映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

仕事頑張りすぎてない?“はたらく“を考える映画7選

2018-11-25 | 映画感想


#何者 #シン・ゴジラ #カーズクロスロード #女神の見えざる手 #あん #シェフ三ツ星フードトラック始めました




ラバーズ・アゲイン(2017年製作の映画) The Lovers

2018-11-23 | 映画感想
面白い。

冒頭の夫がベッドでひっくり返っている構図が面白くて「これは一定以上の映画だ」と確信。

その後も勇気のあるたっぷりとした間で笑いを取りに来る。

音楽がディズニー映画のオーケストレーションのようで、それもあって全体的に寓話のよう

菊とギロチン(2016年製作の映画)

2018-11-22 | ネタバレあり
『ロクヨン』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『友罪』の瀬々敬久監督。
ヒット作も多く監督としての地位を確立している瀬々敬久監督だけど、今作はインディーズ体制での映画作り。

企画が企画だけにお金が集まらない。。でも、監督への信頼からスタッフや俳優は一流どころがザザッと集結。
撮影し完成したものの配給宣伝費がもうない。ということでクラウドファンディングで資金を募っている最中(https://motion-gallery.net/projects/kiku-guillo)。

「そこまでにする必要ある?」と白い目で見られることもあったでしょう。そうまでしてこの映画をなぜ撮りたかったのか。

***

そもそも30年前に撮りたかったと。しかし時期尚早ということで先に、4時間38分の『ヘヴンズストーリー』を先に撮った。(4時間38分て。。やっぱちょっとおかしい監督なんですね。。)

2011年に東日本大震災。社会の空気が変わり戦争へ向かっていく雰囲気も増している。
「これは今の社会の空気が関東大震災後の戦争へ向かう雰囲気に似ているのではないか、次回作はこれではないのか」とのこと。

映画と時代が合致しているから、というのもあるんですが、それだけじゃなくて、
瀬々敬久監督自身が、映画で何かを変えたいと思っていた若い頃に立ち返って「自主自立」「自由」というお題目を立てて映画を作りたかった、と。

自分はこういう映画を作りたかったんじゃないか!ということで入魂怒涛の189分『菊とギロチン』へ向かったということですね。

やんない方が楽だしやんなくてもいいんだけど、やるなら今しかないと撮影したこの映画は、現代日本にピッタリとブッ刺さる強烈な映画になってます。

***

四コマ映画『菊とギロチン』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2040

『菊とギロチン』。菊は「女相撲」を表してて、「ギロチン」は実在のアナキスト集団ギロチン社のこと。
189分あるだけに中身ギッシリなので、四コマでは「女相撲」のことだけしか描けませんでした。。

こういう映画を見ると四コマなんて描いていて虚しくなる。。
もう全っっっ然四コマには描ききれてない。。

僕はこの映画を消化するのに本当はあと半年はかかると思う。それくらいの映画。

***

役者の演技も全員入魂で素晴らしい。

■何と言っても先ずは韓英恵。まだ27歳なの?爆発してますね。これで助演賞獲らないわけがない。もう今の時点でもあげてもいい。

■稀代のサイコパス俳優として(褒めてます)大躍進を遂げている東出昌大が狂気のアナーキストを演じてます。ピッタリ。

■朝ドラ女優顔の木竜麻生がこの映画に涼しい風を吹かせていますが、この役が背負っている現実がまた苦しい。

■女優へ転身して小さな映画でコツコツ場数を踏んできた嘉門洋子の踏ん張りが開花しました。しかも抑えた演技で。素晴らしい。

■宇野祥平さんが金持ち役で出ているのがおかしくて、ちゃんと金持ちボンボンにも見えるところがさらにおかしい。

■大西信満さんが怖い。よくここまで入り込めるもんだ。役から抜け出せてるのか心配。。


***


女相撲は興味深い。
女相撲に横綱はいない。「男に気を使って」大関が最高位。
でも、昭和32年に高砂親方(39代横綱前田山)は敬意を払って名大関だった若緑を男土俵に上げている。現在に至るまで男土俵に上がった女性は若緑のみ、とのこと。

てことは、先日の救命はそれ以来となりますね。


以下ウィキペディアの「前田山 英五郎」からの転載です。

反骨心あふれる精神は、相撲界の伝統にも向けられた。女相撲の花形力士として人気であった若緑は戦争の影響で24歳の若さで引退せざるを得なかったが、同時代に活躍し、親交のあった前田山は花道を飾ろうと1957年に彼女の地元である松山の巡業で引退相撲を開き、土俵上で若緑とともに挨拶を行った。若緑は当初「皇后陛下ですら許されないのに、恐れ多い」と女人禁制を理由に固辞したが、前田山は「女人禁制など時代遅れだ。日本の封建時代は今度の戦争で終わったんだ」と重ねて説得して実現にこじつけた。当日会場は女人禁制が破られたことにざわめきが起こったが、若緑をたたえる掛け声が飛び出すなど、温かい雰囲気の中で引退相撲は行われた。その後も若緑は女人禁制を尊重し二度と土俵には上がらなかったが、そのことを思い返す時は嬉しそうにしていたという[23]。

映画『体操しようよ』 コメディをまとった深い人間ドラマ

2018-11-21 | 映画イラスト




上映中『体操しようよ』
監督:菊地健雄
草刈正雄 和久井映見 木村文乃 きたろう 渡辺大知


***

観るリストから外してるでしょ?

個人的2017年邦画1位『ハローグッバイ』の菊地健雄監督作でなければ僕も劇場で見ることはなかったでしょう。。
まさか何度も泣かされるとは。。

ラジオ体操ってのはつまり何なんだ、という掘り下げができているから映画に強い核心がある。

***

2〜30年前の邦画コメディの良い匂いはするんだけど、演出はクール。

前半ではポロポロとピアノ曲が入ってくるけど、終盤では泣かせるシーンほど音楽ナシ。

***

終盤に大団円があって普通の映画だったらそこで終わるんだろうけど、この映画は終わらない。その先を描く。

その先ってのは「生と死ギリギリの孤独」。。
死ぬのかってくらいに真っ暗。。
で、まさかの無音。耳キーンなるくらいの無音。恐怖ですよ。。

で、そこからラジオ体操のあの音楽。
つまりはあの歌詞へと繋がるわけですね。。
これがこの映画のテーマなわけです。

***

登場人物が多いのですが、背景が描かれているのは4人だけ(たぶん)。

この4人の描き方が十分だし、
ラジオ体操に集まる人たちそれぞれに背景があることは伝わる。
だって山田真歩がいるんだもん。

会長だって絶対人に言えないような過去があるはずなんだけど、それをくどくど描かない。

そんなことしなくても伝わる仕組みになってるし、
ひとりひとりに踏み込んでいかずにギリギリ名前知ってる程度の人たちが集まるのがラジオ体操である、と。

***

ラジオ体操ってものすごく日常的なもののイメージがあったけど、だいぶ非日常なんですね。

相当な理由がないとやらないもん、いい大人が。
毎朝早く起きておんなじ音楽聞いておんなじフリで一斉に動くなんて奇怪ですよね、考えてみれば。

それがなぜ必要なのか。
健康のためってのはあるけど、あの歌詞ですわな。。


ソウル・ステーション パンデミック(2016年製作の映画) 서울역/Seoul Station

2018-11-20 | 映画感想
このアニメが評価されて、ヨン・サンホ監督は『新感染』を撮り、世界的ヒット。


****

中盤あたりでまでちょっとつまらない。。
実写映画の方が得意なのかな。。


****


元(現?)風俗嬢やホームレスなど、貧困にあえいで社会から見ぬふりされている人たちを主役にしてるのは面白い。


風俗嬢がゾンビから逃げてたどり着くのが、絶対に彼女は住めないような高級マンションのモデルルームなのもいい。

ラストの地獄展開も最高!
なかなか見ないレベルの地獄。。

****

今作でもちょこちょこ宗教臭はさせてたし、ガッツリ信仰をテーマとした『我は神なり』もあるわけで、『新感染』ではその辺りをよく我慢したものだと思います。





ソウル・ステーション/パンデミック(吹替版)




ネタバレ/スマホを落としただけなのに(2018年製作の映画)

2018-11-15 | ネタバレあり
38コくらい凄くダメなとこがありますが(特にアバンタイトル。。どうか席を立たないで。。)、
5コくらい凄く良いとこがあるので全っ然良いと思います。こういう映画だし。
友達や恋人と見に行ったら盛り上がることでしょう。
全っ然あり映画です。


原作には北川景子がやるわけないっていうシーンがあるのです。
北川景子があのシーンやるわけないんだけど、でも最近の北川景子のブレイクスルーっぷりを見るとやってんじゃねぇかと…、
それを確認するために見に行ったようなもんです。

ネタバレ厳禁。


****



北川景子がとにかく良い。大根だと言いたい気持ちはよくわかりますよ。確かに大根です。じゃ、大根の何が悪いんだと。美味しいじゃないか、と。

若手(?)美人女優の中ではかなり〝映画〟の中での存在感ありますし、
演技技術がとぼしいのは事実だけど
技術がない自分さえもさらけ出してなんとか映画の素材になろうとしているとこが良い。

こういう女優さんはあと2、3年もすれば技術と自信がついて立派な映画女優になるんですよ。
今のうちなんですよ、かわいらしい大根演技を見れるのは今のうちなんですよ(何書いてんだ、俺は!)!


*****


ネタバレと怒りポイントは以下
















まず褒めポイントを。

****

北川景子が吊られて縛られてナイフで刺されるシーン、ありましたね。
小説だともっと刺されるんですけどね。十分ですよ、偉い。

うまいのはその前に被害者2人がすでに吊られて刺されてるわけです。
映画見てる人も「ってことは北川景子もコレやるの??」とドキドキワクワクするわけですね。

さらにうまいのは全身ショットがあるのは北川景子のみ。

このシーンはなかなかのショッキングシーンですから。
このシーンだけでもこの映画の寿命がかなり長くなりますよ。

****

田中圭。
若手お笑い芸人みたいな人物を演じて、ここまで魅力的な人も珍しい。
つってももう34歳で芸歴も長いので、さすがに重みがある。
これ田中圭じゃなければ、薄っぺらいペラペラ彼氏で終わる危険性もあったと思いますよ。

田中圭独特の謎の存在感がバッチリはまって、魅力的な役になりました。

小説だとちょっとアホ彼氏だったんですけど、さすが田中圭。

****

原田泰造。
この映画の中で一番演技上手かったと思う。
セリフ以上のものを伝えられる。視線だけで状況を伝えられる。
実は本当にただの刑事役だったのに奥行きが出てた。

****

次に怒りポイントを。
冒頭10分くらい。地獄かと思うほどくだらない。テレビドラマ以下でしたね。
気の抜けた緊張感のない空気。音楽がアホみたいで、帰ろうかと思いましたよ。

これから怖くなって行くから最初は幸せな雰囲気で、ってことなんでしょうけど。
それにもなってない。幸せとアホは別物でしょ。残念しました。

****

演技が大体ひどい。これは演出の問題だと思いますよ。
これもともとは2時間ドラマのつもりだったんでしょうか。
完全にテレビ演技なんですけど。
高橋メアリージュンとか要潤とかバカリズムとか筧美和子とか、もうみんなかわいそう。。もっとできる人たちでしょう。

こんな人間いねえよっていう喋り方をしますね。

千葉雄大も眉毛動かし過ぎだから。。
「眉毛動かさなくていいよ」って言ってあげればいいだけなのに。。

****

誰がバカリズムを疑うの?
全くミスリードとして機能してない。最初っからコイツじゃねえなって思うよ。
もうちょっとミスリードさせようという気持ちで演出してあげて欲しかった。

****

成田凌がノリノリなのはわかりますよ。
そりゃ楽しいですよ。若手俳優なら誰でもこの役やりたかったでしょうよ。
確かにキモいし怖いですよ。すごいですよ。十分ですよ。

あんなにイチイチ丁寧にわかりやすくベラベラと今まで自分がしてきたことを喋るキャラでしょうか??
自分がいかにネットスキルが高いかを自慢するようなキャラじゃないでしょ。
この役の闇はもっと深いところにあるはずでしょ。だから怖いんでしょ。
「俺ってすげえだろ」ってマウンティングしたいだけならそこらへんにいるクズと一緒じゃん。。

せっかくの美味しい役でしたが、残念しました。

****

ラストのメリーゴーランド。コントですか???

****


以下は本当の怒りポイント。

成田凌と千葉雄大は同じトラウマを抱えた人物でしたね。
母親からの虐待。

ホントに最近多いですよね、結局は母親からの虐待や過度な期待によって人格が歪んでしまったのでした。
それゆえ犯罪者になったのでした〜っていう映画。

酷くないすか。母親を犯罪者製造機のように。。

なぜ母親がそうなってしまったのかまで描かないと、結局、この映画の悪の根源は母親でしたで終わってるんですよ。

子育てに非協力的な夫や家族があったかもしれない。社会の無理解があったかもしれない。
だけどそんなの描いてないんだもん。

結局、子育ては母親が責任持ってするもんだっていう刷り込みをし続けてるんですよ。何時代よ。




きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

2018-11-15 | 映画感想
佐藤泰志の小説を原作とした函館映画は好きなんです。どれも。
どういうわけだかどれも素晴らしい。

今回も良い。
俳優さんみんないいし、とくに染谷将太の妖怪感が特にいい!

****

ただ、若者たちの「本気になるのって寒くない?感」がちょっと僕には合わなかった。。

あと、函館感もないんよね。。
東京の若者とやってることが変わらない。
そういうテーマかもしんないけど。

函館っていう憧れの地のイメージもあるのに、函館映画になると「全然住みたくない!」って思っちゃう感じがいいのにな。。


****


クラブのシーンが長いんです。
長いと思ったんです。

ただ、僕はクラブで踊る人間ではないのでそう思ったんだと思います。

この映画をべた褒めしてた人はたしかにクラブで踊る楽しさを知っている人でした。

自分の世界の狭さも知りました。



****


あと、
同日に公開された『きみの鳥は…』と『寝ても覚めても』の両監督はお友達らしいです。この事実はなぜか興奮する。

ネタバレ/真っ赤な星(2017年製作の映画) A CRIMSON STA

2018-11-14 | ネタバレあり
「中編作品『溶ける』でカンヌ国際映画祭のシネフォンダシオンに選ばれ、国内外で注目を集めていた22歳の新鋭・井樫彩による初長編作品『真っ赤な星』」とのこと。

22歳!22歳の初長編作とは思えないくらいの完成度!
さらには22歳らしい破壊力もありました。


***

短いシーンで畳み掛けて来て、何気ないシーンから突如衝撃的なシーンが始まってはサッと終わるの連続。

***


どこまでが自己でどこからが他者なのかまだわかっていない2人の話のように思いました。

陽は弥生になりたいし、たぶん弥生も陽になりたい。

「他者ってのは永久に他者なんだ…」と実感する前の人間たち。


***


完全ネタバレ以下




















晴天。
山の峰の向こうからパラグライダーが飛んでくる。

病室。
ピンクのカーテンが揺れる。

***

陽は足の怪我で入院。弥生はそこの看護師。
「大祐はチヅルさんが好きなんだって。私は弥生さんが好き。」
「私のこと好きって言ってるれるの?」と弥生、落涙。

***

陽と大佑、天文台へ。鍵がしまっていて中に入れない。
空にはパラグライダー。

***

陽は夜中、自分の部屋の窓から家を抜け出す。
義父にその様子を見られる。

スーパーマーケットで買い物した帰り。林道に車が数台止まっている。
その中の一台に弥生。客とカーセックスをしている。車を出て口をゆすぐ弥生。
弥生は売春をしていた。陽はそれを知った。

***

翌晩、陽は大佑と一緒に林道へ。
「ここってHなことするっていうか、そういうスポットなんだって」と大佑。
「何しに来たの?もう看護師じゃないよ。ここには来ちゃダメ。てか来ないで」と弥生。

***

義父、陽をレイプ。

***

その夜、また陽は弥生に会いに。
陽の腿に流血があるのを見て事情を汲んだ弥生は、その夜陽を自宅に泊める。
「今日だけだよ」「ありがとう」
同じベッドで寝るふたり。

***

車中。弥生は客とセックス。一万円もらう。
「なんで看護師やめたの?中出しできるのサイコーだよ」と客。

車のルームミラーにパラグライダーの飾りが揺れる。

弥生の家の外に陽がうずくまっている。
「夏休みが終わったら帰る。家事掃除やる。あの場所にはもう行かない。」

同棲開始。

***

陽、洋服ダンスの奥から胎児の写真を見つける。

その夜、弥生は帰ってこなかった。

***

パラグライダーを追って山へ走る陽。
着陸したパラグライダーから弥生。
「陽にはいつも見つかっちゃうな」と弥生。

弥生は恋人の賢吾と定期的にパラグライダーで飛んでいる。

***

弥生の家、ガスが止まる。貧困でガス代が払えていない様子。
銭湯へ。

「背中流してあげようか」弥生。
弥生の首筋に赤い点。「ここ赤くなってるよ」陽。
「陽はお子ちゃまだな」と陽の背中にキスする弥生。

***

「お米の炊き方はおじいさんに習った。お母さんは帰ってこないから」と陽。
ふたりで料理する。
「楽しいね」と弥生。

***

弥生の部屋の男女用の一対のマグカップを見る陽。

***

賢吾に会いに行く弥生に「行かないで」と陽。
陽にキスしてそのまま家を出る弥生。

***

自宅に荷物を取りに帰った陽。
「アンタ最近どこいってんの?」と母。
「友達んとこ」
「お金、いつものとこに置いとくからね」と娘に興味のない母。

***

賢吾は幼い娘と歩いているのを陽が目撃。

***

陽と弥生、天文台へ。鍵を開ける。「ここに鍵つけたの私だから」
「小さい頃、辛いことがあるとここへ来てたよ」

ここから流れ星見て願い事してた。
今願い事するなら?
産める体に戻してほしい。

弥生ちゃんが綺麗なままでいられますように。弥生ちゃんのそばにいけますように。

***

夜。弥生の家。台所。
陽と弥生。キスからの手●ン。
「気持ちよかったよ。手洗っておいで」と弥生。

***

陽の自宅。母が自分にくれる金を台所の上の棚から取る。
「帰ってたんだ」と義父。義父、陽にレイプしようとする。
それを見た母。
「アンタが誘ったんだろ」と陽と責める。
家を出る陽。

***

弥生の客が弥生の家に。
さらに賢吾も家に。客を追い出す賢吾。

「こういうの止めろっていったじゃん」と賢吾。
「奥さんお腹大きくなった?二人目?」と弥生。
「ごめん」と賢吾。
泣きながら賢吾を殴る弥生。

***

天文台。
陽「どうしたら笑ってくれる?」
弥生「バカだね」

***

弥生の家。
弥生の電話が鳴る。客から。弥生は寝てる。
陽が出る。

陽が客と会う。「弥生ちゃんともう会わないで」
客に襲われる陽。「初めてじゃなかったんだね」と客。
一万円もらう。

***

賢吾と弥生がパラグライダーで飛ぶ準備をしている。
そこに陽。

「もう弥生ちゃんから奪わないで」と賢吾に包丁を向ける。未遂。

***

陽が客からもらった一万円が見つかる。
陽をビンタする弥生。
陽「もっと弥生ちゃんの近くに行きたかった」
弥生「もう一緒にいられない。出てって」

***

大佑の家に泊めてもらう。
「好きなだけいていいから」と大佑の母。
陽の事情をなんとなく把握している模様。

***

賢吾「こないだのあの子は」
弥生「たぶんもう帰ってこない」
賢吾「オレお前とのこと考えてるから」

***

義父、弥生と車中でセックス。
「暗い顔した娘に太陽の陽だって。」と義父。

義父を連れて陽の家に向かう弥生。
そこに陽の母。

「この男がように何したか知ってますか」と泣きながら問い詰める弥生。
「知ってますけど」と母。

***

弥生「空飛びたい」

***

大佑の家に陽の母。「長い間お世話になりました」
母に連れて帰らされる陽。
「なんかあったらオレに言って」と陽に言う大佑。

***

陽の母「こないだ看護師が来て陽陽ってうるさかったわ」

弥生の家に走る陽。
弥生の家。風呂場。自殺未遂の弥生。

***

弥生「もう飛ぶのやめる」
賢吾から離れる弥生。
弥生「飛ぶの好きだからやめる」

***

弥生「今いくらアンタが私のこと好きでもすぐ他の人好きになって私にそれを嬉しそうに報告するんだよ。私に空いた穴をアンタ埋められるの?」
陽「弥生ちゃんが好き」
弥生「バカだよ」
陽「弥生ちゃんが好き」

***

陽「弥生ちゃんこそすぐ誰かのものになっちゃいそう。切ないよ、弥生ちゃん」

終わり。

ホラー映画 『クワイエット・プレイス』 で上手く使い分けられている3つのパターン

2018-11-13 | ネタバレあり
四コマ映画『クワイット・プレイス』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2153

登場人物と観客がそれぞれ〝知っている〟〝知らない〟のパターンが上手く使われているのです。

***

アイデアの洪水!
ドンドコドンドコ次から次へと「なるほど!そうくるか!」「なるほど!そうくるか!」の応酬。

***

観客よりも登場人物の方がこの状況について詳しいので、
登場人物が先回りして対策をしている事自体で観客はこの状況について知っていく。

セリフは極限まで少なく映像で説明するってのは「まさに映画の仕事」!

観客と登場人物が同時に「知る」「体験する」瞬間も多くて、
それはより緊迫感が増す。
誰も対策を取っていないわけだからね。

そして最後のパターン、
観客だけが知っていて登場人物たちが知らないことが途中で起きる。
それがとても大きなキーになるわけです。

これについては言いたいことがあるので、コメント欄に(怒)!


*****


演技賞あげようよ。
アンサンブルでもいいよ。
娘にも助演賞やろうよ。
エミリーブラントに主演女優賞あげられませんか?

ゴールデングローブ賞の候補くらいだったらどうかな?

だってすごかったじゃん。。


***


パパが顔から何から死ぬほどカッコ良かったですね。
そこも素晴らしい点です。

が、
これ韓国がリメイクしたら絶対パパはクズからスタートだね。
クズだったのが事件を経てどんどんカッコよくなっていく、と。
(韓国パニック映画あるある)
韓国版もやって欲しい。


*****


アレの造形が素晴らしい。

低予算映画らしいんだけど、嘘だろと。
アレの造形をあんなに素晴らしく出来るなんて。。

逃げることもできたけど
もんんのすごく大事なポイントであるってことをわかっていて
ちゃんと力入れて、結果的に素晴らしく出来るなんて、さすがアメリカ。。


四コマ映画『クワイット・プレイス』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2153







志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

2018-11-09 | 映画感想

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

尊いっ!これを〝尊い〟と呼ぶんだな!

お前ら尊いぞ!と思って観てたら菊池のバカが出てきやがってバカ何してくれてんねん!と思ってたらもっと最高の展開に。

****

全体的に漫画っぽい。
菊池がとくに完全に漫画キャラ。

原作は漫画。

原作漫画も読みましたが、シチュエーションからセリフから大体同じ。
菊池はホントに漫画でしか成立しないキャラ。

それをそのまま漫画キャラとして演じた萩原利久が素晴らしい。

主演二人はもちろんだけど。


****


歌もいいね。〝魔法〟だったかな。
あのシーンも素晴らしい。
地味だからこその痛々しさとその熱い戦い。

【ネタバレ】映画『寝ても覚めても』

2018-11-07 | ネタバレあり
寝ても覚めても


麦が再び現れて朝子がサッとついていく。
そして亮平のもとへと帰る。
ここが小説だとなんか説明あるかと思って期待したけど、朝子がたしかにその都度なんか喋ってんだけどイマイチ意味がわからない。。
結局映画の印象と変わらない。だから映画が凄いなとも思います。

豊崎さんの解説を読むと、ま、どうやらセックスのない性欲の話らしいですね。
麦とは性欲、亮平とは愛・結婚、ですかね。
『イット・フォローズ』のソレの意味のようにわかっちゃうと「まぁそうか…」と思って、わからないままの方が魅力的だったかなと思うわけですが。
ま、違うかも知んないし。

***



小説は東日本大震災前だったのでその描写はないですが、地震の描写自体は何度かありましたね。


映画版では、朝子は「間違ってはいないことをしたかった」ってことで毎週のように東北まで車でボランティアしに行ってた。亮平と一緒に。

で、麦と朝子が車で逃げた先は仙台。
麦は「海が見たい」っつって仙台の海岸まで車を走らせたけど、海が見えない。高い堤防ができてるから。

「海見えない。こんな堤防できちゃって…」と麦。
「え?知らないの?ここで何があったか、知らないの?」と朝子。

麦は東日本大震災に興味がなかった。いくらその時日本にいなくても情報は入ってきただろうけど、興味がないから記憶にない。仙台の海で何が起きたか。

柴崎さん曰く「麦は宇宙人で地球にきたばかりで人間の感情を学んでいる最中」とのこと。

***


そんなことよりですよ。
小説のラストのポパイ刺青黄色自転車男!

小説のラスト、緑道で朝子と亮平と千花との対決があるわけですが。
途中突然、黄色い自転車に乗ったポパイの刺青入れた坊主男が割って入ってくるんです。口笛吹きながら。
完全に三人の間で止まったわけです。

でもこの三人はポパイを無視。存在に気づいてる描写もない。
普通に喧嘩続けるわけです。
こんなこと地球上では起きませんよ。。

で、千花は「いこう、げんちゃん!」っつってポパイの自転車の後ろに乗って去っていく。

去っていく千花について朝子も亮平もリアクションなく会話を続けてから4ページ目で小説完結。

何これ。。怖い。。

きっと朝子が千花を消したんですね。邪魔だから。
だからポパイを作り出して、千花をこの場から消し去った。
もう怖くて。。この存在しないポパイが。。

そういえば朝子は混乱すると嘘言うんですよ。突然起こり得ないことを言う。読者に。
どうも読みにくいなこの本と思ってたけど、豊崎さの解説に朝子のことを「信頼できない語り部」と説明してたから、多分そう。

柴崎さん自身も朝子は宇宙人だと書いてる。

いやぁもう『寝ても覚めても』やばいよ。。

で、この異常な原作に手を加えて同じような味わいに仕立てた映画もやはり凄いのさ。。。。


寝ても覚めても



カンヌ映画祭 東出昌大主演『寝ても覚めても』

2018-11-07 | 映画イラスト
キャスト
東出昌大
唐田えりか
瀬戸康史

監督/濱口竜介
原作/柴崎友香


だいぶ前に見たんですけど、全然書きたいことがまとまらなくて。。
とりあえず個人的には今んとこ2018年の邦画1位。だし、事実1位だと思います。

****

あまりにも『寝ても覚めても』に心囚われてしまいまして、普段そんなに読まない小説を読みました。
原作小説『寝ても覚めても』。

主人公朝子の気持ちの変化を知りたくて。

小説読んでみると、一番大きな違いは朝子が自分の気持ちをバンバン喋っていること。
ネタバレになるから書きませんけども。。

あと、刊行された時期からして〝東日本大震災〟が入っていない。
登場人物も多い。

大筋は同じだけどちょっと展開が違ったり。
まさかみんな大集合したレストランのシーンが映画オリジナルとは。。

この原作小説ってほとんど映像化不可能なのに、これを小説と同じくらいの破壊力のある怪作として映画化するって本当にすごいと思います。。

この映画にハマった人は小説も読んでみてほしい。小説もまたイっちゃってるから。。

***

サイコパス俳優として活躍めざましい東出昌大ですが、さすがです。
そして普通の人間も演じられていたのでそろそろもう抑えきれない大俳優へと変貌するでしょう。

唐田えりかがCMでやる気ないイメージがあったんですが、いや、そのままなんだけど完全にこちらもサイコパス。
でもどれもリアルな人間なんですよねえ。。

瀬戸康史は甘いルックスがむしろマイナスに作用してる俳優さんなんだろうなと思っていたけど、やはりすごい人でしたね。
東出昌大の常人ならざるスタイルの良さを、同じスタイルの瀬戸康史を隣に立たせることでパッと見の宇宙人感を消せる、というすごいアイデア。

*****



全編PC画面映画『search/サーチ』

2018-11-07 | 映画イラスト
監督:アニーシュ・チャガンティ
主演:ジョン・チョウ
公開:2018年10月
上映時間:102分


面白い!
でもこれ結構ネタバレ厳禁案件ですよね。
僕観る前にネタバレ踏んじゃって、てか誰かがインスタで感想書いてるののコメントでネタバレ書いてる人がいて「おいおいおい」と。

でもまぁ観てたら引き込まれてそんなことも忘れて楽しみましたが。

****

PC画面のみ、ということですけどいろんな工夫があるので絵的なつまらなさは皆無。

PC画面だから写っていないところがあることも不自然じゃないし、車での移動の表現とか笑えるし。

****

パパ役のジョン・チョウがいい。
情けない感じの雰囲気もあるけど、怒ると何しでかすのかわかんない不穏な空気もある。

あとはほとんど無名の俳優さんだという点も今回は功を奏しましたね。

いや、これはかなりのネタバレ案件なのでこれ以上何も書けん。

『バッドジーニアス』といい『search/サーチ』いい『クレイジー・リッチ』といい『カメラを止めるな』といい。
アジア勢頑張ってるなぁ。

  ↓




11月1日2日は「死者の日」祭り。ハロウィンとの違いは?

2018-11-07 | 映画イラスト
11月1日と2日は『死者の日』というお祭りです。
ハロウィンと連続しているので同化し始めていますが、ハロウィンとの違いや、関連映画を紹介しています。
   ↓ ↓ ↓

●ピクサー『 #リメンバー・ミー』
●ギレルモ・デル・トロ 製作『#ブック・オブ・ライフ ~マノロの数奇な冒険~』
● セルゲイ・M・エイゼンシュテイン監督『#メキシコ万歳』(1931.1979)

僕は多分『メキシコ万歳』をベジェ曲線で描いた日本で3人目の人間だと思います
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映画『愛と法』"自分らしさ"のためにたたかう人々と、彼らを支える二人の弁護士。

2018-11-07 | ネタバレあり








映画『愛と法』(2017年製作の映画)

四コマ映画『愛と法』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2134

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社会問題を扱ったドキュメンタリーなんですが、映画として絶対に面白い。
褒め言葉にならないのかも知れないけど「普通に映画として面白」かったんです。

電車内のアナウンスや街で聞こえてくる声の一つ一つにも意味が託されていて、メッセージがうるさくなく伝えられてきます。
しかもそれは誰かに喋らせているんじゃなくて、街中で聞こえてくる声である、と。

編集がすごいと思いました。
こんだけ面白い人たちの日常と複数の裁判を追いかけていたら、素材は膨大になったはず。
実際、上映時間94分の割りには情報量は多いと思いますが、一つの映画としてまとまっていたのはすごいと思います。

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弁護士ならではのリアルで地道な法廷劇。
「弁護士って本当に橋の下で現場検証みたいなことするんだ」とか、電話でキレられて落ち込んでるとことか、カッコつけてないリアルが面白かった。

監督はこの吉田くんと南くんというカップルに魅力を感じて撮影を始めたということで、確かにこの2人が魅力的。
行き場をなくした少年と3人暮らしを始めたときも、僕だったらかなりストレス感じるけど、3人で自然にのびのびと無理なくやってて人間力のある人たちだなあと思いました。

あと、主人公の2人が「撮られている」ことに自覚的なのも良かったです(喧嘩の後に「喧嘩シーンも撮れた」と言うところとか)。
それのおかげで逆にこの人たちは嘘をついてないんだなと思えました。

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結構な情報量があるんですが94分間ずっとテンポ良くて、笑うし、腹立つし、泣いちゃうし。
個人的には「無戸籍問題」というのを知らなかったので、あまりにもビックリしてそのことで頭いっぱいになりました。

社会問題を扱ったドキュメンタリー映画を観た後にはだいたい「疲労感」が来ますが、
登場人物のキャラの良さといわゆる映画的な面白さによって「いい映画見たなぁ!」とシンプルに思えます。

マイノリティで苦しんで自殺してしまう若い人が多いという、切迫した喫緊の問題が広く伝わることを期待します。

四コマ映画『愛と法』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2134