防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

七面山登山 - 日蓮宗と岩盤クリープのシンボル -

2010年05月01日 | 各地でのTOPICS

GWは天気にめぐまれ、以前から予定していた七面山登山をしてきました。1989mですから結構な山ですが、登山道は良く整備されていて山頂まで3時間半くらいで上ることができました。

七面山といえば、一般的には日蓮宗の寺院があり信仰の山として有名でしょう。一方で、山地の防災や地形・地質に関わる技術者にとっては、岩盤クリープに伴う大規模崩壊の山として有名でもあります。千木良先生の著書『風化と崩壊』http://www.d1.dion.ne.jp/~kinmirai/05-Fuuka-to-houkai.htmlに詳しく書いてあります。

写真は標高1500mを超える場所にある寺院の池です。岩盤クリープ領域で地層が東方に倒れかかり、V字型の断層ができて、船の底のような凹地が形成されたと考えられています。


私としてはどうしても空中写真が見たかったので買ってみましたが、これぞ2重山稜といった感じ、また日本を代表する地質構造線が走る地域で、地形変化が活発、まさに動くこと山の如しです。敬慎院の鐘の音にも諸行無常を感じました。


地質調査会社のオリンピック選手

2010年02月15日 | 各地でのTOPICS
世の中ですごくはやっている言葉があると、それに「地質」というキーワードを加えてGoogle検索をかけてみることがあります。今回は、"バンクーバー”と”地質”というキーワードで検索してみました。そしたらなんと、富山県にある地質調査・設計会社の方が2名、オリンピックに出場されていることを知りました。

ダイチ株式会社 http://www.daichikk.co.jp/index.html
スポーツ振興活動 http://www.daichikk.co.jp/sports_promotion/index.html

地質調査、地表・地質踏査は、道なき道をあるき未知の世界を頭の中でイメージする、体力・知力をフル稼動させる仕事ですので、スポーツにつながる部分も多いと思います。私はというと、モーグルのコブのような腹をみて(いや、、そこまでではありませんが、、、いや、、、うーん)ため息をつくばかりですが、、、、

近所でもやってます

2010年02月11日 | 各地でのTOPICS
私の家の近くに県立川崎図書館があるのですが、ジオパークに関連した講習会などをやるようです。

サイエンスカフェ 
http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/kawasaki/information/science_cafe020.htm
「ジオパーク」という言葉をご存知ですか?地球の長い歴史の中で形作られた、特徴のある大地を、そこで行われている人の生活や活動も勘案して指定し、保全だけでなく、地域の持続的な発展に役立てることを目的とした自然公園のことです。日本でも最近、世界ジオパークとして3地域が認定され、国内版のジオパークも各地で活動を開始しています。

各地でこのような催しは、やっているのかも知れませんが、単なる景勝地の紹介に地質的解説を付け加えるだけではなくて、先日紹介した第四紀の新定義に関わるような地球のダイナミクスや、私たちの生活環境との関連など、知ってよかった、そして知的好奇心を向上させるようなイベントであってほしいと思います。

箱根駅伝

2010年01月02日 | 各地でのTOPICS

正月恒例の箱根駅伝を見ています。1区および10区に私の会社が入っているマンションがあります。
名物は箱根の山登り・下りですが、あんな急な道をよくマラソンでいけるものだと思います。本当に選手の力に感服します。さて、実は箱根駅伝のコースの道路防災点検をしたことがあります

箱根と丹沢山系は、関東大震災で山腹崩壊が多数発生しました。その後豪雨もありました。大地震後に豪雨発生という最悪に近い(この順序が逆だったら最悪です。2004年中越地震がそれに近い)災害で、一連の災害での崩壊面積率はこのときが最高といわれています

選手がすばらしい走りができるように、かつイカツイ景観にもならないように対策をしなければならない、、、選手たちの力走をみてそんなことを感じました。


マヨン火山の活動が活発化

2009年12月17日 | 各地でのTOPICS
フィリピンのマヨン火山の活動が活発化しているそうです。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091217-00000005-cnn-int
(CNN) 火山活動が活発化し、噴火が予想されているフィリピン・ルソン島南部アルバイ州のマヨン山(標高2464メートル)について、赤十字は16日、これまでに周辺住民3万人以上が避難したと語った。

フィリピン当局は15日、住民5万人に避難を指示した。赤十字関係者によると、16日には火山性地震が数回感知され、これまでに3万751人が避難し、収容センター21カ所が設立された。同山の斜面を流れる溶岩や火山灰を見ようと、同州の市街地中心部には人々が集まっている。

フィリピンの火山・地震当局は14日夜、マヨン山の警戒レベルを最高(本格的噴火が数日─数週間内に予想される)に引き上げた。同山の噴火回数は、1616年以来49回にのぼっている。
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そういえば2000年6月に社員研修旅行で、河床堆積物の変遷過程を観察したことがあります。そういえば、そろそろパスポート更新しないと、、、、

寺院の防災

2009年12月16日 | 各地でのTOPICS

先日神奈川県内の寺院から斜面点検の依頼があり、地表・地質踏査を行ってきました。結果として大きな土砂災害の危険性は低いと判断されたのですが、普段薮として見過ごしているような斜面にも崩壊履歴があることや、寺院の両脇の斜面がそれぞれ受け盤、流れ盤の構造であり、安定性に違いがあることなどを説明したら、とても喜んでいただけました。

寺院の防災対策は、周囲の景観を損ねないように配慮しなければなりません。また、地域防災計画で指定避難所として利用される場合もあるので、避難路の安全など広範囲の調査をする必要があるのかもしれません。


市町村合併の功罪

2009年11月18日 | 各地でのTOPICS
いまは出張で栃木県日光市(旧栗山村)にいます。災害情報データベースによると、栃木県において「栗」という言葉は崩壊・侵食ということを意味するんだそうです。

http://www.saigaidensho.soumu.go.jp/saigai/import.2007-03-13.185708/?searchterm=None

【内容】地名「栗」は崩壊・浸食地形を意味する地名である。
【ポイント】地名につく「栗」は動詞クルの連用形の名詞化で、抉る、転がるの意であり、主として山間地の「栗」のつく地名は崩壊地形の名称であると考えられる。

語り継がれるべき地名が、どんどん減っています。

雨は夜更け過ぎに、、、

2009年11月16日 | 各地でのTOPICS

平家伝説の残る山里で、ささやかなささやかなクリスマスツリーを見かけました。ポツンといかにもさびしげです。クリスマスといえば、高校時代をバブル絶頂期にすごした私は、山下達郎の名曲『クリスマスイブ』を思い出すわけです。特に出だしの

雨は夜更けすぎに雪へと変わるだろう

この自然の繊細さ、微妙さを過不足なく、そして詩には必要な軽さも備えていて、、
最近は”ゲリラ豪雨”などどいった、味も素っ気も科学的根拠もな言葉が跋扈していますが、このころのロマンから20年になります。


平家の里

2009年11月15日 | 各地でのTOPICS

実名顔出し毎日のモットーがブログなので、後日談を続けます。
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今回の現場は平家の里という温泉街の近くです。これまで四国や南九州など、平家の伝説の残る土地には何箇所か訪れたことがありますが、今回は北関東です。

今でも4WD車でないとつらい山道に断崖絶壁、一体どうやって安住の地にたどり着いたのか。にごりのない清らかな水、、、やはり日本は森と岩清水の国だと再認識させられます。


予防している人はいます

2009年10月24日 | 各地でのTOPICS
太田ジオリサーチの太田さんのブログはよく読みますが、久しぶりにHPをみたところ、『家族を守る斜面の知識~あなたの家は大丈夫?』http://www.jsce.or.jp/publication/detail/detail2386.htmの元となったPPTファイルがUPされていました。確かに重いですが、、

http://www.ohta-geo.co.jp/reports/others/3syou.mht!file5491.files/frame.htm

私が興味を持ったのが25ページ。2007年新潟県中越沖地震で被害を受けなかった家。杭と排水対策の組み合わせです。もっと報道してほしいものです。

中越地震から5年

2009年10月23日 | 各地でのTOPICS

今日10月23日は、2004年新潟県中越地震から5年目の節目に当たります。当時私は、埼玉県川越市にある会社に勤めており、土曜日ながら仕事をしておりました。1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)も経験している私ですが、それ以来の激しい揺れ、しかもその後数回の激しい余震にも肝を冷やしたものでした。

それ以上に驚いたのは、旧山古志村の地すべり地形の大規模さ、数の多さといった、地形変化の激しさでした。新潟県中越地域から東北地方日本海側においては、ほとんど全ての山の斜面が地すべりといってもいいくらい、地すべり地形が密集しています。

これらの地すべりは、後期更新世の気候変動・海水準変動に伴い主に2回の多発期があるといわれてきました。

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地すべり学入門 第5章
http://www.sci.kagoshima-u.ac.jp/~oyo/landslide/l005.html
  第三紀層地すべりなどと表現されると、地すべりは非常に古い地質時代に発生したかのごとく誤解される恐れがあるが、実際に活動したのは第四紀のものがほとんどである。現在見られる地形は、第四紀以降の隆起浸食の過程で形成されたものであり、地すべりはもっとも大規模な浸食現象の一つである。 
  最初に地すべり多発時代を提唱したのは津田(1970)であった。津田は新潟県芋川地すべりにおいて腐植土混じり地すべり粘土の花粉分析を行い、当時の気候は現在より平均気温にして3~4℃低いとした。明らかに2回の多発期が認められる。まず更新世初期、山地丘陵の形成(魚沼変動)に伴う初生崩壊・地すべりがあった(後述)。次いで、更新世中~末期の氷河性海面低下による二次・三次移動が多発した時期があり、最後に完新世初期の日本海温暖化に伴う融雪地すべりの発生が顕著に見られた。現在新潟県の地すべりの約8割は崩積土の再活動であるという(青木,1976)。
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たしかに気候変動に伴って温暖化すると、地下水、降水、融水が増え、地すべりが発生しやすくなるでしょう。しかし、私が疑問に思っていたのは、kmオーダーに及ぶ規模、数十~百数十mに及ぶ鋭利な滑落崖は、果たして降水や融雪水による間隙水圧上昇だけでできるんだろうか、と思っていました。

地形学・地質学の技術者・研究者は”みてきたようなウソをつき、、、”ということをよく言われます。大半の現象が、映像の残らない時代に発生したものであるからです。

しかし、2004年新潟県中越地震は、映像が活用できる時代に発生した地すべり”地帯”でした。以前の研究の蓄積も踏まえ、日本の里山のでき方を見つめなおす意味でも衝撃的でした。

活断層の活動履歴を地すべり堆積物から逆算する。そういう議論がなされるきっかけとなりました。


蛇紋岩とさかなのうろこ

2009年10月12日 | 各地でのTOPICS
生々しいタイトルですが、最近千葉と三浦半島の地すべり地形の調査をする機会があり、両方とも蛇紋岩の露頭を見たわけです。読んで字のごとくというか、まさしく岩の表面は蛇の紋様です。

さて、このような地すべり地にも、おしゃれな宅地を時々見かけます。蛇紋岩地すべりは細かく細かく分かれていきますので、宅地としては基本的に向きません(宅建にもこのような問題は出ますね)。

蛇紋岩地すべりの分布を地形図に表現しようとすると、さかなのうろこのような模様になります。しかも、危険度判定に関して、これと言って色分けする決め手もないので厄介です。地形学の大家、中央大学の鈴木隆介先生も、論文の中で小規模な蛇紋岩地すべり地の地形分類法の考案が望まれる、とされています。根気よく記載していくしかないでしょうね。

Y150さびしく閉幕

2009年09月27日 | 各地でのTOPICS
今日横浜開港150周年の記念イベントが終了しました。かなり不人気だったようで、ハコモノ時代の終焉ともささやかれています。横浜という観光スポットの常設地ともう言うべき場所に、あたらめて博覧会もないだろうということです。

例えば、ある一定の期間中に結婚式を挙げると、どんなに豪華でも150万円、おいしい料理が150円にするだとか、質的な新しさを追求した方が一般市民の反応はよかったのではないでしょうか。

防災の分野は、いまだハコモノ的構造物に代表される昭和的価値観が跋扈する世界です。そして、防災は命を守るのだから、国は守ってくれるしそういう国民的コンセンサスもあるだろうという、おそらくは幻想があります。

投資規模に応じた防災効果を”みえる化”し、市民社会にどんどんアピールせねばならないということです。

国の出先機関”原則”廃止

2009年09月19日 | 各地でのTOPICS
原口総務大臣は「国の出先機関の原則廃止」を打ち出しました。私は砂防を中心として、”国の出先機関”からの仕事を多数関わってきましたので、複雑な想いがあります。

さて、この場合、”防災の必要性”と”現場に近い”という2つで抵抗があることは、容易に想像がつきます。しかし、砂防に限って言えば、国の潤沢な予算を使わなければできないかというと、そうでもないなあという現場もよく見てきました。

しかし、地方公共団体に技術系職員がいないことがよくあります。土石流の調査などやっていると”うちの防災をやってくれと役場に言ったのだが、いっこうにやってくれん”という言葉を本当によくききます。地域住民は、県よりも市町村といった”基礎自治体”に対する帰属意識が強いのです。地域主権というならば、市町村に”考える技術者”が必要です。それなりの予算も与えられるべきです。

国府津-松田断層の評価

2009年08月02日 | 各地でのTOPICS
最悪なら1万4600人死亡、県が地震被害想定を改訂/神奈川
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjul0907595/

県は「想定地震で切迫していないのは、100年以上先に起きるとみられる関東地震だけ。それ以外はいつ起きても不思議ではない」と説明。想定を基に、減災方策を盛り込んだ地震防災戦略を09年度中に策定する方針で、市町村にも防災計画の見直しなどに生かすよう呼び掛けている。

防災産業の育成までは、まだ距離があるなあ。