先日同業者ないの勉強会があり、その懇親会の席で、工学屋・土質屋さんは時間的背景を気にしない、発達史的背景を考えずいまこそこにあるままに解析してしまうから、数値だけがひとりあるきしやすいといったことを話しました。別にこのような話は、今回初めてきいたわけではなく、お酒が入ると必ずと言っていいほど出てくる地質技術者の定番のグチのひとつです。
そんななか、以前読んだ『環境・資源・エネルギー問題解決のための独創エネルギー工学』西澤潤一編著、を読み返してみました。http://www.kspub.co.jp/book/detail/1552265.html
そのなかには、「発展途上国にとっては、二酸化炭素の排出そのものにまだ罪悪感がなく、、、」といった言葉、また、「水力発電の復活と実用化」の項では、「いよいよ、水力発電を全世界的に体系的に実用化しなければならなくなったと考えられる。東南アジアからヒマラヤのガンジス・インダス河上流の包蔵水力は甚だ大きく、このような真の水力を活用することによって、現在利用されず捨てられているエネルギーを利用することが出来る。(略)なんとか早く水力発電を全世界に建設し、長期直流高圧送電によって世界の危機を回避しなければならない。
私なんかはこんな文章をよむと、地震は、地すべりは、活断層は、、、と条件反射的に考えてしまいます。
この本は2008年1月に出版されたものです。最近ではビジネス誌でも、海底から採取したコアから過去の海表面気温を推定した最近の研究で、技術の進化でかなり正確な推定が可能となったことが紹介され、中世の温暖期や縄文海進、江戸時代の小氷期などを冷静に紹介されています(地質学を学んだ者には当然なんですが)。だから、もう温暖化やCO2論議は”古い”と片付けられる可能性も出てきました。
『環境・資源・エネルギー問題解決のための独創エネルギー工学』の編著者である、西澤潤一先生は、以前このブログでも紹介した、ノーベル賞候補の偉大な科学者です。
http://blog.goo.ne.jp/geo1024/e/3cb0499f4771f16b5a7e6d30c438f843
先日もふれたように、アイスランドの今回の噴火は、江戸の小氷期を想起させる規模になるかも知れません。このような背景をうけ、いま、西澤先生がどのようなお考えをお持ちか、聞いてみたい気がします。
※この本での西澤先生の肩書きは、エコシステム研究会代表でしたが、HPが更新されていませんでした。http://economy-eco.net/
この噴火は、この噴火はスカフタ川の炎と呼ばれ、約15 km³の玄武岩溶岩と0.91km3火山灰を発生し、溶岩噴泉は高さ800-1400mに達したと推定されています(ウイキペデイアより)。
また、噴煙は噴火対流によって高度15kmにまで達した。この粒子の影響で、北半球全体の気温が下がり、凶作になりフランス革命の遠因となったといわれています。
火山の大噴火(火山噴火指数6以上)は世界的な気候寒冷化をもたらしますので、歴史の節目に多いのも事実です。今回の噴火はもしかするとその規模になるかもしれません。CO2狂騒曲が収まる程度だといいのですが、、、
今日、地盤工学会誌の最新号が届いておりました。そのなかに、緊急提言として
提言1 科学的根拠と合意形成に基づいた社会基盤整備の推進
提言2 地球温暖化対策への建設分野からの具体的取り組み
という記事がありました。
まず、ひとつめは「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズの真意の是非を問うものでした。記事によると人間重視の社会基盤整備、国民目線の社会基盤整備と理解しているとのこと、もうひとつでは、建設分野のCO2排出量は日本の総CO2排出量の20%を占めているため、なんとかしようとのこと、、、
地質科学的な根拠はどれだけ検討されているのか、、、、、
今日届いた地盤工学会に、第4紀の定義が変わることについて述べられた論文がありました。第4紀学会のホームページによると、次のように記されています。
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IUGS(国際地質科学連合) 執行委員会は地質区分として不確定だった第四紀を正式な紀/系として認め, 第四紀の新しい定義を正式に批准しました(2009年6月30日).これにより, 第四紀の始まりは従来の181万年前から258万年前に変更されました. 新たに第四紀の始まりとされた時期には地球全体で気候の寒冷化がおこり, 南北両半球に大規模な氷床が形成されるようになりました. そして,この時期から氷床の拡大・縮小が繰り返され, 氷期・間氷期の交代で特徴づけられる第四紀の気候変動・環境変動が始まりました. 人類は,これらの気候と環境の変動に対応して進化と拡散の歴史を重ねてきました. 今回の改定では,地質区分境界を決めるのにあたり,この気候変動の開始時期が重要な着眼点となりました. 第四紀における気候変動・環境変動に関する知見は, 現在私たちが抱えている温暖化問題などの地球環境の将来を考えるうえで重要な情報となっています
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実際に地質踏査のベテランの方にきくと、この新定義の方が土木地質的にも感覚にあうということをおっしゃってました。実際パナマ地峡が形成されるなど、ドラスティックな変化が起こっています。
例えば、淡路島の大阪層群の最下部にあって、北陸、関東、新潟など広域に認められるテフラ層などが第4紀の境界として重要な意味を持つとも述べられています。
また、地盤工学会の会員にとっては、という前置きがありましたが、日本列島には第四紀の始まり前後の地層群が丘陵地を構成し、台地や平野の地下に軟岩として広く分布しており、鮮新/更新統として扱われることが多い、とされています。周りの人に聞いたら、このへんは新定義の方がしっくりくる、体で覚えている感覚と近いからね、、ということでした。地形の成り立ちや景色を考える上でも、重要な定義と言えそうです。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100202-OYT1T00735.htm
縄文時代に栄えた「三内丸山遺跡」(青森市)の集落が約4200年前に滅んだのは、2度の気温低下が原因だった可能性が高いことが、川幡穂高・東京大学教授(古気候学)らによる調査でわかった。
それまで豊富だった食料用の木の実などが、この寒冷化で激減したらしい。
川幡教授らは、この遺跡から約20キロ・メートル離れた陸奥湾で、水深61メートルの海底から堆積物を採取。プランクトンがどのような物質をつくっていたかを手がかりに、当時の海面水温を推定した。
その結果、海面水温は5900年前から約1700年かけて、約22度から約24度まで徐々に上昇したが、4200年前ごろ、約22度まで急激に低下した。気温の低下も、おなじ約2度とみられる。
堆積物中の花粉などを調べたところ、温暖期には陸上では食用に適したクリなどが多く育ち、海中には魚が多く生息できたが、寒冷化して、その環境が失われたことがわかった。
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やはり歴史が証明しているように、温暖な方が過ごしやすいのです。
http://books-review.buzz-pr.com/archives/51239539.html
女性が動くとマーケットが動きます。注目したいです。
次の15年は、大本命である東海・東南海地震など海溝型の巨大地震がきそうな気がします。
また、大不況の15年でもありました。会社が社員採用を手控えたため、協力会社の人と現場にいったりすると、私が最年少ということがよくありました。
次の15年で、私は53歳になりますので、人になにかを伝えとかねばなりません。
そして、多分寒くなります。えらいことです。
いさぼう技術ニュースより
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土木でのCO2削減に対する評価
次に土木の世界でCO2削減をうたった場合の評価はどうなっているのだろうかという問題もあります。建築の場合その発注者は民間が多く、イメージなどを大切にする思想から、CO2削減をうたった場合の受注効果が出やすいといえます。
これに対して、土木は殆どが公共事業であるため、発注者である国や地方自治体側で、その評価方法を確立させることが普及の第一歩となります。
現在最も直接的な評価は、総合評価落札方式の入札であるといえます。
CO2削減の取り組みを加点対象にするケースは徐々に増えてきたのです。
例えば、国土交通省近畿地方整備局が2007年度に加点対象にした入札は62件。評価点に占める重みはまだ大きくありませんが、ほかの発注者にも導入が広がる可能性はあります。事例では894点の加算点のうち最大で15点をCO2削減の技術提案に与えるという案件も出てきています。
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CO2が出てたって寒いときは寒いです。NASAのデータを分析した太田さんのブログによると「21世紀に入ってからの上昇傾向は認められない」「その間に限っては大気中のCO2濃度との相関は認められない(気温が下がっていてもCO2濃度は上昇し続けている)」
http://livedoor.2.blogimg.jp/ohta_geo/imgs/8/b/8b1c9f73.png
とあります。観測記録の"史上”も地球の気候変動を語るには歴史が浅いですしね。”実感”して考えるのが技術の原点であると思うのですが、、、
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/sports/host_city_bids/?1254483470
なんだかスポーツとどんどんかけ離れていっているような気がしませんか。確かに緑のコリドー(回廊)の中をランナーが走るは気持ちがいいでしょうが、ちょっと地球規模の議論は論理が飛躍しすぎています。それよりも、候補4都市のうち東京だけが湿潤変動帯にあります。地震、秋雨前線など快適さを奪う要因はいくらでもあります。
神奈川県ではCO2削減のための対策として、全国初の「炭素税」の導入を検討しているんだそうです。この不景気に新税もなにもあったもんじゃないだろうと思ったら、県民の半数しか反対していないのだとか。
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http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivsep0909557/
二酸化炭素(CO2)排出量を削減させる地球温暖化対策として、県が全国初の導入を検討する「炭素税」について、県民の5割弱、県内の各種産業団体の6割弱が反対していることが、今夏実施した県のアンケートで分かった。全国一律で導入しなければCO2の削減効果が期待できないとの指摘に加え、景気回復が進まない中での家計の負担増を懸念する声も根強い。県は、民主党政権で国の温暖化対策がどう変わるかを注視しながら、慎重に検討を進めるという。
県地方税制等研究会が3月、化石燃料の使用量抑制や、環境に配慮した事業に充てる財源として、県独自で炭素税を導入するよう答申。石油などで製造されるガソリンや電気・ガス料金に、新税を上乗せするほか、重油などを使う工場や大規模ビルなどの事業者には申告納付を義務づけることを提案した。1世帯当たり年1000~2200円の負担で、年160億~340億円の税収増をもたらすとされる。
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あえて何ももうしますまい。上の画像をみてみんなで考えましょう。
図3は、ドームふじ氷床コアから得た過去34万年にわたる気温と大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の変動,海底コア研究から知られている過去の海水面の変動とを比較したものです。なお海水面は大陸上にある氷の量で決まり,最も海面が下がった時期には,南極氷床2個分に匹敵する膨大な量の氷が,アメリカ大陸やヨーロッパを中心とした陸地を覆っていた計算になります。気温と海水面変動とが調和的に変動していることから,南極内陸の気候がグローバルな気候と調和的に変動していたことが分かります。
このグラフから,過去34万年の間には,温暖かつ海水面が現在と同じくらいの「間氷期」が現在を含めて4回あり(黄色で塗られた部分),それ以外の時期の大部分は寒冷な「氷期」だったことが分かります。CO2濃度は南極の気温と密接に関係していて,間氷期に高く氷期に低いことから,気候変動によって温室効果気体の循環が大きく変化していたことが分かります。さらに,氷期から間氷期に向かって気温が急上昇するとき,CO2濃度も同期して上昇しています。これは,氷期-間氷期の移行初期の温暖化がCO2濃度を上昇させ,その温室効果によってさらに温暖化が進み,それがCO2濃度をさらに上昇させるといった,気候とCO2の間の正のフィードバック,あるいはCO2による気候変動の増幅作用が,過去に働いていたことを示唆しています。
出典 東北大学大学院理学研究科大気海洋変動観測研究センター」のホームページ
今月は現場に出ずっぱりですが、いつもに比べて汗をかきません。冷夏です。曇りばっかり。
冷夏といえば1993年、鹿島を中心とした西日本の豪雨や奥尻島の地震があった年です。
まあ、16年ぶりってことなんですが、自然のサイクルにしてみればマスコミが騒ぐほどのことでハアないようです。そのまえの1980年の冷夏(セントへレンズ火山が噴火)の方が寒かったような気がします。
現場のカーラジオで、温暖化して亜熱帯的になったから豪雨が増えたんだというヒョーロンカがおりましたが、地球規模の気候変動サイクルなど少し勉強して頂いたほうがよいでしょう。
「未来を救った世代になろう」
地球温暖化は深刻な問題となっています。異常気象や大洪水を起こしかねない地球温暖化を防止することは、今を生きる私たち世代の責任です。
将来の子供が歴史を振り返ったとき、「あの時代の努力で地球は守られた」と言われるように、一致協力して「未来を救った世代」になりましょう
ちょっと内容が軽いと思います。例えば大洪水は、戦後すぐにカスリン台風や枕崎台風、昭和28年西日本豪雨に伊勢湾台風と、1,000人以上の犠牲者を出す大洪水が相次ぎました。その後土木工事、緑化などの効果で、少なからず私たちは、「時代の努力で救われている」世代なのです。
また、環境と経済の両立も歌われていますが、日本は公害病など苦い経験を経て、省エネや環境技術によって世界に冠たる技術を持っていると思います。
この広報の内容に関するお問い合わせは、首相官邸+低炭素社会づくり で検索 ってそんなめんどくさいキーワード検索もないもんだと思います。