映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

2019年映画ベスト30

2019-12-31 | 映画感想
❶Girl/ガールhttps://filmarks.com/movies/80577/reviews/69213680
❷サタンタンゴhttps://filmarks.com/movies/55578/reviews/73187476
❸ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうたhttps://filmarks.com/movies/79360/reviews/67009780
❹芳華-Youth-https://filmarks.com/movies/78406/reviews/65186420
❺女王陛下のお気に入りhttps://filmarks.com/movies/74129/reviews/63392306

❻ボーダー 二つの世界https://filmarks.com/movies/82558/reviews/74970080

❼だってしょうがないじゃないhttps://filmarks.com/movies/87045/reviews/77243562
❽ROMA/ローマhttps://filmarks.com/movies/80397/reviews/61082434
❾蜜蜂と遠雷https://filmarks.com/movies/81435/reviews/76738085
➓ジョーカーhttps://filmarks.com/movies/80819/reviews/74730037

11.ハンターキラー 潜航せよ
12.第三夫人と髪飾り
13.お嬢ちゃん
14.種をまく人
15.よこがお
16.田園の守り人たち
17.マイ・ブックショップ
18.THE GUILTY ギルティ
19.スパイダーマン:スパイダーバース
20.岬の兄妹

21.家族を想うとき
22.マリッジストーリー
23.アクアマン
24.工作
25.ゴーストマスター
26.鉄道運転士の花束
27.僕たちは希望という名の列車に乗った
28.アメリカンアニマルズ
29.フリーソロ
30.新聞記者







映画『his』同性カップルの恋愛のその後を描く

2019-12-26 | ネタバレあり

映画『his』
上映日:2020年01月24日 / 製作国:日本 / 上映時間:127分

話の中心は男性2人ですが、妻の存在感がいいですね。
この映画の肝です。

ゲイ映画に出てくる女性って、妙に理解のある人だったり、妙に邪魔してきたり、妙に嫌な人だったりするんですが
松本若菜演じる玲奈は独立した精神性があって奥行きがあって人間味がある役になっています。

『愚行録』でも良かったけど、松本若菜の演技すばらしいですよ。
後半の主役は松本若菜ですよね。



*****



四コマ映画『his』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2426



****



ロマコメ映画に出てくる〝ゲイ友〟をあまりにも記号的に描いてきたことが、昨今反省されていますが

ゲイ映画による〝女性〟も物語の盛り上がりやオチのために都合よく使われがちなので、

この映画が分岐点になるといいなと思います。







映画『テッド・バンディ』ネタバレあり

2019-12-26 | ネタバレあり

映画『テッド・バンディ 』









何度も映像化されているテッド・バンディ(セオドア・ロバート・バンディ)ですが
今回はザック・エフロンがテッドを演じています。
ザック・エフロン名演じゃないですか、これは!



さらに、テッドの恋人の視点が強めだというのが大きなポイントですね。
単なるシリアルキラーものではなくて
「身近な人が実はシリアルキラーでした」という恐怖と混乱を実話を基に描いています。

****


四コマ映画『テッド・バンディ 』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2442



****

テッド・バンディといえばここに書くことすらためらうほどの殺人鬼。
シリアルキラー の語源になった男で、裁判官の言葉を借りると「極めて邪悪で衝撃的に凶悪で卑劣」な男。

しかし、IQ160でイケメンで立ち居振る舞いも堂々としていてユーモアもあるので
裁判がテレビで放映されると女性ファンが増えていき
傍聴席は毎回満席、ファンレターも届くという状況。

自分で自分の弁護をできるほどの頭を持っていたので
メディアも翻弄され、
事件を州をまたいで実行されていたことから
それぞれの州警察の連携もとれず
なかなかテッドを有罪にできない。

****

テッドの恋人の視点になっているので
観客側も「有罪なの?無罪なの?」と揺さぶられながら観ることになります。

パンフによるとこれは監督の意図通り。
監督のジョー・バーリンジャーはドキュメンタリー作家らしい個性で
他の映画との差別化が図られています。

監督曰く
「真実は誰でも見えるとことにありましたが、手遅れになるまで、誰1人その真実に立ち向かうことができなかったのです」とのこと。


****


四コマ映画『テッド・バンディ 』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2442






ラスト、ネタバレは以下に。








































最終弁論。

テッド「警察はあらかじめ犯人を決め、警察に有益な証拠ばかりを集めるのです。この裁判は茶番です。無実の男をホラー映画の怪物に仕立てるなんて」

州「フロリダ州は彼の有罪を主張します。第一級殺人2件と殺人未遂3件」

テッド「僕がその無実の犠牲者です」

***

7時間後に判決が出る予定。

テッドをずっと支援してきたキャサリン。
キャサリン「将来の話、覚えてる?家と犬と…」

テッドはイマイチピンときてない。言ったっけ?みたいな顔。

キャサリン「もう1人メンバーが増えるわ」とお腹を触る。
妊娠した模様。

テッド「…………………………………裁判を終わらせよう」
と裁判所へ向う2人。

*****

全ての罪で有罪に。
テレビでそれを見て泣くリズ。
支えるジェリー。

*****

テッドの母「死刑は人が人に課す最も野蛮な行為です。フロリダの方は神の法より上なのですか」

裁判長「有罪判定を支持します。人の命をなんとも思っていない犯行。って君を死刑に処し、絶命するまで体に電流を流すことにします。発言を望むなら」

テッド「慈悲は求めてない。やってもいない罪で自費を求めるのはおかしい。犯人の特定は間違っている。この判決は僕が受けるべきではない。」

裁判長「君の頭ならイイ弁護士に慣れた。人間性の無駄遣いだ。君は道を誤った。君に敵意はない。自分を大切に。」


****

リズにテッドからの手紙が届く。
「これはラストレターだ」と書いてある。

****

死刑執行の日。刑務所の周りには多くの報道陣。
「テッドは精神鑑定を要求。死刑を免れる作戦でしょう」


****

リズがテッドに面会。映画冒頭のシーン。

テッド「綺麗な指輪だ」
たぶんジェリーからもらった指輪をはめている。

テッド「僕が女性に手をあげるわけない」

リズ「私が通報したの。以前は私のせいであなたの人生を台無しにしたと自分を責めていた。私があなたを信じなければ、他の女性たちを救えたのに。
だけどもういや。悪いのは私じゃない。あなたよ。あなたが犯人なのね。」

「僕はやってない」
「あなたがやったの?」
「違う。狙いはわかっているが、期待には応えない」
「こんな男にモリー(娘)を預けていたなんて!私を殺そうとした?」
「盗聴されてたら言えないよ」
「どこまで異常なの?もう私を放して!」
「君には信じて欲しかった」涙ぐむテッド

リズはフィッシャー刑事から受け取っていた極秘資料をテッドに渡す。

そこにはテッドが起こした凄惨な殺人の詳細な写真がいくつも載っていた。
首のない女性の体など。

「僕は悪人じゃない」
「彼女の頭をどこにやったの?」

テッド、電話を置いて2人の間のガラスに指で文字を書く。

〝弓のこ〟

***

回想シーン。
腕を吊って障害者の振りをしたテッドが女性に近づく、バールのようなもので頭を殴り、森の中へ連れていき、頭を切断する。

***

リズ、面会室を出る。
続いてフィッシャー刑事が入ってくる。


***

刑務所の外で今までの出来事を反芻するリズ。

ジェリーとモリーが車で迎えにきた。帰宅。


****


テッドの死刑執行日は1989年1月24日。

彼は死ぬ前に30人の殺害を告白したが、余罪はもっと多いとされる。

テッドは自分の遺灰は多くの被害者の眠るカスケード山脈に巻くように希望した。
(実行されてんでしょうか。被害者としては最悪なんですけど。。)

リズは酒を断ち、今もワシントン在住。

キャロルは女児を出産。テッドの認知を受けた。

認定されているテッドの犠牲者名がずらりと並び、読まれる。

****


本人の映像。
「君は無罪?」
「もちろん無罪だよ」と笑う
映画のシーンそのままを実際もやっていた。
確かにセクシーイケメン、人懐っこい笑顔。

キャロル本人「彼は無罪よ」
傍聴人「暴力を振るうようには見えない」

「噛み跡が決定的だった」

母「死刑は……」

裁判長「人間性の無駄遣いだ……」

死刑執行の日、数百人が歓声をあげた。


テッド「今や殺人鬼は暗闇からよだれを垂らして出てこない。大好きな人や仲間や尊敬する人が突然悪魔のように豹変するかもしてない」
(お前が言うな)

テッドとモリーが仲良く写っている写真。

終わり。








映画『テッド・バンディ 』



ゴーストマスター(2018

2019-12-26 | 映画感想




クリスマスに。ゴーストマスター。
僕は何か間違っていますか。


ここまでやりきってる映画を劇場で観られたのは幸せなことです。



***


ヤング・ポール監督の長編デビュー作。

どういう流れでこんなにもいい俳優たちが出演してくれたのだろうか。


***



編集がまたに「ん?」ってなる瞬間もあるし
緊張と緩和のリズムがうまくいってなくて笑えそうなのに笑えないシーンとかあってもったいなかったりはする。


が、それも含めて愛おしい。


***


やっぱ導入が素晴らしいですね。

胸キュン映画の撮影から始まって
ホラーになっていくのが気持ちわかるもん。

そりゃああなるよねって感じするもん。


胸キュンアクションが必殺技になるのも最高。

一発目の壁ドンは
「あれやって欲しいっ!」と望んだことを
それ以上の特殊メイクでやってくれましたね!

このシーンだけでも5点満点でした。
このあと相当なことがない限り5点満点キープできる!
と興奮しましたよ。


***


4点にしております。。

やっぱ中盤の緊張と緩和のリズムの狂いはちょっと残念。。
愛すべき点ではありますけどね。。


***



スクリーンの前に座ってるだけで
成海璃子に殴ってもらえるなんてこんな幸せもらっていいのかしらん。



***


劇場で観るのはこれが今年ラストかな。

ラストにふさわしい映画愛。
映画愛なんて漢字3文字で表したら失礼なほどの狂気。

人生賭けて映画撮ってくれてる狂人たちに祝福と給与と労働条件をっ!





家族を想うとき(2019年製作の映画)

2019-12-24 | 映画感想



今年一番辛い。。。


原題『sorry we missed you.』は不在連絡票なんですね。
ご不在でお届けできませんでした、と。


直訳すると
ごめんなさい、あなたとすれ違って
とか
ごめんなさい、あなたの言葉を聞きそびれて
みたいな意味らしいです。



ラストシーンがまさに
「すれ違って聞きそびれて」ましたね。


ただ、
この言葉はこの家族間で交わされた言葉を表してるんじゃない。



「社会があなたたちを見ないようにしててごめんね」
ってことでしょう。


***



気高く生きようとしてるのに踏みにじられてしまっている人々。


そんな弱者を社会は、騙して、責めて、搾取している。


弱いことは悪だと思考停止して
弱者から目を逸らしている。



***



ラストシーンは『タクシードライバー』のようでしたね。。。

永遠に走り続ける。

恐ろしくも、監督の愛を感じる告発だと思いました。


***



社会の不寛容さが加速すると
ああいう状態の車が増えるってことですよね。

結局はすごく非効率的なことが起こってしまう。



***



『わたしは、ダニエル・ブレイク』での、フードバンクのシーン並みの極キツ場面の連発です。



長女ライザちゃん。。。。。。。
地球一幸せになって欲しい。。。



***


あとiPhoneのオリジナルの着信音。
ちゃらららちゃっちゃっちゃっちゃっちゃっちゃつ
てヤツ。

あれきくとやっぱなんか嫌な予感するっていうか。
いま画面上で何が起こっていてもそれに全く気を使わない何かが起こる、
むしろ空気読まない最悪の何かが起こる
というフラグとしてあの音を使ってんよね、
さすがっすよ、ケンローチよ。


 


エッシャー 視覚の魔術師/エッシャー 無限の旅(2018年製作の映画)

2019-12-23 | 映画感想
エッシャーの日記や手紙を元に
エッシャーの言葉をナレーションにして話を進めていきます。

つまりはずっと主観的なわけです。

息子やらエッシャーのことが大好きな人のインタビューも挟まれますが、、なんかぼんやりとしてますね。。

もっと客観的な視点があった方が見応えあったかなぁ。。


****


CGを使ってエッシャーの絵が動いたりするのは面白いですね。

エッシャーの技法を用いた映画やアートワークの紹介も面白かった。


****


今春あたりにNHKでエッシャーの特集やってて、
それの方が面白かったんだよなぁ。。

ちょっと期待したものと違ったかな。



****



あと、隣の席のおっさんが無限に豆食ってたんですよ。。

ずっとボリボリボリボリ。無限に。

で、ビニールを無限にシャカシャカやってたんすよ。。

気になって気になって。。

ジロって見てみたりしたんですけど、数秒は止まるんですけど、また始まるんですよ。ボリボリシャカシャカが。。

私のちいさなお葬式(2017年製作の映画)

2019-12-23 | 映画感想



想像以上におもろしかったです。

ドタバタ劇だとは思いませんでした。
結構シュールな笑いだと思いましたよ。


****

いつ心停止するかわからない病気にかかったおばあちゃんが
多忙な一人息子に代わって
自分の葬式の準備を始めます。

っていうか、さっさと死のうとしてるんですよね。。

****


自分で墓買って棺桶買って葬式も全部決めておいて全部お金払っておく。

ってのはロシアはできないんですかね。
ていうか日本もできないんでしょうか。
できますよね、きっと。


ロシアではそれをやるには死亡確認書が必要だから
自分が死亡したことにするために
教え子の検死官に頼んで資料を作ってもらう。

あ、このおばあちゃんは元教師で人望があって
町には元教え子がいっぱいいるので
壁にぶち当たると教え子が「先生の頼みなら」ってな感じで協力してくれます。


****


なんか全員ちょっと天然ボケ。
じゃないと成立しないですからね。

ツッコミのいないシュールな笑いの連続。
淡々とコントが続きますが、本人たちはいたってマジメ。


****


シネスイッチ銀座で見たのですが
客層がなかなかこの映画に合致しておりました。。。

そして予告編で流れる映画のほとんどが「終活」映画でした。

『イーディ、83歳はじめての山登り』面白そうだったなあ。



ぼくらの7日間戦争(2019年製作の映画) ネタバレあり

2019-12-23 | ネタバレあり



1988年の映画『ぼくらの七日間戦争』は、10歳でした。
主人公たちは中学生なのでドンピシャでした。

ハマりまして、「ぼくらシリーズ」を読み漁りましたよ。
「ラッキーマウス」でさすがにもういいやと思いましたが、青春の1ページではあります。

***


学生運動で各大学にバリケードが張られた1968年の全学共闘会議をマネて
〝解放区〟と名付けた廃工場に立てこもって
校則で管理してくるオトナたちに反旗を翻す!

というのが1988年版。


※1991年『ぼくらの七日間戦争2』は無視します。



***



で、
いまのコドモはオトナの何と戦うんだろうというのが気になってしょうがなくて
映画公開より前にノベライズ版を読みました。

いまのコドモたちは何が敵なんだろうと。



オトナの存在感が弱いですね。
とくに親がほとんどいない。。。

今のコドモは親なんで壁でもなんでもないのかしら。。。



***



それよりも戦うべきは「空気」なんですね。

空気を読むことでねじ曲げられた表向きの自分。
本当の内面とは乖離した自分との戦い。


存在感のない主人公も冒頭では
「ぼくは誰にも見られていない」と繰り返してる。

これも空気ですね。



***



七日間戦争って言ってるので七日間あります。

6日目から面白くなるというのはノベライズを読んでいたのでわかっていました。


6日目でのひっくり返りがこの映画の肝ですね。


どす黒い展開が面白いわけですが、もうちょっとリアリティーのある画面で表現して欲しかったなと
おじさんは思いました。


***



で、まぁ、
ある人物による超絶ビッッックリ告白がありまして
さすが21世紀!とほんとにビッッックリしました。。



これよってこの映画を観た子供たちがどんなに心が軽くなって、未来に希望持つのかと思うと
おじさん嬉しいわけです。


ネタバレは以下に。。



































千代野さんはビアンでしたね。
しかも香織もビアンってことですよね、あれは。付き合うんですよね、あの2人。

前作では中学生だったけど、今作では高校生。
これもあって高校生にしたのかな。

まぁ、作品としてはさすがに楽しめる年齢ではなかったんですけど
この爆弾設定は嬉しいものです。



 


映画「シシリアン・ゴースト・ストーリー」ネタバレあり

2019-12-19 | ネタバレあり




映画「シシリアン・ゴースト・ストーリー」










あまりに衝撃が強すぎて、自分がどういう感情なのかわからない状態が長く続きました。

ちょうど湖にカケラたちが浮遊してるあのシーンのような感じ。
上へ下へ、どこに行くかわらかない。
どこに気持ちを収めていいのかわからないし、気持ちを収めてしまうのが罪なような感じもする。。


***

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ですね。。
今作も方が先ですが。


実際の陰惨な事件の映画化ですが

せめてその人生の中で美しく甘酸っぱい時間があって欲しい
せめて人の温もりで温まる時間があって欲しい
という製作者の願いでしょう。

もう、泣けて泣けて。。。


****


ジュゼッペは悟空のフィギュア持ってるんですよ。
超サイヤ人化した悟空。
ちょっとオタクみたいな扱われ方してましたね。

 ↓


四コマ映画「シシリアン・ゴースト・ストーリー」→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2435


いつか会うことがあったら新品の超サイヤ人を8体買ってあげるよ、おじさんがっ!(涙)


****


ネタバレっていうか全ては以下に(涙)。



































フクロウ。
濡れた岩場。
上下がわからないカメラワーク。カメラがどんどん上がっていく。水面。水飲み場の排水口。

そこでジュゼッペが水を飲み、下校。林の中に入っていく。ルナがこっそり付いて行く。


***

小鳥と戯れるジュゼッペを覗き見るルナ。
奥へ進むジュゼッペ。2人は出会う。

ジュゼッペはルナから持っているラブレターをからかう。
宛名はジュゼッペ。
「他のジュゼッペよ!」とルナは嘘をつく。

野犬がウサギを食べている。野犬がルナに吠える。ジュゼッペが助けに来て、一緒に逃げる。
ジュゼのカバンを囮にして逃げ切る。カバンに食いつく野犬。

***

無事にジュゼの家に到着。
「お礼のキスくらい」
「ダメよ、チーズ屋が嫉妬するわ。明日学校でね。」

ジュゼは納屋からバイクを出してくる。
「13才でしょ?」
「安全運転だ」

ジュゼはルナを後ろに乗せてバイクで走る。
「母が付き合うなって」とルナ。

乗馬クラブへ。ジュゼ、馬に乗る。
「怖くないよ」とルナに馬を触らせる。
「乗ってみる?」
「今度にするわ」

ルナ、ラブレターをジュゼに渡して、キスをする。
「家に着くなり後悔する?」とルナ。
「全然」とジュゼ。

ルナ、廃れた厩舎に入る。馬が数頭いるだけ。いななく馬を見つめる。

****

車道を歩くルナ。向かいからバンが来て、運転していた父が降りる。
父、ルナを抱きしめる。

****


ルナの家。
「学校のあと行方不明に。自分が何したかわかってるの?私たちとあの人たちはなんの関わり合いもないの」と母。
「夕飯食べないとインスリンが…」と昼の残りの大量のパスタを食べる父。
「あなたまで同じ過ちを繰り返さないで」と母。
「結婚なんて早いし、会いたい人と会うわ」とルナ。
母、ルナにビンタ。


***

ルナ、部屋から懐中電灯の発信信号で隣の山の家に住む友人と会話をする。
「ミッションは達成した。でもそのあとおかしなことが起きた」とルナは発信する。

***

学校。ジュゼは休み。
友達「どこがいいの?馬とサッカーとゲームの男なんて」
ルナ「頭いいし、楽しいわ」

***

ジュゼの家を訪ねるルナ。
インターホンを押しても誰も出てこない。二階の窓から睨むジュゼの母。

***

その夜。ルナの自宅の地下室。岩を掘り出したような部屋。小さなフクロウ。フクロウを抱くルナ。


***

学校。
ルナ「もう17日もジュゼが休みです。何があったんですか」
女性教師「何も聞いてません。あれば聞いてるはず」

***

林の中のジュゼのカバンを拾うルナ。
大きな木の裏にジュゼを発見。「見つけ出せるのは君だけだ」とジュゼ。ジュゼは幻。
ジュゼのお気に入りの超サイヤ人化した悟空(ちょっと壊れてる)のフィギュアを抱きしめるルナ。


***

その夜。ルナの部屋。ちゃんと組み立て倒された悟空のフィギュアが飾ってある。ジュゼのノートを読むルナ。

***

翌日。ジュゼの家。
ルナ「ジュゼにカバンを渡してください。ジュゼはどこ」
ジュゼの母がルナを抱きしめる。
父「病気だから二度と来るな」
ルナ「明日また来るから!」

去り際、家の中から「ジュゼッペ!愛する我が子!」と泣き叫ぶ母の声。


***

ルナの家。地下。サウナから出てくる母。
ルナ「ジュゼに何があったの?」
母「あとにして」

***

ジュゼの家に侵入するルナ。
ダイニングで泣いているのか、呪文を唱えているようなジュゼの母を横目に見る。

2階のジュゼの部屋。馬に乗る時にかぶる帽子と馬に乗ってる時の写真に触れる。

****

車の後部座席にいるジュゼ。
運転している男「父親に会えるんだ。嬉しいか。お前が人に見られるとまずい」
「お前らは警察と協力し、マフィアを告発した。改悛者は家族を忘れるしかない。お前の父の仲間の多くは立派な棺桶を用意している。」

ジュゼ「怖気付くもんか!」

ジュゼは袋をかぶせられる。男3人。ジュゼは家の中に入れられ、鎖を付けられる。家の中にもう2人。
「お前の父はクズだ。しゃべり続けるとお前の命はない」
ジュゼに新聞を持たせ写真を撮る。
「父親とジジイがどう思うかな」
男たち、写真を封筒に。

***

ジュゼの家。その封筒を持ったジュゼの父親。
ジュゼの母にそれを見せない。

***

ルナの部屋。ルナが悪夢を見て苦しんでいる。
父がルナを抱きしめる「大丈夫だ、父さんがいる」
「またあの夢を見たのか。警察が探している。今は待つんだ」

母が来る。
母「学校へ行きなさい。最高の天気よ。今年は試験もある。今のままじゃダメ」
プリプリ怒っている母。娘に優しい父。それを見てまた腹を立てる母。

***

地下。フクロウに微笑むルナ。

***

ルナ、友人に髪を青く染めてもらう。友人とともに青く染めた髪の毛。

「ジュゼッペがいない。どうする?」というビラを街で配る。
けげんそうな顔をする町の人たち。
警官「警察が無能だと?」

***

家。
母「反抗するやり方を変えたら?矛先は私じゃないでしょ」
ルナ、母にビラを渡す。
母「いい質問ね。あなたは勉強しなくなる。あなたは落第する。あなたはもっと頭のいい子よ」
ルナ「みんなと一緒に無視しろと?誘拐犯は町の人よ。彼は私の全て。考えずにいられない。わかる?」


***

学校。ジュゼの席に別の男子が座っている。
ルナ「あんたの席じゃない」
男子「恥知らずの息子はもうこないさ」
ルナ、男子にビンタ。


***

家。
母、バリカンでルナの頭を坊主に。

***


ルナの部屋。隣の山の友人も自分で髪を切ろうとしているのが見える。
ルナ「やめて」

***

ルナからのラブレターを読むジュゼ。ポケットに入れてある。
監禁されている部屋。半地下。小さい窓から光。
足に鎖。

ルナの手紙「夢に見るならあり得るはず」

男たちが入ってくる。手紙を枕の下に隠す。
鎖を外れて、おしっこ。男、タバコを数。パンとミルクが与えられ、食べる。
「趣向を変えてみた。お前ももう大人だ」とエロ本を差し出す男。

男「食い終わったら父親に手紙を書け」
ジュゼ「いままで書いた分は」
男「届いてる」
ジュゼ「父さんにとって僕はどうでもいい。僕がここにいるのは家に戻れないからだ!」

***

夏。
ちょっとだけ髪が伸びたルナ。弁当を作って父とルナは釣りへ。
「犬も食わん」と母が作った弁当を捨てる父。
パンだけ食べる2人。

「お前にとって大変な一年だった。よく卒業できた。次は町の高校だ。俺の人生で何よりも大切なのはお前だ」

湖の向こう岸にジュゼの母。
追うルナ。逃げる母。誘われてレンガ造りの廃屋を見つける。中に入る。
中年の女と男が立ちバック。奥へ進むと、岩肌が剥き出しの井戸の底のような場所。
階段を降りていくと頭まで水に浸かる。ジュゼの水の中にいる。手を伸ばすジュゼ。


父が溺れるルナを抱え上げる。
ルナ「行かせて!」


***

男に髪を切られジュゼ。
ジュゼ「あんたに子供はいる?」
男はシカト。

***

ルナのラブレター
「私と付き合ってくれる?イエスならそれは世界で最も素敵なこと」

手紙を土床に埋めるが、またすぐに掘り出して手紙にキス。
月光がジュゼを照らす。

「ここからだしてくれ!」暴れるが取り押さえられて鎖で繋がれる。


***


退院したルナ。
「チーズ屋のロレダーナが高校に行ったわ」と友人。
友人「私彼氏できたの」
ルナ「最近母が優しいの。スイス人も変わるのね」
友人「引っ越しするの?」
ルナ「母が兄弟と電話してる。多分そこへ」
友人「なぜ黙ってたの」

***

車で運ばれるジュゼ。
ジュゼ「海の匂いがする。海を見せてくれ!」
男が車を止め、ジュゼを外に出す。「ここに海はない」

ジュゼ「あんた、父さんの友達だろ!声でわかってた。誰にも言わない」
再び車に乗せられるジュゼ。「ゆるく結んでおいてやる」

山道をカメラがパン。遠くに海があった。


***

ルナが池に溺れてる時に見た煉瓦造りの廃屋へと連れて行かれる。
なかのえれバーターで地下へ運ばれ、監禁される。
窓もなく闇。

***

ルナと友人。
「夢じゃない。ジュゼがいる家よ。建てかけの家」
友人の彼氏とその友人(メガネ男子)と4人で捜索。

ルナは夢で見たブタ面男を見つける。


***

警察。
ルナ「ブタ面はジュゼの祖父を訪ねるはず。尾行してください」
母「この子は治療中で。。むすは普通では。。」
父に引きずって外へ出されるルナ。
「見損なったわ!親を呼ぶなんて」とルナ。


***

ジュゼ。半死状態になり脱糞している。
それを見ている幽霊となったジュゼ。

***

母「明日は出発よ」
壁に絵を描くルナ。森の中のジュゼの姿。

夜。家を抜け出す。

***


石材店のトラックの後ろに乗り込む。トラック動き出す。森へ。
煉瓦造りの家。

「こんなのやってられねえ」と1人の男が逃げる。それを追う男。

その隙に家に入るルナ。「ジュゼッペ!」

エアコンをつけようとリモコンを押したらエレベーターが地下へ降りていく。
再びボタンを押すと、エレベーターが上がってくる。

そこにはジュゼが乗っていた。
「助けてくれると思っていた」
キレイなジュゼとルナが抱き合い、逃げる。

ブタ面に気づかれぬよう森に逃げ込む。走る。走る。

***

朝靄のかかった池。追う男たち。隠れる2人。
顔を合わせてキス。
「離さないから、二度と」
「一緒に来ちゃダメだ」
「抱いて」
「ルナ、眠っちゃダメだ」

眠るルナ。ルナを置いて去るジュゼ。ジュゼは裸。
振り向くとルナがいない。微笑むジュゼ。

キレイなジュゼはジュゼの元へ。
キレイなジュゼがジュゼの口元に手を当てると、ジュゼは息を吹き返す。

直後、男に首を締められて殺害される。

***

ジュゼはドラム缶に入れられている。そこに大量の硫酸が注がれる。しばらく放置。


***


ルナの家の地下。ルナが書いたジュゼの似顔絵などを燃やしている。ルナ、横になる。ルナの瞳のアップ。

***

ドラム缶の中身を湖に捨てる。中身はドロドロ。粉々。湖の中で浮遊するジュゼの破片たち。無音。

かけらの一つをカメラが追っていく。湖の底から下水溝へ。岩肌(映画冒頭の)。ルナの家の地下。横たわるルナ。

馬に乗る時に着る服を着たジュゼ「ルナ、眠っちゃダメだ」
フクロウの視点。フクロウが飛び立つ。フクロウ、友人の家へ。

***

友人、ルナの家へ。
ルナがいないことに気づいた母と父。ルナの部屋へ。
壁の絵を見て、ギョッとする母。

地下へ。ルナの傍らにいるジュゼを見る友人。
父がルナを抱え上げて運ぶ。

***

海。波打ち際。ジュゼのかけらが紛れているかもしれない海。
ルナ、海の遠くを見る。
友人3人もいる。皆笑顔。

遠くで半裸の少年が海に飛び込み、波と遊ぶ。ジュゼ。
それを見て微笑むルナ。


終わり。




映画「シシリアン・ゴースト・ストーリー」


この愛は呪いか 映画『母との約束、250通の手紙』 ネタバレあり

2019-12-19 | ネタバレあり

映画『母との約束250通の手紙』

 

 








まずはこの実話自体が凄すぎる。。。
実在のフランスの文豪ロマン・ガリの半生(ほとんど一生)を描いているものです。

***

かなり強烈なお母さんをシャルロット・ゲンズブールが演じてますが、素晴らしい怪演。。。

そのまま演じちゃったらちょっと観客がついていけないレベルのお母さんなんですが、
ちょっと可愛らしく演じてる場面も多いので
このお母さんの心情にも寄り添いつつ観ることができます。

***




四コマ映画『母との約束250通の手紙』→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2434



***


この強い強い愛情と生きる力を持った母親に育てられるロマンを演じるのがピエール・ニネ。

フランスでは2人ともトップスターですし、原作もベストセラー。

映画も大ヒットしたようですし
大ヒットすることが予測されていたかのようにものすごく製作費かかってると思いますよ、コレ。

美術と衣装が圧巻ですし
ロケ地何箇所あるんだってなくらいに、あちこちで撮影してるし
何日もかけて準備して撮影したであろうシーンでも数秒で過ぎ去ってしまう。

だから、何十年かの話なんですけど、バンバン話は進んでいきます。

実話ならではの、どこに話がいくのかわからない状態。
気づけばロマンはアフリカで戦闘機乗っていたりするので、ホント物凄いんですよ、この実話自体が。。


***


「母からの強い愛に応える息子」という軸が中心にあるので
筋書きのないストーリーでも大丈夫なんですが、

終盤、いきなりこの軸が崩れます。

息子の成功をひたすらに願っていたお母さんですけど
息子がついに作家デビューできることになった途端、完全スルーなのです。

どんなに喜んでくれるんだろう、きっと誇りに思ってくれるだろうと期待してたのに。。

お母さんからの手紙はバンバン届くんですが、全然スルーされるんです。


それは何故か、というのが終盤のミステリー。


****


お涙頂戴にしてないところがこの映画のホントに素晴らしいところ。

これを「どうぞ泣いてね!」みたいな空気でやられてたら、僕はデモしてましたよ。



あぁネタバレ厳禁!


ネタバレは以下に。。



***





四コマ映画『母との約束250通の手紙』→http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2434





























5年前に息子はアフリカに出征。
母はすでに病気で入院してました。

今生の別れ的な雰囲気も出してたけど
母から週に1、2回は手紙が届いていたし
その文面を見ると「全然元気なんだな」とロマンは思っておりましたね。

で、作家デビューしたことを手紙で知らせてもスルー。
新聞に載ってもスルー。

なぜ!と思いつつ、帰郷して、病院を訪れると
「お母さんは3年前に死んだ」と医者。


死期が近いと悟った母は
生きているうちに手紙を量産しまして
スイスの友人に頼んでそれを毎週1、2通ずつ息子のところに送ってもらっていた。

だから、息子の作家デビューを知らずに死んでいたわけですね。

「いつか真実を知ったら私を許してくれるのでしょうか」と。
私が死んでることを知らせないようにしたこと、許してくれますか、と。


****


その後、ロマンは大作家になるものの、あんまり幸せじゃない感じで生きまして、最終的には自殺。

母からの強い愛は祝福だったのか、呪いだったのか、それは本人しかわからないことです。



映画『母との約束250通の手紙』


カツベン!(2019年) ネタバレあり

2019-12-16 | ネタバレあり



久々に豪華な邦画観た。

衣装も美術もロケもキャストも豪華だけど、劇中の無声映画も新たに撮ってる(エンドロールのはちゃう)とか、
徹頭徹尾丁寧な準備がなされてることが豪華。

しかもここまでやっておきながら
「所詮は活劇でござい」というスタンスも軽くて素晴らしい。

成田凌 の小動物感がコメディにぴったりだし、
井上真央 の大正モガファッションがずっと素敵。


※※※


活動弁士について勉強にもなる。

興業というものにつきものだった反社的なものも重点的に描いてましたね。


小日向文世怖かった。。



※※※


ドタバタ感や間の悪さ(ゆっくり感)はちょっと好きではなかったです。

『Shall we ダンス?』でもこの感じがあって苦手でした。

でもまぁ今作では、おじいちゃんたちが死ぬんじゃないかってほど笑っていたので正解なんだと思います。



※※※


ネタバレ、ラストについては以下に。


































永瀬正敏がなんで酒に溺れているかというと弁士という仕事に虚しさを感じているから。

映画は映画で完成している。
音がなくても伝わるのに、弁士は説明を加える。
弁士は映画がないと存在しないが、映画は弁士なくても存在する。
このことに気づいて酒に溺れている。

しかし、まったく映画として成り立っていないフィルムのつなぎ合わせたものを成田凌がエンタメとして昇華させている姿を見て、
「弁士も捨てたもんじゃねえな」と思って
得意技の七色の声を使って、音尾琢真を翻弄する。

さらに、刑務所に入れられた成田凌は説明だけで看守や受刑者を感動させる。
映画のないところでも映画を再生することができる弁士の能力を見せる。

エンドロールでは、実在する無声映画『雄呂血』が流れる。
これは池松壮亮演じる二川監督の映画。

劇中の無声映画は撮り下ろしで、草刈民代やシャーロット・ケイト・ファックスが出ていた。

悪いけど、本物の『雄呂血』を見せられるとやはり熱量の違いを強く感じました。
「無声映画ってこんな感じだったよね」って撮ったものよりも
当時の最新技術による最新エンタメとして撮られた『雄呂血』の迫力。

これをエンドロールに流す周防監督の無声映画への敬意を感じて泣けるわけよっ!



 


グレタ GRETA(2018年) ラストネタバレあり

2019-12-16 | ネタバレあり

 


予想以上に面白かったですね。

数多あるストーカーものですけど
そのサイコパスをイザベル・ユペールがやると、あら不思議やっぱり面白い。

ずっと外に立ってるイザベル・ユペールとか
ある機具を使って攻撃するイザベル・ユペールが
ギャグみたいでいちいち笑っちゃう。

拘束衣をつけられたイザベル・ユペールとかってかっこいいし面白い。。



※※※


高所恐怖症だけでなく
閉所恐怖症もある僕からすると死ぬより苦しいアレとか
もうほんっっとに怖い。。


並のホラー映画よりは確実に怖いです。



※※※


クロエ・グレース・モレッツ の怖がり演技も素晴らしいので
この映画がゴールとするものには到達できていると思います。


98分だし、全然いいよっ!!




ラストは以下に。



























フランシスはグレタに捕獲され、麻酔を打たれて、箱に入れられる。

フランシスは箱から出されるが、じんわりずっと麻酔が効いているので抵抗できない。
ピアノを厳しく教えられたり、料理を一緒に作ったりと「母子ごっこ」に付き合わされる。


ある時、多分ちょっと麻酔が切れかかっている時に、
グレタがクッキーの金型を自分の指にからめつけた瞬間に
伸ばし棒でガーンと一発殴るとグレタの指が切断。

フランシスは逃げるが窓も扉も開かない。
半地下に降りてみると、そこには前回の被害者の女性が袋に入れられていた。
息はあるよう。


案の定、グレタが半地下に降りてきて、麻酔を含ませた布でフランシスの顔を覆い、再び捕獲。


ピアノの後ろの部屋に監禁。ベッドに縛り付けた状態。


後日、探偵がグレタの家まで来る。
ピアノの奥の部屋の存在に気づくものの、背後から首に麻酔を打たれる。
そして、探偵が持っていた銃で、グレタは探偵を殺害。



フランシスに飽きてきたグレタは、また地下鉄にバッグをわざと置き忘れる。

翌日、親切にも届けにきてくれた女性。
家に招き入れ、麻酔を3滴入れたコーヒーを女性に差し出す。

グレタは新しい獲物をゲットできてハイテンションだけど、体が弱ってくる。
麻酔入りのコーヒーを飲んだのはグレタ。

女性の正体はカツラを被ったフランシスの友人。
「地下鉄にバッグが置かれるのをずっと待っていたのよ!」と。


(探偵と連携してグレタを探していればよかったのに。。)


部屋中を捜索してからピアノの奥の部屋に気づく。
ピアノをどかし、部屋に入ると縛られているフランシスを発見。

この時点で警察に電話して欲しいんだけど、そうはせずに、フランシスの拘束を外す。

拘束を外したならすぐ部屋から出て欲しいんだけど、そうしないうちに、部屋の外からピアノの音が!

「グレタが回復している!」

友人とグレタが格闘するとグレタは気絶。

グレタを箱に入れる。
鍵を締め、グレタが憧れていたパリのエッフェル塔の置き物を、鍵に刺して開かないようにする。

箱の前でちょっと2人は会話してから、外へ。


カメラ、箱の鍵にズームアップ。
グレタが箱の中で暴れている。
鍵が揺れてエッフェル塔が外れそうになる。


終わり。






グレタ GRETA [DVD]







「good people」 傷ついた心の癒し方、教えます

2019-12-12 | ネタバレあり
映画『good people』上映日:2019年12月07日


3人の迷える若者(?)が登場しますが、
やはり一番面白いのはソフトバンクのCMでおなじみのダンテ・カーヴァー演じるケイレブ。

朝チュンして2人でパンケーキ食べるのが夢などと言って、結構執拗に女の子にパンケーキを食わそうと図ります。

元ナンパ師だったっぽいセクシーイケメンのビリーは、そんなケイレブの夢を叶えてあげようとして
ナンパ術を伝授します。

でも上手くいかないんだけど、この2人が結構ブロマンス臭を醸してくるもんで「お前ら付き合っちゃえよ!」とでも言いたくなるほど。

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公式サイトhttp://goodpeople-movie2019.com

四コマ映画『good people』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2423

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マクガフィンとしての完璧夫婦(芦名星と玉山鉄二)を輝く星として崇めているから
その光を浴びてまるで自分が影の存在のような気になってしまうけど
実はこの3人にもそれぞれ夢はあるし、叶えようとする気力もある。

よっしゃ一歩踏み出そう!と心に決めてみると
今まで一点の曇りもない完璧夫婦だと思っていた2人の実情も見えてきて
「あ、意外と完璧でもないのか…」と知るわけです。

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普通レベルにポンコツな3人への視点が優しい映画ですし
さりげない日常の映像も美しくて
人生に落ち込んでる時に見ると、ちょっとやる気出させてくれると思いますよ。














映画『蜜蜂と遠雷』

2019-12-12 | ネタバレあり

四コマ映画『蜜蜂と遠雷』


「大人気俳優大集合ぉ❤️」みたいなポスターに敬遠せずにぜひ観に行って欲しい!


***


クラシック演奏家モノって音楽の厳しさばかりがフィーチャーされがちで
「だから音楽嫌なんだよっ!」って思わされることも多くてイヤになっちゃう。


でも今作は
音楽の喜びが表現されているのと同時に、
なぜ音楽ってものが生まれて今も引き継がれているのかも伝わってくる快作!


***



四コマ映画『蜜蜂と遠雷』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2418



***



映画としても素晴らしい。さすが『愚行録』の監督!

「物語は映像と音楽で語れる」ということを教えてくれるホンモノの映画でございます。


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あと、オーケストラシーンではピアニストの後ろにプロの楽器演奏家たちがステージに上がっているわけですが

そのプロのオケのみなさんの
「プロ舐めんなよ」っていう視線(殺意?)が痛快でした。


****


森崎ウィンはこの演技で助演賞とるんしゃないですかね。この品格たるや。
そんなに美味しいエピソードがある役ではなかったのに主演みたいな存在感あった。


松岡茉優はいつも通り浮いてるんですが、
ラスト、あれだけ膳立てされてされてされて四面楚歌になってからの、あの怪演………。
あの怪演はさすが。。
ピアノ演奏シーンなんだけど、もう怪物のよう。。



松坂桃李の視点がこの映画の肝ですね。
他のピアニストたちは天才で、松坂桃李だけ普通の人。
キン肉マンでいうところのジェロニモ。
「音楽は天才だけのモノなのか!」と怒っているわけです。
しかし本物の天才たちを目の当たりにして…‥。



鈴鹿央士はこれがデビュー作。妖精度が凄すぎる。
おっそろしい逸材ですけど、映画界に収まってくれるかどうかが心配なレベル。



****


期待の割にはヒットしなかったんですよね。。

しかたない気もする。。
相当コアな映画ですからね。
異常なほどに研ぎ澄まされたギンギン映画ですから。

はい、観てください。




***


四コマ映画『蜜蜂と遠雷』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2418




映画『マイ・ビューティフル・デイズ』ネタバレ&あらすじアリ

2019-12-12 | ネタバレあり

映画『マイ・ビューティフル・デイズ』
「今年のベスト!」という人もいるとのこと。
それもわかります。小さいけどとてもいい映画です。


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冴えない私がティモシー・シャラメに恋されちゃって困っちゃうぅ!
みたいな宣伝になっていますが、この映画が言いたい主題はそれとは違います。


マジメな高校教師がティモシー・シャラメに言い寄られて困るってのは、確かにこの映画の大きな出来事の一つですが。


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四コマ映画『マイ・ビューティフル・デイズ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2417



****


29才。
もちろんコドモじゃないけど、全然オトナにもじゃない。

教師という仕事をマジメに取り組んで
生徒とも一人一人真正面から向き合って
正直に正しくあろうと努めてきたスティーヴンスさん。

彼女は、演じるように生きている人。

外ではしっかりした人で通してるけど、
誰にも見られない部屋の中では下着姿でウロウロして、服も脱ぎっぱなしで散らかっていて、酒飲みながらスマホいじってる。
等身大の自分と「教師」の自分が大きく乖離した人。

ほとんとの人間はたぶんそう。
理想の自分と今の自分が全然違う。


****

ある週末。
演劇部の遠征の引率をしなきゃいけなくなって
自分の車で生徒3人と遠い街まで二泊三日の旅に出る。


ティモシー・シャラメを含めた一筋縄ではいかない生徒3人と
達観したような先輩教師らとの交流を経て

今まで生徒たちに見せたことのなかった不完全な自分の姿や
憧れだった母の死と向き合う。


****

ものすごく大きな事件なんて一切起きないし
大きな変化も起きない。

でも
人生のすごろくを1マスだけ進める。

そんな週末を描いた素敵な映画でございました!


*****


こういう映画の場合、俳優さんの演技が一番大事です。

先生を演じたリリー・レーブさんの演技が素晴らしい。
この演技でサウスバイサウスウェスト映画祭の最優秀女優賞を獲ってます。

ティモシー・シャラメももちろんさすが。
行動障害を持った少年をスターオーラ放ちながら演じてます。



*****


ある程度、年齢を重ねていて
ある程度、映画を観てきた人なら
観て後悔のない映画だと思いますよ。



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四コマ映画『マイ・ビューティフル・デイズ』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2417



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ネタバレっていうかあらすじは以下に。















演劇を見る女性。後ろ姿。
拍手。終わってみんな帰っていく。女性は立ったまま。

***

女性はスティーヴンス。29歳。高校の教諭。
部屋は結構散らかっている。酒を飲みながら金曜の夜を一人で過ごしている。

****


授業で生徒に語る。
「学校に収容されている。強制じゃないけど通わなきゃいけない場所ね。本当の自分ではいられないでしょ」

授業中にビリーが問題を起こす。

****

「あの子には行動障害があり、両親と義授爵している。旅行中は薬を自分で飲まなければならない」と校長。

授業の後、スティーヴンスは演劇部の3人を演劇大会に引率しなければならない。
スティーヴンスの車で3人を乗せて、2泊3日の旅。

行動障害のあるビリー。ビリーはスティーブンスに憧れている。
演劇が大好きなマーゴット。
陽気なサム。サムはゲイ。


問題はビリーの行動障害と、ビリーの追試。


****


「芸術科目が減って発表の場がなかったから、引率していただけて感謝です」とマーゴット。


***


道中。車がパンク。
「整備不良の車に生徒を乗せたの?」とマーゴット。

思わず汚い言葉が出てしまうスティーブンス。「ごめんなさい、学校では自制してるのに。」

JAFみたいなのを呼んで車の修理をしてもらって、ドライブ再開。


****

ステレオからアメリカというバンドの曲が流れる。
「古い曲ばかりですね」「父親が聞くような曲だわ」

スティーブンスは29歳。幼い頃母親が聴いていた曲を好きになり、今でも聴いている。

****

遅刻したが、会場に到着。ホテル。

ホテルのレストランで3人で食事。
スティーヴンス語り始める
「私も学生時代演劇をやってた。『じゃじゃ馬ならし』。演劇中に女子にキスされたの。校長に怒られたわ。それが最後の演技だったわ」

「早く出ましょう。また遅刻します。」とマーゴット。


****

開会式。代表みたいな人が演説をする。
そして前夜祭。
酔って踊るスティーヴンスをじっと見つめるビリー。

別の学校の演劇部を引率してきた男性教師ウォルターがスティーヴンスに近寄る。
「お邪魔かな」

少し会話してから
「君は雑談が苦手なようだね」とウォルター。
「大人との会話を忘れちゃった」
「僕は妻と話すから忘れない」
「ボーンッ」
「?」
「妻なんていうから爆弾落としたの」

****

ビリーに美女が近づくが、ビリーは逃げる。

****


ウォルターの部屋。ベッド。スティーヴンス、下着姿。セックス後。

「それにしても若いね」とウォルター。
笑い転げるスティーブンス。
「どうした?」
「気にしないで」


****

スティーヴンス、部屋に戻る。

回想シーン。
「高慢と偏見」を題材にした授業のシミュレーション。
鏡を見ながら授業の練習をしている。まるで演劇をするかのような授業。

下着姿で部屋をウロウロ。スマをいじったり。いつもの完璧な教師の姿ではない。


****


翌日。タイヤの修理のために隣町へ行く。ビリーもついてきた。

車内。
「子供の頃に聴いてた曲が好きなの」
「先生はレズビアン?」
「はい?」
「ごめん、不適切だった。レずビアンじゃないよね」
「それも不適切よ。私はレズビアンじゃない。悪いことじゃないけど」
「サムはゲイだ。去年教えてもらった。サムには友達が多い。僕には少ない」
「私にも友達は少ない。なぜこんな話に?」
「さあ」

車修理完了し、ホテルに戻る。


*****

本当はこの時間にリハーサルをしていなきゃいけなかったのだが、ビリーがそれを隠してスティーヴンスについてきていた。

ホテルに戻るとマーゴットが怒ってる。
「また遅刻?」
「ごめんなさい」いつもなら遅刻なんてしないスティーヴンス。

****

演劇大会の予選。舞台でマーゴットが「欲望という名の電車」のワンシーンを一人で演じる。
が、セリフが飛んでしまう。客席からは失笑が。
マーゴット、走って逃げる。トイレへ。
スティーヴンスが追いかける。

「練習したのに、忘れるなんて最低」
「でも立ち直る。今じゃないけどいつか立ち直るわ」
「才能ないの私。ビリーはきっと入賞する。ビリーは才能豊かで、学校はこの遠征にお金を払おうとするわ」

みんな知らなかったが、今回の遠征はマーゴットの両親が費用を払っていた。
「あなたは学校に芸術を取り戻す義務があるわ」とスティーヴンス。

****

夕食。4人でレストランに。ビリーとサムは予選通過し、明日本番。

マーゴットが根掘り葉掘りスティーヴンスに質問する。
「なんなの?マーゴット」
「レイチェルに失礼だ!」とビリー。
「レイチェル?ミス スティーヴンスと呼びなさい」とスティーヴンスは怒る。
空気を悪くしたスティーヴンスは一人先に出る。


****


ウォルターの部屋を訪ねる。ウォルターはセクシービデオを見ていた。
「あ、僕には妻がいるんだ」
「いまさら?」
「僕は酒を飲みながら続きを見て明日には妻のもとに帰りたい」
無言で部屋を出るスティーヴンス。

****

自室。ベランダ。スティーヴンス。
ノックの音が聞こえたのでドアを開けるとビリー。
「今日はみんな変ね」
「夕食食べてないでしょ」とお菓子を持ってきたビリー。

ビリーは廊下で他のドアのノックして回る。問題行動。
それを止めるためにスティーヴンスは仕方なくビリーを自室に入れる。

「悲しまないで!」「悲しくない!悲しくない!」
二人でベッドで跳ね回る。
部屋やベランダを走り回る。

「彼氏は?」「いない」
「心が傷ついたことは?」「母の死よ」

母は女優だった。若い時には大作に出た事があったくらいの女優。
離婚し母と二人暮らし。生活のために女優はやめた。
私が大きくなると仕事をやめて演劇を再び始めた。
私は母であることを忘れるくらいに女優としての彼女に熱中した。
他のキャストはみんな男。母はみんなをまとめて引っ張っていた。
ある男のセリフを聞いてから笑うシーンがあった。
母は笑った。いつもの笑顔だった。

スティーヴンスは泣いてビリーと抱き合う。
正気に戻ったスティーヴンスはビリーを部屋から追い出そうとする。

そこにノックの音が。
サムが入ってきた。
次にマーゴットが。

サムは知り合った男に冷たくされたらしい。
「世の中イヤな人ばかりよ。素晴らしい人もいるけど、大概違う。でも私たちは味方よ」とスティーヴンス。

ビリーは怒って部屋を出ていく。


****


翌日。演劇本番。

ビリーの演技。めちゃくちゃうまい。ティモシー・シャラメだもん。

「これが僕だ!なりたくない人間になるのか!僕はつまらない人間だ。あんたもだ!」
圧倒される客席。


***

ビリーとスティーブンス。廊下で会話。

「舞台上で、先生が隠してきた気持ちを表現したんだ。僕は先生の悲しみを癒せる。一週間前から薬も飲んでない。薬を飲んだら抜け殻だ。悲しみか抜け殻しかない」

スティーブンス、ビリーが薬を飲んでいないことを知る。
スマホで電話をかける。

「何を?」
「私は教師よ」
ビリー、その場から去る。

電話が校長につながる。
スティーブンス、どもりながら校長にビリーのことを告げる。


****


外に出るとウォルターがいた。二人でタバコを吸う。
「教師でいることは禁煙より難しい。僕だって真剣に働く。でも生徒とは一線を引く。内面まで見ることはできない」
「線を?目の前にいるのに?」
「大事なのは自分の子だ」
「子供いるの?」
「あぁ」

****

表彰式。ビリーは2位。
自分の気持ちを表現したビリーが喝采を浴びる。

***

帰り。車を出す直前。
サムに謝る男。ローズという男。
サムは嬉しそうに踊る。ビリーもみんなも嬉しそう。

****

ドライブの途中休憩でビリーがタバコを吸う。
「喫煙はダメね」とスティーブンス。

「ビリーは追試を受けたの?」とマーゴット。
「追試を持ってくるの忘れたの」とスティーヴンス。

受けさせなければいけないビリーの追試のプリントを持ってくるのを忘れていた。

「先生、うろついていいと思いますよ。嘘をつく事がただいいこともあります」とマーゴット。

****

マーゴットが設問を朗読し、ビリーが回答。
スティーヴンスが採点。Bマイナスで合格。みんな喜ぶ。

****

みんなそれぞれの家へ。

「薬のことを両親に話しなさい。両親を頼るのよ。そのための親よ」
「先生も誰かに頼るべきだ」
「頼れる母はもういない。でも進むわ」


終わり

映画『マイ・ビューティフル・デイズ』