったことですが、いまひとつ認知されていません。戦後そのような大土石流災害が起こっていないことも一因でしょう。

横浜市在住の技術市、蒲田さんという方が、見事な解説、イメージのしやすい描写をされています。私もこんなサイトを作ってみたい。すばらしい、お手本を見つけました。

http://www5d.biglobe.ne.jp/~kabataf/

1889年(明治22年)の4月に地方行政組織の再編成があり、十津川郷の55村が合併して6か村(北十津川村・十津川花園村・中十津川村・西十津川村・南十津川村・東十津川村)となり、十津川郷6か村と呼ばれた。この年に発生した災害および北海道移住が契機となって翌年の明治23年には十津川郷6か村が合併して十津川村となった。