防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

2010年にむけて

2009年12月31日 | 雑感
今年もいろいろありました、といいたいところですが、先日も書いたとおり政権交代があった割にはあまり変わっていないなあというのが実感です。災害対策も相変わらず事後ですし。災害弱者関連施設が土石流で被災し、高速道路の谷埋め盛土が”いつもの地震”で崩れるし。

また、下山先生やbeachmolluscさんと言ったまさしくDesign with Natureを実践している方との新たな出会いもありました。また、一人親方さんのように、地質調査の現場について生きた教科書ともいえるブログも拝見できました。来年はさらに、交流、勉強を重ねたいと思っています。

2010年は、阪神・淡路大震災から15年、防災の日制定から50年。本当に”新たな年”にしたいものです。

今日も仕事

2009年12月30日 | 雑感
今年も残り2日ですが、今日も仕事です。夏に起こった豪雨災害やその後の政権交代を見越して?の発注中量が(砂防関係)半端じゃありません。でも、防災ですから事前の調査・対策で忙しくならなくてはいけないのですが、、、

江ノ島

2009年12月29日 | Design with Nature
今日は久々に休みを取り江ノ島に行ってきました。江ノ島といえばサザンオールスターズや多くの文豪が愛した景勝地です。これらに比べるとあまり知られていませんが、大正関東大震災により2m隆起し、海食台も出現しています。自然の美しさと厳しさは表裏一体であると想いを新たにしました。かつての白砂青松はマンションに変わっています。

写真は写真でしかない

2009年12月28日 | 災害の記憶と想像力
今日は土石流危険渓流の再調査です。この師走の時期にそれはないだろうと言うとこでしが、気候以上に写真に写る範囲でしか自然を想像することの出来ないで、それで”それらしく”見える写真を撮りなおすという発想で技術者と言っている”技術者”が増えている現状が寒いと思います。

自然現象には多種多様な存在理由があります。崩壊や土石流の有無、最終氷期以降の地形発達史的背景や岩盤の風化、植林の管理状況などがその渓相を醸し出しているのですが、それを一枚の様式に収まるような写真で表すというのは無理があります。だからこそ、私たちはスケッチや調査所見でそれを補うなどするわけです。

確かに写真は事実を客観的に写してはいますが、ただそれだけです。技術者の判断や(写真家であればその陰影や色彩を、自分の伝えたいことを反映させるために、様々な”技術”と情念を注ぐことと思います)ががなければ付加価値はありません。シャッターを押すだけの単純作業でしかありません。

これぞDesign with Nature

2009年12月27日 | Design with Nature
日本の建物づくり-人はどこにでも住めたか
http://blog.goo.ne.jp/gooogami/e/31a97d11acdc29d010ec4d548e7df7b5
集落の「秩序」が大きく変り始めた、と言うより、新たな「秩序」が見出せないまま集落が崩れてゆく、と言う方が当っているでしょう。

観ていると、都会のあとを追いかけているのではないか、とさえ思います。なぜなら、自然環境はまったく以前と変っていないのに、「都会の環境?」向きのつくりが多く見られるようになっているからです。
「必要条件」は所によって変ることはありませんが、「十分条件」は、地域によって当然異なります。
各地域なりの「十分条件」を考えない「都会風の貪欲化」が農村地域にも現われ始めている、そんな風に思えます。

「必要にして十分な条件」を備えて初めて建物はその地の建物になる、そう私は思います再検・日本の建物づくり-1:かつて私も会社のコラムに、日本の都市計画の無秩序さを書いた事があります。
http://www.kankyo-c.com/column/inagaki_3.htm

イアン・マクハーグが提唱した『Design with Nature』の悪い例と示された都市計画と日本の都市が酷似しているという例です。

小説と科学的描写 - スマトラ島大津波から5年

2009年12月26日 | 災害の記憶と想像力

http://www.gupi.jp/letter/letter011/letter-011.htm
「海の水がどんどん引いています」とか「大きな波が押し寄せてきます。異常気象です。」などといったナレーションもありました。 海が引くというのは津波の前兆現象です。 戦前の教育を受けた人なら誰でも知っていました。 小學國語讀本で「稲むらの火」を教わっていたからです。 稲むらの火は安政元年11 月5日、紀伊國有田郡廣村を襲った津波の話です。 庄屋の五兵衛(本名濱口儀兵衛)は地震の後「波が沖へ沖へと動いて見る見る海岸には廣い砂原や黒い岩底が現れ」たのを見て「津波がやって來るに違ひない」と気づき、とっさに稲むらを焼いて村人に危急を伝えたため、村人は助かったという実話がもとになっています。 この美談を小泉八雲が”A Living God”という小説に書き、その和訳が国語の教科書に載ったのです(昭和12~22年)。当時は国定教科書ですから国民全員がこれを学びました
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これは、NPO法人地質情報整備・活用機構の岩松先生が寄せられた文章です。この文章には、地学教育の弱体化に対する憂いがあり、知的好奇心と自然をイメージする力が防災への近道であるという主張も読み取れます。

しかし、最近出版された 広瀬弘忠『どんな災害も免れる処方箋』講談社新書
http://shop.kodansha.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2726211&x=Bによると、

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津波という災害は、決して綺麗な災害ではない。高速で陸上を流れる海水の層は、破壊された建物や船の残骸、油やゴミ、廃棄物などの人工物と、樹木、岩石、砂などの自然物のミックスであり、渦をまいて流れる水の中では窒息の危険だけではなく、切断や打撲の危険性がある。津波は土石流と同じで液体と固体のアマルガム※なのである。

※Wikipediaでアマルガムをみると、広い意味で混合物を指し、ギリシャ語で「やわらかいかたまり」を意味するとあります。土石流は”お粥状”ということができるので、それよりはゴツイでしょうか
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前者の稲むらの火は小説で国語の教科書でもあるので、後者のようなリアリティはないのですが、科学的描写もしっかりイメージすることも確かに大切です。ただ、初学者がとっつきやすくするためには多少の娯楽性も必要ですので、バランスが難しいところです。


出版不況

2009年12月25日 | 雑感
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091225-00000022-fsi-bus_all
2009年の書籍と雑誌の推定販売金額が、1989年から20年間維持してきた2兆円台を割る見通しであることが25日、出版科学研究所の調査で分かった。前年より約900億円減の1兆9300億円程度にとどまる見込み。同研究所は「デフレ深刻化や経済萎縮(いしゅく)の波が押し寄せた」としている。

 1~11月期の推定販売金額は、書籍が前年同期比4.5%減、雑誌が同4.1%減。書籍は、村上春樹さんの小説「1Q84」がミリオンセラーになり話題を呼んだが、売れ筋の本の低価格傾向が続いた。雑誌も休刊が相次ぐなどして12年連続のマイナスだった。同研究所の佐々木利春主任研究員は、電子書籍や図書館など出版物を安く利用したいという読者ニーズが増えていると分析。「来年も明るい見通しはない。映画やテレビとの連動などで需要の底上げを図っていくしかないだろう」と話している。

私は電子書籍は読みにくいと思うのですが、、、現場離れに通じるところがあるのかなあ、、、

2009年いさぼう10大ニュース

2009年12月24日 | 雑感
いさぼうネットによる今年の10大ニュースが発表されていました。

http://isabou.net/index.asp?jump=/Convenience/aviso/index.asp
2009年は、計49回の「いさぼう技術ニュース」 メールを配信しました。 今年前半は、7月の皆既日食に影響されたかのように火山の噴火や世界的な大地震の報道が目立ちました。また7月~8月では富士山の落石事故や駿河湾地震による東名高速道路の路肩崩壊が報道されました。そして9月、歴史的とも言える政権交代が起こり、ここからは新政権における公共事業のあり方などの報道一色となりました。

確かに政権交代による公共事業のあり方について、散々言葉か交わされました。しかし、それは悲鳴にも似た叫びであり、議論にはなっていなかったように思います。ネガティブそのものでした。新しいビジネススタイルを構築するには?といった議論は殆どありませんでした。そういう意味では、これといった変化はなかったのかもしれません。

ホテルのイブ神話崩壊?

2009年12月23日 | 雑感
神奈川新聞の記事です。今年はカレンダーのめぐり合わせと景気が悪いため、横浜の一流ホテルがクリスマスイブの日に空室があるということですが、これは久しぶりのことなんだそうです。私の高校時代は『金余り』などど信じられない流行語がありました。いまとなっては「事業仕分け」。変われば変わるものです。ただ、災害は残念ながら変わらず発生しています。

古い空中写真判読の効果

2009年12月22日 | 災害の記憶と想像力
最近砂防の仕事で空中写真判読をする機会が多くなりました。過去の災害による土砂移動実態を洗いざらい調べてみようということです。その際に昭和30年代、40年代の空中写真を判読することも多いのですが、この時期は植生が薄いので微地形がよく見えます。最近は、大縮尺で高解像度でありさえすればよいという傾向がありますが、地形・地質の構造はある程度広域的に把握しながらでないと、なぜのその地形がそこにあるのかを考えるきっかけがつかみにくいものです。

そういった意味では、1970年代のカラー空中写真がダウンロードできるのはありがたいと思います。

地震と耐震の法律

2009年12月21日 | 災害の記憶と想像力

下山先生のブログに「日本建築技術史年表」が掲載されていました。年表といえば、私も雑誌に投稿するための年表を作っておりました。地震と耐震の法律に斜面災害等との対応をまとめて、地盤も耐震化を促すものですが、下山先生の年表の迫力に押されてしまいました。

下山先生の記事には、「技術は突然生まれるものではなく、醸成されるものだ」という認識がないのです。
というフレーズがありますが、地盤はまさに醸成されるものです。どういう過程で醸成されたのかを知ることによって初めてどのように付き合っていけばよいかの考察が始まるのです。単純に定数を与えクリックするだけで得られた答えに対して、あれは想定外、これはイレギュラーと言い訳作りに終始し勝ちな最近の調査業務。。。下山先生の年表もよくかみしめたいと思います。

それにしてもこうしてみると、最近地震が頻発しているのがわかります。また、ゲリラ豪雨や地球温暖化とおいう言葉のなかった時代に豪雨による災害も頻発しています。

そのたびに(そして事後に)法律が後追いで整備されていくわけですが、コンクリートで抑えるにしても、ソフト対策のための調査(調査のための調査というべきですが)、そこに災害史(誌)が振り返られることはありませんでした。記録としての災害がないにしても、地形や地名が災害の歴史を物語っているのですが、市町村合併に代表されるように何のことかわからない名前になってしまいました。即戦力ばかりを求めるよりも人を育てる会社の方が健全であるということを聞いた事がありますが、似ているかもしれません。


2009年12月20日 | 雑感
めっきり寒くなってきた今日この頃です。いま、妻が鍋を用意してくれています。
先月の現場の民宿で、やはりとても寒くなって、囲炉裏料理の予定を前倒ししてくれて焼き魚やどぶろくをおいしく頂いたのを思い出しました。

いまでこそ囲炉裏は珍しいものとなり、古き良き時代を思い出すための観光の目玉にもなっているわけですが、化石燃料が使われる前のエネルギーの主役のひとつは薪でした。千葉徳爾先生の古典的名著「はげ山の文化」によると、『はげ山が天然の存在ではなくて、天然の森林の育成条件が、歴史的な人類活動によって破られた結果である』ということですが、薪が燃料だった時代は崩壊-土石流は頻発し、景観もよくなかったことでしょう。

鍋をつつきながら、ふとそんなことを思い出しました。

Googleアラートにびっくり

2009年12月19日 | 雑感
「地形」「地質」「防災」「宅地」というキーワードを含むニュースがあったらメールに転送するように設定しているのですが、この間「地質」のブログアラートということで、自分のブログが来てびっくりしたのでした。

新住宅ジャーナル新年号発売 - 防災ブログ Let's Design with Nature
By geo1024 
情報処理技術や物理探査手法も格段に進歩して地下深部の地質構造が”みえる化”され、地表・地質踏査結果とのマッチングが可能になり、先日紹介した高橋先生の日本列島の形成史と将来予測に画期的な知見も出てきました。 しかし、一般社会に対するアウト ...
防災ブログ Let's Design with Nature - http://blog.goo.ne.jp/geo1024/

新住宅ジャーナル新年号発売

2009年12月18日 | Design with Nature
私が記事を連載をしている「新・住宅ジャーナル」の2010年1月号が発売になりました。

http://socks-center.xsrv.jp/media/nhj/nhj.html

すごく手前味噌ですが引用します

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1年のうち、防災が強く意識される日が年に2日あります。最もよく知られているのが9月1日の「防災の日」です。この日は1923年関東大震災が発生日ですが、「防災の日」として制定されたのは1960(昭和35)年であり、今年は50年目の節目に当たります。そして、もうひとつの、いわば“平成の防災の日”とも言うべき日が、1995(平成7年)に阪神・淡路・淡路大震災が発生した1月17日です。
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2000年代も二桁目に入り、私が卒論を提出した翌々日に起こった阪神・淡路大震災から15年がたちます。そして、この15年間、大きな被害のでる内陸地震も相次ぎました(このブログを書いている今朝も地震がありました)。2004年の中越地震では、地すべり地形の形成過程で多くの知見も出されました。情報処理技術や物理探査手法も格段に進歩して地下深部の地質構造が”みえる化”され、地表・地質踏査結果とのマッチングが可能になり、先日紹介した高橋先生の日本列島の形成史と将来予測に画期的な知見も出てきました。

しかし、一般社会に対するアウトリーチはまだまだです。防災は相変わらず事後の一点豪華主義で、いかにも簡単な数値シミュレーションが信望される気配もあります。

現場を知る大切さはいつの世も変わらないはずなので、もっと地表・地質踏査、定性的な観察の重要性を伝えていく必要があるでしょう。

マヨン火山の活動が活発化

2009年12月17日 | 各地でのTOPICS
フィリピンのマヨン火山の活動が活発化しているそうです。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091217-00000005-cnn-int
(CNN) 火山活動が活発化し、噴火が予想されているフィリピン・ルソン島南部アルバイ州のマヨン山(標高2464メートル)について、赤十字は16日、これまでに周辺住民3万人以上が避難したと語った。

フィリピン当局は15日、住民5万人に避難を指示した。赤十字関係者によると、16日には火山性地震が数回感知され、これまでに3万751人が避難し、収容センター21カ所が設立された。同山の斜面を流れる溶岩や火山灰を見ようと、同州の市街地中心部には人々が集まっている。

フィリピンの火山・地震当局は14日夜、マヨン山の警戒レベルを最高(本格的噴火が数日─数週間内に予想される)に引き上げた。同山の噴火回数は、1616年以来49回にのぼっている。
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そういえば2000年6月に社員研修旅行で、河床堆積物の変遷過程を観察したことがあります。そういえば、そろそろパスポート更新しないと、、、、