映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』 父親は家族を守る、母親はギャーギャー騒ぐ 

2023-01-31 | 映画感想
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター(2022年製作の映画)Avatar2/Avatar: The Way of Water上映日:2022年12月16日製作国:アメリカ上映時間:192分
監督 ジェームズ・キャメロン
脚本 ジェームズ・キャメロン ジョシュ・フリードマン
出演者 サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ シガニー・ウィーバー スティーヴン・ラング ケイト・ウィンスレット



父親は家族を守る存在であり、
母親はなんかギャーギャー騒ぐ存在って感じだった。

上司の妻(ケイト・ウィンスレット)にたてつくやっかいな存在でもあったし。

それでいて
夫(父親)を最終的には認めて頼って敬う存在。

↑ハリウッド映画にはよくあるタイプの母親(妻)像。

父親(夫)は全体的なことを見通して行動する英雄的な人物。
母親(妻)は半径1メートルのことしか考えられない狭小な人物。

この家族観、男女観はものすごくひっかかった。

こんな価値観のものをスッキリと楽しむことは難しい。。

**

パヤカン兄さんカッコイイ!

**


4DXで観ました。
観たっていうか乗った。
アトラクションですね。

椅子から落ちるかもと思うほどに揺れたし
なんか首筋に空気がプシュプシュ出てくるし
スプレーで割と濡れるし
爆破のシーンでは首筋にあったかい空気出てくるし
森のシーンではちょっといい匂いしてくるし
足元もビニールチューブがパタパタ当たってくるし
弓矢で誰かが射られるたびに俺も背中にダメージを喰らうし。。。

もうね、、、話なんか入って来ねーのよ。。
で、前作の話も覚えてないし。。
前作の復習もあんまないし。。

なんかよくわかんなかった。

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ただ、映像とアクションはホントに面白かった。

ラストの戦艦バトルはアイデア満載でずっと面白かった。
1時間くらいやってたよね、あのバトル。。

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マーベル系はアクションになるとぜんぶCGになっちゃうから全然リアリティないし何にも気持ちが乗らない。

このアバターは、ちゃんと人間が演じてるので、動きが野暮ったい。
それがいい!!

特に今回は水中を移動するので、「疲れる」とか「息が切れる」などのスリリングさはやはり人間が演じてることでの説得力をものすごく感じた。

これが全部CGだったら「息が持たない!!」みたいなシーンをやられても、、「どうせCGのくせに何やってんの。。」と冷めたはず。。

あのアバターの青色人間の後ろにちゃんと俳優の顔や肉体が見えてきたから、水中に潜るたびこっちも息吸ったし息苦しくなった。

なんか疲れたもん、見終わったとき。。
200メートルくらいは泳いだことになってると思う。

人間が演じたことは価値はめちゃくちゃありました。
ありがとう!

**

あとはパヤカン兄さんね。

パヤカン兄さんカッコいい。。。

レギュラーメンバーとして活躍して欲しい!

**

とは言え、、シリーズ5作までやるんでしょ。。。
この家族観、、この男女観はやばくない??

現実世界はどんどん進んじゃうよ。

軌道修正すべきだけど、うまく修正できるかなぁ。。。

映画『桜色の風が咲く』 盲聾の少年とその母 

2023-01-22 | 映画感想
桜色の風が咲く(2022年製作の映画)
上映日:2022年11月04日
監督 松本准平
脚本 横幕智裕
出演者 小雪 田中偉登 吉沢悠 吉田美佳子 山崎竜太郎 札内幸太 井上肇 朝倉あき リリー・フランキー


コロナ禍入ってから1番泣いた。

マスクがびしゃびしゃになったから。
マスクしながら泣いたらマスクびしゃびしゃになるのね。
この映画に出会うまでは知らなかったよ。


**


聖人が1人もいないのが良かった。


下手したら24時間テレビ愛が地球救っちゃう系の映画かもという心配はあったし
そこまでじゃなくても、
教科書的な、道徳的な映画に収まってる可能性は高かったので、心配はありました。


**


「死にたいならお前1人で死ね!」というセリフが出てくるような映画だとは思わなかった。
素晴らしい。


人物に奥行きがあって豊かでした。


**


書きたいこといっぱいある。


**


医者に対する不信感がずっとあるのがいいですね。


単純な難病者だと
親は混乱しつつも医者の言うことをまるっと信じるし
医者が間違ってるかも知れないなんて言う可能性は映画の中で1秒も匂わされない。


確かにありますよね。
医者からの説明が難解だし早いしで
「もう考えるのやめます。医者の言う通りにします」と思う瞬間。


僕も犬飼ってて動物病院よく行きますけど
信じてまかすしかないし、任すなら諦めるしかないもんね。。


その医者に対する不信感が描かれてたのが最高。


しかも「奥田式」!!!!!
奥田式最高!!!!!!!!


奥田式をやっちゃう智と妻がに対して「バカなのか」と怒る夫もいて面白い。


凡百の難病実話モノだったら奥田式出てこないよねえ。
(出てたらごめんなさい)


**


てか、あの天才子役は誰よ。


最初の智。3歳くらいでしたよね。
まずそこから描こうという製作陣の意気込みが好き。


あれはアニマトロニクスじゃないんですよね。
人間なんですよね。
なんなのあの脚本に沿った動き。しかもら自由に動いてる。


さらに9歳くらいなのかな。
次の智も素晴らしかったですね。
長台詞も自然にのびのび言えてました。
なんなの?怪優なの?


**


聖人が1人もいなかった、て言うことで言うと。


僕はあの母親像がちょっと怖かったんです。
それが良かった。


しょうがなかったんだとは思うけど、智にのめり込む姿がちょっと間違ったら毒親になりかねなかったと思う。


それを2人の兄と夫が食い止めていたんだと思う。


**


2人の兄は〝きょうだい児〟ですね。


きょうだいに障がい児がいる子供。
どうしても親は障がいがある子に集中してしまって、自分は甘えられず早く大人になることを要求される。わがままを言いづらい。


その描写があったし、事実通りに兄が2人いるとこも良かった。
2人いることで家庭を維持する夫の大変さもわかるし、
2人いることできょうだい児としての辛さが軽減されたのかなとかも予想できるし。


ただ、上の2人が大人になったときに(1番上の兄は社会人になってましたよね)、
会社や学校で
「それよりお前の弟って…」とか同僚や友達に言われて微妙な気持ちになったり、もうそれを弾け飛ばせるくらい大人になってるというシーンがあってもよかったかなと思いました。


**




それで言うと智の友達の山田くんと増田さん。


この2人も泣かせてくれましたが、
増田さんがもうちょっと人格があればなぁと思いました。


ちょっと青春のヒロイン過ぎたかな、と。
とても素敵な女性ではあるんだけど。
盲のピアニストを目指す彼女にも爽やかなだけではない側面もあったはず。


**


↑と物凄く贅沢な要求をしたくなるくらいに、夫の描写が素晴らしかったのさ。


なんか人気ないみたいですね、この夫。


妻に対して「教える」みたいな語り口で話してくるのがうざいですよね。
夫が教師だからですかね。上からになっちゃう。


優しい人物ではないけど、彼は仕事をしていて(教師でしょ。教師が死ぬほど忙しいの皆知ってるでしょ)、2人の男の子がいる家庭をほぼワンオペなわけでしょ。


妻に対する不満だってそりゃ出てくるでしょ。


この夫によって妻が智にのめり込むのを制御していた役割もあると思いますよ。


智が母親に言う「そう言うのがうざいんだよ!」てセリフは理解できるもん。
智のことを勝手に不幸だと決めつけすぎて不安になったり自傷行為をされてもウザいもんね。


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「死にたいならお前が1人で死ね」と夫が妻に言うシーン。


これ相当勇気のいるシーンだと思いますよ。
ドン引きする観客が多く出るのはわかっててのシーンですよ。


勝手に智の未来がないと決めてんじゃねぇよ、
兄2人と夫(俺)もいるのに何人生詰んだみたいに思ってんだよ
という意味だと思います。
だから妻はあそこで反論しなかったのでは。


あぁわたしまた智にのめり込んでしまってる。


夫は妻を現実に引き戻す役割を担っていたんだと思います。


**


ま、この夫婦がもっとコミュニケーションとれていれば…とは思うけど
まぁ難しいですよね。。。


そんなに難問がない夫婦でさえもコミュニケーション取れてない場合があるんでしょ。


**


あとはなんか書くことあるかな。


智が結局東京大学の教授になるという事実を僕は知っていたので、かなり安心して見てられました。
それでも何度となく泣きましたが。。


これ知らないままで観たらどれほど不安でしょうか。。
劇場から逃げ出す人もいるかもね。。


東大教授になれたってのは、やっぱり智の前向きで、適度な(過剰な?)わがままなキャラクターもあったからだと思うし
それはやっぱ両親から受け継いだものなはず。


**


ビールのシーン良かったですね。


あのビールでわかるもんね。
お前も大人なんだな。
俺たちの手を離れていくんだな。
それは自分で責任を負うことなんだぞ。
というのが一切セリフなく、むしろコメディシーンの中で伝わる。


相当良いシーンだと思うんだけど。


**


全体的に説明台詞ではなく語られるシーンが多飼ったと思います。


病気の話なので病気や病状については説明するしかないんだけど、映像や暮らしの中でのセリフで語ってるシーンも多くて、「あぁちゃんとした映画観れてるぅ!」と嬉しくなりましたよ。


**


音楽もうるさくなくて良かった。


かなり好きな映画!!!

桜色の風が咲く(2022年製作の映画)
上映日:2022年11月04日
監督 松本准平
脚本 横幕智裕
出演者 小雪 田中偉登 吉沢悠 吉田美佳子 山崎竜太郎 札内幸太 井上肇 朝倉あき リリー・フランキー

映画『ケイコ 目を澄ませて』 傑作じゃった。。 

2023-01-22 | 映画感想
ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)
上映日:2022年12月16日製作国:日本上映時間:99分
監督 三宅唱
脚本 三宅唱 酒井雅秋
出演者 岸井ゆきの 三浦誠己 松浦慎一郎


傑作じゃった。。
映画館で観てよかった。。
危なかった、配信まで待つところだった。。
あぶねーあぶねー。。


なんとも幸福な映画体験だった。
がっつり自分とスクリーンが結びついた。
観客のほとんどがそうだったのでは。


あの静かなエンドロールで誰も立たなかったもんね。
テアトル新宿最高!


**


「ろう者役はろうの俳優に」という声についても監督は悩んで誠実に対応されたと思います。
インタビューでも正面からちゃんと語っていました。


最善の解答だったかはわからないけど、
最善の映画にはなっているのではないかと思います。


聴者がろう者を演じてる=ダメな映画、ではないはずだし。。


**


岸井ゆきのの演技は誰もが絶賛するはずだし
三浦友和も助演賞獲ればいいし
16mmフィルムの映像も素晴らしいし
もうホントに感動した。大感動した。


**


が、やっぱり「感動」にねじ伏せられる何かがあってはいけないと思うんよね。


芸術のために踏み躙られてる誰かがいないかどうかは注視しとかなきゃいけない。


過渡期っ!!!


映画『世界は僕らに気づかない 』

2023-01-14 | 映画感想
株式会社レプロエンタテインメントに所属する俳優6名を主演にした映画を6本制作する「感動シネマ」という企画の中の、堀家一希主演の今作。

それだけに堀家一希の熱演は観る価値がある。

**

決まりきった幸せの形に吸い込まれていく過程が怖かった。

途中何度も十字架が映っていたので不穏に思っていたが、あのラストへの一本道を示唆していたのか。

いろ〜〜〜んな属性の人間が出ていたのに、一本道でございました。。。。

ちょっと久々にびっっっっくりした。。。。

**

岩谷健司が出てるシーンは突然レベルアップして全部良かった。

映画『西部戦線異状なし』(1930) 政治家や将軍やらを下着姿にさせて戦わせるんだ 

2023-01-12 | ネタバレあり

西部戦線異状なし(1930年製作の映画) ALL QUIET ON THE WESTERN FRONT 製作国:アメリカ上映時間:136分
監督 ルイス・マイルストン
脚本 マックスウェル・アンダーソン デル・アンドリュース ジョージ・アボット
出演者 リュー・エアーズ ウィリアム・ベイクウェル ラッセル・グリーソン


「戦争が起きた時はこうしよう。
広いところにロープを張る。
そして王様や政治家や将軍やらを下着姿にさせて戦わせるんだ。」byカット
マジでそうして。
**
同じく戦争映画である
第1回アカデミー賞作品賞『つばさ』(1927)と比較しても
第3回アカデミー賞作品賞であるこの『西部戦線異状なし』(1930)は特段に映画としての技術が向上してますね。
**
冒頭の字幕。

「この物語は告訴でも告白でも冒険物語でもない。
死と向き合う人間には冒険などはない。
これは砲弾から逃れたが戦争によって破滅させられた若者たちの物語である。」
**
呑気な街の暮らし。
出征していく軍服の男たちを街の人が手を振って送り出す。
誰も戦地の惨劇など知らない。
(1900年初頭の話。銃後の市民が戦地の情報を知らないのも無理はない。でも現代では世界のどこでも戦争の情報は知れる。)
年末までに勝利を納めるのだ。
君らの命は国家のものだ。
祖国のために戦うことを誓うのだ。
教師が生徒たちに教え込む。
母は軍服を着た息子を見て苦しむ。
父は嬉しそうに息子を讃える。
息子は母の思いを知るが、世の中に飲み込まれる。
「大義名分のもとで個人的な野心は捨てるべきだ!」と教師
若者たちは軍隊に志願する。
明らかに狂ったような描写。
**
↑この感じは2022年版でも踏襲されてますね。
2022年版の「ママの言いなりか?」と揶揄されるのはここの引用だったんですね。
ドキュメンタリー映画『彼らは生きていた』でも語られていたけど、
若者たちは全く実情を知らされておらず、全員ピクニック気分。
**
上官は郵便屋のおじさん。
みんな親しみをもっていた彼だったが、一点して厳しい上官になっており、整列させられる。
「自分の将来など考えるな!お前らは兵隊になるんだ!」
**
軍隊訓練をさせられる若者たち。
「体が汚れた!許せない!」
夜中、上官を捕まえてリンチして袋に入れて水たまりに落とす(すげーな…)。
**
前線近くの宿舎には古参兵たちがいた。
その1人がカット。
カットが近所から豚を一頭盗んでくるシーンはコメディシーン。
カットら古参兵が若者たちの父親役となり導いていく。
**
「ベームが死んだ!友達だ!」
「彼はもう死体だ」
塹壕が攻撃を受け、発狂していく若者達。
**
そもそも何で戦争が起きたんだ?
国が国を侮辱したんだ
ドイツの山がフランスの平野を侮辱したのか?
誰かが相手を侮辱したのさ
なら俺は関係ない
きっとイギリス人が悪い
違うな戦場で初めてイギリス人に会った彼らも初めてドイツ人と会ったはずだ
はじめて会ったのにお互いを憎しみ合うはずがない
皇帝自身が戦争を望んだのかも
俺は望んでない
資産家が儲かる
戦争が起きる時はこうしよう。広いところでロープを張る。そして王様や政治家や将軍やらを下着姿にさせて戦わせるんだ。
**
爆撃シーンがいっぱいあるんだけど、、
当時の映画撮影って特効の安全基準とかなさそうで、、
爆薬の量も凄いし妙に人と近いし、木とか石とか飛んでくるし。。
**
弾孔でのフランス兵士との(地獄の)交流も1930年版も2022年版にもあるんですね。
「死んでしまった。これで俺より楽になれる。軍服を着てなければ友達になれたのに。」
**
ラストネタバレは以下に



1930年版にはフランス美女とのラブパートがあるんですね。 ロマンチックなシーンにしてるけど、娼婦宿のように使っただけ。
2022年版ではオミットしてて良かった。
**

途中で休暇で実家に帰って家族と団欒したり、 中打ち上げみたい場でみんなでビール飲んだり ゆるいシーンも多い。
でももちろん大事で、 銃後で生きてる人たちと前線で命を賭けて戦ってきた兵士たちの差を見せつける。
**
「彼は命を捨てろと言ってる。今では子供まで戦地に送ってる。我々は敗戦に向かってる。あなた方はまだわかってない。泥に塗れて寝て食べて常に死と隣り合わせ。あなたには決して理解できない。明日戦地に戻る。休暇はあと4日あるがもう我慢できない。」
ポールは、机上の空論で軍事作戦を語る年寄りや若者を煽動し続ける教師たちに呆れて、戦地を選んだ。
戦地に戻ると16歳くらいの子供たちが兵士として連れられていた。
2022年版でラストに出てきた少年はこれを表してたんですね。
「若い奴が増えた。荷物も持てない。すぐに死ぬ」
「ドイツはじきに空(カラ)になる」
ポールとカットが久しぶりに出会う。
ポール「後輩に命の大切さを話したら臆病者だと言われた。またアンタと会いたかったんだ。少なくともここには嘘がない」
カット「フランスには飛行機も戦車もある。ドイツには全てが足りない。」
爆撃を受けてカットは足の骨を折ってしまう。
ポールがカットを背負って帰る。
帰る途中、再度爆撃を受ける。
破片が首に刺さりカットは死亡。
それを知らずにポールは「戦争が終わったら一緒に何かしよう」と話す。
塹壕にいるポール。
塹壕の外に蝶がいる。
蝶を捕まえようと手を差し伸べるポール。
銃声。
ポール死亡。

戦地に向かう兵士たちの背中。
1人ずつ振り返り顔を見せる。
『彼らは生きていた』でもあった映像に似てる。
透過したもう一つの映像は、白い十字架の墓碑が一面に広がる平野。
おわり

『西部戦線異状なし』(2022)ラストネタバレあり アカデミー賞有力候補

2023-01-11 | ネタバレあり
とりあえず5にしますね。
だってこれ5じゃない?
5じゃないの?

「戦争映画だけど観客を喜ばせるために美女との恋愛パート入れとくか」みたいなシーンがない。

映像もすごいんだけど
「映像すごいっしょ!俺らすごいっしょ!」感がない。


****

『西部戦線異状なし』は1929年1月に出版された小説。

「反戦文学とも解釈できる。それ故にナチ党政権下では所有が制限され、(作者の)レマルクもユダヤ系、非国民、フランスのスパイなどと言われのない迫害を受け、最終的に国外亡命を強いられた。」Wikipediaより引用

1930年代初頭にナチズムが台頭してきたとのことなので、
「また戦争に突入するかも」という空気の中で小説『西部戦線異状なし』は読まれていたわけですね。

そして翌年1930年にはアメリカの監督ルイス・マイルストンによって映画化。
映画版『西部戦線異状なし』は第3回アカデミー賞最優秀作品賞など受賞。


***

『西部戦線異状なし』(1930)は見たつもりでいたけど見てなかったですね。
西部戦線をドイツ側から描いてる話なんですね、それさえ知らなかった。

中学の社会の授業で『西部戦線異状なし』(1930)を見せられたんですが、怖すぎてずっと下向いてました。。
だから全然観てなかった。

でも、『彼らは生きていた They Shall Not Grow Old』とか『1917 命をかけた伝令』とか『戦火の馬』は観てたから知ってるつもりでおりました。。

観なきゃね、『西部戦線異状なし』(1930)。

***

ちなみに今作『西部戦線異状なし』(2022)は『1917 命をかけた伝令』よりも圧倒的に素晴らしい。

ドキュメンタリー映画『彼らは生きていた They Shall Not Grow Old』(2018)に匹敵しそうなくらいに素晴らしい。
(匹敵はしない。するわけない。『彼らは…』は事実だから。実物だから。全部。死体とか傷とかが。。)

***

さて、今作『西部戦線異状なし』(2022)、題材が題材だけに言いにくいけど面白い。。

ネズミの大移動とか連合軍の戦車の登場とか。
本当に申し訳ないけど映像的に面白い。。
そして、繊細で人間的な描写の積み重ねがあって人間ドラマとしてもとても最高。

***

時は1918年。
でも劇版はビッキビキ。
重厚なオーケストラ、もしくは悲しげなピアノが流れそうだけど、否!
ビッキビキの電子低音が響く。

つまりあ〜これは昔話ではないと言ってるわけです。
全然現代の話。今の話。

特にラストがホントに現代っぽすぎてうんざりする。。
今作った理由がよくわかる。
しかもドイツが作ったわけでしょ。。もうホントに。。『西部戦線異状なし』(1930)になりませんように。。

**

歯が汚い。素晴らしい。

昔の戦場にいるのに俳優の歯がめっちゃ白いとかめっちゃインプラントとかだと冷める。
歯を抜けとかガタガタにしろとは言わないけど、真っ白ツルピカは冷める。

この映画はみんな歯が真っ黄っ黄。
素晴らしい。

**

1918年の西部戦線




**


靴や職人のカットが良かったですね。
俳優さんはアルブレヒト・シュッフ(Albrecht Schuch)さん。

目がキレイだった。この人が同じチームだったどれほど心強いか。安心して心を寄せられる人物。
温かな演技だけではなく、手榴弾を防空壕に投げ入れた後の表情さえもいい!(巻き戻して再生したくらいに)
最初から最後まで素晴らしかった。この人の映画だったのではないか。

***

ロケもいちいち良かった。
神秘的にも見える森の中も、廃墟の街も、絶対一回も行きたくないと思う塹壕とか、野戦病院と化した教会とか、高級そうな寝台列車とか。

ロケが豪華だった。。

ドイツの気合いを感じる。
何の気合い?
反戦だろうよ。

***


ラストネタバレは以下に。









エルツベルガー、フランスと休戦交渉する人。
 エルツベルガーは新政府側の民主的な人。
 1921年にドイツ国内の右翼によって暗殺される。

 ラスト。

 西部戦線が膠着し長期化。 
ドイツ国内でも経済が停滞し飢餓状態に。
 国内では軍部への反発と反戦のストライキが激化し、帝政ドイツは倒れた。 議会制民主主義を旨とするヴァイマル共和国が樹立。 
(翌年、当時もっとも先進的な人権規定をもっていたとされるヴァイマル憲法制定) 

休戦協定が結ばれ、 1918年11月11日11時に休戦することが決定。 

あと少しで戦争が終わって家に帰れると言う雰囲気の中、 パウルはガチョウを盗もうとして民家に侵入。 
外で待っていたカットが幼い息子に銃撃される。 
パウルに背負われて基地に戻るも戻った時にはすでにカットは死亡していた。

 ドイツの前線の将軍は民主主義の新政府に反発し、11日の11時までは連合軍への攻撃を続けろと命令。 

「もう人殺しは懲り懲りだ」と反発するドイツ兵士たちは射殺された。

 10時45分、西部戦線に戻ったドイツ兵たちはリラックス中の連合軍を襲う。
 パウルが心臓を銃剣で刺される。
 11時。
 休戦。

 ドイツ兵も連合軍の兵も途端に戦いをやめ、帰路に。

 ほんとに少年のようなドイツ兵が死んだドイツ兵のドッグタグを回収する。 パウルのドッグタグも回収する少年兵。

 字幕。
 西部戦線は1914年から1918年の間ほぼ動かなかった。
 数百メートルの陣地わ得るために300万人以上が死亡。
 第一次世界大戦全体では約1700万人が死亡した。

 終わり

映画『LOVE LIFE』 人間を全肯定するようなロングショットの長回し

2023-01-06 | 映画感想

LOVE LIFE(2022年製作の映画)上映日:2022年09月09日製作国:日本 上映時間:123分
監督 深田晃司
脚本 深田晃司
主題歌/挿入歌 矢野顕子 
出演者 木村文乃 永山絢斗 砂田アトム 山崎紘菜 神野三 鈴田口トモロヲ 三戸なつめ 福永朱梨 森崎ウィン


↑え、森崎ウィン出てた?

深田晃司は刺さりすぎて疲れるので精神に余裕がある時じゃないと観れなくて、、年を越してやっと観れました。

「あ〜映画を観れてる!あ〜映画だ!」と幸せに思いながら観ました。
好き。

**

何から書けばいいのか。

色んな要素がテンコ盛りという点では
滝口竜介監督作の『ドライブ・マイ・カー』を、
人間の自由さと怖さという点では同監督の『寝ても覚めても』を想起しました。

(え?てか『寝ても覚めても』ってフィルマークス3.5なの??)

テンコ盛りなんですよ。
本気出せば8本映画撮れたと思いますよ、この内容から。

神野三鈴パートだけで2本いけるでしょ。

面白かったですね、怖かったですね。
神野三鈴。。

**

木村文乃の若い女優さんには珍しい、アンドロイド感というか、ステンレス感というか、人間離れ感がこの映画の主役にはとても合っていました。

正直初めて良いと思いました。。

**

砂田アトムがすごい。
存在としてはほぼ妖精。

そして闖入者であり、ラブストーリーの主役でもあり、しかもめちゃくちゃメンターという重責を可愛らしく軽やかに演じてました。

**

大林宣彦監督作で鍛えられてきたのがこういう時に発揮されるんですね、山崎紘菜。

凡百の美人若手女優がやったらただ嫌われる役ですけど、面白いよね。
もちろん深田監督のセリフあってのことだけど、「こういう時も目合わせないんですね」を一回ニヤッと笑ってから言うシーン!
あれいいですね。

単純に怒るんじゃなくて呆れてる。
「はい、コイツやっぱだめ」と烙印を押した瞬間。面白い。


**


こういう登場人物が全然じっとしててくれない映画が好き。

大人しく言うことを聞いてろ
わーわー騒ぐな
いちいち逆らうな
と言われる世の中で、この人たちは勝手勝手勝手。

自分1人のために勝手なことしてるわけじゃないですよ。
自分の心に素直に動く。

フェリー乗り場のシーンでは拍手しそうになりましたもん。
「行け行け!行ったれ!」と。

しかしフェリーで辿り着いた先では主役なのにモブに。。。
ホント面白い。。。
この突き放し方が好き。

**

ラストシーンも最高でした。
じっくり長回し。

人間を全肯定するようなロングショットの長回し。

**

で、ここまで褒めといて5じゃないっていう。。
深田晃司にはもっと期待しちゃうんだよね。。

2022年映画ベスト10 五十音順に!

2023-01-01 | 映画感想
2022年映画ベスト10
五十音順に!


あのこと

イントロダクション

さかなのこ

スワンソング

ふたつの部屋ふたりの暮らし

リング・ワンダリング

ロストドーター


今年全然映画観れてないのでランキングできない(しなくていいのも知ってます…

 映画『沖縄スパイ戦史』兄貴は軍服をいつまで着せられているのだろうか

2023-01-01 | 映画感想
今ネトフリで配信中の『First Love 初恋』にハマった方は是非コチラも。
主演の佐藤健が自衛隊員でしたし自衛隊が協力して戦闘機や色々カッコいい映像見れました。
自衛隊は国民を守るって言ってました。
是非この映画を観てね。

**

沖縄戦については色々映画見てきたけど
この映画は1番辛そうでハードル高くて観ていませんでした。
『生きろ 島田叡ー戦中最後の沖縄県知事』を観た流れで今しかないと思ってアマプラ再生!

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日本には現状たっくさん問題ありますが
まずはこの『沖縄スパイ戦史』が劇映画になっていないことが問題。
エンタメが豊かな国であれば、賛否はあれど、この重要な歴史的事実は100パー劇映画になってるはず。
だってドキュメンタリーの方が誰が何したかわかっちゃうからハードル高いはずで、
ノンフィクションエンタメ映画の方が作りやすいはず。
なのにそれを許さない日本社会。
そしてそれができない日本エンタメ界もほんとイマイチ。。

**

ポル・ポトと同じことを沖縄県民に強いていたし
そのあと本土でも同じことをする計画があったことが文書に残ってるとのことなので、沖縄だけの話では全然ない。。
**
10代半ばの少年兵たちが爆弾を背負って戦車に突っ込んで爆死するという任務に失敗して米軍に銃殺された姿の写真とかが出てくるので、
なかなか観るだけでも打撃を受けます。。
ただ、史実だし
つい数十年前のことだし
それが全然ほぼ何も変わらず沖縄を苦しめている
ということを知っている大人が1人でも多くいた方がいいと思う。

**

以下、観ながらメモったこと

護郷隊の歌

赤き心で 断じて為せば
骨も砕けよ 肉また散れよ
君捧げて 微笑む男児

陸軍中野学校の歌でもある。
「君」は天皇陛下のこと。
天皇陛下のために骨を砕いて肉を散らせて微笑む男児が「善き日本人」であるという歌。

以下は護郷隊の一員で15歳で戦死した久高良夫さんの弟 久高栄一さんの歌。


護郷ぬ戦 勤みんすまちゃしが
(護郷隊の務めは 済んだはずなのに)

兄貴ぬ軍服や 何時までぃ着しらりが
(兄貴は軍服を いつまで着せられているのだろうか)

雨風に打ってぃ 白骨になてぃん
(雨風にさらされ白骨になっても)

捜てぃ帰すしどぅ 国ぬ責務やしが
(野山を探して家に返すまでが 国の務めではないのか)

切り込み隊員戦車爆破隊
爆弾を背負って戦車に突撃する少年兵
逃げる時間はない 

「泣くにも泣けない」
「生まれなければ良かった」
「生まれなければ親に心配かけることはなかった」
「生まれなかったと思ったらいい」

「こちらは銃でパンパンと撃つ」
「米軍は機関銃でデレレレレと撃ってくる」
「薬莢が山のように積んであった」
「これは負けると思った」

米軍が来れないように橋を壊して回った
でも米軍はすぐに鉄パイプで橋を作って渡ってきた

むしろ北部に避難する住民が橋を渡れなくなり、荷物を捨てざるをえなくて大量の餓死に繋がった

「沖縄の子供を装った兵士がいる」と米軍が気付いたのは1945年5月。

沖縄の方言は禁止された。
日本兵には方言がわからないから秘密の話をして米軍のスパイと疑われるから。

沖縄の住民を強制的に戦闘に参加させたくせに
そのことで軍の機密情報を知った住民が米軍に漏らすのではないかと日本軍は疑心暗鬼になった。

スパイの疑いをかけられた住民は殺された。

日本軍の秘密基地で働かされた少女も基地の場所を知ったと言うことで殺されそうになった。

↑やってることめちゃくちゃ。。

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僕は今東京都の中野区に住んでます。
陸軍中野学校があった中野。
(中野サンプラザとかのあたりに陸軍中野学校があった)
陸軍中野学校では秘密戦に関する訓練を行なってスパイを養成していた。
『ONODA 一万夜を越えて』の小野田少尉の出身校。
自分が住んでいるめっちゃ近くでスパイが養成されて、
沖縄での住民虐殺や戦争マラリアや
小野田少尉によるフィリピン民間人への件など
とんでもないことが引き起こされていて
「映画を見れば知れること」くらいを知らないわけにはいかないという思いがあります。

映画『あのこと』強〜〜〜〜烈な男女の不均衡さ

2023-01-01 | 映画感想

あのこと(2021年製作の映画)L'événement/Happening上映日:2022年12月02日製作国:フランス上映時間:100分ジャンル:ドラマ
監督オードレイ・ディヴァン
脚本マルシア・ロマーノ オードレイ・ディヴァン
原作アニー・エルノー
出演者 アナマリア・バルトロメイ サンドリーヌ・ボネール ケイシー・モッテ・クライン ルアナ・バイラミ ルイーズ・オリー・ディケロ ルイーズ・シュヴィヨット



感想書けずに放置してた系。


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僕はこの映画からだいぶ遠いところにいるんですけど
言うても〝男〟なので
強〜〜〜〜烈な男女の不均衡さを見せつけられて居心地が悪くなりました。

でも僕は映画を見て居心地悪くなっただけ。
体に変化はないし人生も変えなくていい。

〝男〟である僕が言葉を発することも躊躇われるような不均衡さが、映画の外の現在もバリバリ残っていて、
もう一体何を書けば良いのかと。。

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てことで児玉美月さんのコメントを転載。



この映画のカメラは決して少女から目をそらさない。
「選択肢はない」女性の身体の行方が「運任せ」にされてしまう悲劇から、わたしたちが目をそむけないために。 




続いて小池真理子さんのコメント



「あのこと」以外、何も考えられなくなる。世の中のことすべてがどうでもよくなる。すさまじい恐怖、怯え、孤独......いつの時代でも、女性が抱え込むものは変わらない。映画に登場する学生たちの中に、若かったころの私自身のまぼろしを見たように思った。


https://amp.natalie.mu/eiga/news/502302

公式サイトにもコメント掲載されてますが
↑こちらがまとまっていてわかりやすい。

みなさんのコメントの熱量がすごい。


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仏映画「あのこと」宇垣美里、清水崇、津田健次郎ら著名人26名のコメント到着第78回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得したフランス映画「あのこと」より、26名の著名人コメントが到着した。amp.natalie.mu


一点突破映画でした。


この一点でものすごく起伏もあり展開もあるサスペンスだった。
一本の映画として勘弁してくれと思うほどの威力がある。

〝あのこと〟だけで最後まで〝持つ〟と思っていなかった自分が恥ずかしい。。


ドキュメンタリー映画『生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事』 ネトフリで観れる

2023-01-01 | 映画感想

生きろ 島田叡 戦中最後の沖縄県知事(2021年製作の映画) 上映日:2021年03月20日製作国:日本上映時間:118分 ジャンル:ドキュメンタリー
監督 佐古忠彦


まずチャラいことを書く私をお許しください。

山根基世に紫綬褒章を授けていないことがそろそろおかしい。
いま授けてください。はい今!

てくらいにナレーションが素晴らしい。

島田知事の言葉を語る佐々木蔵之介も素晴らしい。

小椋佳の主題歌も素晴らしい(歌唱も歌詞も!)。

つまりは監督の元TBSアナウンサー佐古忠彦さんが素晴らしい。


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他力本願でごめんなさい。


他の方のレビューをお読みください。。
僕には無理です。。


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〝ないちゃー〟の人間としては、

沖縄戦やその後沖縄に押し付け続けていることを見せられると
加害者マインドがハンパなく湧いてきてツラくなるんだけど、、

ちゃんと知ってちゃんと辛くなるべきですね。。
はい、辛い。。

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島田叡(あきら)さん、恥ずかしながら存じ上げておりませんでした。


戦中最後の沖縄県知事。
未見の映画『島守の塔』が島田知事を描いたものだったんですね。


そういえば映画『激動の昭和 沖縄決戦』でも県知事は登場していたような、、
と思って調べてみたら

島田知事を神山繁が演じて、
さらに島田夫人を南風洋子が演じてたということは、割と厚く描かれていたようですね。
(猛スピードで進む映画なのでそれでも短かいと思いますが)

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今まさに俄然戦争できる国になろうとしてる日本。
沖縄に押し付け続けている日本。

沖縄戦で日本軍がしたことは鬼がしたことだけど
全然過去の話って感じがしない。。

「今の日本なら絶対にやるわけない」とは全然思えない。。

マジで怖い。。。

First Love 初恋(2022年製作のドラマ) ネタバレあり

2023-01-01 | ネタバレあり
宇多田ヒカルが「初恋」で歌ったのは
親に対しての〝I need you〟だった。

恋を男女の恋愛感情に限定しない歌だったわけ。
needなわけ。

別にそれを描けとは言わないし、
いちいちセクシャルマイノリティを興味もないくせに出せとも言わないけど、

このドラマが9話も費やして描いたことが、
宇多田ヒカルが「初恋」でたった4分41秒で描いたことよりも
トラディショナルで狭いものだったことが残念。。

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しかも、
「綴と詩」の物語も主役の2人と重複してますからね。。

「仕事」もこのドラマのテーマの一つでもあるんだから、
綴の初恋の相手は「音楽」でも良かったよね。

いちいち恋愛キャラ出してこなくてもいい。
いちいち恋愛を介して成長しなくていい。

狭いし、重複してるし。。

***

「笑わせんなクソ軍人がっ!」が1番良いセリフだったなぁ。

夏帆も佐藤健に言ってやりゃ良かったのに。
「笑わせんなクソがっ!アタシはモブじゃねえんだよっ!」って。

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いつまで夏帆的な女性や濱田岳的な男性に頼って作劇し続けるんだろう。

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冒頭の、屋上での告白を上から覗き見して笑いものにするシーンの連続からして不快だった。

モブでも彼らにとっては一世一代の告白であり、
好きな人に告白できたってことだけで彼らは素晴らしいのに
それを主人公が上から笑い物にするってのが最悪。

途中からまともになるのかと思いきや、ずっとこう。

終盤で濱田岳がひざまづいて満島ひかりに告白するシーンにもわざわざそれを笑うカップルを映してた。

何がしたいんだろう。
何をそんなに笑いたいの。
誰かを下に見てないとそんなに不安なの?

で、
笑い物にした濱田岳が満島ひかりを応援して元気を出させる。

何なのほんとに。

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描きたいのは主人公2人だけ。
あとはモブ。

主人公の2人を邪魔する人物は異常なほどにクズやクソとして描かれる。

向井理にも言いたいことはあったはずなのに。
その機会を与えられなかった。
人格のないただの〝障壁〟だから。

『ミッドナイトスワン』に近いものを感じた。

怖い。

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』 黒人女優主演映画で10億ドル超絶ヒット!

2023-01-01 | 映画感想

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)Black Panther: Wakanda Forever上映日:2022年11月11日製作国:アメリカ
監督 ライアン・クーグラー
脚本 ライアン・クーグラー
出演者 レティーシャ・ライト ルピタ・ニョンゴ ダナイ・グリラ ウィンストン・デューク ドミニク・ソーン アンジェラ・バセット マーティン・フリーマン



公開2日目に観てました。
書きたいことがあふれて書けなくていつしか忘れてました。。
よくあること。


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❶ヒーローシリーズ(連ドラ)だからこそしれっとすごいじゃん。
だってこれ黒人女優主演のヒーロー映画ですでに10億ドル超えのヒット作なんだぜ!





2016年、キャストがほぼ黒人俳優の『ムーンライト』がアカデミー作品賞受賞。
2017年、黒人女優主演の『ドリーム』が2億ドル近いヒット。
2018年『ブラックパンサー』13億ドルのヒット。

女性ヒーロー映画の
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』『キャプテンマーベル』『ブラック・ウィドウ』や

アジア人による『クレイジーリッチ』『シャンチー』の大ヒットなどジワジワと積み重ねてきて、

主演俳優の死という悲しい出来事があったとは言え、
ほんとにしれっと何の心配もなく特段の話題にもならず〝黒人女優主演のヒーロー映画〟爆誕なわけです。
しかも大ヒット。すごいこと!

これをTwitterに書いたら
匿名垢から「そう思ってるアンタに差別心があるのでは?」みたいなリプがついて、、
あぁいつの間にやら世界は進んでいたのかと驚きましたよ。

いやぁなんとも素晴らしい。
かっこよかったもんね、レティーシャ・ライトもダナイ・グリラもアンジェラ・バセットも。

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で次に待ち受けるは
アジア人女優単独主演で
A24史上No.1ヒットのミシェル・ヨー主演『EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE』!





❷ヒーローシリーズ(連ドラ)だからこそ?の締まりの悪さ。
全然話が終わってないしまとまってない。


ホントは被差別者同士が力を合わせて差別してくるヤツらと戦った方がいいと思うんだけど、、
往々にして差別されている別集団同士が戦ってしまう……
というのは現実の世界でよく起きる哀しき出来事。。

今作でもそうなっちゃうわけよね。
「そことそこが戦っても。。」という展開。

現実社会を風刺した展開だと言えるし
確か海側の人のセリフにも「ワカンダと戦ってもしょうがない」的なのあったよね。

なかったっけ?ってくらいにハッキリしないので、ちゃんとこれが風刺であることをハッキリさせて欲しかった。


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あとは、ワカンダは科学技術が発達した先進国と呼んでいいほどの国なのに、王様を素手の戦いで決めるんよね。。

先進国っぽくない、、と思うんだけど
ワカンダは伝統を重んじる国でもあるし、

ブラックパンサーはアフリカの話でもあるから、国の発展が〝西洋化〟であってはいけないし、

さらにそもそもワカンダは倫理的にそんなに素晴らしい国ではないんよね。。
同じ黒人が外の世界で苦しんでるのを知りつつ自国だけ隠れて幸せに生きてきた国なわけだし。

で、反省して国際協力をすることを世界に発表したわけだけど、
「ヴィブラニウムを独り占めしててもまぁいいか」って思ってもらえるほどには国際協力をしてるわけではないっぽいですよね。。

ワカンダによっていろんな社会問題が緩和されましたワカンダありがとう!という話はなかったかと。

なので、あのワカンダさえも国としてはそんなに褒められたもんじゃないのは仕方ない。


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で、やはりマーベル映画なので(?)一本の映画を見切った!という快感はない。

連ドラの途中を見せられた感じ。
まぁ事実なんだけど。

マーベルだからこそ成し得たこのレビューの冒頭のエクストリームが実現したわけだからマーベルで良かったとも思うけど、
連ドラだからこそのスッキリしない感はあったなぁ。

どうせこのあとも話が続くから投げっぱなしでもいいやっていうノリがこのシリーズからは感じられて、基本的には苦手。。


映画『シン・ウルトラマン』『大怪獣のあとしまつ』とそんなに変わらないレベルでは。。

2023-01-01 | 映画感想
シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
上映日:2022年05月13日
製作国:日本
上映時間:112分
監督 樋口真嗣
脚本 庵野秀明
主題歌/挿入歌米津玄師
出演者 斎藤工(齊藤工) 長澤まさみ 有岡大貴 早見あかり 田中哲司 西島秀俊 山本耕史 岩松了 長塚圭史 嶋田久作



『大怪獣のあとしまつ』とそんなに変わらないレベルでは。。


作ろうと思ったものが作れたんですかね。。
これを作りたかったの?
これを見たかったの?

そういえば僕はウルトラマンは知ってるけど詳しくは知らない。
日本人の多くが実は同じでは。

詳しく知っていたら楽しい箇所も多かったのかと。


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カメラワークがストレス。


鼻の穴ばっか気になった。


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「あの姿が全裸なのか着服なのかもわからない」
「米軍からの請求書はうちではなく防衛省に送ってもらうように」
など
コメディに寄せていることはわかった。
しかし笑える箇所はなかったな。

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しかもあのセクハラ描写。


セクハラカメラアングル。

長澤まさみをエロ視点で見たいという意図しか伝わらなかった。