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雨雨雨。

2013年10月20日 | 

雨なので、ラグビーの試合中止。

ちょっとホッとしている(笑)。

久しぶりに最近読んだ本について書こう。

 

三谷幸喜 【 清須会議 】

織田信長亡き後の流れを決める清須会議。

それぞれのキャラが立っているんだけど、

「あー、いるいるこういう人」

「こういうのは得意なんだけど、この辺に欠点が」

「こいつ完全にNo2タイプ」

「会議は根回しだよね」

など、現代語で書かれている事もあって、

時代背景を借りた現代劇だな。映画観たい。

 

 

野尻抱介 【 太陽の簒奪者 】

素晴らしいSF。太陽の光が奪われていく。

ただ、読み切るにはかなりの想像力と、

テクノロジーへの関心が必要。

 

いわゆるファーストコンタクト物は、

異星人に会ってしまうと急に失速するが、この小説も確かにそうだ。

ただ、それはしょうがない。

作者も僕らの想像力で思い描ける宇宙人の姿にしなければならないのだから。

 

山本一力 【 ほうき星 】

このブログによく登場する山本一力ですが、

エピソードが似通ってきて、さすがに飽きてきた(笑)。

【あかね空】と【だいこん】が至高で、その二つ抑えればOKです。


すべての元。

2011年08月02日 | 

確かに本屋でずーっと気になってたんです。

3990円という価格、明らかに置き場所に困るであろうサイズ。

図鑑なんだから当たり前なんですけどね。

で、アプリとして存在していることも少し前から知っていました。

話題になってたしね。それが1200円というお手ごろ価格であることも。

持っている小説読み終わるまで買わんとこうと思って。



ついに週末にアプリ購入。ひじょーに楽しい。

皮肉とユーモアをちりばめた解説。

元素それぞれの個性、人々が思うイメージと本当の姿のギャップ。

人間を評するかのように、元素を評する、著者のなんていうか、愛?

1200円は安い。


期待しすぎ?

2011年06月30日 | 

文庫化を待ち望んでいた【 のぼうの城 】をついに読んだ。

うーむ。なぜそんなに売れているのかわからん。

エンターテイメントというには浅い。軽い。

それと、たまに現代に連れ戻す(”現在は〇〇市のどこどこあたり”とか)時代小説は好きじゃない。

作者は身近に感じてもらいたいのかもしれないが、折角入り込みそうになっても腰を折られるんだよね。


こんな時代、こんな世界。

2011年06月09日 | 

やっと読み終わった、【 沈まぬ太陽 】。なかなかの重さ。救われんなぁ。

正直者がバカを見るというのは、世間やニュースを見ていればわかってくるけど、

それでもなかなか悪いことはできないし、小さな幸せを見つけて生きてゆかなくてはならない。

フィクションであれば面白いけど、ほぼノンフィクションと言われると、無力感というか、

自分ではどうにもならない、大きな力に流されるしかないという気持ちになってくる。

それが現実としても、希望を見出すことのできない小説や映画に存在意義はあるのかと思う。


さらに、この焼けるような時代の空気に対し、

現代はやはり無機質で無気力なのではないかと考えさせられ、

また、それも時代かと諦めに変わる。


良くも悪くも人間的。

2010年10月09日 | 


【 虫眼とアニ眼 】

養老孟司と宮崎駿の対談集。

どちらもとても良い事を言っておられる。
自分たちの力の程も理想も現実もよーく客観的に観た上での話。
対談と言うよりは、お互いにそれを理解しあって確認しあっている感じ。

宮崎駿のアニメは大人が観るもんだと昔は思っていた。
“ナウシカ”にしても“紅の豚”にしても、“魔女の宅急便”にしても、
大人が観て、自然について考えたり、ノスタルジーに浸ったりするもんだと。
しかし、当人は最終的には子供が楽しめるように作っているという。アニメなんだからと。
作品群を見ていると両方に揺れ動いているように見え、
それは商業的な考えもあるだろうし、旺盛なチャレンジ精神もあるだろうし、純粋な気持ちも当然あるだろう。

うちの子はトトロを何十回も観ている(これも宮崎駿本人は良くないと思っているようだ)が、
もちろん、懐かしいとは思わないだろうし、自然に宿る何かに敬意を払おうとは思わないだろう。
ただ、何十回も見ているということは間違いなく楽しんでいるのだ。
“千と千尋の神隠し”の良さは僕には分からないんだけど、
子供たちは大好きなところを見ると彼らの心を惹きつける何かが間違いなくあるのだ。

養老孟司は虫の眼を持つ人が少なくなってしまった事を指摘する。
ディティールにこだわる人が少なくなってしまっていると。

理想だよと言ってしまえばお仕舞いだし、何か有効な手立てがあるわけではない。
ただ、こんな視点で世の中を見ているおじいさん達がいると認識するだけで、
今まさに子育てしている自分達が、もっと考えなくちゃな、と思える。

この雨にやられて。

2010年07月11日 | 


午前中、ラグビー行ったんだけど、途中からすごい雨。
中止にしてずぶ濡れで帰る。なんかどっと疲れたー。



白石一文【 永遠のとなり 】

初期の作品を4冊ほど読んで、途中、ちょっと文が苦しそうになってきたな…、
と、その後ちょっとご無沙汰しているうちに、直木賞をとったりして、
もう一度読み始めてみた。

初期作品の苛烈な印象は影を潜め、
ちょっと達観した文で淡々と進められる中年男達の人生がある。
不惑になろうが、天命を知ろうが、迷うものは迷う。怖いものは怖い。
自分の未来にも充分起こりえる事、その時、どう乗り越えるのか。
じわじわ来ます。

はっはんが班長。

2010年01月25日 | 


先日、ワンピースの記事を書いたときに思い出したら、
どーしても【 ツルモク独身寮 】が読みたくなってしまい、
大人買い.jpで文庫版全7巻購入…。20年前の漫画。

主人公の正太が就職して独身寮で生活を始め、
地元の彼女と女子寮の美人との間で揺れる揺れる。
揺れまくりでじれったい(笑)。
初めて読んだ頃はお兄さんお姉さんに対する憧れや、
仕事したらこんなに素敵な日々が待ってるんだとか、
俺も羽ばたくぜとか、都会生活に憧れる気持ちが大きかったんだなぁ。
そんなお年頃はとっくに飛び越してしまっているんだこれが。
最近こんな青春漫画あまり見かけない、良い話。
みゆきさんのソバージュ、めっちゃかわいい(笑)。

雷光のごとく。

2009年12月26日 | 


宮部みゆき【 弧宿の人 】

宮部みゆきの作品は素晴らしい。何が素晴らしいと言って、わかり易い。
わかり易く物を伝えられるから面白く、そして人気があるんだなぁ。

あと、すごく中性的なの。
男性の書く時代物が樫であるならば、女流作家は柳。
僕は小説における柳のしなやかさが苦手なので、
ミステリや時代物ではほとんど女流作家を読まないけど、宮部みゆきは違う。
ちょうど、堅さとしなやかさを備え、強さを持った竹だな。

そんな訳で傑作の多い女史の作品の中でも、これは出色の出来だとおもう。
史実があったとしても大変な時代考証のなかで、架空の藩を作り上げ、
その中で生き生きと人々が生活している。ファンタジック。
科学の芽が出始めようとはしているが、
まだまだ人々の間では悪鬼や生霊が信じられている、そんな時代。
土地に根付いた生活の中で、それを覆されることへの恐怖。
今よりももっと身近にある、自然の脅威、そして死。
現代の大人は、噂の怖さを身に染みてわかっているのに、
近所の噂話、ゴシップに踊らされずにはいられない。
人間の弱さの中に、それでも生きていく強さと優しさがある。
ラストせつないわー。

騙されたい。

2009年11月19日 | 


小泉喜美子【 弁護側の証人 】

いつも騙されたいと思ってる。
だからケビンスペイシーが好きだし、Mナイトシャマランの映画も観てしまう。
一本取られたー!と言いたくてしょうがないんだよね。

この本は60年代に書かれた名作ミステリーの復刻らしいが、
道尾秀介大絶賛という帯につられて読んでみた。
そんな風に書いてあると、騙されないぞーと思ってしまい、
またそう思えば思うほど大きな視点で見られなくなる。
いつの間にか先入観に足元をからめとられているのだ。
この小説の良いところでも悪いところでもあるんだけど、
騙そうとしている、騙されているのは登場人物たちではなく、
ほぼ読者の方にだけ向いている。
だから、話の内容自体はそんなにたいした事じゃないの。
でも、綺麗にすっきり一本取られて、気持ちいいです。

秋の夜長に。

2009年10月27日 | 


道尾秀介 【 骸の爪 】

ミステリーが読みたいとき、
あらすじを読まずに名前だけで買ってもハズれない。
そんな作家の一人。

この作家の小説は、
最初はバラバラになったパズルをじっと眺め、
もやもやと不安や恐怖をあおる。
ある時、急にカチリ・カチリと音をたてて、ピースがはまり始める。
そして出来上がった絵は…、途中思い描いていた絵と全く違う絵なのだ。
ミスディレクションにすーっかりはまってしまう。
何度も戻って読んでは確認し、その度に感心する。
途中、こんな偶然ばかりで構成して良いのか?と思ったりするんだけど、
最終的におさまるべき所にすっきり収まるんだよな。
世の中、偶然の重なりが全てを狂わす事もあるんです。