ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

二次創作への思い

2019-02-24 07:21:35 | 思うこと
マンガ・アニメが好きで長い間そういう世界に浸っている人間は自然に二次創作という世界を知ることになります。私のような田舎町に住んでいる古い古いオタク世代でさえコミケという言葉はオタク的物心がついたころに存在していました。
コミケの歴史を見たら1975年から始まっていますね。私が12歳の時です。まさにオタク的開眼時期です。

二次創作というのを簡単に説明するとオリジナル創作物がありますね。それはほとんどメジャー作品である一般的なマンガやアニメです。昔で言うなら「ポーの一族」や「海のトリトン」というオリジナルのマンガ作品、アニメ作品があってそれに感銘を受けた読者視聴者が作品のキャラクターやストーリーなどを上手く織り込みながら独自の作品を作り上げることですね。
オリジナルのキャラやストーリーを忠実にしかも発展させながら描けるほど高く評価されることになると思われます。オリジナルから逸脱してしまうのは減点、というかオリジナルへのリスペクトや愛情が少ないとみなされてしまうことでしょう。
無論二次創作をしている本人が夢中になって描く場合がほとんどですから二次創作作品はかなりのクオリティになってきます。オリジナルのファンはオリジナルを尊重しながらもオリジナル作者が描かないキャラの別の顔が見れることに狂喜し賛辞を贈ります。賛辞を受けた二次作者は自分が愛するキャラを熱情を持って描きそれを評価賛辞されたことに大きな喜びを得ることでしょう。
この二次創作世界は大きく強い熱情と尊敬と共感というこの上なく幸福な状態に浸れる場所です。この描く者も読む者もさらに巨大なオリジナル創作作品を神とした幻想世界で戯れる快感から逃れることは困難だと思われます。私自身描くことはありませんでしたが読者として様々に楽しみました。
「キャプ翼」「聖闘士星矢」「ハイキュー!」「黒子のバスケ」「おおきく振りかぶって」「鉄血のオルフェンズ」まあ書いていたらきりがありません。

しかし私自身が小説やマンガを描く時は二次創作は選びませんでした。
なぜなら、「二次創作は結局何も生まないのと同じで時間があまりにももったいない」と考えてしまうからです。

これはあまりにも狡い考え方ですね。自分は他の人が描く二次創作を面白く読んでいたのに自分は描かないのですから。
まあ、もったいない、と言っても私の場合、描いたものが商品になるわけでもないのでお金の計算をしているわけではありません。それでも貴重な「自分の時間」を偽物に消費することはケチな私にはとてもできませんでした。(人生終わったわけじゃないですから今からやるかもしれないとはいえ)

そしてまた他の人の二次創作作品を見て楽しみながらも「こんなに絵も物語も上手い人が二次創作に時間を費やすのは自他共に損失ではないのか」と思い続けています。
最近再びオリジナル作品の複製の禁止などのニュースを見ると「いっそこの機に二次創作が禁止になったほうがよいのでは」とすら考えています。

オリジナルにしろ二次にしろ創作に関することを国から禁止されるというのは腹立たしいことですし、むしろ反逆したくなりますがあまりにも二次創作が固定化巨大化してしまっているように思えて疑問を感じるのです。
二次創作は描くのも読むのも楽しい世界です。繰り返しますがそこには大きな尊敬と熱愛がこもっていて幸福な快感に酔いしれることができます。
しかしそれはあくまでも「偽物」で「オリジナル作品」ではありません。
絵や文章が上手く、素晴らしいセンスや物語性を持っている若きクリエイターたちが貴重な時間を二次創作に費やしてしまうのは自他ともに損失だと私は考えるのですが、二次創作者たちからすれば「自分が好きで自分の時間を使っているのだから文句を言われる筋合いはない」ことです。「お金が欲しいわけではなく楽しいからやってるだけ」とも答えられそうです。

二次創作は私が思うにオリジナル作品製作者になれなかった者が仕事の合間に自分の技術を駆使して自分の好きな作品を二次創作しコミケなどで販売しなにがしかの金額を得る、ということではないでしょうか。
仕事の合間の作業なのでオリジナル作品を作るのは困難で二次創作ならなんとかできるから、というのではないでしょうか。
それでもオリジナル作品ならいつか誰かに認められて本当の作家になれるかもしれません。時間はかかるかもしれませんがオリジナル作品はあなた自身の作品です。
でも二次創作はいくら楽しくても上手く出来上がってもファンから賛辞を得ても、世界から「あなたの作品」として認められることはありません。
才能を持った若い人たちが二次創作に長くたずさわっていることにオタクの年寄りとしては危機感を持ってしまうのです。

ほんの時折にほんとの落書き程度にネットでアップするくらいならいいけど、あなたの貴重な時間はあなたのオリジナル作品に使って欲しいのです。

オリジナルを作るのは苦しいし、二次ほど受けないので評価も寂しいものになるでしょう。でもそれはあなたの子供です。
二次は多くのオリジナルファンからもてはやされいい気持にさせてくれますがあなたが二次を止めたら去っていくファンでしかありません。

でもどうしてもあなたは二次創作を止めたくないのですよね。わかります。あんな気持ちいい世界はないからです。この狂おしいほどの愛を表現してそれを多くの人が賛辞してくれる世界、そんなエクスタシーを他で味わえるでしょうか。
でもそれは幻想なんです。
そう言ってもやめたくないしやめられないのですよね。
ならば悔しいけどいっそ法律によって禁止されてしまい、いやでもやめなければいけないことになった方がむしろ良いとさえ思ってしまうのです。

二次創作を長い間許してきたことは日本社会の優しさだったのでしょうか。私はむしろ若い創作者たちの首を絞めて来た残酷な仕打ちだったのではないのかとも思います。
社会は許容がなければいけませんが、二次創作に対する許容は果たして良いことだったのでしょうか。

他の国に対して「物まねばかり」と言って嘲笑しますが二次創作も同じなんですよね。許容は大切ですが節度が必要です。
国から禁止されてしまうことで終わるのではなく自分たちの意志でやめるべきだったのでしょうけど、そこは残念です。

とはいえ、二次創作がどうなるのか、それはまだわかりません。若者たち、どうか目を覚まして二次創作はこのくらいにしよう。
オリジナル作品を作り始めよう。

この記事が全然的外れでもうすっかり二次創作などすたれているよと笑われるのなら私はそちらの方が嬉しいです。


今現在同人誌でオリジナル作品を描き続けている人たちはほんとに凄いなと思います。

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