ガエル記

本・映画備忘録と「思うこと」の記録

「平成史」佐藤優・片山杜秀 その2

2019-03-14 21:19:19 | 


先が長いので少しでも書きます。
佐藤優☓片山杜秀「平成史」の感想です。ネタバレなのでご留意ください。





平成元年の流行語「山が動いた」「指三本」「お局さま」
うっわ、なにがなんだかわからないです。
「お局さま」は会社で長く勤めている女性へのあてこすり表現でしょうけど、今検索したら「山は動いた」は土井たか子の発言、「指三本」は宇野総理のスキャンダルに関する言葉でした。なんだかなあ。
流行歌は長渕剛「とんぼ」プリプリ「世界でいちばん熱い夏」なんだかなあ。
平成二年になると「おどるポンポコリン」たま「さよなら人類」と少しまともになってきた感がありますね。(このみだろ)
とにかくまだまだバブルを引きずっている感覚が気持ち悪い時代のように思えます。佐藤氏の「バブル崩壊が行きついた先が『東京タラレバ娘』だったんじゃないか」という言葉がなんだか腑に落ちました。
また土地神話の崩壊、となんでもかんでも崩壊していくのが平成のようです。昭和時代、戦後がむしゃらに働いてきた世代が年を取り、次の世代である私たちはもうそんなエネルギーは少ないし、若い世代はもっとおとなしいから保守的にならざるを得ない、ということなのですかね。
私たちの前の世代はとにかくガンガン働いて高度成長していって、私たちの後の世代は働かされることがなにより苦痛で少子化は進む一方。と言っても私自身も今の日本の長時間労働は反対ですしこのままじゃ少子化するのは当然だし、少子化を前提として考えていくしかないと思います。
第一章「バブル崩壊と55年体制の終焉」で面白かったのは1962年に制作された『二十歳の恋』というオムニバス映画についての記述でした。62年の映画なので平成の話ではなくなってしまいますけどね。
私はトリュフォーの映画として記憶していましたが、それはこのオムニバスの一編だったわけですね。
フランス・西ドイツ・イタリア・ポーランド・日本、5か国の監督がそれぞれの国の二十歳の恋をテーマにしたオムニバスだということですが、なんと日本の映画監督が石原慎太郎だったということです。
そして他の国の「二十歳の恋」は常識的な初々しい恋の話だったのに日本の石原慎太郎監督作品だけがストーカーの話だったというのです。
両氏は「さすが石原慎太郎、凄い」と感心していますがこれは私もちょっと驚きました。
しかもネタバレしますけど「工員が女子高生に一方的に恋をして付け回し、何故か向こうも自分が好きだと確信している。最後は嫌われたのに逆上して強姦し殺してしまう。それが日本の『二十歳の恋』だった」というのです。
なんとも確かに日本男性らしい話ではありませんか。日本の『二十歳の恋』はそういうものかもしれません。
タルコフスキーの『ストーカー』が81年に日本で上映された時はまだストーカーという概念がなくてロシア語の『スタルケル』のまま上映したのだそうです。言葉はなくてもストーカーをしていたわけですね。

流行歌や映画についてはもう語るほどのこともないのでやめましょう。
バブルが崩壊し55年体制が終わるとともに田中角栄氏が亡くなりました。高度成長が終わったわけですね。

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