宮本輝【森のなかの海】
阪神大震災の直後に愛人のもとへ走った夫。
謎に満ちた女性・毛利カナ江から
奥飛騨の広大な土地を譲り受けた希美子は、家族に支えられながら、
地震で親を失った少女たちとの共同生活を始める。
宮本輝を久しぶりに読んだ。
彼の作品を読むといつも思うが、
心の動きと行動の関係の表現がなんてうまいんだろう。
ほんのチョッとした言葉に泣きそうになったり、
「ああ、俺もこんな状況ではこんな事言っちゃいそう。」と思ったり。
非常に沢山の事柄が次々に起こり、それぞれが示唆に富んでいる。
それぞれの年代に対して、どうあるべきか、何らかの方向性を示してくれる。
大人の男の薀蓄みたいな台詞も多くて、それも彼の作品の楽しみの一つだ。
この作品では実際に震災を体験した筆者によって、
その時の様子がなんとも恐ろしく、悲しく描かれる。
昨日まで普通に接していた人が目の前で死んでいく。
亡くなったり、怪我したり、愛する人を失った人に、
年齢や性別の区別は無い。そして、身体的・精神的後遺症。
僕はこれまでお酒を飲んだときなどに震災の話になると、
成人式の後、大阪に帰ってきて地震にあったときの事や、
その直後、神戸で廃材撤去のバイトをしていた事などを、
面白おかしくでは無いが、ある意味ネタとして話していた。
なんと配慮に欠けていて、恥ずべき事であったかを痛感した。
現地でどんな事が起こり、どんなに悲惨だったかは報道で知っていたはずなのに。
そういう状況下で人間がどういう行動を取るかを織り交ぜた、
宮本輝の文章によって、この震災で本当に悲しい出来事とは何かを知った。
その犠牲となった登場人物たちが、
僕の故郷、飛騨の森でで癒し癒されていく。
大樹と苔生す美しい森が眼に見えるようだ。
阪神大震災の直後に愛人のもとへ走った夫。
謎に満ちた女性・毛利カナ江から
奥飛騨の広大な土地を譲り受けた希美子は、家族に支えられながら、
地震で親を失った少女たちとの共同生活を始める。
宮本輝を久しぶりに読んだ。
彼の作品を読むといつも思うが、
心の動きと行動の関係の表現がなんてうまいんだろう。
ほんのチョッとした言葉に泣きそうになったり、
「ああ、俺もこんな状況ではこんな事言っちゃいそう。」と思ったり。
非常に沢山の事柄が次々に起こり、それぞれが示唆に富んでいる。
それぞれの年代に対して、どうあるべきか、何らかの方向性を示してくれる。
大人の男の薀蓄みたいな台詞も多くて、それも彼の作品の楽しみの一つだ。
この作品では実際に震災を体験した筆者によって、
その時の様子がなんとも恐ろしく、悲しく描かれる。
昨日まで普通に接していた人が目の前で死んでいく。
亡くなったり、怪我したり、愛する人を失った人に、
年齢や性別の区別は無い。そして、身体的・精神的後遺症。
僕はこれまでお酒を飲んだときなどに震災の話になると、
成人式の後、大阪に帰ってきて地震にあったときの事や、
その直後、神戸で廃材撤去のバイトをしていた事などを、
面白おかしくでは無いが、ある意味ネタとして話していた。
なんと配慮に欠けていて、恥ずべき事であったかを痛感した。
現地でどんな事が起こり、どんなに悲惨だったかは報道で知っていたはずなのに。
そういう状況下で人間がどういう行動を取るかを織り交ぜた、
宮本輝の文章によって、この震災で本当に悲しい出来事とは何かを知った。
その犠牲となった登場人物たちが、
僕の故郷、飛騨の森でで癒し癒されていく。
大樹と苔生す美しい森が眼に見えるようだ。