防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

デジタルブック第四紀地質学

2010年05月24日 | Design with Nature
産業総合研究所のタイトルのようなサイトがあるのを知りました。地質で”業務”になる部分は、第四紀(特に後半の方は)扱われず「地盤工学」になりがちですが、現在私たちの暮らしの土台を作っているのは、土石流や洪水、地すべり、活断層など第四紀後半になって活発に変化した地形です>

デジタルブック第四紀地質学
http://staff.aist.go.jp/t-azuma/50QRCD/index.html

第四紀研究の最新の学術論文をもとにサイトが構築されているので、とても文章が長いのですが内容は高度です。

私の目にとまったのは、以下のサイトにある「沙流川の斜面模式図」です
http://staff.aist.go.jp/t-azuma/50QRCD/108060.html

間氷期・氷期・後氷期の河床変化モデル(貝塚,1983)の方は、地形・地質学の分野ではとても有名な図ですが、斜面模式図はそれほど有名ではありません。「沙流川の斜面模式図」は、学会発表されたものではなく、筑波地形学談話会(だったっけ?.)の会誌に掲載されているのみですから”知る人”も知らなくなってきています。でも、斜面地形の発達史をとても理解しやすく、私としては貝塚(1983)の山地地形版としての価値があると思っているので、この記事に画像としてUPしておきます。

Field Geology Illustrated

2010年05月16日 | Design with Nature
『建築家なしの建築 - 系図なしの建築についての小さな手引書』を読んでいたら、なにか以前にたような雰囲気の本をかったっけなあ、、というおぼろげな記憶がよみがえりました。それは『Field Geology Iiiustrated』という地質の教科書でした。

http://www.amazon.co.jp/Field-Geology-Illustrated-Terry-Maley/dp/0940949059/ref=sr_1_48?ie=UTF8&s=english-books&qid=1274019829&sr=8-48

こういった写真やわかりやすい(イメージを共有しやすい)挿絵を多く使った教科書は、日本には少ないような気がします。

農芸 - 建築家なしの建築より -

2010年05月15日 | Design with Nature
昨日かってきた『建築家なしの建築 - 系図なしの建築についての小さな手引書』(これよくみたらページ数が書いてありません。だから目次ではなく、INDEX MAPなのです)の№28に、地すべり地形の模式図かと思うような写真が掲載されていました。日本では棚田、里山の原風景として親しまれています。

本文(訳文)は次のように記述されていました。
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セミラミスの吊り庭から現代のダムの建設計画にいたるまで、農芸は建築と競い合って大地の造詣を行ってきた。人類は、おそらく水や土を塞き止めるために最初の壁を築き、そのとき初めて、人間的規模における空間を創造したのである。
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無名の工匠

2010年05月14日 | Design with Nature
早速『建築家なしの建築 - 系図なしの建築についての小さな手引書』をかってきました。世界各地の156の街や住居の成り立ちについてわかりやすく説明してあります。1984年の初版から2009年の第12刷ですから、専門書としてはかなり息の長い方ではないでしょうか。

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専門家の芸術になってしまう以前の建築からは学ぶべきことは沢山ある。無学の工匠たちは、さまざまな時代、さまざまな地方において、建物を自然の環境に適応させることに素晴らしい才能を示している。彼らは、今日の私たちのように自然を”征服”しようとするのではなく、気候の気まぐれや地形の険しさをよろこんで受け入れる。私たちは平坦で特徴のない土地を最も好み、土地の凹凸はブルドーザによって取り除いてしまうのだが、もっと洗練された人々は起伏の多い土地に魅力を見出すのだ。
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ARCHITECTURE WITHOUT ARCHITECTS - 建築家なしの建築 -

2010年05月13日 | Design with Nature
ネットの使えない山里に長くいたので、携帯でお気に入りのサイトを確認していたのですが、下山先生のサイトに”まさにARCHITECTURE WITHOUT ARCHITECTS - 建築家なしの建築 -”という文章がありました。

http://blog.goo.ne.jp/gooogami/e/a37c66384f5b275de18a1ec89f881ebd
“ALTE BAUERNHAUSER IN DEN DOLOMITEN”から、イタリア・ドロミテ地域の建物を観てきました。いずれも、「それぞれの場所で暮す必然が生みだした(と考えられる)いわば建物づくりの原点」そのもののつくりかたで、まさに ARCHITECTURE WITHOUT ARCHITECTS 。それゆえ衒いがありません。

そして、この「ARCHITECTURE WITHOUT ARCHITECTS」の訳書が鹿島出版会から出ており、詳しい解説が掲載されていました。

http://www.kajima-publishing.co.jp/theme/syohyou/20010608-3.html

50年代後半から60年代以降にかけてのテクノロジーの高度化=技術革新によって、巨大な建設需要とそれに見合う巨大な生産組織と技術が生み出される。そしてテクノクラートの主導の下、新しい建築機能や都市機能を実現する大規模で複合的な建築計画が押し進められることになる。一方、テクノクラートに与することを拒否する建築家=デザイナーたちは<テクノロジーを主題とする近代建築の解体>の担い手として登場する。だがこの両者に共通するのは、意識的であれ無意識的であれ<神に代わるデザイナー>としての存在である。<計画者>の意識である。この点にこそ、決して風化することのない『建築家なしの建築』の今日的意味がある。

「正統的建築史の中では、建築家個人の仕事に重点が置かれているが、ここでは共同体による事業が強調される」のであり、しかも「ここから得られるべき智は単に経済的あるいは美学的な思索の範囲にとどまるものではない」のである。すなわち本書に取り上げられた個々の建築の豊かな造形性に感動するばかりでなく、それが「伝統を共有し、経験の共同性に基づいて働く、全住民の自発的継続的な作業によって生み出された共同作品」であるという事実、そして「なかでも特にわたしたちの感動を呼び起こしているのはこの種の建築のもっている人間性に違いない」というルドフスキーの指摘にこそ注目しなければならないのだ。

私は建築物の個々を詳細に観察することは少なく、地すべりや火山岩類の貫入などの地質学的背景やそれに基づく生態系の発達などから、いかにして現在の風景が出来たかを考えることが多いわけで、それゆえブログのタイトルにDesign with Natureなどとつけているわけです。

参考 http://www.xeriscape-jp.org/ecology/070409_3.html

土木の世界では、砂防堰堤などを作るときに”現地発生材をコンクリートに混合しているから経済的でエコだ”という論調がありますが、なんというかスケールの小ささを感じてしまいます。

アマゾンのサイトで「建築家なしの建築」を調べてみたら、専門書には珍しくカスタマーズレビューが3件入っていたので良書なんだろうと思います。興味を持ちました。
http://www.amazon.co.jp/product-reviews/4306051846/ref=dp_top_cm_cr_acr_txt?ie=UTF8&showViewpoints=1

ダムと地質

2010年05月11日 | Design with Nature
10日ぶりに都会に降りてきました。

最近はダム造成事業もすくなくなり、経済的視点一辺倒のような感じでダムの是非が語られていますが、地質や斜面変動の知恵はダムによって貯められたといってもよいかと思います。今回の調査でも40°近い急斜面を比高300~400mとのぼり続け、薮を掻き分け露頭を探す、寒冷な気候が岩を緩ませるし、ホルンフェルス化した岩石、時には”舐めて”鉱物(好物?いやいや)地球の成り立ちを考える、、某総理の”学べは学ぶほど”ではありませんが、自然を現場で理解することの重要性を感じます。

もちろん現場を歩いているだけではわかりにくい広域の地質構造を知るために空中写真判読や地形図を入念に眺めたりします。そんなときは、あそこで羽ばたいている鳶になれたらなあ、と思ったりまします。ボーリングコアも見たりします。

共通するのは、その基本にあるのは「観察」であり、語弊があるかもしれませんがローテクであり、文字通りの地道な作業なのです。

三渓園の建築と風景

2010年05月03日 | Design with Nature
休みを利用して、横浜の本牧にある三渓園に行ってきました。都心からややはずれた海の近くにあるのですが、広大な敷地の起伏を生かし、庭園との調和を考慮した配置になっていて、美しいところです。このうち聴秋閣という建物が大正11年に移築されたという解説版をみました。すぐに気になったのは、その翌年に関東大震災があったということですが、倒壊しなかったのでしょうか。良く見たら床下に庭石が基礎としておいてあったので、まあ大丈夫だったのだろうと思ったのでした。

ドロマイト・プラスター

2010年04月20日 | Design with Nature
下山先生とのやりとりで、ドロマイト・ラプスターの話が出てきました。
私もあまり詳しくないのですが、地質的な解説としては、
http://www15.plala.or.jp/gemuseum/gemus-dlm.htm に述べてあるように、

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ドロマイトの名前はフランス・アルプス、ドーフィーネ地方のドロミュー生まれの地質・鉱物学者、ドロミュー(Dolomieu:1750-1801)の名に因みます。巷の資料ではドロミューはイタリア北東部のドロミテ(イタリア語では複数なので Dolomitiですが、ずばり苦灰岩を意味する)山塊を調査して、炭酸マグネシウム・カルシウムから成る岩石が彼の名に因んで名づけられたとあります。彼の名と地名とは偶然の一致なのか? 日本名の苦灰石は主成分であるマグネシウム(苦土)とカルシウム(灰)との炭酸塩に因みます。美しい外観から白雲石と、典雅な別名で呼ばれることがあります。
 ドロマイトは主に海底に堆積した石灰岩がマグネシウムに富む熱水の貫入による交代作用を受けて生成した岩石です。その後大陸移動などの地殻変動により例えばドロミテ山塊のような巨大な山脈を形成します。
 したがって苦灰岩は成分の似た菱苦土岩や石灰岩と共に世界中の至るところで発見されるごくありふれた鉱物で、セメント材、マグネシウム資源用,または製鉄用耐火材等として採掘されます。また石油や天然ガス等も地下の苦灰岩や石灰岩の層の空間に堆積されたものです
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というふうになるのですが、建築材としてドロマイトの用途を紹介しているサイトとして
http://www1.ocn.ne.jp/~lime2000/plaster.html がありました。建築素材と地質の接点はあるはずですが、あまり語られていないような気がします

国土交通省の「コスト縮減の知恵」というWEBページ

2010年04月15日 | Design with Nature

いさぼうネットから、上記のwebサイトがあるとの知らせがありました。

国土交通省 コスト縮減の知恵袋
http://www.mlit.go.jp/tec/chiebukuro/index.html

なかなか楽しいサイトです。私がよくかかわっていた砂防を検索してみても、

総合的な土砂管理のため、土砂の流れを妨げない砂防えん堤の設置
環境と調和した砂防施設

など、興味深い記事が並んでいました。
でも、総合的な土砂管理、環境と調和した、、云々は、本来の土砂の動きの身になって考えてみたら、より本質に近づいただけなんですけどね

本当のコスト縮減は、、、言わないことにしましょう。


大規模水害対策に関する専門調査会報告 首都圏水没 -土地の歴史はどこへ行った?

2010年04月10日 | Design with Nature
内閣府のサイトに大規模水害対策にの関する専門調査会の資料が公表されておりました。

大規模水害に関する専門調査会 首都圏水没
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/suigai/100402/100402_shiryo_1.pdf

まず、温暖化による海面上昇60cmが”検討の背景”としてあげられていますが、正直???だし、報告書のなかにもあまりでてきません。地球は温暖化しているんだぞというムードをあおる、あまり根拠がない感じがします。賛否両論あるでしょうけど、、、

私が最も気になったのは、「利根川・荒川の類型区分図」です。
いうまでもなく、平野は洪水の繰り返しによってできた地形です。そして、洪水は堤防が切れる「外水」、河川に排水されずに街中に水がたまる「内水」とがあります。江戸時代以前は、関東地方の主要な河川は、東京湾をめがけて流れていて、埼玉県の中川流域の低湿地帯を形成しました。、、が、、この図には入っていません。”堤防が必要ですよ”ということをアピールしたいためでしょうか

私は、このあたりの低地を空中写真判読してことがあるので、堤防が決壊してできた”押堀(おっぽり”という地形があったり、自然堤防、旧河道など、地形量の数値だけはわからない、”質的な側面””土地の歴史の痕跡”から、洪水の受けやすい土地を推定するという研究をてつだったことがあります。防災を語るには地質学だけではなく、歴史資料を猟補することも大事で、学際的な見方が必要になります。

この報告は、どうも手段が目的化しているような印象がいなめません。

ホームページ更新

2010年04月01日 | Design with Nature
季節も新しくなったところで、自社のホームページを更新しました。ホームページビルダーを使っているにしては情報が多すぎるのか、ちょこまかとした”あら”は目立ちますが、あとで修正するとしてまあよしとしましょう。情報の受けてが心地よく、ビジネスとして広がっていけばよいと思っています。

そして社内でも、いつでもHot infomationを更新できるように、知的生産ができるようにしていこうとはなしあいました。例えば、避難所となっている公園が実は斜面崩壊と隣り合わせだったり、岩盤クリープの発達史であったり、都市災害の変遷史であったり、地下水汚染の問題であったり、会社の名前負けしないよう二ということです。

いよいよサンマツ

2010年03月31日 | Design with Nature
やっと”人間らしい”生活に戻りつつあります。防災なんだか事業なんだか、とりあえずたっぷり付いた予算を使い切ろうという、”昭和的価値観”に満ち満ちた季節も終わります。もうすぐこのブログも2年ですが、大忙殺徹夜つづきもあけ、そろそろ毎日書き綴りたいと思います。なんとか、かまけて穴の開いた日の記事も埋めなければ、、、、大汗

あたたかくなってきました

2010年03月13日 | Design with Nature
だんだん春めいてきました。陽射しもやわらかく、卒業シーズンにいわゆる”桜ソング”もよく耳にするようになりました。個人的には、ひととようさんの”ハナミズキ”がヒットしてから、ずいぶん春の花の好みがかわりましたが。

http://www.youtube.com/watch?v=FgfRO4lCJR4&feature=related

土木・防災の世界では"水と緑の、、”という事業はありましたが、「花水木」のうち、花があまり語られなかったような気がします。