防災ブログ Let's Design with Nature

北風より太陽 ソフトなブログを目指します。

なまずよりも森をみよ!?

2009年03月31日 | 平成20年6月岩手・宮城内陸地震

地すべり学会でお世話になった方からメールを頂戴しました。

------------------------------------------------------------------------------
当方はいつも土質試験を行う部署にいるのですが,<WBR>地震で大滑動する地すべりの多くは,静的な強度が大きく,<WBR>雨雪では簡単にすべらないものが多いように感じています。(略)昨年東竹沢の対岸の末端部を物色したら,<WBR>前回の地すべり以降に取り込まれたと思われる木片をみつけまして年代測定をしてみました。<WBR>今年の研究発表会ででも発表できればと考えています。
------------------------------------------------------------------------------

これまで地形学の分野では、最終氷期に地すべりの多発期がある(言いかえれば、地すべりの発生頻度は、ある程度気候変動に呼応しているんじゃないか)といった論調があります。でも、そ、ではなんであんな巨大な地すべりブロックができるのかという、規模を証明するところまでは論じきれていませんでした。
中越地震は、情報化社会になって始めて発生した地すべり地帯での直下型地震です。昨年の岩手宮城の地震では、地すべりから活断層の活動周期を逆算すべしという内容の報告も見られるようになりました。そこまで突っ込んだコメントをしとけばよかったですね。

コメントの再掲でした


神奈川の家づくりBOOKから

2009年03月30日 | 災害の記憶と想像力
神奈川新聞社発行の『神奈川の家づくりBOOK2009』が届きました。その巻末に用語集が掲載されていました。

○地盤調査
  地質学的、土質工学(変換してたら”光学”が先にでてきた。こっちの方がメジャーかいな?それはさておき)的に土地の強度を調べること。地盤が建築物を安全に支えられるか、どの程度沈下が予想される調べる目的で行われる。強度が不足している場合は安全に持ちこたえるための方法を調べる。  方法を調べる?対策しちゃいましょう。滑る場合もありますよ。

○瑕疵担保責任
  (前略)。シロアリや雨漏りなど、買主が一般的な注意を払っても気づかないものにあたり、売主自身が知らなかったものを含む。買主は、事実を知ったときから1年以内であれば、損害賠償請求や契約解除を求めることができる。

 ちなみに、平野裕之:瑕疵担保責任における「隠れた」瑕疵、買主の善意、瑕疵通知義務及び権利行使期間(1)-売主と買主の瑕疵担保責任における利益調整のあり方‐,慶應法学,pp.265~328  によると、擁壁や宅地の変状について想像するのは「あまりに酷」なんだそうです。

消費者は保険を使わなくても良い建物を求めている

2009年03月29日 | 維持管理の時代

ケンプラッツの記事を読んでいると、最近「住宅瑕疵担保履行法」の記事が目に付きます。少し前ですが、3月3日の記事にこんな一節がありました。

-------------------------------------------------------------------------------
消費者は、何かがあれば保険が降りる建物を求めているわけではなく、問題が極力起こりにくい建物、保険を使わなくても良い建物を求めているのだと思います。最初に保険法人となった、財団法人の検査基準にあわせなければ保険法人になれなかったとも言われています。これでは本末転倒です。保険さえつければ何とかなる的な考え方で本当に良いのでしょうか?それで消費者は本当に保護されるのでしょうか?
-------------------------------------------------------------------------------

やはり、自分の家・財産は自分で守るものです。自分のせいなので、自分から積極的にお金を出すべきでしょう。そうして防災産業に結びつければとおもったのですが、どうも邪魔な法律ができたようです。 


論文デビュー

2009年03月28日 | 技術動向
日本地すべり学会から、私が執筆していた論文の別刷が届きました。いまもいくつか執筆中ですが、なんとかデビュー作として日の目をみることになりました。

趣旨は、2004年新潟県中越地震を題材として、地すべりには人の人生に似た変遷史(誌)があるということを模式的に示して、今後の対策の大局観をつかもうとするものです。

いまだけ、そこだけ、をみてとりあえず、あるいはさしあたっての対策ばかりでは、結局つぎはぎだらけ、定額給付金的な話になってしまうわけです。いままでの日本は土木工事最優先で来てしまったゆえに、形なきものに対する価値をみとめようとはしませんでしたが、維持管理の時代になると、やはりどう維持されてきたか、いろんなスパンで見る目がないと、適切な管理もなされません。

ところで、いろんな人にこの論文をおくったんですが、その送り状にちょっと遊び心を入れてみました。地すべりってどんなもんか、、、さりげなく点検状況の写真も入れたりして、、、事務的な送付状もよいですが、封を開けた時に、おっと楽しんでもらおう?と言うわけです。

瑕疵担保責任と地盤

2009年03月27日 | 資格に関すること
 瑕疵担保責任とは、売買の目的物にキズや欠陥があった場合に、売主の負う責任のことです。民法の規定によれば、善意無過失(瑕疵の存在を知らず、かつ知らなかったことに不注意なことがなかったことを言います。売主が瑕疵担保責任を負うのは、買主が瑕疵の存在を知ったときから1年です。
 地盤の変状は、割と簡単な調査で不具合がおこりそうがどうかわかります。不具合の原因が人為か自然かだけのちがいですので、長く住むためには、善意無過失ではいけないのでしょう。

今年の応用地質学会は仙台

2009年03月26日 | 平成20年6月岩手・宮城内陸地震
今年の応用地質学会は、杜の都仙台で行われます。いろいろネタは考えていたのですが、多分去年の6月に発生した岩手・宮城内陸地震の話題でもちきりでしょう。便乗するわけではないですが、私もなんとかネタを探したいと思います。ただ、荒砥沢はみ~んなやるのでほかの意外性のある話題でいきたいと思っています。

論文連発

2009年03月25日 | 技術動向
年度末の喧騒がそろそろ落ち着きつつあります。川崎ではもう桜のたよりも聞こえ始めています。これから数ヶ月は、これまでの喧騒がうそのように仕事が減ってしまいます(あんまりいいことではないですが)。

私は、今年、地盤工学会に応用地質学会、そして地すべり学会に論文を投稿します。現在既に地すべり学会に1編投稿中です。

でもこれらの学会の相手は全部専門家です。専門家でない方もわかる雑誌に投稿もしてみたいものです。

基本に忠実な侍ジャパンと防災のあり方

2009年03月24日 | 防災・環境のコンセプト

WBC(よくボクシング団体が抗議しないものです)で日本が連覇を果たしました。決勝戦は手に汗握る激闘でした。イチロー選手をして「神が舞い降りた」と言わしめるのですから。

一連の記事のなかで、アメリカの選手のコメントがとても印象に残りました。

-------------------------------------------------------------------------------
準決勝で松坂から先頭打者本塁打を放ったロバーツ(オリオールズ)は、「日本と韓国は、とても基本に忠実な野球をしている誰もが学ばなければならないことがそこにある。米国はそれができていない。不幸なことだが、大リーグは金や契約の話ばかりになっているのが現実だ」と脱帽した。
-------------------------------------------------------------------------------

ここでいう基本に忠実とは、勝利のためにヒットやホームランを狙うこと。金や契約の話ばかりになっているとは、ホームラン1本につきナンボ、といったインセンティブ契約など、自分の懐をむいて野球をしていると勝手に解釈しました。

さて、私たちの関わる防災分野ではどうでしょうか。基本に忠実であることとは、市民社会に直接関わり必要に応じた調査・対策を提示し、依頼者の納得を得ることと言えるでしょう。そして、本来税金を使った公共事業もそうあるべきです。

しかしどうでしょう。仕事を得るために資格試験の替え玉受験があったり、まともにできないのを分かっていて”安さ”を”技術力”より優先させて低額でもとにかく仕事をとること、それこそ金や契約の話ばっかりになっていないでしょうか。


エアチェック世代のひとり言

2009年03月21日 | 雑感
FM40周年のNHK特番を見てました。ラジオから流れるオフコースが好きで、60分テープや90分テープに録音して、”マイベストが何枚も”ありました。テープレコーダーはすぐに劣化しました。アルバムにA面、B面があり、それぞれにアーティストは物語性を持たせた曲構成をしていました。とても限られた容量だから、曲を伝える側も聞く側も、できるだけ自分の好みを強くして選んだものです。

なぜ、こんなに年がばれる死語を連発したかというと、限られた露頭から地球の営みを想像することに勘所がある地質調査・防災調査において、最近どうも無味乾燥なやりとりが増えてきたからです。こちらは限られた時間のなかで、災害になる危険性の高い場所は近接写真をとったりスケッチをしたり、、、安全性が高いところは軽くすませたりしたら、”調査結果に差をつけたのはなぜ?””本当に危険性は低いのか?”という質問が、役所や住民などの非専門家ならいざ知らず、同業者からくることが結構増えてきました。そして、共通して20代後半、そろそろひとつの物件の主任を任せてみようかという年頃の人たちです。

ギガバイト・テラバイトが標準装備されているのが当然であると、自ら情報の質を考え、味付け、色づけ、自己ベストをつくることがなくなり、取説(基準書)にしたがってほぼ無尽蔵にダウンロードできます。

公共事業が減り、人の心と直接する本当のコンサルタントが多く求められるようになったら、アナログ(定性)が戻ってこないとやばいことになりそうです。

重要事項の説明(2)-説明者-

2009年03月20日 | 資格に関すること

宅建の勉強をしているのですが、重要事項の説明のところで気になることがありました。

-------------------------------------------------------------------------------
重要事項の説明は、契約をするかどうかの判断材料を与えるためのものなので、売買契約ならば買主のみ、貸借契約ならば借主のみ、交換契約ならば両当事者に対して行う(略)。重要事項の説明は怠ると宅建業者が業務停止処分を受ける。重要事項の説明は、取引主任者が説明する。その際、請求がなくても取引主任者証を提示しなければならず、違反した場合10万円以下の罰金に科せられる。
-------------------------------------------------------------------------------

のですが、その割には

-------------------------------------------------------------------------------
説明はは、専任の取引主任者である必要はなく、パートやアルバイトの取引主任者でもよい。
-------------------------------------------------------------------------------

これは、宅建に合格し、登録実務講習を受けた人なら良いということですが、、、
必ずしもプロである必要はないんですかねえ。

防災に関わる相談事を受けたことがありますが、市民が相談をするにあたっては(むしろ逆に)有資格者でなければならないという法はありません。技術士や地質調査技士、地すべり防止工事士の登録証提示が義務付けられていることもありません。

でも、プロですから、パートやアルバイトで”主任者”とよばれるのは、ちょっと違和感がありました。


重要事項の説明(1)-住宅性能評価-

2009年03月19日 | 資格に関すること

「建物が立てられない場所と知っていたら、こんな宅地買わなかったのに」
「ネイルサロンの営業ができないの営業ができないと知っていたら、こんなマンション借りなかったわ」
宅建業者は、物件を買おうとしている、あるいは借りようとしている「お客さんに判断材料を与える」ために、重要事項を説明しなければならない。

これは、ある宅建の参考書に書かれていることです。最近では、平成13年、18年に改正された法律により、以下の事項が出題されやすくなっているとのことです。

・当該宅地,建物が造成宅地防災区域内にあるときは、その旨
・当該宅地,建物が土砂災害警戒区域内ににあるときは、その旨
・当該建物について、アスベストの使用の有無の調査が記録されているときは、その内容
・当該建物(昭和56年1月以降に新築の工事に着手したものを除く)が一定の耐震診断をうけたもの
 である
ときは、その内容
・当該建物が住宅性能評価を受けた新築住宅であるこきは、その旨(売買・交換の番いに限る)

 これらの事項に関する本当の判断力は、自然科学の素養と現地調査経験を必要とします。それぞれについて専門家が本来なら必要とされる場面です。

 「こんな土地と知っていれば買わなかったのに」という言葉をきかないためにも、技術があり、そして法律の知識もある程度もっている技術者が必要になってくると思います。


地質調査技士

2009年03月18日 | 資格に関すること
今年は地質調査技士と宅建の二兎を追ってみようと思っています。昨年は地すべり防止工事士と宅建の二兎を追って、一兎を逃しました(宅建です)。でも、地すべり防止工事士では経験論文が出題されたので、それについてはいい経験になったと思っています。地質調査技士は、筆記試験が難関です。実際の地質調査計画を具体的に練った事がないと解けない、技術士の二次試験に近い形態となっています。じっくり勉強したいと思います。

命・財産・暮らし守る。

2009年03月17日 | 防災・環境のコンセプト

自宅によく入ってくるマンション広告のキャッチコピーは、「地震に強い安心の”免震マンション”」です。この広告には、防災化学技術研究所(相変わらず”化学”と誤植しています)の地震動予測地図データによると、今後30年以内に南関東地震(M6.7~7.2)として、地震がくるのを確実視しています。中身を詳しく見てみますと。

命を守る   それは住まいに求められる「絶対条件」です。
財産を守る 「住まいを守ること」は「財産を守ること」です。
暮らしを守る 地震後も早期に日常生活を取り戻すことができます。

三つ目の「地震後も早期に日常生活を取り戻すことができます。」これが重要ですね。逆に言えば、ここまで配慮してあれば「買い」だと思います(私は買いませんが)。