ネタバレ有。「ゲームなどの話をしよう!」

週に7冊は漫画雑誌を読むという、ぽちょむ君(理論派)とケンジン(直感派)の二人が主にゲーム・漫画等について語ります。

Yggdra Union(その1)

2006年05月28日 23時59分59秒 | ゲーム
アーケード(というかQMA)以外でのゲーム単独のレビューは初ですね(苦笑)
以前雑記に書いた部分と被るところもあるかもしれませんが気にしない方向で。

どういう形式が良いか分からないので、某有名レビューサイトを参考にいきます。
あと、基本的に擁護する側からの視点で書きますので、参考にしようと思う方は
その辺を割引気味に考えて頂けるとよろしいかと。

それぞれの項目の数値は0~10の11段階での評価です。
他に比べる対象が無いので感覚的なものですがが標準と考えてください。

オリジナリティー(10)
これはもう満点です。
私もそれほど多くのS・RPGをプレイしているわけではありませんが
このゲームの肝であるユニオンやカードに類するシステムを採用している
S・RPGは知る限りではありません。
しかも単に目新しい要素を考えて突っ込んでみました、というわけではなく
きちんとプレイする上での楽しさに纏め上げているので減点も無し。

このユニオンとカード(スキル)に関しては、これをキチンと飲み込めるかどうかで
面白さが大幅に変わってくるので詳細にいきます。
公式HPのシステム解説も参考にしながら読んでください。

 ・カード選び&移動
ここがこのゲーム最大のポイントと言っても過言ではありません。
カード選びの際に考慮する点としては、基本事項として
・移動力…基本は多いカードほど有利、なんですが少ないカードには
      戦闘開始時のゲージ(後述)蓄積量が多いと言う利点も
・エースタイプ…突撃を仕掛ける(反撃を受ける)リーダーの武器タイプと
        一致していないとスキルが使えません
・カードパワー…戦闘で勝ったときに、相手に与える士気(ユニットのHP)ダメージに影響
         どのカードを育てるかも重要なポイント。
その他、時間(昼・夕・夜)や地形(荒野・草原・街道など)に加えて
限られた移動力を使って、どのユニットをどう配置するか
・リーダーにするユニット…前述の通り。
・ユニオンに組み込む順番…敵ユニオンの順番を見て相性の良いように
                アイテムドロップを狙う場合、誰が倒すかも重要。
…と考える事は山ほどあります(笑)
しかも敵ターンも相手がそれぞれの思考タイプで動いてくるので気が抜けません。
先の事も考えつつカードを選び、ユニットを動かす必要があります。
この辺りの感覚は詰め将棋なんかに似てるかもしれません。
よりベターな結果を得られるよう最善と思われる手順を構築していく、という感じですね。

 ・戦闘
戦闘は基本的に突撃→反撃→白兵戦という流れです。
(突撃側がクリティカルを出したり、相手が弓ユニットだと反撃は無し)
それぞれのユニットは6人ないし3人のキャラのグループになっていて
突撃・反撃でダメージを与え合った所から白兵戦が始まります。
白兵戦では作戦指示やスキル発動などでプレイヤーが干渉する事ができます。
・Aggressive…ゲージを消耗する代わりに攻撃力を上げる
・Passive…攻撃力が下がる代わりにゲージが蓄積
・スキル…条件を満たしてる場合、ゲージが満タンになるとスキルが使用可
     相手を攻撃したり、味方を防御したりと効果は様々です。
作戦やスキルの使い方次第では、ある程度不利な勝負でも逆転勝ちできたり。

 ・アイテム
これも少々特殊です。
まず入手方法ですが、お金やショップなどは存在しないのでマップ上の街や集落を
訪れて入手したり(ときには砂漠から発掘したり)敵の装備品を奪うことになります。
で、手に入れたアイテムは装備して戦闘に有利な効果を発揮させたり
ユニットに与えて士気を回復したりします。
アイテムを使わずにコレクションしたい方には辛いシステムかも(笑)
(一応エクストラコンテンツとしてアイテム図鑑がありますけど)

このようにシステムはS・RPGの戦闘をいかに面白くしていくか、という観点から
組み上げられているように感じました。
また、スキルや相性の縛りがあるのである特定のユニットだけ使ってゴリ押しすればOK
というわけではないのも良かった点ですね。
ですんで「好きなユニットでバンバン敵をなぎ倒したい」というような無双的な快感を
求める人には向かないゲームだとは言えるでしょう。
ま、後半になってユニットが育ってきたらある程度はゴリ押しも効くんですが。

グラフィックス(7)
これは減点法。
はじめに言っておくと、ドット絵はイキイキと動きますしキャラ絵もデザインに
漫画家の方を起用しただけあって非常にキレイです。キャラのデザインも良いし。
が、非常に惜しいのはバストアップのキャラ絵の表情が4種類しか無いことですね。
主要キャラだけでもいいのでもう少しバリエーションがあった方が…
あと、魅力的なキャラが敵味方ともに揃ってるのに出撃時の選択やステータス確認の時に
表示されるのが雑魚キャラと同じ汎用グラフィックというのは少し残念でした。

おそらく容量的にいっぱいいっぱいだったんだと思うんですが
そこはもう少し頑張ってほしかった、ということで減点3です。

音楽(8)
こちらは加点法。
標準レベルが5点として、かなり良曲が多いので+3点。

というかそもそも使われてる曲の数自体も多いです。
グラフィックの分の容量を削ってこっちにまわしたんじゃないかと思うぐらい(ぉ
それぞれはそんなに長くないですが、全部で57曲というのはGBAソフトにしては
異色の多さじゃないかと。

熱中度(7)
使用上の注意としては1日に進めるのは3マップまでに(何

…というのはまあ冗談としても、一日二日でクリアしようと思うのは無謀です。
途中で何人撤退しようがアイテム逃そうがリトライ連発しようが構わない!
というなら別ですが(笑)
それぞれのマップで納得のいく結果を出そうと思うとトライ&エラーの繰り返しで
長ければ2時間ぐらいかかることもありますんで。
不思議のダンジョンシリーズに通ずるマゾ性ですね(苦笑)

ある程度時間を区切りながらチクチク進めていくと、長く楽しめると思います。
これは人それぞれだと思うのでこの点数(ガーッと進めたい人もいるでしょうから)

アイテム図鑑なんかのコレクション要素もあるのでそういった方にも。

満足感(8)
言うまでも無く主観で。
他で挙げた不満点なんかを加味してこの点数。
いくらか不満な部分もあるものの概ね満足、といったところかな?

快適さ(6)
私はこのゲームの面白さの肝は相手の出方にあわせて戦略を練って、それを遂行する事だと
思ってるのでそれを妨げるような部分があったのはマイナス。

各マップ最初の出撃(ユニット&カード選択)の時にその時点での相手の詳細を
きちんと確認できないのはどうかと。地形と配置(敵のみ)が確認できるなら、
敵の兵種と味方の初期配置も確認できるようにしておいてくれれば…
あとは敵の使ってくるカードの種類と攻撃力なんかも。

まあ、どうせどのマップでも一度ですんなり納得のいく結果が出ない事の方が多いんで
(結局リセット&再チャレンジする)無くても大きな支障は無いんですが。

それ以外ではもう少しアイテムが手に入りやすいと良かったかな。
とくにマップ上で特定の地点を訪れた時に手に入るアイテム。
後半になると複雑な限定条件(時間帯とか訪れるユニットなど)も多かったりするので
攻略情報ナシで進めてる人が偶然手に入れるにはちょっと厳しいかなと。
このゲームの場合、装備するだけじゃなくて士気回復にも使うのでよけいに。

…もしや攻略本(別名・豪華版説明書)買え、ってことか?(苦笑)
私としても懐に余裕があるなら買う事をオススメしますけど。

ストーリー(6)
巷(主に2chなど)ではストーリーがイマイチ、という声も聞かれるんですが私は好きです。
ファンタジーものとしてはスタンダードな設定ですし、そう短いわけでもないし。

ただ、全てをプレイした上でもイマイチ語りきられてない部分があるのと
(これは重大なネタバレになるので言えませんが)最後のチャプターにかけての展開が
個人的に非常にショックだったので合計でマイナス4点とします。

ゲーム誌なんかのインタビューを読む限りでは、敵(帝国)側の裏事情は
敢えて作中では詳しく語らなかったということらしいんですが…
ちょっと残念な気もします。

あと、同じくSTING作品である「約束の地Riviera」と同名のアイテムが出てきたり、と
前作からのファンにはうれしい仕掛けもところどころに散りばめてあったり。

その他の不満点
各項目で書ききれなかった不満な部分を。

1.説明不足
ストーリーの都合上、士気にプロテクトが掛かってたり無敵だったりする敵ユニットが
いるんですがそれが見た目だけでは判断できない。
特に後者は付属の説明書ですらそういうことがあると書いてないので。
せめてステータス確認した時に分かるようにしといて欲しかったですね。
ユニオンシステムやスキルについてのチュートリアルは詳しくあるだけに
余計にそういった点での不満が。

2.ユニットの加入時期
弓タイプのユニットが加入するのが遅すぎ。
敵の突撃に反撃できない、という弓ユニットの特性から敢えて序盤に加わらないように
配慮したのかもしれませんが、それにしても。
おかげでエースタイプが弓のカードをどうしても避けがちになってしまいます。
で、後半弓ユニットが加入する頃には他の主力カードとパワー差がありすぎて使い辛い
という悪循環(苦笑)

3.チャプター9(最終章)が短い
これは、まあ(笑)
せっかくのクライマックスなんだし、もう少し長くても良かったのでは…
マップ3つだけというのは流石に寂しすぎますし。

4.詰め込みすぎ
…と言うよりは容量不足という表現の方がいいかな?
これまで各項目で挙げた不満点もこれに起因するものが結構あるんじゃないかと。
それだけ作り込んだ、ということでもあるんですけど。
各マップ毎にそれぞれのキャラの勝利セリフを変えてあるあたりなんか
並々ならぬこだわりを感じます(笑)

総評
まさに、STINGが放つ渾身の一作という表現がぴったりの力作です。
決して万人にオススメできるタイプのソフトではないですが、S・RPGが好きな方や
歯ごたえのあるゲームを探してた、という方には自信を持ってオススメします。

 プレイ時間:45時間(1周目クリア時点)
 総合点(100点満点中):85点

こういうオリジナルタイトルの良作が埋もれてしまうのは非常に惜しいので
前述のRivieraと共に廉価版が発売されないかな~と密かに期待(笑)