goo blog サービス終了のお知らせ 

映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

実在した黒人女性部隊!映画『6888郵便大隊』隠されていたその活躍を描く

2025-05-08 | 映画イラスト

6888郵便大隊(2024年製作の映画)
The Six Triple Eight
製作国:アメリカ
上映時間:127分
監督 ・脚本 タイラー・ペリー
出演者  ケリー・ワシントン  エボニー・オブシディアン




目次

  1. 黒人女性が活躍していたけど歴史から隠されていた件について
  2. 実在した黒人女性部隊
  3. 女性ならではの活躍
  4. どうやって戦争に吸い込まれていくか
  5. ウェエイドな作りでわかりやすく感情を乗せられて終盤まんまとボロボロボロボロ泣きました。。




黒人女性が活躍していたけど歴史から隠されていた件について

黒人女性が活躍していたけど歴史から隠されていた実話の映画かというと『ドリーム』(2017)がありますね。

宇宙開発に優秀な数学者の黒人女性たちが活躍していたのに評価されず、2015年オバマ大統領によってやっと大統領自由勲章された。

女性だからという理由で歴史から消されたという映画でいうとドキュメンタリー映画『映画はアリスから始まった』がまさにそう。

当時の男たちの愚かな判断によって消された彼女らの功績が、
こうして再評価され、
映画化することで世界中広く知られるというのは、遅い!
とは言え、喜ばしいことだと思います。


実在した黒人女性部隊

第二次大戦中のアメリカ。
黒人女性部隊は存在していて訓練も十分されていたのにも関わらず女性・黒人という二重の差別により、事務的な仕事だけで任務らしい任務につけていたなかった。
(白人男性軍人から侮辱されてもいた)

公民権運動家で黒人女性のメアリー・マクロード・ベスーンがルーズ・ベルト大統領の夫人エレノアに
「戦地で戦う兵士と家族の手紙の不達が増えている。これを黒人女性部隊なら解決できる」と進言。
婦人運動家でリベラル派のエレノアとルーズベルト大統領が許可し、第6888中央郵便ディレクトリ大隊が結成された。

白人の男性軍人たちはこの作戦を歓迎せずに、彼女らに差別を繰り返した。
当初「郵便配達なんて簡単な任務!バカにしてる!」と怒っていた隊長のチャリティ・アダムズさん(当時27歳!)でしたが、
現地スコットランドについてびっくり!
手紙と荷物は1700万通あった。
これを6ヶ月以内に配達しなきゃいけない。

「この作戦が失敗したらそれを理由に黒人女性部隊を潰せる」と考えて白人男性軍人がいるっぽい。ムカつく!


女性ならではの活躍

面白いのはちゃんと女性ならではのポイントでこの無理ゲー配達作戦をクリアしていく様子が描かれていたこと。

あんまり書くとネタバレにもなるから我慢しますけど
戦地にいる兵士はほ男性、
手紙を送るのは母や恋人、女性。

もちろん父や兄弟、友人もいたでしょうが、多くは女性。

女性は自分を思い出してもらおうとして手紙に香水を振りかけていた、と。
それが原因で宛名が滲んで読めなくなったりもするんだけど、、
香水に詳しい女性隊員が香水を判別して手紙を投函した州を判別して届け先を推測できた!

荷物に入っている布の種類とかで追跡できたりと
女性ならではの力で作戦を遂行する姿がかっこいいし、
手紙を送った女性と仕分ける女性の連帯が生まれている感じもまた感動でした。


どうやって戦争に吸い込まれていくか

この映画、主役が途中で変わります。
前半の主役は学生レナ。
白人の恋人が戦争に行ってしまって、「ヒトラーを倒すため」にレナは入隊を決意します。

大した情報もない時代。戦争や軍がどういうものがちゃんと考えての決断とは言えなかったのでは。
また、他の黒人女性は旦那や父からの暴力から逃げるために女性だけの隊に入隊したエピソードもありました。
レナが入隊すると、主役は大尉のチャリティ・アダムズ(実在の人物)に変わっていきます。
冷遇されている黒人女性部隊の長として分厚い壁を何枚も蹴り破っていく姿はカッコいいでしかないです。
また、
郵便配達の大事さをイマイチわかっていなかったアダムズが、レナの悲しい事情を知って、手紙がどれほど兵士とその家族の力になるかを知ることにもなるので、
やはり主役が2人いることはこの作品にとって大事なことだったかと。


ウェエイドな作りでわかりやすく感情を乗せられて終盤まんまとボロボロボロボロ泣きました。。

最高じゃないか!と思って観終わって調べてみたら評価の低いこと低いこと。。
主演のケリー・ワシントンの演技が大げさっていう評もあって、なるほどとは思いましたが、
あれは冷遇されている黒人女性部隊を率いる黒人女性軍人のトップとしてめちゃくちゃ気を張っている女性を演じているわけだから、
二重の演技をしている、と解釈してました。

だからこそダンスパーティーでの自然な表情などがかわいらしくて素敵でしたよ。
そもそも黒人女優が主役で、一応戦争もので、結構な制作費をかけていて、このウェルメイドさが逆にすげえなと思いますよ。

くどくどくどくどネチネチネチネチ感動させてきそうなのに
結構話がスコスコ進むし
キャラクターもみんな愛らしいし
ラストのご本人登場にはもう僕はまんまとボロボロ泣かせていただきました。


「見たい」のその先へ 映画『サブスタンス』

2025-05-06 | 映画イラスト

サブスタンス(2024年製作の映画)The Substance
上映日:2025年05月16日
製作国:イギリス フランス
監督 コラリー・ファルジャ
脚本 コラリー・ファルジャ
出演者 デミ・ムーア マーガレット・クアリー





1.監督はフランスの女性監督・脚本家のコラリー・ファルジャ。

2. 制作会社はロンドンのワーキング・タイトル・フィルムズ。『サブスタンス』はフランス・イギリス合作。

3. コラリー監督の前作は『REVENGE リベンジ』で
性被害に遭いさらに口封じのために殺されそうになった女性の復讐劇。

↑本編見終わって調べて、この3点を知って「なるほど」と思いました。
『サブスタンス』がとてもケタ外れのぶっ飛び映画であることの根拠がわかりました。
だからこの描写は狙い通りなわけですね。

◼️過激!

近年観た映画の中でも相当に過激でした。。
まぁあんまり過激過激言うと「そうでもなかった…」という感想も引き出してしまいそうですが。
ゲラゲラ笑う人もいるだろうし
全っっ然笑えない人もいるでしょう。

「加齢と美」という問題と戦っている人(特に女性かな)は笑えないんじゃないですかね。
実際試写室で女性の笑い声はあまり聞こえませんでした。
(それが理由かはわかりません。ただ単に〝引いた〟可能性も。。)

聴こえてきたのは男性の笑い声。僕も笑いました。
あんまり関係ない(と思ってる)から笑えるんだと思います。すみません。。

この映画の加害者(主に男性?)がのびのび笑っているというグロテスクな状況になったわけですよ。

****

けして「女 VS 男」の図式だけでもないとも思いました。

レズビアンの人、つまり女→女の場合でも「若さ・美しさ」の圧は存在するのでは?
(男女とはまた違う何かはあるとは思いますが)
とは言え、

この地球を覆っている男社会が女性に「若さ・美しさ」を求めてきた長い歴史があってのことなのですよ。


◼️覚悟して!
ハリウッド映画ではないんです。
フランスの女性映画監督が『REVENGE リベンジ』の次に撮った映画です。
単なる娯楽映画だったらカンヌやアカデミー、ゴールデングローブ賞を撮ったりはしないんです。
うっかり気ぃ抜いて観に行ったりしないでね!
「自分で選んで観に来たのだ!」と自分の心を強くして観てください。
z


ちょっとネタバレっぽいことは以下に!

◼️誰に復讐するのか?
復讐ってのは特にこの映画のテーマではないんですが
見終わった後「復讐」と言う熟語が浮かんだし
調べたら監督の前作のタイトルだった。。

この映画を見に行く観客は「美に囚われたシニア女性の破滅」を少し期待しているわけでしょう。
予告編をちょっと観た人は「シニア女性 VS 若い女性の女同士の戦い!」も期待するかもしれません。

破滅や女性同士の戦い!を期待された女優が復讐するわけですから、、そりゃ観客も血まみれになる覚悟をしなきゃね!


映画『教皇選挙』ラストネタバレあり 本当の戦争をご存知で?

2025-04-06 | 映画イラスト

教皇選挙  Conclave
上映日:2025年03月20日
製作国:アメリカ イギリス
上映時間:120分
監督 エドワード・ベルガー
脚本 ピーター・ストローハン
出演者 レイフ・ファインズ スタンリー・トゥッチ




監督は2022年の方の『西部戦線異状なし』のエドワード・ベルガー。

『西部戦線異状なし』(2022)大好きなんですけど、思い返してみると映像の美しさ、楽しさもかなり好評に寄与していたと思います。
ネズミの大移動とか戦車を下から見るとか。

あと美術でオスカー獲ってて、メイクでも候補に上がってた。
それくらいに〝見た目〟にも力を注ぎきる監督。

***

てことで『教皇選挙』の美術と衣装素晴らしい。


枢機卿たちの衣装カッコよかったですねぇ。
そしてなぜかたまに雨が降ってて
「いちいち中庭歩かなくても内廊下で移動できるんじゃね?」っていうシーンでもみんな外歩いて傘さしている。
傘のシーン素晴らしかった。
ほぼ全員顔が見えなくなるんですよね。
何となく虫っぽく見えた。カラフルな虫の集団。




亡くなった教皇の部屋のドアさえ良かった。
呪いを封じ込めるみたいな赤い紐とか赤い封蝋とか。
ほんとにあんなことするかどうか謎だけど、かっこいいことに間違いはない。

あとドアの写真を改めて見てみて気づいたけど、手前の廊下の壁のパースが現実より強いですね。
実際に手前が広くて奥が狭い廊下にしてあるんですかね。それにより赤いドアにより視線が集まる。



***


話は地味っ!

教皇が亡くなって次誰がなる〜?って話だけなんだもん。
正直カトリック教会の教皇が誰になろうとどうせそんなに関係ないんだもん。

しかし、それをネチネチとサスペンスに仕立ててくれる!
おじいちゃんたちの攻防が面白くなってくる。

そして、ラスト!!!

ネタバレは下の方に。

***

ずっとキレてるシスター・アグネス


この映画に映ってるのはほとんど男。
壮年の男性たち。
つまりフジテレビの会見と同じ。ホモソーシャル。
おじいちゃんがずっとずらっと並んでいる。
そんな中で異彩を放つのがイザベラ・ロッセリーニ演じるずっとキレてるシスター・アグネス!

出演シーン合計時間は短いのに第97回アカデミー助演女優賞候補に!
そりゃそう。怖いし面白いもん。
ノリノリでコピー機操るシーンとか面白かった。


ネタバレ避けて書くのがめんどくさい!



ラストネタバレは以下に!







次の教皇の候補に上がってる枢機卿たちの中には「リベラル派」、「穏健保守派」、「保守派にして伝統主義者」がいるけれども、
いうても全員壮年男性。おじいちゃん集団。ホモソ。
リベラルか!?保守か!?じゃねえ。どっちも大して変わんねぇ。

八手先まで読める前教皇は、
メキシコのベニテス枢機卿の〝出生時に割り当てられた性別〟が女性であることを知っていた。
それに対して「女性器を切除すればOKだよ」と言っていた、と。

※あ、ちなみにこの映画全部フィクションですよ。

現状からすると前教皇のこの考え方は確かに進歩的ではあると思う。
しかし、〝法的な性別変更のために生殖能力の喪失や性器の外観変更が求められること〟は特にヨーロッパでは強烈な人権侵害だとされている。

ベニテス枢機卿もスイスへ手術に行ったけど、
「え、やっぱ体を切除しろっておかしくない?」と思ってノー手術で帰ってきた。
体はそのままにメキシコで枢機卿として活動していた。
(何の問題もなくやれてたわけよね)

教皇選挙の終盤。
ベニテス枢機卿の「本当の戦争をご存知で?」の演説に心打たれた枢機卿集団たちはコロっと心変わりして、ベニテス枢機卿に投票。ベニテス枢機卿が次の教皇に!

ベニテス枢機卿がどれほど教皇になりたがっていたかは謎ですね。
終盤まではローレンス推しだったわけだし。
ただ、自分が教皇になることで大きな役目を担えると思ったのでしょう。

で、あとシスター・アグネスがどこまで知っていたかですね。
魔力を使って知っていた可能性さえある。

で、教皇が決まった後に、
確かトランブレが「ベニテスって性別適合手術受けたとか受けないとか…」とローレンスに言うと「マジか!」ってことで
人払いをしてからローレンスはベニテスに問う。

はい、手術するつもりでスイス行きましたよ。
でも手術しませんでしたよ。と。

嘘だと言って…。もう戻れないローレンス。
だってすでにメキシコで枢機卿やってたんだもん、〝出生時に割り当てられた性別〟が女性だった人が!

ここで「取り消しー!」ってやったら世界から大批判を浴びてしまう。
外からは新教皇を迎える市民たちの大声援!

ここで中庭に亀が。
ローレンスの足元に亀がやってくる。
その亀を池に戻してあげるローレンス。

建物の中に入って窓の外をみると、炊飯担当のシスターたちが「休憩いこー!」的な雰囲気で楽しそうに会話をしている。
それは枢機卿おじいちゃん集団の前では決して見せない自然な若い女性の姿。

その様子を見て微笑むローレンス。

映画『HERE 時を越えて』〝ここ〟にない物語を…

2025-03-29 | 映画イラスト

HERE 時を越えて(2024年製作の映画)Here
上映日:2025年04月04日
製作国:アメリカ
上映時間:104分
監督 ロバート・ゼメキス
脚本 エリック・ロスロバート・ゼメキス
原作 リチャード・マグワイア
出演者 トム・ハンクス ロビン・ライト ポール・ベタニーケリー・ライリー ミシェル・ドッカリー





この映画の紹介イラスト描かせていただいております!


原作はリチャード・マグワイアのグラフィックノベル『HERE ヒア』。

2016年刊行。オールカラー300ページ。4000円+税。

↑このように過去現在未来が紙面上に同時に存在する構成になっています。
カメラ位置は固定。
極過去から鬼未来までカメラに映った全てを描いており、
時間と空間、つまりは〝存在〟を描いた傑作グラフィックノベルです。

映画版は〝現在〟が起点
原作では「紀元前30億50万年から22175年まで」が描かれていますが、
映画版では終着点は現在です。

原作は22175年という鬼未来まで出てくるので、〝現在〟という起点がぼやけているんですが
映画版では〝現在〟が強調されて感じられます。

しかも〝ここ〟という場所も当然強調される(というか〝ここ〟しか映ってない…)。
つまり「2020年代」の「アメリカ」が起点の映画です。
さらに「主演トム・ハンクス&ロビン・ライト!」って名打ってるってことは、
「2020年代」の「アメリカ」の「白人家庭」が起点です。


〝ここ〟に映っていない人や出来事へ

〝ここ〟を2時間映しまくるってことは
〝ここ〟に映らない人や出来事も同時にとても強く意識させられます。

この固定カメラに映ることを許可された人や出来事と
許可されなかった人や出来事にはどういう差異があるのだろうか、と。

『HERE in Asia』とか『HERE in Polynesia』とかが作られていくといいですよね!



映画『テルマ&ルイーズ』ラストネタバレあり 今も飛翔中 当時のハッピーエンド!?

2025-03-08 | 映画イラスト

テルマ&ルイーズ(1991年製作の映画)
Thelma & Louise
上映日:1991年10月19日
監督 リドリー・スコット
脚本 カーリー・クーリ
出演者 スーザン・サランドン(ルイーズ) ジーナ・デイヴィス(テルマ) ハーヴェイ・カイテル マイケル・マドセン クリストファー・マクドナルド スティーヴン・トボロウスキー ブラッド・ピット





2024年に『テルマ&ルイーズ』4K上映!
ってのがありまして、4Kブームとは言え、『テルマ&ルイーズ』なんだ!と驚きました。
なぜなら観てなかったから。。
観てなら「4K!そりゃそうだ!」と膝を打ったことでしょう。
結局4Kは観れなかったんですが、自宅で配信で観まして、びっくりド傑作じゃないですか!こんなにも傑作なの!

****

90年代初頭。

女性2人が主役の映画なんてあり得なくて製作されない可能性もあった、と。

しかも〝ハリウッドに女性の脚本家が1人しかいなかった〟(本当?)時代に女性のカーリー・クーリの脚本が映画化され、アカデミー脚本賞を受賞!

あと、ジーナ・デイビスにヌードシーンが求められていたけどジーナはスーザン・サランドンに相談して「ジーナ役がヌードになる理由がない」とのことでヌードシーンは無くなった、と。
(2020)を見ると、90年の段階で女優2人がこれを言えてることが以下にすごいことかわかる。

映画の内容も素晴らしいし、ガワも素晴らしい。

****

テーマがクリアですね。女性差別。

特に男性からの女性差別ですね。
それを女性同士で〝超えていく〟イメージでしょうか。
男の酷さも色々種類があった。
性犯罪者は地獄に堕ちてもらうとして、
エネ夫(エネミー夫)もいるし、
恋愛?感情に付け入るクズ(ブラピ)もいるし、
あの刑事も今となっては「女性2人が浅はかな考えて行動しちゃって…」という視点が失礼だし。

****

この映画のオチも含めて、
全体的にはこの「ちゃんと考えて行動してない感じ」が、
痛快でもあると同時に
まだ女性ってこうだよね感があってちょっと引っ掛かりはする。
ただ1991年の映画であることを考えると、これが当時の時代性なのかなとも思う。



ラストネタバレは以下に。









30年以上も前の映画で、しかも物議を醸した衝撃ラストなので有名すぎて、僕も見てなかったけど何となくは知っていました。

にしてもあんなにもスッパリ終わるとは…。

グランドキャニオン的なところに追い詰められた2人。
後ろにはずらっとパトカー。
今世で逃げる場所はない。「行くぜ!」と飛翔。

脚本家はこれを「ハッピーエンド」と言っています。
それもわかる。
「衝撃のラスト!」の価値以上に、彼女らの飛翔には爽快感と重い意味があると思う。

ハッピーエンドなのかどうかは重要ではないと言うのを大前提にして
「ハッピーエンドじゃねえだろう」と言いたい。

「女性2人が主役の映画なんて無理」と製作自体されなかった可能性があった世界で
「女性2人がああするしかなかった」ことにやはり「ハッピー」はないでしょう。。

今では女性2人主役の映画どころか、女性単独の映画もたっくさんある、アフリカ系女優単独主演も、アジア系女優単独主演もある。
テルマとルイーズは今も飛び続けている。


映画『光る川』今こういう映画が観たかったんだ…

2025-03-08 | 映画イラスト

光る川(2024年製作の映画)
上映日:2025年03月22日
製作国:日本
高度経済成⻑の始まった1958年。
大きな川の上流、山間の集落で暮らす少年ユウチャ。
父は林業に従事し、母は病に臥せていて、老いた祖母と暮らしている。
夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて子どもたちを集める。
その演目は、土地にずっと伝わる里の娘・お葉と山の⺠である木地屋の⻘年・朔の悲恋。
叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は山奥の淵に入水、それからというもの彼女の涙が溢れかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。
監督 金子雅和
脚本 金子雅和吉村元希
原作 松⽥悠⼋
出演者 華村あすか 葵揚 有⼭実俊 足立智充 山田キヌヲ 髙橋雄祐 松岡龍平 堀部圭亮 根岸季衣 渡辺哲 安田顕


今年初の劇場&試写会は 『光る川』でした!

正直最近映画を観るのに疲れてしまって(生きるだけで大変…)ましたが、
あぁこういう映画が観たかったんだ俺…と浄化されました。。

二つの時代、二つの場所を行き来しつつも清流のイメージ通りスッと展開するストーリーが気持ち良かった。
山の民「木地師」についてもまっったく知らなくて、、その存在がとても興味深くめちゃくちゃ面白かった。
知的好奇心も充足!





映画『ひろしま』第5回ベルリン国際映画祭長編映画賞受賞作 原爆投下8年後に製作

2024-12-18 | 映画イラスト

ひろしま(1953年製作の映画)製作国:日本上映
監督 関川秀雄
脚本 八木保太郎
出演者 岡田英次 原保美 加藤嘉 山田五十鈴 月丘夢路


◼️四コマ映画『ひろしま』
https://note.com/fukuihiroshi/n/n8b86bd99f115












◼️以下リンクから『ひろしま』を観ることができます

https://inoue-tsukioka.com/inoue-tsukioka-movie/hiroshima/
(一般財団法人 井上・月丘映画財団)

『ひろしま』に出演している月丘夢路氏の井上・月丘映画財団のサイトで『ひろしま』視聴ページが公開されています。

ぜひ!今!がんばって観ましょう!

****

「昔の立派だった頃の日本を思い出すことは大変良いことだと思いますが、
そうした国民の中の感情に隠れて、
また誰かが戦争の準備をしているのではないでしょうか。」

by ご先祖様

****

『オッペンハイマー』では広島の原爆投下の惨劇の描写がないorとても少なかったですね。

それには制作意図があって、それに納得する人もいれば、批判もあるとのこと。
もしも原爆の本当の恐ろしさが描かれていなくてその必要があるのであれば、それを補う映画を観ることで解消されるかもしれないし、
原爆を恐ろしさを知れ!と指を刺すのであれば、その指を自分に向けて「俺は知ってんのか」と問うことも大事かと。

****

てことで、映画『ひろしま』観ました。

「原爆投下から7年後(1952年)の広島で映画制作が決定。翌年に撮影開始。

原爆が投下された直後の地獄絵図の映像化に精力を注ぎ、
百数カットに及ぶ撮影を費やして、
克明に阿鼻叫喚の原爆被災現場における救援所や太田川の惨状などの修羅場を再現した。
そして被爆者たちのその後の苦しみを描いた。」

(wikipediaより引用)

****

この映画の存在は知っていましたが、観たら死ぬんじゃないかと思って手を出せずにいました。。


歳を取るのはいいこともあって、観たら死ぬ(ほどの衝撃を受ける)んじゃないかと思った映画を観ても今まで実際死ななかったという経験を経て、映画『ひろしま』観ました。
何がハードル高いって、メインビジュアルよ。。。



この衝撃。。
「感動とかに消費させねーからな!」という気迫の一枚。
それだけ説得力があるのには理由がありました。

****

「同じ原作を元にした作品として新藤兼人監督・脚本の『原爆の子』がある。
当初、日教組と新藤の協力で映画制作が検討されたが、新藤の脚本は原作をドラマ風にかきかえてしまっていて原爆の真実の姿が伝わらないという理由で、日教組が反発。
結局両者は決裂し、別々に映画を制作した」

(wikipediaより引用)

新藤監督『原爆の子』を観ていないのでアレですが、実際に原爆を体験した方々が納得できるものではなかったんですね。

で、
「原爆投下を直接経験した者も少なくない広島市の中学・高校生、教職員、一般市民等
約8万8500人が手弁当のエキストラとして参加し、
逃げまどう被爆者の群集シーンに迫力を醸し出し」
た、とのこと。

撮影場所は、広島市内外で24ヶ所、シークエンスは168に達した、と。
本気さが尋常の度合いではない。

****

◼️映画表現として優れている傑作

「映画表現として優れている傑作」なんていう上から目線の客観的な評価をするのは大変おこがましすぎて苦しいんですが、
事実映画として素晴らしい出来だし、
この事実を知ったことでこの映画を観る人が増えるならば。。

けしてただただ原爆の悲惨さを資料的に描写しているだけではなく、
一人一人に爆撃を受ける前の人生があり
爆撃を受けた人にもそれぞれ名前があり、その名前を子供につけた親がおり、その子の名前を呼ぶ親の声があり、親を呼ぶ子の声があり、
それらがとても手際よく結構なスピードで描かれていきます。

戦中の軍部、そして敗戦から数年経って変わってしまった社会に対しての批判もあり、社会派の側面もあります。
しかも詩的であり、尚且つ臭くもない。
これがものすごく素晴らしい点。

****

◼️3部構成

3部構成になってまして
1部は現代パート(当時)、
2部は1945年8月6日とそれ以降、
3部はまた現代パートに戻るという構成。


***

◼️第1部 敗戦から数年後の高校

防空壕にいたりして直接爆撃を受けなかったが、その後の黒い雨などで被曝して、何年後かに原爆症と呼ばれた病気が発症する学生が多く出た。

そうかなるほどと思ったのは、
当時はテレビもないし、日本中が敗戦の焼け野原だった時に、原爆についてそもそも日本人がよく知らされていなかったんですね。
それは広島県内であっても。

***

河野(高校生)「いつ原爆症に命を取られるかと思って毎日ビクビクして生きてるんだ。
そんなことをいえば君たちはすぐ「原爆を鼻にかけてる」とか「原爆に甘えてる」とか言って笑うんだ。」

教師「白状するがこの間ラジオで『0 (ゼロ) の暁』を聞いた後で、大場(女子生徒)があんなことになるまでは、原爆がここまで根深くみんなの体に食い込んでるとは知らなかったんだ。
原爆症のことは噂には聞いていた。
でもそんな人はアメリカのABCCが治療してくれていると思っていた。
ところが診察だけで治療はしていないということも2、3日前に知った程度なんだ。
広島に来て原爆のことを勉強しなかったっていうのは全く僕自身の怠慢で、その点諸君にはすまないと思う。」

※0 (ゼロ) の暁(https://ci.nii.ac.jp/ncid/BA46838624

河野「先生だけじゃないんです。広島市民の大部分の人たちが知らないんです。
今新聞なんかでは、原爆と平和問題を結びつけて盛んに世界の人たちに呼びかけていますが、
僕は原爆の恐ろしさとあの非人道的なことを世界の人たちに叫ぶ前に、
まず日本人にわかってもらいたいんです。
いえ、それよりか広島の人たちに知ってもらいたい。」

河野「多くの人たちは醜いケロイドを隠して、まるで自分が悪いことでもしたように、こそこそと日陰で生活をしていたり、ケロイドを手拭いで包んで、道路工事の人夫になって働いていたりするのです」

***

びっっくくりするのは「「原爆を鼻にかけてる」とか「原爆に甘えてる」とか言って笑うんだ。」ですね。。


現代日本でもいろんなトラウマや病気や被差別属性を持った人々に対して「鼻にかけてる」「甘えてる」という誹謗中傷する声はありますけど、、敗戦7年後でもこういう声があったとは。。

こういうことがあったのか、というのは映画を観るまでは考えてもみなかったことです。
この映画を作ってくれたから知れたし、
この映画が傑作だからこそ今まで残ってこれたし、
映画を観ることで知れるくらいのことは映画を観て知らなきゃな、と改めて思いました。

***

◼️第2部 原爆投下

そして1945年。
夜中、空襲警報が鳴りそのまま解除されることなく一睡もできずに朝を迎える様子。
子供たちも日本軍か憲兵たちに厳しく指導、訓練、作業させられている。
戦中の厳しさはあるものの、全体的には田舎のちょっとほのぼのした描写も見られる。

そして朝8時15分。画面は一瞬真っ白に。
そこから18分に及ぶ、原爆が投下された直後の地獄絵図の映像化に精力を注ぎ、百数カットに及ぶ撮影を費やして、克明に阿鼻叫喚の原爆被災現場における救援所や太田川の惨状などの修羅場を再現された映像が続く。

百数カットなんですね。確かにすごいカット数。
18分で百数カットって普通ありえないですよね。。
それくらいすごい速さで原爆投下直後の様子をバンバンあらゆる事象を描いていく。

エキストラ約8万8500人の迫力がここでも。
人数がものすごい。
なんの誤魔化しもない。
圧巻なんですよ。

「原爆ってこういうことだぞ」というのを我々子孫に懸命に伝えようとした方々からの財産ですよ。
校舎が崩れて下敷きになって動けなくなった小学生3年生くらいの生徒たち。
教師も同じく下敷きになっているものの、生存していて声が出せる。

教師「声が出る者は名前を言え」と点呼をとる。
すると生徒たちが苦しそうに一人一人自分の名前を挙げていく。
キノコ雲の下には名もなき群衆があったのではなく、
一人一人名前があり
その名前は多くは親が希望を持って自分の子供につけた名前であり
それを瀕死の子供たちが自分の声で名乗っていく。

***

科学者は「原爆の被害を受けたと公表しましょう」というけど
日本軍は「戦争遂行に不利になる」ということで公表に反対。
「戦争に不利になる言動は断じて許されない。」
こういう情報統制も現代日本で何度も起きてることだし、、もうほんとに。。


****

◼️第3部 現代パート(1955年)

子供の頃、原爆の被害を受けて孤児となった遠藤。
8年経ち、親戚の工場で働き始めるものの
その工場が大砲の弾を作り始めたことで遠藤は工場を辞める。
観光で宮島に来た外国人観光客にある物を売ろうとしていた時に警察に捕まり事情聴取を受ける。

遠藤「僕が勤めてる工場がまた大砲の弾を作り始めたんです。僕はそんなもの作りたくなかったんです。
戦争はまた始まるんですか!
戦争が始まれば、今度は僕たちが戦地に引っ張り出されます!
そしてなんの恨みもない人間どうしで殺し合いをさせられるんです!
またなんの罪もない人たちが、
原爆で、
皆この通りになるんです!
昔の立派だった頃の日本を思い出すことは大変良いことだと思いますが、そうした国民の中の感情に隠れてまた誰かが戦争の準備をしているのではないでしょうか。」


***

◼️ラストの行進

涙無しでは観れないんですよ、ラストの大行進。
1955年の広島市民の2万人くらいいるのでは?という大行進のシーン。

そして、命を落としたシーンを演じた俳優たちもむくっと立ち上がり肩を組んで歩き始めます。
その役の人物なのか、俳優そのものなのかがわからない。

この映画に出るということの相当な覚悟や信念があったはずなんです。
原爆で亡くなった方、苦しんだ方、苦しんでいる方の思いを自分の体に全部詰め込んで、行進している姿が胸に刺さります。

誰も何も言葉は発しないんですが、何を伝えようとしているのかはどんな言葉より伝わる。

『オッペンハイマー』に原爆の描写が足りないというのであれば
この映画観ればいいんです。観る人が増えればいいんです。



映画『彼らは生きていた』兵士たちの膨大なインタビューとカラー化した戦場の映像!ピーター・ジャクソン監督作

2024-12-08 | 映画イラスト
上映日:2020年01月25日

第一次世界大戦の終戦から 100 年を迎え、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18NOW」と、帝国戦争博物館の共同制作で、帝国戦争博物館に保存されている記録映像を再構築することで誕生したドキュメンタリー映画。

監督ピーター・ジャクソン




第一次世界大戦のモノクロの記録映像を修正、着彩、3D化。
兵士一人一人の表情まで伝わる精細な映像と退役軍人たちの膨大なインタビューで戦争の静かな始まりと地獄の西部戦線、そして、帰還兵への市民の冷遇が描かれる。

「兵士たちはカラーで戦争を目撃していた。白黒ではなかった。」

命令されるのはイヤじゃなかった考える必要がないからだ。

入隊せずに町で暮らしていると、「なぜ入隊しないの?」と聞かれる。そして、臆病者を表す白い羽を振られる。

訓練開始。ただの一般市民を軍人に変える訓練。

最初の数日は楽しかったが、その後は地獄だった。これは戦争だ。

六週間の訓練を終えると「明日から海外派兵だ」と突然言われた行き先は知らない。

帰ってこられないだろうと思っていた。

西部戦線の塹壕戦鉄条網に引っかかっている死体の数々。

ある時、話していた仲間の頭が吹き飛んだ。

あの匂いは忘れられない。ネズミの腐ったのよりも何百倍も臭い。食べ物まで匂いが染み込んだ。散らばっている死体にも慣れ、どうせ次は自分だと思っていた。ネズミは丸々と太っていた。理由は明らかだ。

倒れた仲間に目もくれず進んだ。手に痛みを感じて手を見たら、穴があいていた。

ドイツ兵を撃った。18歳くらいの少年でかわいそうだったので水筒の酒を飲ませた。彼はありがとう、うまいと言って死んだ

戦場に抱いていた憧れは消え去った。

「塹壕を出て突撃」との命令が下る。戻ったら撃つと軍曹に言われた逆らえるものはいない。

左腕と左足を吹き飛ばされた仲間が左目が飛び出た状態で祖母の名を叫んでいた。楽にしてやろうと彼を撃った撃。つしかなかった。辛かった。

投降してきた者も殺した。虐殺は何時間も続いた。

勝ち負けはどうでもよかった。

医者に大丈夫かと聞かれたから、はいと答えると後頭部を撃たれていると言われた。

ほとんどのドイツ兵には復讐心はなかった。大抵は好人物のドイツ人だった。彼らは礼儀正しい家庭人で子供思いだった。ドイツ人と意気投合した。「この戦争は無意味だ」と。ドイツ人は戦争にうんざりしていた。誰もがやめたがっていた。

終戦が発表された。発表時、喝采などなかった。

家に帰って、入隊後初めてベッドで眠った。翌朝、私を起こしにきた母が見たのは床で眠る私だった。

友人が戦死した。彼の母を訪ねると、敵意むき出しだった。私だけ生き残ったからだ。

帰還兵への風あたりは強い。「帰還兵は応募不可」という求人もあった。

皆、戦争に無関心だった。両親は何も言わなかった。感謝の言葉もなかった。たまに父と戦争の話をすると反論してきた。現実を知らないのに。

戦争を避ける努力をすべき。正当化できる理由はない。

理解の範疇を超えていたのだろう。昔のサッカー仲間が横で殺される気持ちを理解できるわけがない。

誰も英雄じゃない。殺されるのは嫌だ。

戦争は恐ろしい。意味のないものだと歴史が裁定するだろう。

仕事に復帰して唯一頭にきたことがあるこう聞かれた。

「ずっと、どこに行ってたんだ?」








映画『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』多分これが僕の観たかった続編

2024-11-25 | 映画イラスト

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)Joker: Folie à Deux
上映日:2024年10月11日
製作国:アメリカ
上映時間:138分
監督トッド・フィリップス
脚本トッド・フィリップススコット・シルヴァー
出演者ホアキン・フェニックス レディー・ガガ ブレンダン・グリーソン キャサリン・キーナー サジー・ビーツ ハリー・ローティー



目次

  1. 前作『ジョーカー』(2019)の好きなとこ
  2. ②については興味が湧かなかったけど
  3. ネタバレは以下に!



前作『ジョーカー』(2019)の好きなとこ

前作『ジョーカー』(2019)を①、
今作『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』を②とします。


①の感想で僕は「自分がジョーカーになる可能性もあるし、自分がジョーカーを生み出す可能性もある。」と書いていました。
てことは、単純にいうと僕はジョーカーが嫌いだったんですね。

絶対なりたくなんかないし、心酔も応援もしない。
同情するし、必要な社会的支援の手が差し伸べられるべきだと思うけど。
で、
①の好きなポイントは「アーサーがあのジョーカーではないかもしれない」点なんです。
これは監督が言っていたかと。

僕はアーサーがジョーカーじゃない方が好きな解釈でした。
ただのおじさんでしかないところに悲しさや恐怖があると思いました。

なので、
続編が作られると知った時、
しかもハーレイ・クインも出てくると知った時、
「嘘だろ、じゃぁ彼はジョーカーだったってこと????」とゲンナリしました。


②については興味が湧かなかったけど

ところがアメリカで公開されるや否やの大酷評!!
からの大コケ!
インスタで繋がってるアメリカの人とかも
「安心して!2がいくら酷くても1は汚されない!」と投稿してました。

てことは観た方がいいのかも、と劇場へ。




ネタバレは以下に!









以下、僕の解釈です。

僕が希望するのは「最後の3分くらいだけが事実であとは全部アーサーが死ぬ直前に見た妄想」。

前作の犯行で捕まって病院入って、アーサーは地味な感じになっていた。
前作での事件でおそらく熱狂的なファンは生まれたし模倣犯も出たのでしょう。

しかしそれもしばらくしたら収まった。
もちろんテレビドラマなんかにはなっていなかった。
みんなで見るテレビはただアニメを流しているだけ。

で、
アーサーに面会が来た(普通に弁護士でしょう。裁判中なはずだから)。
廊下を歩くアーサー。
おそらく数少ない前作の"ジョーカー"に熱狂していた男が後ろから追ってくる。
もしかしたら彼はアーサーがいるからこの病院に入ってきたのかも。

で、
「全然俺の期待と違うんだけど…しょぼ…期待を裏切りやがって!お前なんかジョーカーじゃねえ」
ってことでアーサーを刺殺。
彼はアーサーを刺したナイフで自分の口を裂いた。
ジョーカーっぽい人誕生???

この映画は刺された後死ぬまでの妄想。
てのが僕の希望。

***

以下は箇条書き。

デントがトゥーフェイスになっちゃったよ。
爆破で顔半分燃えて。あれ冷めたわ〜。
一応アメコミの設定やってみました感はちょっといただけない。
そりゃアメコミファンの方たちが怒っても仕方ないと思う。
***
「歌はもういい。歌わなくていい。」byアーサー
観客みんなの気持ちを主役が代弁してくれた。
冗長でちょっとチープなミュージカルシーンはわざとでしょう。
「もういいよ、歌は」と観客に思わせたかった?
「ミュージカルシーン多いし長い。眠かった〜。期待したジョーカーじゃかなった〜〜。」と観客。
じゃあ、期待したジョーカー像とは?
一体何を観せられているんだ…
いや、違う!
俺が自由意志で観に行ったのだ!
***
レディ・ガガこそ本物のエンターテイナー。
幕が降りても夢を見せる人。
アーサーは違う。
超つまんないギャグを言う人(ジョーカー)。
***
2回以上観る気の起きない映画ではあるし、おススメもしない。
ただ、僕が観たかった②はこれだったんだと思う。
けど、②はなくてよかった。
しかし、制作者側は②を作らねば!と思っただよね、社会的な影響を考えて。
じゃあしょうがない!!!

映画『チャレンジャーズ』 カモーンっ!咆哮の痛快!

2024-06-24 | 映画イラスト

チャレンジャーズ(2023年製作の映画)Challengers
上映日:2024年06月07日
製作国:アメリカ
上映時間:131分
監督 ルカ・グァダニーノ
脚本 ジャスティン・クリツケス
出演者 ゼンデイヤ ジョシュ・オコナー マイク・ファイスト



こりゃ面白いっ!
面白さで言えば今年一番っ!


『関心領域』同様、もしかしたら何やってんのかずっとわかんなかった人もいるかも。
だとしたら「結局なんなんだ…」って思ったことでしょう。。御愁傷様です。。

それこそ関心領域だよね。。
普段からないものとして扱ってるからこの映画観ても見えてこないのかも。

しかしフィルマークス4.0!高いっ!
さすがフィルマークス民っ!
みなさん好きですねぇぇ。まったくもおぉ。


**


「面白い」という噂は聞いていたものの
この設定で何がどうなれば面白いんだ?と観る前は不安でした。
が、131分ずっと面白かった。。
あぁびっくり。。

僕のパートナーがテニスをやる人なので
テニス描写については微妙とのこと。
テニス界の描き方もイマイチっぽい。

ただテニス関係ないっていうか。

一対一の戦いで、
ひとつのボールを打ち合って
観客は右左と常に首を振りながら〝観戦〟して、
っていうスタイルがまさに!!
っていうことなわけで。

**

めちゃ下ネタを含んだネタバレは以下に!!









西洋のAVでは女優さんがエクスタシーに達する時に 「come on」「I'm coming」とお叫びになる。

ゼンデイヤさんはラストで「カモーンっ!」とお叫びになられました。
つまりは絶頂に達されたんですね。
自分を取り合ってる男2人が抱き合うシーンを見て。
**
そもそも10代の時にキスし合ってる男を観て満足なさったゼンデイヤさんなわけです。
腐女子の才能が萌芽した瞬間だと思いますが それ以降は特にそこに情熱は注がなかった。
あの2人をくっつけようという動きはしなかった。
ただ、 自分は仕事もできて稼げる、 娘もいる、 手伝ってくれる母もいる。
男は?
アートはまるで犬か猫か、ペットのようになってしまった。つまらない。
(嵐の夜。車から降りて歩き出した時「ホテルはこっちだ!」と自分の間違いを正してくれた男である)パトリックにもいわゆる男性的な魅力は感じるけど、
まぁシンプルにウザい。
ヘテロセクシュアルである(っぽい)ゼンデイヤさんにとって男に対するファンタジーはもはやBL的なものにしかない。
おそらくゼンデイヤさんはそれに気づいてなかった。 この試合。
どっちが勝とうが負けようがどっちしても幸せではない。
どうでもいいんだけど、勝ち負けが決まることが一番イヤ。

そうこうしてるうちに パトリックが「ヤッたよ」の合図をアートに送る。
アートはそのメッセージを受けて、試合放棄。
かと思いきや、試合を終わらせない展開に持っていく。

まるで遊びか、愛の行為かのようなボレーの応酬。
試合でボレーがあんなに続くわけがない。
からの抱擁。
そしてゼンデイヤさんの咆哮(カモーンッ!)!
笑ったぁぁ。

**

女性が男性を性的に消費してやるっ!とまでは言わなくても 「私にとって男の役割はそんなもの」っていう痛快さも感じた。

同時に 男性にとってもある種の解放も感じた。
トロフィーのような美女を妻にしなきゃ男としての格が下がるという呪縛からの解放、のような。
(彼らはゲイではないと思うし)
僕は腐女子について詳しくないし 腐女子の精神性についてはちゃんと理解はできてないんだけど
やはりあのラストの「カモーンっ!」の咆哮の痛快さには納得させられました。

男に対して性的なファンタジーはあるんだけど 男が女性に対して性的に欲動している様子は「重い」とか「めんどくさい」などの負の感情があるんでしょうね。

女性が介入しない男同士で性的に欲動し合っている様子なら、自分は安全でめんどくさくもなく楽しむことができるのでしょう。
違ったらすみません。。

***

夫が試合に負けたら離婚する!?とか
パトリックのコーチに!?とかが
あったはずなのに 「カモーンっ!」で全部吹っ飛んで映画終わった!
痛快極まりない!

〝存在しない映画〟映画『リア・デ・メイは書くのをやめない』(2023)

2024-06-15 | 映画イラスト

リア・デ・メイは書くのをやめない(2024年製作の映画) The pen is mightier than the sword.
上映日:2023年11月25日
製作国:コロンビア
上映時間:84分

監督 フアン・ビジョーロ
出演者 ミシェル・オーモンド アルム・ランドルフ ガス・C・ポッツ クリス・ライト


あらすじ


政情不安が続く某国。市民の声を代弁する女性作家のリア・デ・メイが謎の失踪。
担当の編集者たちが彼女を心配して、リアの著作をめくっていると何とじわじわと文字が現れてきた。どうやら本の中に入り込んでしまったリアが、暗闇の中から書いた文字らしい。
本の中に入ってしまって絶望していたリアだったが、逆に自分の思い通りの世界が書けると開き直り、自分を資産家にして島でのバカンスを楽しむ日々を送る。
その〝連載〟を読んだ編集者たちは、苦しむ市民をよそに気楽に楽しんでいる彼女を憎むようになり、ある編集者が勝手に彼女が没落していく様子を本に書き込んでしまう!
それに怒ったリアは本の中から復讐を図るが…。



ほぼ密室劇なんですよね。

メインの登場人物も3人しかいない。リアも写真だけだし…。
原作は舞台『La pluma es más fuerte que la espada』(2016)で、これを書いた劇作家のフアン・ビジョーロ自身が映画用に脚本を書いた、と。

正直もうちょっと社会情勢とかリアルな外の世界の様子も映して欲しかったんですけど、まぁこれは敢えてなのかな…。

編集者3人の一方的なセリフからしか政治状況がわからないんだけど、おそらくそうやってわざと〝閉じた世界〟を作って、作家が〝書くこと〟でその閉じた界を壊していこうとする構造を作ったのでしょう。

後半は結構なグロ描写が続くんですが…、
編集はリズミカルですしラストの切れ味も僕は好きです。




個展で配布した『四コマ映画 BEST16』を Wineバル ワインの森 大塚さんのカウンター席に数冊置いていただいています!

2024-06-15 | 映画イラスト
ご興味ある方はぜひ行ってみてください。
ひとりでも行きやすいお店ですよ!









〝存在しない映画〟映画『えぇ、彼女は斧を持っていました』(2020)

2024-04-11 | 映画イラスト
※この映画は実在しません。〝ない映画〟です。

****


映画『えぇ、彼女は斧を持っていました』
(2020年製作の映画) Carrie Nation 上映日:2020年11月25日 製作国:アメリカ 上映時間:118分
あらすじ
禁酒法時代のアメリカの禁酒主義活動家の実在の女性、キャリー・ネイションの生涯を描く。
元夫をアルコール依存症で亡くしたことを契機に禁酒主義活動を始めた彼女は、バーに乗り込んでは斧で店を破壊して回った。
この破壊活動により逮捕もされたが、アルコール依存症患者の妻や子供を保護する施設を設立したり、女性の体を縛るコルセットの着用に反対するなど、女性や弱い立場の人々を救う活動もしており、彼女の名声は高まっていく。
監督 ダグラス・ムーア
出演者 ミシェル・オーモンド アルム・ランドルフ ガス・C・ポッツ クリス・ライト




『三日前の犬』でラ・スペツィア映画祭のグランプリを獲得したダグラス・ムーア監督の新作!



キャリーの生涯を時系列をバラバラに描いているのでちょっと難しいところもあるんですが…、猛女という印象のキャリーの多面的な人間性が伝わってとにかく最初から最後まで面白かった!


なんと言っても主演のミシェル・オーモンドの演技が素晴らしくて、


酒瓶を割るシーンもちょっと楽しそうというか、活動のためだけじゃなくちょっと自分のストレス発散もあるんじゃない?と思わせるような、複雑で人間的な表情でした。

元夫役のサスキア・ベルカドのアル中演技も凄まじかった…。『北極VS南極 どっちも寒い』で潜水艦の艦長を演じてた人!全然違うので最後まで気づきませんでした…。





キャリー・ネイションは実在の人物であり、エピソードも事実ですが、この映画はありません。。
彼女を描いた1分間のサイレント短編映画『Kansas Saloon Smashers』(1901)や ブロードウェイミュージカル『Carry Nation』(1932)はありますが 長編映画は存在しません。
共感しづらい破壊行動と現在に通じるフェミニズムの両面を描くと とても豊かで面白い映画になると思うのですが。

『ALERT失踪者緊急警報』相関図 本格クライム・ミステリー

2024-03-18 | 映画イラスト
【Dlifeにて日本初放送】3/25 22時〜 本格クライム・ミステリー『#ALERT失踪者緊急警報』はただの犯罪ドラマじゃない?… 
FILMAGA(フィルマガ) 


こちらの記事の相関図 イラスト を描かせていただきました!
 てか、キースじゃなくね?