防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

200年住宅と言わないで-具体的な表現は困る-

2009年02月27日 | 災害の記憶と想像力
ケンプラッツの記事に次のようなものがありました。

--------------------------------------------------------------------------------
200年住宅と言わないで
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/knp/column/20090224/530658/

国はいま、「200年住宅」というキーワードの“回収”に頭を悩ませている。福田康夫前首相が総裁選挙の演説で触れたことなどで脚光を浴び、その後、キーワードとしてのわかりやすさも手伝って世間に浸透していったが、国土交通省などでは既に“禁句”にしているという。理由は一言で言えば、「あまりに具体的過ぎるから」。裏返して言えば、「法律の文言として盛り込めない」からだ。もっと“具体的”にいえば、消費者に「200年の寿命があると思っていた」と突っ込まれたときに説明できないことが理由だ。

しかし、メディアは、われわれを含めて今でも「200年住宅」というキーワードを使って記事を書いている。そう書いた方が読者にとってわかりやすいと考えるからだ。例えば、――200年住宅の普及促進の基本法となる「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」――といった具合だ。書籍などでも「200年住宅」をタイトルに入れたものは数多く出版されている。ちなみに検索サイトのYAHOO!JAPANで「200年住宅」は5990万件がヒット。「長期優良住宅」は277万件で20倍以上の開きがある。「長期優良住宅」はあまりに“普通”過ぎてキーワードになりにくい訴求力のない言葉なのである。 

「具体的過ぎて困る」という、いかにも官僚的な発想で世間に浸透しているキーワードを“もみ消そう”とする動きには反対だ。「家を大切に使っていきましょう」という意識を国民に浸透させるためのキーワードとしては優れている。“目標”として存続させてもよいのではないか。
 

-------------------------------------------------------------------------------
これも”知窮慣例化”のひとつでしょうね。200年という時間は化石燃料など使わなくても”普通に”気候の変動サイクルの範疇にあるし、200年あったら地震か集中豪雨かわからんが、とにかく防災対策をしておくべきだろうというモチベーションにもつながりますしね。

日本の最深積雪記録

2009年02月26日 | 災害の記憶と想像力
最近寒いなあと思っていたら、今日は日本の最深積雪記録日(昭和20年富山県)だそうです。なんと750cm。富山県は北アルプスや立山連峰などから黒部川や常願寺川など、日本を代表する”土砂運搬河川”があります。そして一気に1000m近くまで深くなる富山湾など変化に富んでいます。雪は広範囲に面的に積もりますので、融ける時には大量の地下水が地すべりを起こします。雪の災害といえば雪崩ばかりがイメージされますが、これから4月にかけては、北陸を中心に地すべりの災害記録が多数記録されています。

温暖化では手ぬるいから「高温化」-ハァ?-

2009年02月25日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題
「地球温暖化」では甘い!「高温化と呼ぼう」…埼玉・川口
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090224-00000813-yom-soci

埼玉県川口市は24日、「地球温暖化」という表現が環境問題の深刻な現状にそぐわないとして、4月から独自に「地球高温化」と言い換えることを決めた。
 岡村幸四郎市長は「温暖という言葉では、過ごしやすいという印象があり、危機感が伝わらない。市民の意識も啓発したい」とするが、環境省は「(自治体独自の言い換えは)聞いたことがない」としている。
 市は4月の組織改正で、環境総務課に地球高温化対策係を設け、環境イベントや学習会などの事業でも使用していく。

-------------------------------------------------------------------------------
ふところが寒い、就職氷河期、、恵まれないことを寒いことに置き換えた言葉はいくらでもあるのに。

IPCCが言うから、、みんなが行っているからその気になって、、、

「知窮慣例化」ここにきわまれり。。。。。。。

「つみきのいえ」と地球温暖化

2009年02月24日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題
今日はどの新聞・テレビを見てもオスカーの話題一色です。「おくりびと」と「つみきのいえ」が快挙を達成したという話題です。

とても気になることがあります。「つみきのいえ」のストーリーです。

「つみきのいえ」は、地球温暖化に伴う海面上昇により、住まいをどんどん失われていく様子を老人の思い出とともに描く作品なのだそうです。作画法はとても牧歌的で、そこだけみれば子供にも親しみやすいものになっています。

おそらく受賞に関しては、誰の他意もないものと思います。

しかし、急激な海面上昇を”当然”のように扱っていることに、やはり違和感を覚えざるを得ません。すでに、人工衛星
観測による1990年以降の海面水位の変化率は、10年あたり2.5cmの変化率であることがあきらかにされており、仮に過去10年と同じ変化率で海面が上昇し続けたとしても100年後の海面水位は25cmしか上昇しません。

また、地質学的な見地からは、歴史時代にも第四紀を通じても小氷期と温暖期の繰り返しであることは常識となっています。このあたりをどうにか”子供向け”に伝えないと自然を誤解したまま大人になりそうです。まあ、寒冷化すれば本能的に”違う”と気がつくかもしれませんが、あやふやな自然環境に対する認識のままでいると、それに対する技術やその土台も「つみき」のようになってしまうかもしれません。

コンクリートと年金の共通点

2009年02月23日 | 維持管理の時代
ニュースを見ていたら、年金は100年安心とかなんとやら、いまから半世紀後も現役世代の半分の収入を年金として確保するという見通しが甘いという声、まあ最初からわかっていたようなことですが、昨日買った「コンクリートの文明誌」を読んでいると、コンクリートは半永久的という見通しが甘い。御用学者と御用技術者がご都合主義に固まると、背筋が凍ります。

コンクリートの文明誌

2009年02月22日 | 維持管理の時代

太田ジオリサーチの太田さんのブログで、小林一輔氏の「コンクリートの文明誌」という本が紹介されていて、重厚そうですが読み応えがあるのではないかと思って早速買ってみました。

冒頭からセメントとモルタルとコンクリートの違いの解説であるとか、コールドジョイントのできやすい、できにくい工法のイラスト解説など、わかりやすい表現方法がちりばめられています。そのような親しみやすい工夫が見られる一方で、文章はなるほど、強烈な表現も多いようです。

まだ斜め読みの段階ですが、いくつか印象にのこった箇所を引用します。

-------------------------------------------------------------------------------
万代橋
  1964年の新潟地震では、戦後にかけられた同じコンクリート橋である昭和大橋は12径間のうち中央流深心部の5径間が無残にも落下してしまった。ところが、目と鼻の先にあった万代橋は補強する程度でたすかった。(略)実地経験の浅い新技術というものは、予期しない事態に遭遇した場合には直ちに欠陥があらわれるという教訓でsる。238頁

正しい秩序
 正しい秩序からしか美は生み出せない。橋にとっての正しい秩序とは構造系がなす基本的な秩序である。一つの橋に異なる系を混合せず明確に統合する。正しい秩序は構造系のエッジが表す。線の方向や正しい秩序は一定の間隔を目指せば得られる。
 経済性、完全な技術が自ずと美を生み出すとは限らない。完璧な技術は必要だが、それ以上に美をつくる意識と熱意が必要であるとも説く。芸術性が浮かびあがるのは建築物ばかりではない。242頁。

-------------------------------------------------------------------------------

 このような文章を読んで思ったのは、構造物を造るために必要な力学・化学より「美学」が大事だということです。美学は数値化はもとより文章にもその定義が表現しづらいものですが、忘れさられようとしている日本語のひとつであるようにも感じます。
 いま、専門分野のアウトリーチ、わかりやすい表現などがもてはやされていますが、ただ単に鮮やかであることだけなく、一見無骨、コワモテであっても論理構造美から滲みでてくるようなプレゼンテーションを行っていかなければならないと感じます。

 それと、最後の文章に

-------------------------------------------------------------------------------
 ともすると「技術史」に傾倒しがちな私に対して「文明誌」の軌道に引き戻す
-------------------------------------------------------------------------------

とありますが、市町村「シ」は「史」が多数派、「誌」は少数派のように思います。また、どちらにしても、縄文時代から現代までを時系列的に並べるだけで、退屈なものが多いのが現実です(実は、自然環境編に地形学・地質学の専門家が携わった場合は、後者が多いような気がします)。

それぞれの故郷にその土地の自然と共存し、誇りをもって生きてきた人たちの刻印があるのだから「誌」の方が正解だろうと思います(やや話がそれましたが)。


勉強優先「エコやめた」

2009年02月20日 | 地球温暖化・寒冷化?人類の課題
最近地方から国への発言が多くなっていますが、これはいいことだと思います

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090220-00000089-yom-soci
京都府八幡市は19日、市立男山第二中で進めていた二酸化炭素(CO2)削減に向けた環境省の「学校エコ改修事業」を中止すると発表した。

 市は新年度から生徒の学力向上を目的に同中などにエアコンを設置することにしたといい、「エアコンはCO2を排出するため、事業の目的に合わない」として国の補助金約2100万円を返還することにした。明田功市長は「温暖化防止から逃げたと言われてもいい。生徒には涼しい教室で、一生懸命勉強させたい」と話している。

 同中は2007年度、事業のモデル校に指定され、市は校舎2棟で、断熱や通風に配慮した改修を計画。総事業費6億円のうち4250万円で実施設計を策定した。

 しかし、07年の全国学力テストで市内の中学3年生は国語、数学とも全国平均を下回ったことから、市は、生徒が授業に集中できるようにと、09年度から全市立中4校でエアコンを設置し、同中の改修は取りやめることにした。同省によると、事業の採択を受けた全国18小中高で中止は初めて。

エンジニアの結婚-仕事に理解があるが9割-

2009年02月19日 | 雑感

エンジニアの結婚相手、「仕事に理解がある」が9割
http://tombraider.excite.co.jp/News/it/20080619/Markezine_4160.html

 「リクナビNEXT Tech総研」が行った調査によると、結婚によって早く帰宅するなどの生活に変化が見られるエンジニアがいる一方で、遅く帰っても理解を示してくれる結婚相手が多いことがわかった。

「リクナビNEXT Tech総研」では、25~39歳までの既婚エンジニア600人に、「結婚後の仕事や生活への影響」「結婚相手の仕事に対する理解度」「結婚してよかった点&後悔している点」についてアンケート調査を行った。

 「結婚後の仕事や生活への影響」について、「影響があった」と回答した人は約4割で、およそ7~8割が「早く帰るようになった」と回答している。また、「結婚相手の仕事に対する理解度」では、9割近くが「理解がある」と回答しており、その理由として、「仕事が忙しかったり、帰りが遅くなっても理解してくれる」「仕事の愚痴話に付き合ってくれる」などと答えている。

 結婚してよかった点」では、「家族がいることの安心感」という回答が多く、「結婚して後悔している点」については「自分が自由に使えるお金や時間が減った」という意見が多く見られたという。

 エンジニア職は、納期に追われて残業などが続く「デスマーチ」などが多い「3K」職のひとつに数えられることも多いが、結婚がきっかけでワークライフバランスが保たれるようになるというのは、ある意味理想形とも言えるのではないだろうか。しかし、結婚しても「影響があまりないい・全くない」が半数以上占めることを考えると、現実はそう甘くはないようだ。

------------------------------------------------------------------------------

青い文字で示した箇所が、著しく同感です。
かつ、妻の方は理想系に近いのですが、私のほうが。。。。

地質調査稼業は、仕事の成果が目に見えにくいだけに、理解してもらえるのはホント助かっています。

「都市州」制度を横浜市が提言

2009年02月18日 | 各地でのTOPICS
今日の神奈川新聞にも載っていた記事です。

http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009021800776
--------------------------------------------------------------------------------
横浜、大阪、名古屋の3市による「大都市制度構想研究会」は18日、政令市制度に替わる新たな大都市制度に関する提言をまとめた。道州制を導入した上で、3市などの大都市は単一の州として独立させ、「都市州」とすることを求めた。
 提言では、都市州制度と併せ、税収の多い州から少ない州への財政調整制度の構築も盛り込んだ。都市州内の行政については、区役所が地域の住民サービス機能を一元的に担うことで本庁機能を限定し、効率化を図ることが必要とした。
 都市州の創設により制度運用の効率化や迅速化が進み、企業活動などが活発化すれば、「2020年時点で日本の国内総生産(GDP)を年7.8兆円押し上げる経済効果が得られる」との試算も示した。
--------------------------------------------------------------------------------

防災に関わる基準などに、地域特性を反映させる方向に向かえばいいと思いますが。。。

はしぶくろ-右肩あがり-

2009年02月17日 | 各地でのTOPICS
武田邦彦先生のブログにとてもいい話題がありました。

二つの試み
http://takedanet.com/2009/02/post_e527.html

右肩あがりという吉野杉を使った箸が掲載されています。箸といえば、折れた木製バットを再利用した”かっとばし”というのがあるそうでしすが、世界最高品質のバットの素材は、日高山脈のアオダモであると聞いた事があります。

先日の今岡さんの論文でも、日本の自然環境の価値は等身大で繊細であることと述べられておりましたが、この記事でも日本の自然のすばらしさが述べられています。

四季があり、ゆたかなメロディーがあり、森と岩清水が絶えない国土。知人に箸袋を収集する趣味を持つ人がいますが、これはぜひ紹介してあげたいと思っています。

”景気”は定量的なのか

2009年02月16日 | 雑感
GDPが-12,7%というニュースとN川大臣の表情がリンクされるようにニュースを席巻しています。詳しいことはわかりませんが、景気の”気”は、あまり定量的な意味のない文字です。むしろ、数字なんて計算次第でどうにでもなるもので、”生気のない”方のニュースが深刻だと思います。

経済ばかりが危機といわれていますが、さらに寒冷化が追い討ちをかけています。せめて知的生産だけでも止めたくないものです。

防災カレンダー

2009年02月15日 | 災害の記憶と想像力

川崎市の防災情報のHPに、防災カレンダーというサイトがあります。

防災カレンダー
http://www.city.kawasaki.jp/53/53bosai/home/cal/2007.htm#2007_2

これによると、今日(2月15日)は、新潟県青梅町土砂災害(昭和50年)とあります。新潟県の災害といえば、2004年の水害、中越地震、や2007年の中越沖地震が有名ですが、ここまで調べてあるのはとても勉強になります。ホント、よく調べてあるサイトだと思います。


応用地質と市民生活

2009年02月14日 | 維持管理の時代

来年度の応用地質学会50巻6号は、特集号として「応用地質と市民生活」だそうです。

--------------------------------------------------------------------------------
近年、さまざまな自然災害の発生や環境問題の顕在化など、市民生活に直結する応用地質学的な課題が頻繁にマスコミに取り上げられるようになってきました。一方、応用地質学が関連する技術分野は、従来からこれらに関する課題に対してさまざまな角度から技術的な貢献を果たしてきましたが、その成果が社会的な認知を得るまでに必ずしも至っていないように思われます。このような現状を踏まえ、災害地質、環境地質あるいは建設工事にかかわる地質技術など、幅広い分野での市民生活への具体的な貢献事例や、一般市民を対象とした技術的な教育・普及に関するアウトリーチの取り組み、さらには応用地質の社会的位置付けを考えるという観点から、会員の方々にとって大変有益であり、さらに学会として目指すべき具体的な社会への貢献のあり方を展望するという観点からもその意義は大きいと考えられます。
--------------------------------------------------------------------------------

応用地質学会も50年たってやっとかいなという気もしますが...そういえば地すべり学会で似たような特集やったばかりだなあ