映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

本年度最重要邦画『岬の兄妹』!

2019-05-30 | 映画イラスト

岬の兄妹



岬の兄妹(2018年製作の映画)



シーン1つ1つが丁寧に撮ってあって、セリフ以外の情報量がものすごく多い。
セリフだけでなく、映像や演技で物語が語れているわけです。素晴らしいのです。

***

片山監督は、『母なる証明』などのポン・ジュノ監督のもとで助監督を勤めた経験もあるそうで
ポン・ジュノから「シーンごとにジャンル変わっていてもいいんだ」ということを学んだとのこと。

確かに、
社会派であり田舎ホラーでありボーイミーツガールでもありエログロであり犯罪コメディでもあり。

本当の人生がそうであるようにシーンごとにジャンルが違っていて、
薄ら寒いほどに怖いシーンの後に
小3男子が笑い死にしそうなコメディシーンが来たりするので
感情があっちこっちに揺さぶられながら観ることができました。

*****

かと言って映画として漫になっていないのは、
兄妹を演じた松浦祐也さんと和田光沙さんの演技力の賜物でしょうね。

特に全く隙を見せずになりきっていた和田光沙さんの迫力が、観終わって何日も経っているのにぞっとするほど残ってます。

ストーリーテラーでもあり事件の根源でもある兄を、匂い(臭い)まで伝えるようにリアルに演じた松浦祐也さんも素晴らしい。
細かい表情やセリフのニュアンスなどが的確だったので、観客はこの愚かな兄から目を離せなかったのでしょう。


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どこかの地方都市のはずれにある岬町のロケもいいですね。

牧歌的に撮影することもできるはずですけど
〝田舎ホラー〟として寒々しく撮ってあって素晴らしい。


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四コマ映画『岬の兄妹』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2268




 


復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

2019-05-30 | 映画感想


実在の連続殺人犯を緒形拳が演じてまして
その父親(こっちもヤバイ…)を三國連太郎が。

緒形拳と結婚してるんだけど実は三國連太郎のことが好きな妻を倍賞美津子。

逃亡中の緒形拳に騙されながらも愛に溺れる安宿の主人を白川和子。


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2時間20分あるんだけど、
まったく飽きずに目をひん剥いたままラストまで。

単なる事件映画ではなく
深い深い人間ドラマになっていて
こんなこと書くのは不謹慎だろうけど、、
回り回って〝人間賛歌〟になっているとおもいます。


****


覗き趣味の清川虹子も
緒形拳を甘やかすミヤコ蝶々も恐ろしくて
さすが昭和の名女優。
ヒダの数が違う。


映画というものの威力を再確認させてくれる名作でございました!

 


パッドマン 5億人の女性を救った男(2018年製作の映画) Padman

2019-05-24 | 映画感想


偉業の実話ですから
「すごいなぁ!」と思いますし、

文化や宗教と結びついた根深い性差別についての告発映画としても
その存在意義はとても強く強く感じますよ。



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ただ、、、、くどい。。。


いい話なんでね、こんなこと言いたかないんですが、、

中盤までが非常にくどい。。

おんなじようなセリフを連続で二回言ったり
おんなじようなシーンをおんなじ現場で4回くらい繰り返す。。


****


で、やっとナプキンの製造に成功してビジネスもうまくいって
やっとスムーズに物語が動き始めたと思ったら

今度は国連の会合で
主人公が自分の偉業をノリッッノリで
これまた長い尺で
おんなじようなことを何度も言いながら
ただただ喋る。。。


なんか、、、、、
イラッとしました。。。


偉業自体は素晴らしいですし
女性差別の告発も大事なんですけどね、もちろん。

くどい演出がちょっっと。。
90分にまとめても良かったかな。

もうちょい客観的な視点で取って欲しかったな。


友罪(2017年製作の映画)

2019-05-24 | 映画感想



瀬々敬久監督のカオス感が出ていて、良いですね。

ヒット狙いのオールスター事件ものでありつつ
結構ヤバイとこまで踏み込む作家性かあって
この両立性というか
アンバランスさが魅力ですね。


****


モブの動きも特徴的だし
画面の構成力も素晴らしいんだけど、

あとは
カメラワークや映像そのものの美しさがあれば
ヨーロッパ映画の雰囲気も出てきそう。


ノリに乗ってるし
待機作も多いだろうし
『菊とギロチン』みたいな爆弾映画も作れるので
ほんとに今後も期待大な監督です。


こういう商業性と作家性を両立できる監督は少ないので
ぜひどんどん活躍してって欲しい。


****


この映画は思ったより混沌としていて
入り組んでいて
瑛太をはじめとしてかなりの怪演。

夏帆はこれだけの演技をしていてもそれほど話題にならなかったってことは
逆にそれだけ重みのある女優になったってことですね。

なかなかのことしてましたけどね。。


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ちょっとラストあたりが臭いのが残念でした。。

富田靖子は70パーくらいの力でやればちょうどいいかと。

生田斗真はなんの心配もなく見てられますね。
ラストの雄叫びもモノにしてる。


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全体的にもうちょいカラッとしてる方が僕好みではありますが。






ネタバレ/レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画) Ready Player One

2019-05-22 | ネタバレあり
レディ・プレイヤー1(字幕版)



IOlの社長ソレントは大人の代表。

この人はオアシスも興味ないしどうでもいい。
ただ株主の言いなりになってるだけ。
なんの夢も信念もない。


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なんか『グーニーズ』の焼き直しのようにも見えますね。


前半1時間つまんなかったけど
後半から盛り上がってって
「俺はガンダムで行く!」はやっぱ死ぬほどカッコいい。


スッキリとしたスカッとした気分になりましたよ。 


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でもこれは3Dで観るべきでしたね。。

ラストシーンについては以下

















最後は主役の美男美女のキスシーンで終わり。

それまで「オタク最高っ!」ってやってたのに、ラストは結局「リア充最高っ!」って見せつけられて、、、非リアの方々はどんな気持ちで劇場を後にしたのでしょうか。。。。。




レディ・プレイヤー1(字幕版)




家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

2019-05-22 | 映画感想
家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。




お互いに敬語使って話す夫婦ってのが
創作物にはよく出てくるけど
どういう憧れなんだろ。

お互いを尊重しあってる風の空気を感じられるからかな。

でも距離はあるんだよな、敬語って。


他人と距離を保っていたいけど尊重もされたい。

それゆえ敬語夫婦への憧れかなぁ。


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ヤフー知恵袋に書かれた
「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。どういうことなのでしょうか?」
という質問からいろいろ派生してきて、
ついに映画化。


見てしまった。。
映画になったから。。

映画になると僕が見てしまう可能性が高まる。。


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死んだふりする妻(榮倉奈々)に

「なんでこんなことするの?真面目に話してんの!言いたいことあるなら言ってよ!」

とヤスケンさんが怒鳴っても
榮倉奈々ははぐらかして、
カットも切り替わっちゃう。


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友人の妻が
「ワニはバカだと思われてる。でも脳は大きくて犬や猫と同程度の知能なのよ!」と。

で旦那が妻をバカにしてくるので
「妻をバカだと思ってるんでしょ!ワニと同じみたいに!」とキレる。

やっとこさ面白くなってきたと思ったら

そこでも榮倉奈々が
「そんなにがんばらなくていいんですよ」
とはぐらかして終わり。


(ちなみ脳の大きさと知能の高さに関係ないと言われている)



この後も「死」という極限のきっかけを得て
やっとやっと映画のタイトルの答えを言ってくれる。


なんで妻が毎日必ず死んだふりをするのかを
台詞で説明してくれる。台詞で。

サッサと言ってくれればもっと早く映画終わったのに。
ただ「言わない」だけで115分引っ張られても。。



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しかし、そのあともやはり大事なことを言う手前で
風が吹いて観客には言葉が聞こえない。



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ずっと描かれてるのは
夫婦の意思疎通の不能さ。

ずっとコレ。
ずっとコレ。
まともな会話をずっとしない。

相手の質問に答えない。

ずっとコレ。

気持ち悪い。


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エッセイマンガ版をチラ見しましたが、
かわいらしいシンプルなイラストでしたので
この空気感が成立していると思いました。


ただ、
映画では生身の人間が演じるので
この作品の良さを表現するのは無理かとてもとても難しいことだったんだと思います。



家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。





婚約者の友人(2016年製作の映画) Frantz

2019-05-22 | 映画感想
婚約者の友人(字幕版)


やっぱりオゾンはすげぇなぁ。。。

全シーンが美しい。
しかも、それがストーリーテリングと合ってる。


だから結構早い段階で真相が明らかになるんだけど、
それ以降も緊張感途切れずに
登場人物ひとりひとりの心情を思ってハラハラし通し。。


****


嘘が何層も重ねられていって
それは優しさがそうさせるんだけど、

主人公の女性が勝手に期待した〝真実〟があっさりと裏切られ、
それを見ていた年長の女性がこれもあっさりと事の顛末を暴く。


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オゾンは『まぼろし』が頂点だと思っていてあんまちゃんと見てなかったなぁ。
ごめんね、オゾン。

ベテラン(2015年製作の映画) 베테랑/Veteran

2019-05-21 | 映画感想
ベテラン [Blu-ray]


なるほど。
韓国では財閥のバカ子息たちの事件がよく起こってて
この映画も実際の事件の一部をもとにしてるようですね。

面白いんだけど、なんでこの映画作ったのかが謎だったので。


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この不思議なタイトルは原題の直訳。

ベテランってどういう意味だったっけかと改めて調べてみると、

「ある事柄について豊富な経験をもち,優れた技術を示す人。老練者。ふるつわもの。」

とのこと。


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つまり
豊富な知識も優れた技術もないのに
血縁だけで権力を持ってる財閥の子息たちを揶揄したタイトルなんですね。


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その最悪な子息を素晴らしい最悪さで演じたユ・アインが素晴らしかったです。

ほんっっっとに胸糞悪い演技をたっっっぷりやってくれました。。
この演技で男優賞総ナメしたんですね。

アイドル俳優みたいな顔しといてよく
ここまでの悪役を必要以上に嫌な感じで演じられるものです。。

相当な覚悟がいりますよ。
俳優として何かを脱ぎ捨てたかったんでしょうね。


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この悪役をファン・ジョンミンが駆逐してくれますよ。

それまでが長いんですけどね。。
きっちりやってくれるんで。

LUCK-KEY/ラッキー(2016年製作の映画) 럭키/Luck-Key

2019-05-17 | 映画感想
LUCK-KEY/ラッキー(字幕版)



楽しい。

『鍵泥棒のメソッド』のリメイクなんですね。
内田けんじ監督は好きだし、長年新作を待っている身としては言いづらいけど、
このリメイクのほうがだいぶ面白い。

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まずは俳優がハマってる。

日本版のはちょっと違和感あったし、
ユ・ヘジンが素晴らしすぎて
香川照之がミスキャストにしか思えなくなってしまった。。


ユ・ヘジンがほんと素晴らしい。ほんと。

こんな俳優いるでしょうかね、日本で。
この顔で全く隙なく悪者にも見えていいモンにも見えて、おちゃらけずにコメディもできてさらにもラブもできて、さらにさらに泣かせることもできる。

素晴らしい。


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音楽もいい。

しんみりとくどくなりそうなときに
ちょっとコミカルなワルツが流れたりするのです。

コメディですからね、というエクスキュースを音楽で表現してる。

それが徹頭徹尾一貫されていて
とくにラストが素晴らしい。

ラストのアニメもいいですね。

もうほんとに韓国映画すごいわ。
コメディでこのレベルって。。。

ダンブルドアにガンダルフ…「最強の魔法使い5人」はこいつらだ!

2019-05-17 | 映画イラスト


リアルで思うようにいかない時ほどファンタジー映画へトリップしたいものですね。
そんなファンタジー映画で大活躍するのが魔術や呪文を扱う魔法使いたち! 
変身したりワープできる魔法使いの姿を観ているだけでも痛快です。

さて、今回は最強の魔法使いを独断と偏見で5人選定致しました! 
おじいちゃん型魔法使いからセクシー魔法使いまでご紹介します!


🧙‍♀️おじいちゃん型魔法使いの完成形/#ガンダルフ さん
🧙‍♀️医師から魔術師へ華麗に転身/#ドクターストレンジ さん
 など

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ヤバイ博士を勝手にランキング!第1位は、人間でとんでもない実験をしたあの博士

2019-05-17 | 映画感想




ヤバイ博士を勝手にランキング!第1位は、人間でとんでもない実験をしたあの博士


5月7日は「博士の日」です。
1888年のこの日に、日本で初めて文部省から学者たちに博士号が授与されました。
当時の博士号は教育への貢献が評価されたもので、この時25人の学者が博士号を受け取りました。

このような素晴らしい功績を残した博士たちとは全く逆の意味でヤバイ博士が映画の中にはたくさんいますね。
今回は映画の中のヤバイ博士を勝手に選んで勝手にランキングにしてみました!

一応、注意勧告をしておきたいのですが……、
僕この記事を書くにあたって一連の映画を見直したりモデルとなった実在するヤバイ博士のことなどを調べていたら、
本当に気分悪くなって陰鬱な気持ちになりました……。

なので、ちょっと気持ち的に具合悪い人は読まない方がいいかと思いますよ。
元気になったらまた読みに来てね♪

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ヤバイ博士を勝手にランキング!第1位は、人間でとんでもない実験をしたあの博士

#フランケンシュタイン博士 #レクター博士 #ハイター博士 #ムカデ人間 #カリガリ博士















メットガラ ドレスをまとった美術館(2016年製作の映画) The First Monday in May

2019-05-16 | 映画感想
『ファッションが教えてくれること』の方が面白いかな。

この年のメットガラのテーマである『鏡の中の中国』は
西洋人が憧れる中国。

中国メディアからは
「なぜ清時代のものばかり?現代の中国は?」
と批判もあったし、

それに対して「美しいから」みたいなざっくりとした答えしかなくて
結局は押し通しちゃうし、

たしかに出来上がったものは素晴らしいんだけど、
こうやって力でねじ伏せられてしまうのも
〝芸術〟の功罪ですよ。


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差別たっぷりの薄っぺらい大ヒットミュージカル映画を
「歌もダンスも最高だったから、細かいことなんてどうでもいい!」って
観客に思わせてしまう芸術の悪い側面。

要注意ですよ。

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画) All the Money in the World

2019-05-16 | 映画感想

ゲティ家の身代金 [Blu-ray]



面白いじゃ〜ん。
長いのに緊迫感がラストまで保たれれててすごいじゃ〜ん。

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公開前に急遽
クリストファー・プラマーで撮り直しをしたということで
どうしてもそういう目で見てしまうんですが、

ものすごく出演シーン多いですね。プラマー。

でも、やけに切り返しが多かったり、
ボディダブルの肩越しのアングルだったり
明らかに合成だったりと
気になっちゃうのは事実。

しかし、プラマー凄い。
ケビン・スペイシーではあの哀しさや寂しさは醸しだせなかったのでは?


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マーク・ウォールバーグも出演料について問題起こしましたけど、
演技は素晴らしかったですよ。

全作品見たわけじゃないけど、彼のベストアクトでは?

アフリカン・ドクター(2016年製作の映画) Bienvenue à Marly-Gomont/The African Doctor

2019-05-13 | 映画感想
1970年代。
フランスのかなりの田舎の無医村に
勤めることになった黒人のセヨロ医師の実話。

ホントに田舎だし70年代なので、
みんな黒人を初めて見るような状況。

家族みんなで引っ越してきたけど
結構なイジメにあったりしてなかなか辛い感じに。。

でも、少しずつ距離が縮まっていって
セヨロさんは村人から大尊敬される存在に。

実話なわけです。


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医師を演じたマルク・ジンガさんが表情豊かだし、医師としての威厳もあり、かなりの名演です。

奥さんのアイサ・マイガも美しいし、コメディエンヌとして面白い。


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なかなか酷い扱いを受けるので
見ていて辛くもなるのですが、
全体的にはライトなコメディ。

結構したたかなセヨロさんのキャラもあって、ラストも気持ちよく観られました。

明るい夜(2014年製作の映画) Nachthelle

2019-05-11 | 映画感想
2組のカップルで休暇をゆっくりと過ごそうと思ってたら、
嫌〜な過去の出来事が掘り起こされて
4人の均衡が崩れていく心理サスペンス。

女性はひとりなんですが、
この女性が子供の頃に同級生を自殺に追い込んだという過去があったのです。

ほとんどそれを忘れたように生きていたんですが、
故郷に戻ったら、その過去と向き合わなきゃいけなくなってしまって、
なんと女性の人格が分離!


というお話。


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スリリングだし
ちょうどいい嫌〜な感じがずっと緊張感持続されるので
なかなか良いですよ。

でもまぁこれ見るためにわざわざネトフリ入会するまでのことはしなくていいと思いますが。。