映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

映画『ターミネーター』(1984) こんなにもクールなターミネーターがいて〝彼〟は全然人間と交流できなかったことを知ると、さらに『2』での感動が増す

2024-08-25 | 映画感想

ターミネーター(1984年製作の映画)The Terminator
上映日:1985年05月25日
製作国:アメリカ
上映時間:108分
監督 ジェームズ・キャメロン
脚本 ジェームズ・キャメロン ゲイル・アン・ハード
出演者 アーノルド・シュワルツェネッガー マイケル・ビーン リンダ・ハミルトン




久々にFILMAGA(フィルマガ)の記事執筆&イラストを担当しました!
よろしければお読みください!

映画『ターミネーター』を4コマでサクッとおさらい!
シュワちゃんって悪役じゃなかった?
ジョンの父親は誰?
【ネタバレあり】 | FILMAGA(フィルマガ) https://filmaga.filmarks.com/articles/308684/

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ターミネーター一回も見たことがなくてですね。。このお仕事を機に始めて見ました。
『ターミネーター2』の方が面白いんですが、『1』も好きですよ。

まだ売れてない頃のジェームズ・キャメロンがなんとかかき集めた低予算で、アイデアと気合と愛情とオタク気質で作った感じが溢れててとても良い!

2029年の「人類VS機械」の戦争シーンのしょぼいこと。。暗いこと。。
今ならCGバリバリでの映像美で観客を圧倒したいところなのに。。

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ロボットの切なさがいいですよ。
ラピュタのロボットと重なりましたね。
目が切ないんですよ。
圧死させられるシーンではの目が切なくて「パズーッ!」って叫びたくなりました(嘘)。

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タイムスリップのとこで頭がこんがらがるし、、
「ジョンの父親は誰?」って気にしながら朝チュンしないで欲しいけど、
「嵐が来るよ」の臭いセリフも厨二病っぽくて良いじゃない!

***

どう考えても『2』の方が良いし『2』単独でも楽しいんだけど、
『1』もちゃんと観ることで
『2』の過剰とも言えるコメディ感&ハートフル感を和らげられるし
『1』でこんなにもクールなターミネーターがいて〝彼〟は全然人間と交流できなかったことを知ると、さらに『2』での感動が増すわけですよ。




映画『ターミネーター』を4コマでサクッとおさらい!

2024-08-23 | 映画感想
ひっさびさにフィルマガ記事&イラスト担当いたしました!
『ターミネーター2』が8/23よりリバイバル上映されます🤖


映画『ターミネーター』を4コマでサクッとおさらい!
シュワちゃんって悪役じゃなかった?
ジョンの父親は誰?【ネタバレあり】



ドキュメンタリー映画『宝島』大好き!ギヨーム監督 〝人生の厄介な現実が太陽の下で楽しみのために排除される場所である〟

2024-08-22 | 映画感想
宝島(2018年製作の映画) L'île au trésor/Treasure Island  
上映日:2024年07月27日
製作国:フランス
上映時間:97分 
ジャンル:ドキュメンタリー
 監督  ギヨーム・ブラック


72歳の男性が20歳の女性との〝プラトニックな数日間〟をのうのうと語り終えた直後、
別のシークエンスが「嘘つけ!」との言葉から始まる。


72歳男性が嘘かどうかは謎だけど、マルッと信じていいことでもないんじゃない?と。


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職業訓練校の職員。
政党色出しながら学校に見学に来た政治家をちょっと批判したら2週間後に解雇され、監視され、ついには誘拐された経験がある。


おそらく10年ほど前にアフガニスタンからの難民としてフランスにやってきた男性。
カブールのコミュニストと疑われ拉致され射殺寸前のとこで助かり、今は家族たちとヴァカンスを過ごしている。


宝島の若い職員。
スタッフの目を盗んで悪さし放題。
「やりたいことがあって大笑いできるならそれが違反でもやるべき。
そしてこう叫ぶ。俺は生きてる!」と。


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ドキュメンタリーの撮影場所はIle de Loisirs de Cergy-Pontoise。
https://cergy-pontoise.iledeloisirs.fr



入園料1人5ユーロっつってたからそんなに高くないよね。
にしても閉園ギリギリにナンパ目的で入園料値切ろうとする若者3人はセコくないか。


ドキュメンタリー『リンダとイリナ』ではそれこそリンダとイリナを中心に物語が進んでいったけど
『宝島』では合法違法に関わらず入園してきた人物を、20人くらいですかね、30人くらい?の姿を追ってコラージュしていきます。


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映画批評家?のRoger Ebert氏曰く
〝監督は「宝島」でぼんやりとした半ユートピアの風景を描き出した。
それは多文化主義が多くの結果なしに存在し、
人生の厄介な現実が太陽の下で楽しみのために排除される場所である。〟


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同監督の劇映画『みんなのヴァカンス』で黒人の2人の主演俳優から「自分たちが黒人だからと言って人種差別要素を入れるのはいやだ」的なことを言われても
「実際にあるものを描かないわけにいかない」的な理由で『みんなのヴァカンス』には気づかない人は気づかないけどあ〜これは人種差別があるが故だよね…的なシーンが多く作られている。


てことで、ドキュメンタリー『宝島』でも突如結構衝撃的な社会問題が語られる。


それらが語られるのは太陽が沈んだ(沈みゆく)時間。
真夜中にゲートを監視する男性の車の中と夕暮れのバーベキューのシーン。


〝人生の厄介な現実が太陽の下で楽しみのために排除される場所である〟〝宝島〟では、語られることが許されなかった事が
太陽が沈んでからようやく語られる。


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これほんとにドキュメンタリーなのかね。。


カメラの前であんなにも自由に動ける?
「監視員に見られてないから大丈夫!」っつってるけど映画館で上映されてるよ。。


そんなにカメラが近くない人物たちの声がすごく鮮明に聞こえるんですけど。


海?プール?に入ってる人の会話も。
ピンマイクとかつけずにあんなに明瞭に録音できる?


でかいガンマイク使ってたらあんなに自然な表情や会話をしてくれないだろうし。。


『リンダとイリナ』よりも謎。。



 映画『ターミネーター2』(1991年)さすが!面白い!観たほうがいいよ!

2024-08-22 | 映画感想
ターミネーター2(1991年製作の映画)
Terminator 2: Judgment Day
上映日:1991年08月24日
監督 ジェームズ・キャメロン
脚本 ジェームズ・キャメロン ウィリアム・ウィッシャー・Jr

出演者 アーノルド・シュワルツェネッガーリンダ・ハミルトン  エドワード・ファーロング 



初めて観ました。ターミネーター。
断片的な映像やネタ化されているようなものは知ってましたが
本編観るのは初めてです。


確かに本当に面白い。


カーアクションも贅沢だし
CGも素晴らしくないですか!


水銀マンの変身シーンが当時のCGの技術レベルにちょうど合致してて素晴らしいですよ。
ちゃんと怖いし。


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『1』よりはだいぶコメディ要素、ハートフル要素が散りばめられてますね。


ちゃんとほんわかもするし笑いもする。


そしてだからこその感動のラスト。。
ちゃんと泣きました。
泣くわ、あれ。


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結構ハッキリとしたメッセージとして
水爆実験やめろ
人殺すな
戦争やめろ
って言ってますね。


人類滅亡の未来を人類は変えることができるのかっ!
それともやっぱ愚かだから変えられないのか。。。


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みんな観た方がいいよ!


『ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶』体験者の証言が無駄にならないように 

2024-08-22 | 映画感想
ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶(2019年製作の映画)
上映日:2020年07月25日
製作国:日本
監督 太田隆文
ナレーション 宝田明 斉藤とも子


まず「日本で唯一地上戦が行われた沖縄」は間違いかと。
硫黄島での地上戦があったし、
硫黄島の住民の多くは強制疎開させられていたけど「約1,000人の島民のうち、80人は軍属として残留を命じられ、82人の島民が軍と運命を共にしました。」とのことなので、
〝住民を巻き込んだ唯一の地上戦…〟とも言えないのでは。




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実際に沖縄戦を体験した方々の証言が分厚い。


沖縄戦の前に子供らを疎開させるための学童疎開船「対馬丸」に乗っていた女性が何とか生き延びた証言が生々しいし、
伝聞でも手記でもなく自らの言葉で語られる力がやはりもの凄い。


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なんか、戦争もやむなしみたいな風潮が漂ってきている近年。
「反戦なんて非国民だ」って言う人は実際には戦争にいかないからね。
その家族も子供も戦争に行かなくて済む立場の人たちだからね。


僕が学生の頃は夏になるとうんざりするくらいに戦争があらゆるメディアで語り直されて
「はいはい、そうに決まってんじゃん」と言いたくなるくらいに〝反戦〟を言われ続けてきました。


どんどん反戦メッセージは弱まり
むしろ「守る」という言葉で戦争アリの方向にじわじわ持って行かれている。


体験者の証言が無駄にならないようにしたいですよ。




映画『五人の斥候兵』(1938) 国策映画とは何か。

2024-08-17 | 映画感想

五人の斥候兵(1938年製作の映画)
製作国:日本
上映時間:78分
本作は戦後米国に接収され1968年に返却された新版公開版。
監督 田坂具隆
出演者 小杉勇 見明凡太朗 伊沢一郎 井染四郎 長尾敏之助 星ひかる 井上敏正




国策映画とは何か。人はなぜ戦争映画を見るのか。

『関心領域』を観て喰らってしまって、迷いに迷って「国策映画ってなんなんだろう」というフェーズに入ってしまいました(何故)。
で、以下の2冊の書籍を読みました。

『戦時下の日本映画〈新装版〉 (新装版)人々は国策映画を観たか』
『日本映画史叢書 映画と戦争―撮る欲望/見る欲望』








確かによく出来ている映画『五人の斥候兵』
『五人の斥候兵』は1938年の日中戦争只中に日中戦争を描いた国策映画です。
国策映画ってのは何かっていうと『戦時下の日本映画〈新装版〉 (新装版)人々は国策映画を観たか』に規定が書かれてますが、
これによると『五人の斥候兵』は国策映画に当てはまる。
で、1938年頃の日本映画ってのはエノケンロッパ的なエンタメ映画が多く、そもそも映画館の環境が劣悪だったわけで、静かに真面目な映画を見るという場にはふさわしくなかった。

当時のインテリ層や映画ファンが好んだのは洋画。
映画は洋画であり、日本映画は大衆におもねる程度の低いものが多いとされていた。
国策映画を公開しても実はヒットに結び付かなかった。大衆はわざわざそれを観に行こうとしなかった。
その中でも『五人の斥候兵』は初のヒットをしたし、
日本映画界でも高く評価されたし、
ヴェネツィア国際映画祭イタリア民衆文化大臣賞を獲得し、
これは日本映画では初めての海外での受賞作。

確かに面白いんですよ。『五人の斥候兵』。
『1917 命をかけた伝令』のようなPOV撮影による銃撃を避けなら川を登って行くシーンはかっこいいし、
兵士たちが休憩しているシーンはほのぼのするし、
怪我をして銃後に帰されるシーンは複雑な気持ちになる。
主演の小杉勇の演技が素晴らしく、物語に引き込まれる。
「敵情・地形などを偵察ために本隊から先んじて派遣され」た五人斥候兵の帰りをただ待つ、という後半のソリッドさにも魅力を感じる。
そりゃ当時のキネ旬で高く評価されるはず。
ヴェネチアでも賞を取りそうです。

ただ、、、、、、地味。。。。。。
地味なのよ。。。特に後半は基本帰りを待ってるだけなので。。
もちろんそれが良いんだけどね。。
で、疑問がふたつ。
①なんでこれがヒットしたの?
②これを観て戦意高揚するの?
2冊の書籍
『戦時下の日本映画〈新装版〉 (新装版)人々は国策映画を観たか』
『日本映画史叢書 映画と戦争―撮る欲望/見る欲望
に答えがありました。



①なんでこれがヒットしたの?
現代日本でも万博に学生たちを動員しようとしていますね。(教員や保護者から反対の意見が噴出している)
『五人の斥候兵』も学校のクラス単位で観に行かされたようです。
当然子供たちは全然楽しくないし眠かった、と。
引率の教員も眠かった、と。
で、当時の国策映画なんだから誉めないわけにいかないという空気もあった。
キネ旬などの映画批評家たちがその空気に歪められたかはわからないけど(批評家たちは普段から他の日本映画についてはボロクソに言っていた)、
観に行かされたような一般市民が「チョーつまんねぇ」とはなかなか言えない。
むしろ褒めることで〝善き市民〟になれたのかもしれない。

②これを観て戦意高揚するの?
ずっと地味だし、
陸軍兵士たちの暮らしや戦闘は海軍や空軍に比べると華やかさはないし、
泥まみれになり湿っぽい寝床で横になっていて
これを観て「ボクも兵隊さんになりたいっ!」って思えるとは全く思えない。
むしろ逆国策映画なのでは?と思えるほど。
アメリカの国策映画は、兵士を英雄のように撮ってわかりやすく憧れの対象として描くのに対して
日本の国策映画はただただ辛く我慢している様子を描くものばかりだったとのこと。
で、
日本ではその方が戦意が高揚するという民族性があった(ある?)よう。
泥まみれになり濡れたような寝床で体を休め愚直に命令を聞き美しい上下関係の元、仲間たちとの友情を温め、敵に立ち向かう様子を描かれたら、
「あ〜偉い!」「応援したい!」と確かに思いそう。
兵隊さんは偉いんだよ、アンタも兵隊になるんだよ。
うん、ボクも兵隊になるんだ。
兵隊さんたちが頑張ってるんだから私たちが辛くても我慢するんだよ。
って思いそう。
確かにそういう風に機能しそう。

一見「これが国策映画とは言えないんじゃない?」という内容でも実は十分に国策映画となり得る、ような精神構造を我々は持っているということは知っておいた方がいいのかも。


 映画『関心領域』喰らい中…… また5だの4.5だの書いて終わり?

2024-08-17 | 映画感想

関心領域(2023年製作の映画)The Zone of Interest上
映日:2024年05月24日
製作国:イギリス ポーランド アメリカ
監督 ジョナサン・グレイザー
脚本 ジョナサン・グレイザー
原作 マーティン・エイミス
出演者 クリスティアン・フリーデ ザンドラ・ヒュラー ラルフ・ハーフォース



喰らった。。
もはやいつ観たのかも覚えておらぬ。。
(そんなに前でもないけど…)
なかなか感想を描けなかった。。

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1940年(第二次大戦前)にヒトラーが台頭してきた時にでチャップリンがカメラ目線で観客に語りかけてきたのが映画『独裁者』。
ただただスクリーン(画面)を見てるだけの敵をラスボスにした、つまり映画の観客に自省を促した映画が2018年『インクレディブルファミリー』。
2020年にガル・ガドットがカメラ目線で観客語りかけてきたのが『ワンダーウーマン 1984』。
映画の外の現実世界のヤバさにこそ目を向けて、実際に行動してくれよ、と。
映画はずっと僕らに語りかけていた。

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僕も映画を多めに観る人間として、
観て、ここが感動しただの、あそこがイマイチだの、みんなに観て考えて欲しいだの感想を書いて〝行動〟したことにして、
はい次の映画次の映画と同じことを繰り返してきたことに罪悪感はずっとあった。
なんかやってみたところで罪悪感が消えてくれるには映画をたくさん見過ぎた。
積もり積もっていたところにこの『関心領域』

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終盤でヘスが振り返ってこちら(観客)を見つめる。
「また観るだけ?」
「また観て、星5だの、4だの、2だのつけんの?」
「また、観客である我々にも突きつけられている命題だって〝映画を読み解ける自分〟をアピールして終わんの?」
と言われたよう。
一体この映画を観た後に何をすれば許されるのかわからなすぎて。。
この映画に許されたくて
この映画から逃げたくて
ほかにも色々あって、
なんか映画観る本数減りました。。

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先日の『ツイスターズ』の4DX観まして、これまた傑作だったわけですが
『ツイスターズ』でもラストスペクタクルで
「今まで描かれてきたのが単なるエンタメ映画じゃなくて現実世界で起こってるってこと知ったよね。で、どうするの?まさか困ってる人を利用して金儲けはしないよね。じゃ、地道に人助けする?しないの?さっきそのシーンで感動してなかった?」
って言われた気がして、、
OH!NO!もう勘弁してくれよ。。