
久々に豪華な邦画観た。
衣装も美術もロケもキャストも豪華だけど、劇中の無声映画も新たに撮ってる(エンドロールのはちゃう)とか、
徹頭徹尾丁寧な準備がなされてることが豪華。
しかもここまでやっておきながら
「所詮は活劇でござい」というスタンスも軽くて素晴らしい。
成田凌 の小動物感がコメディにぴったりだし、
井上真央 の大正モガファッションがずっと素敵。
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活動弁士について勉強にもなる。
興業というものにつきものだった反社的なものも重点的に描いてましたね。
小日向文世怖かった。。
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ドタバタ感や間の悪さ(ゆっくり感)はちょっと好きではなかったです。
『Shall we ダンス?』でもこの感じがあって苦手でした。
でもまぁ今作では、おじいちゃんたちが死ぬんじゃないかってほど笑っていたので正解なんだと思います。
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ネタバレ、ラストについては以下に。
永瀬正敏がなんで酒に溺れているかというと弁士という仕事に虚しさを感じているから。
映画は映画で完成している。
音がなくても伝わるのに、弁士は説明を加える。
弁士は映画がないと存在しないが、映画は弁士なくても存在する。
このことに気づいて酒に溺れている。
しかし、まったく映画として成り立っていないフィルムのつなぎ合わせたものを成田凌がエンタメとして昇華させている姿を見て、
「弁士も捨てたもんじゃねえな」と思って
得意技の七色の声を使って、音尾琢真を翻弄する。
さらに、刑務所に入れられた成田凌は説明だけで看守や受刑者を感動させる。
映画のないところでも映画を再生することができる弁士の能力を見せる。
エンドロールでは、実在する無声映画『雄呂血』が流れる。
これは池松壮亮演じる二川監督の映画。
劇中の無声映画は撮り下ろしで、草刈民代やシャーロット・ケイト・ファックスが出ていた。
悪いけど、本物の『雄呂血』を見せられるとやはり熱量の違いを強く感じました。
「無声映画ってこんな感じだったよね」って撮ったものよりも
当時の最新技術による最新エンタメとして撮られた『雄呂血』の迫力。
これをエンドロールに流す周防監督の無声映画への敬意を感じて泣けるわけよっ!