映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

人生はシネマティック!(2016年製作の映画) Their Finest

2019-04-26 | 映画感想
人生はシネマティック! DVD



「人々が映画が好きなのは、意味があるからだ。人生と違って。」

「たまには良い映画を作りたい。人生の一時間半を捧げられるような。」


****


1940年のロンドン。
第二次世界大戦が始まったのが1939年で、まだまだ戦争が始まったばかり。

映画会社は
国民に向けた戦意高揚のプロパガンダ映画製作を命じられる。


みんなキレイめな服を着て普通に暮らしてるんだけど、
空襲警報が鳴れば地下鉄のホームに避難。
そこで夜を明かすことも。

人が死ぬということにもじゃっかん不感症になっているようで、
とても近しい人物の死でない限り死に対してドライな印象。


****


市民がまだ戦争というものの実感を得ていないリアルさがあって
この点においてこの映画は他の平均的な映画よりも抜きん出て素晴らしい。


****


俳優さんも素敵だし映像もキレイなんだけど、
ラブコメとして見やすい分、さすがにちょっとライト過ぎるかな。。。

若い人にも多く見てもらえるなら、その効果も期待できるけど。


まぁ、思惑通り泣いちゃうんですけどね。。
神妙な気持ちにもなるんですけどね。



****


女性上司がネクタイ締めてまるで男のように振舞っているのが良かったですね。

特にそのことに触れないんですが、
彼女の服装だけで彼女が何と戦ってきたのかがわかる。

ロッコ:ポルノスター引退宣言(2016年製作の映画) Rocco

2019-04-26 | 映画感想
つまらない

センセーショナルなものを撮った気になってる。
人物を掘り下げた気になってる。


カメラが彼のナルチシズムと同じ視点になっちゃってるのがとても致命的。
もっと距離を置いて撮ってくれないと。


こんなドキュメンタリーなんか撮らずにサッと引退した方がカッコ良かったと思いますよ。

セミフ・カプランオール監督 ユスフ三部作『卵』『ミルク』『蜂蜜』

2019-04-26 | ネタバレあり



卵(2007年製作の映画)YUMURTA
製作国:トルコ / 上映時間:97分





トルコのセミフ・カプランオール監督による【ユスフ三部作】1作目です。

映画としては『卵』→『ミルク』→『蜂蜜』の順番です。
覚え方としては、採取が楽な順です。

卵はそこにあるのを拾えばいい。
ミルクは絞らなきゃいけない。
蜂蜜はだいぶ危険を犯さなければならない。

時系列的には『蜂蜜』→『ミルク』→『卵』の順になります。
それぞれ少年ユスフ→青年ユスフ→おじさんユスフです。

映画の順番だとどんどん若返っていくわけです。


*****

この映画の主役ユスフはおじさん。独身。
イスタンブールで古書店をやってますが、そんなにやる気はない。

何に対してもやる気がない。
電話がかかってきても留守電になるまで取らないのが普通だし、
留守電聞いてから必要があれば掛け直す男。

人との距離がだいぶ遠い。
でも、人当たりは良い。失礼な態度を取ることはないし、十分優しい心を持っている。

でも、やはり人に心を見せないし、人の心に入っていこうなどということはしない。


*****


なぜおじさんユスフはこういう男になったのか、
を時系列的にさかのぼりながら見ていくのがこのユスフ3部作ですね。


ですけど、
『卵』を一本目として見るのって本当に難しいことだと思うんです。。

ユスフはほとんど喋んないし、
母が死んだとこからスタートするし、
ユスフのことも全然わかんないのに
謎の親戚美女が出てくるし
突然、てんかんでぶっ倒れたりするし、
意味不明だと思うんです。。


*****


僕は『蜂蜜』→『ミルク』→『卵』の順で見たので
あの可愛い可愛いユスフが『蜂蜜』で起きた事件を背負って
『ミルク』の思春期を過ごして
『卵』でのこんなおじさんユスフになっちゃった。。という流れで見れたので見やすかったです。

監督の意向とは違うのは重々承知なのですが。。


*****


ミルク(2008年製作の映画)SUT
製作国:トルコ / 上映時間:102分


この映画の主役は青年ユスフ。
高校を出たばかり、らしいです。

酪農を営んでいる家の仕事を手伝いつつ、詩を出版社に提出しています。


*****


ユスフ、ゲイ説を唱えようと思ったのですが、どうやら違うようですね。

多分同い年の男の友人。
しかも土木をやっているその友人を、
ユスフが上から下まで舐めるように見るシーンがあるんです。

そういう風にカメラが動くことが他にないのでものすごく印象的でした。

で、そういえば青年ユスフは冒頭で美女を追いかけますが
その追いかけ方も微妙すぎて
本気でその美女とどうにかなろうなんて思ってないんじゃないかと思います。

また、別の美女と翌日のデートの約束を取り付けますけど
翌日にデートをしたシーンはないし
一切そのことには触れない。。

女性に興味ないけど、一応トライしてる、というエピソードなのかな、と。ゲイかな、と。

思ったんですが、多分違いますね。


***** 


女性や恋愛に奥手だということを示すエピソードでしょう。

友人をジッと見たのは、おそらく「父親」の姿を彼に見たのでしょう。

森の中で労働していた父の姿を友人に重ねて、
家の中で詩を書いている今の自分と比較したのでしょう。


*****


蜂蜜(2010年製作の映画)BAL
製作国:トルコドイツ / 上映時間:103分



トルコ映画 ユスフ三部作 『卵』『ミルク』『蜂蜜』
四コマ映画「蜂蜜」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2254


*****


『蜂蜜』はこの三部作の中でも特別ですね。

大自然の美しさ、ユスフの可愛さ、ロバの可愛さ。

良い映画を観たぜ!という気にさせてくれる素晴らしい映画です。


*****


蜂蜜を取りに森へ入っていたお父さんが帰ってこない。

でも、その説明がないんです。
別の日になってもそういえば父の姿がないな、と。

ユスフもお母さんも数日間は、お父さんが帰ってこないということを語り合おうとしません。

お母さんはユスフに心配かけまいとユスフの前では明るく気丈に振舞ってます。
でも、ユスフのいないところで友人などに相談したり、涙を流したりしてます。


****


何日経ってもお父さんは帰って来ず、
流石にお母さんも憔悴しきってユスフの前でも落ち込みを隠せないようになります。

ユスフはお母さんを元気付けようとして
吃音を持ってるんですが朗読を頑張ったり
苦手な牛乳を一気飲みしたりします。

ユスフの牛乳一気飲み➡︎https://twitter.com/fukui164/status/1118849254468907008


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で、これらのことを説明してくれるセリフはありません。

でも、お母さんの気持ち、ユスフの気持ち、それぞれを思いやる気持ちが、行動から見えてくるのです。

はい、そうです!
これが映画です!
ありがとうございます!



*****


トルコ映画 ユスフ三部作 『卵』『ミルク』『蜂蜜』

四コマ映画「蜂蜜」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2254








しあわせへのまわり道(2014年製作の映画) Learning to Drive

2019-04-25 | 映画感想
しあわせへのまわり道 [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD]




良い!
大人の映画!好き!
さすが『マイブックショップ』の監督作!

****


冒頭この2人でこの感じでずっと行っちゃうのかな?つまんないのかな?
と思いきや

この2人よりも大変な事情を抱えた1人を加えて
いったいどんな展開になるのかとハラハラ。


****


もっさりヒゲで頭にターバン巻いたベン・キングスレーが神様に見えるんだけど、
さすがそこから人間味を深めて行って
ラストには無表情の中に焦げるような愛情を込めてくる。
素晴らしい。


主演のパトリシア・クラークソンがやはりものすごく素敵。
こういうちょっと人と隔絶しちゃったような人物が似合いますね。
それでいて可愛らしい。


****


ベン・キングスレー演じる教官はインドからの政治亡命者でシク教徒。

シク教徒ってのはインドでも少数の宗教で迫害を受けているようです。
でも富裕層も多いとのことですが、
テロリストとの関与を疑われただけで投獄されたりしたようです。
(サッと調べただけなので浅すぎる情報ですが。。)


****


髭もっさりでターバン巻いてる彼をみて
「ビンラディンがいるぞ!」と絡んでくる輩もいるし
警官も彼に対して差別的な対応を取る。

パトリック・クラークソンが
「こんな人種差別が実際にあるのか」と驚きながらも
毅然とした態度で彼を守るシーンはまるで『グリーン・ブック』。


****


文化の違う男女が学び合いながら、新たな一歩を踏み出すってのは黄金展開だけど、
そこに大人の慎ましさもあって、グッッッッときました!


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ゴーギャン タヒチ、楽園への旅(2017年製作の映画) Gauguin Voyage de Tahiti

2019-04-25 | 映画感想

ゴーギャン タヒチ、楽園への旅



奥さんが具合悪くてベッドの上で体を震わせてる時も
奥さんを介抱することなく
「いいね、そのポーズ!」ってな具合に奥さんの姿をデッサンし始めるゴーギャンの狂気。


その絵は『死霊が見ている』というタイトルで残っていますので、
検索して見てみてください。

確かに生と死の境界を切り取った迫力ある絵だと思ってしまいます。
ごめんなさいね、奥さん。。


****


1890年のタヒチはすでにフランス領で、
首都パペーテは西洋化が進んでいた。

なので、田舎のマタイエアに移住したけど
そこにもフランス人はいっぱいいるし、
現地の人たちも西洋文化への憧れが滲んでいる。


****



ゴーギャンは売れない絵を描きつつ港湾労働で日銭を稼ぐだけの極貧生活。

それに対して
ゴーギャンが彫刻を教えた現地の青年は、西洋人に人気のある伝統的な木像を量産し土産物として販売。

それがヒットし、青年は金持ちになって港の仕事を辞め、スーツを着るようになる。

この対比が面白い。

日本トルコ合作映画『海難1890』、トルコ映画『卵』『ミルク』『蜂蜜』など

2019-04-25 | 映画イラスト






2019年は「日本におけるトルコ年」です。これは両国が共同で宣言し、友好と文化交流を目的として開催されるものです。2010年には「トルコにおける日本年」が開催されており、トルコ国内で180を超える文化事業が開催されました。

トルコは親日国として知られていますし、2018年のトルコへの日本人観光客も8万人を超え、来年にはエルトゥールル号遭難事件(下記に詳しく書きました)から130周年を迎えます。今年はトルコについて知る機会が増えると思いますので、まずはトルコについておさらいしておきましょう。

1. トルコってどんな国? 首都はどこ?

2. あれもこれも!? 意外と身近にあるトルコ

3. オススメのトルコ映画紹介

↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓




第60回ベルリン国際映画祭で金熊賞(最終優秀作品賞)を受賞 映画『蜂蜜』

2019-04-24 | ネタバレあり











映画『蜂蜜』
  

トルコのセミフ・カプランオール監督による【ユスフ三部作】の3作目です。

第60回ベルリン国際映画祭で金熊賞(最終優秀作品賞)を受賞しています。

映画としては『卵』→『ミルク』→『蜂蜜』の順番です。
覚え方としては、採取が楽な順です。

卵はそこにあるのを拾えばいい。
ミルクは絞らなきゃいけない。
蜂蜜はだいぶ危険を犯さなければならない。

時系列的には『蜂蜜』→『ミルク』→『卵』の順になります。
それぞれ少年ユスフ→青年ユスフ→おじさんユスフです。

映画の順番だとどんどん若返っていくわけです。

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トルコ映画 ユスフ三部作 『卵』『ミルク』『蜂蜜』

四コマ映画「蜂蜜」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2254

*****

『蜂蜜』はこの三部作の中でも特別ですね。

大自然の美しさ、ユスフの可愛さ、ロバの可愛さ。

良い映画を観たぜ!という気にさせてくれる素晴らしい映画です。

*****

蜂蜜を取りに森へ入っていたお父さんが帰ってこない。

でも、その説明がないんです。
別の日になってもそういえば父の姿がないな、と。

ユスフもお母さんも数日間は、お父さんが帰ってこないということを語り合おうとしません。

お母さんはユスフに心配かけまいとユスフの前では明るく気丈に振舞ってます。
でも、ユスフのいないところで友人などに相談したり、涙を流したりしてます。

****

何日経ってもお父さんは帰って来ず、
流石にお母さんも憔悴しきってユスフの前でも落ち込みを隠せないようになります。

ユスフはお母さんを元気付けようとして
吃音を持ってるんですが朗読を頑張ったり
苦手な牛乳を一気飲みしたりします。



****


で、これらのことを説明してくれるセリフはありません。

でも、お母さんの気持ち、ユスフの気持ち、それぞれを思いやる気持ちが、行動から見えてくるのです。

はい、そうです!
これが映画です!
ありがとうございます!


四コマ映画「蜂蜜」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2254

マッドバウンド 哀しき友情(2017年製作の映画) Mudbound

2019-04-18 | 映画感想
冒頭。
白人の兄弟が穴を掘ってる。
土の中から鎖で繋がれた白骨が出てくる。

「ここはダメだ。奴隷の横に親父を埋められない。」と兄。

鎖で繋がれた白骨死体はこの農園で働かされていた奴隷だった。

死んだ父親の棺を埋めるために穴を掘っていたが、そこから奴隷の白骨遺体が出てきた。

物語はここから始まる。



****



メガホンをとったのは、1977年生まれの黒人女性監督ディー・リース。

前2作での観客や批評家からの絶賛を受けて、キャリー・マリガンとメアリー・J・ブライジら実力派スター俳優を呼んでの3作目。

プレミア上映された後、ネットフリックスでの配給が決まったとこのこと。


****


ともに帰還兵の黒人と白人の物語ですが、
タイトルに「哀しき友情」とあるのでラストはそんなに幸せなものではないとは思っていましたが、、、
この世でもっとも最悪で愚かでとにかく最悪な話。



つまりは、KKKですよ。
クー・クラックス・クランです。
知らなかったら調べてね。

そして、知っててもこの映画見てね。


****


帰還兵でPTSDを患っている青年ロンゼルを演じたジェイソン・ミッチェルの演技が素晴らしい。
殴られて腫れて鬼のような形相で睨む彼の顔は忘れられない。。

ロンゼルの父を演じたロブ・モーガンも素晴らしい。


****


ラストに観せられるイフが美しい。

美しいからこそ死ぬほど哀しい。

しかも、全然昔話じゃないのが心の底から腹立たしい。

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

2019-04-17 | 映画感想
恋は雨上がりのように


これいいんじゃないでしょうか。
青春映画として。
さらにはおじさん映画として。

****

冒頭はキラキラ映画として予想できる展開で、とくに大泉洋が居心地悪そう。

設定の紹介を15分ほどやってから
サブキャラたちを交えての小松菜奈と大泉洋それぞれのバックボーンの紹介。

映画のちょうど半分くらいからもはやキラキラ映画ではない。

キラキラ映画で「一生懸命取り組むのは恋愛だけじゃないはず」と。


〝恋〟というのを一応媒介というか、
推進力にはしてるけど、
描きたいのは〝生きる希望〟のようなもの。

10代女子と40代男子がそれぞれぶつかっている壁を
相手の姿に自分を重ねつつ学んでいく。


****


若い俳優さんの説明台詞がたどたどしいとか。
マンガっぽい台詞や展開がキツイ(マンガ原作だもんね)とかありますが、

大泉洋や濱田マリや吉田羊などの手練れがなんの心配もなく映画を成立させてきます。すごい。

『恋人たち』の篠原篤さんのファミレスの社員役の存在感も素晴らしい。


****


しかしまぁ大泉洋無双ですね。

その中で小松菜奈が素晴らしい。
彼女が画面にいると完全に彼女の主演映画になる。



****



大泉洋と同級生役の戸次重幸のセリフ。


「俺たちは大人じゃねえよ…」

のあとの空白。
どんなセリフで来るのかとワクワクした2、3秒。
からの

「…同級生だ」


大成功!撃ち抜かれました。



****


誰一人高校生に見えない問題はスルーしてます。

映画『マイ・ブックショップ』ネタバレもあり  小さな本屋を巡る恐ろしい物語… 

2019-04-16 | 映画イラスト



4.5
素晴らしい。びっくり。マジでびっくりしました。

普通の映画だなと思っていたんです。途中まで。

権力を持った愚かな悪が
「わざわざ波風立てることないじゃないですかぁ」っていう無責任な民を従えることに成功したら
こんなにおそろしいことになるのか。。

小さな書店の運命やいかに。。。。。。。。。


***

***


小説原作っぽい雰囲気もありつつ、
イギリスの港町の映像、本と本屋の映像がとにかくすごく美しくて、
本はさすがにメインテーマだけあってほんとうにに美しく撮ってる。

本の包装紙を開けるシーンの素晴らしさたるや。

宝物以上のものを開けるドキドキワクワク感。
紐が解かれる音。紙が広げられる音。
素晴らしいですよ。

でも、話は普通だなと思っていたんです。
これでゴヤ賞三冠かぁ。なぜだろうと思っていたんですが。

びっくり展開。おっとネタバレ厳禁。


****


撮影も素晴らしいけど、演技もすごい。

ラースと、その彼女』でライアン・ゴズリングの義姉を演じたエイリー・モーティマーが今回も良い!声がいいんですよね、この人は。

で、同じく『ラースと、その彼女』でライアン・ゴズリングの主治医を演じたパトリシア・クラークソンさん。
今回は悪役です。
素晴らしい悪役ですけど、やはりこのクラスの演技派が演じると深みや哀しみも帯びてくるので映画が多面的になります。

そして、ビル・ナイ。 ビル・ナイが普通に真面目な役をやってるのを初めて見ました。。だいたいコメディのイメージなので。。
しかしハマりますね。渋い。渋すぎる。カッコイイ。


****


ラスト。

書き割りのように存在していた「名もなき市民」たちがカメラ目線でジッと観客の方を見てきます。

「お前だってそうだろ?」と。

恐ろしい映画でございました。。



***



***


以下ネタバレ
当然ラストは本屋は無事継続できることになって、ガマート夫人は没落して一件落着!かと思ってずっと見てましたよ。。

まさかの本屋閉店。。何この映画。。

で、どういうわけだか女の子が店を放火しちゃう。
その炎を見ながらフローレンスは船に乗って街を出る。。

****

何も考えずに傍観したり同調したりしてたエキストラみたいな町民がカメラ目線でこっちを見てきてましたね、ラスト。

「お前もだろ」ってことですかね。
お前だって傍観者だろと。

はっきりとした意志を持った映画でしたね。

****


で、ナレーション。
ナレーションいらないな〜と思ってたんですが、これが店番やってた女の子でしたね。
成人して、フローレンスさんの意志を引き継いで本屋を営んでいる。
彼女の勇気は滅びずに繋がれていったのでした。






ファッションが教えてくれること(2009年製作の映画) THE SEPTEMBER ISSUE

2019-04-13 | 映画感想
ファッションが教えてくれること(字幕版)


原題は『九月号』。かっこいいねぇ。

****

『プラダを着た悪魔』の鬼編集長のモデルにもなったVOGUE(ヴォーグ)の編集長アナ・ウィンターが主役。

一年で最も分厚い九月号の編集を追いつつ、アナやアナに翻弄される人々の悲哀(?)を描いてます。


****


プラダを着た悪魔でメリル・ストリープが演じた役よりも
アナ本人は軽やかですね。

しかも、怒らない。怒らない。
大事なことなので二回書きました。

怒らないんですよ。
ただ冷徹に連続でボツ出します。

何百万かけて撮った写真でさえ「重い」とか言ってボツに。

どんなに素晴らしい写真でさえ、「白黒はもういい」とバッサリ。


****


即断即決でボツをだしていくアナに対して
周りの人たちは「ありえない!」と影で不満をぶちまける。


ただし責任を全て負うのはアナひとり。
とにかく全部の責任をアナは背負うつもりで決断する。

「スタッフが頑張ったから」
とか「金と時間かけたから」
という理由で甘い判断は絶対にしない。

それがカッッッコいい。。

実際にアナが上司だったら嫌だし、
近くにいられるだけでも嫌だろうけど、
大丈夫心配いらない。

僕はアナの部下になれるわけはないし(なったら即死する)、
アナに近寄れる機会も1秒もない(近寄っただけで血尿出る)。


****


アナとの対比で
編集スタッフやカメラマンがとても人間らしく見える。

つったってこの人たちだって地球上稀に見る天才たち。

しかし、
彼女らは自分の企画や写真が多く選ばれることに執着している。

「また私の写真が外されたわ!」とあからさまに機嫌が悪くなって、ドキュメンタリーのカメラの前でアナをいじめる発言をしたりする。

それはとてもとても人間らしく愛らしいんだけど、
アナの仕事人としてのプロフェッショナルさと比べるととても幼稚に見えてしまう。


****


とはいえ、映画としての楽しさはスタッフたちの心模様。

子供のように怒ったり喜んだりする姿に安心するし、
「結局、私の号になったわ」と笑顔になるのはかなりのカタルシスが得られる。


****


10年も前の映画だったか。。

そして今現在もアナは編集長。

ロマンティックじゃない?(2019年製作の映画) Isn’t It Romantic

2019-04-11 | 映画感想
面白い!
ラブコメパロディ(批判)コントをテンポよく、芸達者たちが一度も滑ることなく魅せてくれます。

んで、
「つまりラブコメってのはなんだ」という原点に主人公が気づいて終わり。
お見事。


悩める主人公の横で都合よく使われて来た〝ゲイの友達〟問題に触れて、謝罪もありつつ、感動。


軽さが魅力の映画なので、レビューもあっさり。

インディーズ映画の快挙 名作青春映画『アメリカン・スリープオーバー』

2019-04-10 | ネタバレあり
アメリカン・スリープオーバー [Blu-ray]




#アメリカン・スリープオーバー は
日本未公開だった2014年に上映会やったら連日満員で

日本語BD+DVDのクラウドファンディングに成功
劇場公開され
ネトフリで配信もし
現在はレンタルもされてる!
インディーズ映画の快挙なのです!

四コマ映画アメリカンスリープオーバー→

芳華-Youth-(2017年製作の映画) 芳華/Youth

2019-04-08 | 映画感想


芳華-Youth-(字幕版)



素晴らしい青春映画。今年ベストかも。

今年この衝撃、この広がり、
そしてピンポイントをぶっ刺してくるこのエネルギーを超えられる映画出てくるでしょうか。

芸術の存在意義を台詞でなく芸術そのもので見せてくれる。
最高!谢谢!


ダンスシーンは絶対に完全に素晴らしい!


****


135分間全く眠くない。

兵士を慰問する軍の芸能団の若者たちの話です。

舞踊と歌と演奏をするのが仕事。
前線に赴いて自分たちの芸術で兵士たちを励ます。

どこかほのぼのとしてるんです。
全寮制ですが、ゆるさもあるし、青春の瑞々しさと華々しさを最高に素晴らしい映像と数々とエピソードで見せてくれます。


****


ちょっとしつこいかな?と思わないでもないんですが、大丈夫。

なぜなら彼らが着ているのは軍服。
後ろに走るのは巨大な戦車。
舞踊のラストにはみんなライフルを持って決めポーズ。

じわじわと不吉な空気が充満しているのです。

このあととんでもないことが起きることはこの映画の映倫区分がPG12であることから明白なのです。

****

からのPG12。
中国ベトナム戦争。

ワンカットでの凄惨な最前線描写。

手榴弾から火炎放射器から戦車から野戦病院からすべてジェットコースターのように見せられます。

歪んだ英雄思考も織り込んで、
単なるアクションではなく本当の意味での人間ドラマ、本当の意味での反戦を訴えてきます。


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あーもーこんな文章ではまったく表現できねえ。。。


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俳優さんたちの演技がみなさん素晴らしいです。

こんなにも美しくこんなにも力のある俳優さんがこんなにもいるのかいな。


****


これは年末あたりに、観なかっことを後悔するタイプの映画だと思いますよ。


近くでやってるうちに!
もしくは、近くで始まったらすぐ観て!


芳華-Youth-(字幕版)