映画感想(ネタバレもあったり)

映画コラム/映画イラスト

❺映画『ジュラシック・ワールド 炎の王国』【ネタバレあり】また恐竜を絶滅させる? 

2022-08-04 | 映画イラスト
ジュラシック・ワールド 炎の王国
上映日:2018年07月13日 / 製作国:アメリカ / 上映時間:128分
監督 フアン・アントニオ・バヨナ(J・A・バヨナ)
脚本 デレック・コノリー
出演者 クリス・プラット ブライス・ダラス・ハワード

【四コマ映画】また恐竜を絶滅させる? ❺映画『ジュラシック・ワールド 炎の王国』→ https://note.com/fukuihiroshi/n/nec05cd184cc5




■恐竜は全部島に

恐竜は全部島に移動してもらって、そこで幸せに暮らしてもらってます。
人間もお陰で平和です。


■その島の火山が噴火

噴火しまして放っておけば恐竜は再び絶滅する。

でも人間が遺伝子操作で生み出した生物をまた絶滅させるの?
いや人間が生み出したからこそ絶滅させるべきでは。
神の意志に任せましょう。

などの議論の最中にクレアは「恐竜たちがかわいそう」という一点で恐竜救出作戦を実行します。


■炎は冒頭だけ

タイトルに炎の王国とあるけど炎は冒頭だけ。
結構すぐに恐竜たちを救出するので。

その恐竜救出作戦が実は恐竜のオークションのためだったとか、
ブルーちゃんの遺伝子欲しさのためだったとかはあるんですが

まぁとにかく恐竜たちが悪者だけをパクパク食べてくれるので問題解決が楽。

ジュラシックワールドへようこそ
恐竜たちは地下に閉じ込められてるんだけどそこに毒ガス噴射。

このままで恐竜たちが全部死んでしまう。。でも生かしておいても人間との共存は難しいし、、、ごめんね、、、このまま全員死んでね、、、
と主役が決めた直後、
恐竜たちは開いたドアから外出。

ドアを開けたのはクローン少女。
理由は「私もクローンだから」。

なぜお前がクローンだったら恐竜が街に出て行って人間たちを食べるのが OKになるのか全然わからないんだけど、、
とにかく恐竜は街に放たれて、もう捕獲なんて無理っぽいね、という雰囲気。



ジェフ・ゴールドブラムがカメラ目線で「ようこそ、ジュラシックワールドへ」とキメ顔。

↑これもこのシリーズの特徴の一つ。

ラストで誰かがカメラ目線で「まとめ」のセリフを言って終わる。

なにかがまとまったかのような気分にさせられはする。


❹映画『ジュラシック・ワールド』【ネタバレあり】主役が元凶

2022-08-04 | 映画イラスト
ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)
Jurassic World
監督 コリン・トレボロウ
脚本 コリン・トレボロウ
出演者 クリス・プラット ブライス・ダラス・ハワード

【四コマ映画】主役が元凶❹映画『ジュラシック・ワールド』→ https://note.com/fukuihiroshi/n/n9637d2bee4bc




■世界線は同じだけどキャラ一新

主役はクリス・プラットとブライス・ダラス・ハワードという若手が担当。



■恐竜と信頼関係が結べるのか

「ジュラシック・ワールド」というテーマパークが舞台。
これまたやってることは「1」と同じ。
恐竜と信頼関係が結べるのかというのが新しいテーマです。



■主役の女性が元凶

一応このジュラシックワールドの責任者がブライス・ダラス・ハワードが演じるクレアであり、
クレアはハイブリット恐竜のインドミナス・レックスの開発にノリノリだった人。

今までのように分かりやすく金儲けに狂った社長とかじゃなく、
資本主義というか会社に飲み込まれて悪いことしちゃう管理職みたいな存在。

それが主役という映画。


ジュラワは主役が罪を背負っているというシリーズなのです。

❸映画『ジュラシック・パーク II』【ネタバレあり】あの翼竜はホントどこ行ったんだよ

2022-08-04 | 映画イラスト
ジュラシック・パーク III(2001年製作の映画)
Jurassic Park III上
監督 ジョー・ジョンストン
脚本 ピーター・バックマン アレクサンダー・ペイン ジム・テイラー
出演者 サム・ニール ウィリアム・H・メイシー ローラ・ダーン





■今度は翼竜だ!

とばかりに翼竜以外のオリジナリティがあんまないのが「Ⅲ」。

ロストワールドでの失敗は相当落ち込んだのか、
グラント教授に戻ってきてもらったり、
子供と恐竜を戦わせたりと、やってることはほぼ「1」。

プラスアルファ要素として、トリックスター弟子的な存在もあるけど、メインは翼竜。

ただそれだけ、でもいい
翼竜が出てきた。ただそれだけ。でもいいんです。

これでいい、これがいい。


❷映画『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』【ネタバレあり】恐竜に母性はあるのか 大殺戮満載

2022-08-04 | 映画イラスト
ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(1997年製作の映画)The Lost World: Jurassic Park
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 デヴィッド・コープ
出演者 ジェフ・ゴールドブラム リチャード・アッテンボロー ジュリアン・ムーア

恐竜に母性はあるのか

「恐竜は冷血な動物だと思われているけど、私は恐竜にも母性があることを証明したいの!」ってのが古生物学者のサラの研究テーマ。
ティラノサウルスにも母性はある(父性もある)ことがわかったし、
ラストではその母性を利用して子ティラノを使って親ティラノを誘き寄せるという作戦も実行!

第18回ゴールデンラズベリー賞受賞作!

全員の演技がひどい。
ジェフ・ゴールドブラムはシリーズ通してずっと変なんですけど、
アカデミー賞女優のジュリアン・ムーアさえも演技が薄っぺらい。。
どういうことなんでしょう。
恐竜に食べられた人間の数はシリーズ1多いと思います。
基本的には敵が食べられるんですけど、かといって主役側もそんなに愛せるキャラクターたちではないので、、
どうせなら敵とかそういう分け隔てなくパクパク食べられればよかったのに。


❶映画『ジュラシック・パーク』【ネタバレあり】システム重視社会に警鐘!

2022-08-04 | 映画イラスト
ジュラシック・パーク(1993年製作の映画)
Jurassic Park
監督 スティーヴン・スピルバーグ
脚本 マイケル・クライトンデヴィッド・コープ
出演者 リチャード・アッテンボロー サム・ニール ローラ・ダーン ジェフ・ゴールドブラム


知的層にも安心して楽しませられるパニック映画
そもそもマイケル・クライトンの同名原作小説「ジュラシック・パーク」は、単なるバカなパニック映画ではなく、難しいことを挿入して知的層にも安心感を持たせることでヒットした小説。

(映画化ありきで小説を書いたのか、単独で小説があってのちに映画化したのかはちょっとわかんないんですが)

「子供やバカが楽しむような映画を自分みたいな知的な人間がわざわざ映画館に行くわけにいかない」という知的層に対して
「いやいや遺伝子の話とかカオス理論とかの話もちゃんとするんで知的な切り口で消費してもらうこともできまっせ」ってことで
子供から大人まで含めての大ヒットとなりました、と。



***


【四コマ映画】システム重視社会に警鐘!❶映画『ジュラシック・パーク』 → https://note.com/fukuihiroshi/n/n8b20cb38f815



***



大体このシリーズの冒頭で遺伝子とか生命とか自然とかの難しい話をバーーーーッとやって
なんかちゃんと科学的な裏付けがあるっぽい雰囲気を出して
たまに学者がカオス理論とかの単語を並べて怒ってみたりするんだけど
もちろん全部ものすごく雑。。

雰囲気のみ。



***



このこのシリーズの2大テーマは「遺伝子操作」と「システム管理」かと。

シリーズ1作目の今作では、極力人件費を省くためにほとんどを無人化してシステム管理しちゃったことで綻びが生まれて大パニックへと繋がった、というシステム管理への批判がありました。

あと、鳥ですね。
恐竜は鳥の祖先であるという今では定説(むしろ鳥は恐竜の子孫ではなく恐竜そのものという話も!)ですが、
この時期1993年はちょっとびっくりな説でした。
この説を唱えるグラント博士が変な目で見られるシーンもありましたね。

ラストシーンには、わざわざすんごい恐竜っぽいカッショクペンギンを登場させて
「ほら、鳥って恐竜でしょ」と念押ししています。



***

恐竜ロマン・ジュブナイル映画でもあり、パニック映画でもあり、知的な雰囲気もあり、社会に警鐘鳴らしてる感もあって、

いろんな大変なことありつつも(大体1〜2日の話)最後は突然ほのぼのした雰囲気で終わる、

というのがこのシリーズの特徴。

この第1作がこのシリーズの中で一番良い作品なのではないでしょうか。



映画『音楽』 誠実で勇気があってエンタメの力を信じてる映画

2022-08-03 | 映画感想
音楽(2019年製作の映画)
上映日:2020年01月11日製作国:日本上映時間:71分
監督 岩井澤健治
原作 大橋裕之

目次

  1. 素晴らしいなぁ!
  2. あと最高なのは音楽。
  3. あと、観客の描写。

素晴らしいなぁ!

でも配信で見ちゃうと冒頭10分くらいで見るのやめる人いるかも。
ものすごく淡々としたスタートだし、〝間〟も異常に長いので。
止めずに見てほしい。
どんどんずっと面白いから。

**

まず画力。

人物の動きが有機的。
3Dモデリングじゃないよね、これ。
人物がすごく立体的に動いてる。
線はシンプル極まりないのに。
すごい画力だと思うんですよね。

**

あと最高なのは音楽。

最初の3ピースバンドの初期衝動曲、なにあれ!
まさにだよね。
どんな勇気があったらあの曲で行こう!って決断できるんだろう。
シンプルこの上なのにかっこいいしずっと聴いてられる。
音楽楽しい、演奏楽しい、が発現した音楽。

**

あと、観客の描写。

ほとんどの人が真顔。
これ、素晴らしい。
実際はこうですよね。
真顔だからってつまんないわけじゃない、乗ってないわけじゃない。
既存の音楽映画のわざとらしい盛り上がりを見せてる観客描写を批判するかのような、
リアルで愛情のある観客描写。

**

こういう誠実で勇気があってエンタメの力を信じてる映画を今後も観ていきたい。

映画『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』

2022-08-03 | 映画感想
サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)
上映日:2021年08月27日 / 製作国:アメリカ / 上映時間:118分
監督 アミール・“クエストラブ”・トンプソン
出演者 スティーヴィー・ワンダー B・B・キング フィフス・ディメンション


目次

  1. ハーレム・カルチュラル・フェスティバル(Harlem Cultural Festival)
  2. 『メイキング・オブ・モータウン』
  3. ブラックパンサー党
  4. 音がいい

ハーレム・カルチュラル・フェスティバル(Harlem Cultural Festival)

は別名ブラック・ウッドストック(Black Woodstock)とも呼ばれて、アフリカ系アメリカ人の音楽と文化を祝い、ブラック・プライドを掲げて政治や白人、黒人(を含む有色人種)自身の変革を推進する音楽コンサートでした。
wikiによると
「1969年6月29日から8月24日までの日曜日の午後3時にハーレムのマウント・モリス・パークで開催された」
「6回の無料コンサートのシリーズには、合わせて30万人近くが参加した」
とのことなので、毎週日曜日3時から同じ場所で6週間開催されたんですね。
きっと会を追うごとに噂が広まって「私も行きたい!」と人が増えていったことでしょう。

***

このライブを収録してたんだけど誰も黒人のフェス映像なんて買ってくれなくて約50年間地下で眠っていた忘れられていた。
そのライブ映像とミュージシャンなどのインタビューを交えた映画かこの『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』。
またwikiによると
「ニューヨークのWNEW-TVメトロメディア・チャンネル5(現WNYW)は、1969年6月から8月の土曜日の夜の午後10時30分に1時間のスペシャル映像を放送した。」
とのことなので当時はライブの前夜に放映されていたんですね。
しかも以降、テレビのスペシャル番組や映画化の話が浮かんでは頓挫した…、という流れを何度かやってきたっぽい。

***

『メイキング・オブ・モータウン』

関連作として『メイキング・オブ・モータウン』も観るとお互いを補完し合えるかと思います。
モータウンレコードの人気が最高潮の時がハーレム・カルチュラル・フェスティバルらしいので、どのようにそこまで流れていったかがわかるかと。
黒人アーティストが綺麗な服を着てテレビに出てスターになること自体が衝撃的だった時代に、人気黒人アーティストを次々と輩出し大ヒット局を量産したモータウン。
モータウンでは黒人アーティストは割と綺麗なカチッとしたスーツなどを着るものでした("善き黒人"のイメージでしょう)。
ハーレム・カルチュラル・フェスティバルではさらに一歩進んで、ヒッピーファッションのようなダルだるの服(でもめっちゃオシャレ)を着て出てきたり、バンドに白人や他の人種のメンバーが混ざっていたり、と。この数年での変化を感じます。

***

ブラックパンサー党

について『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』がいいですかね。
ブラックパンサー党は剛腕チームなのでダークなイメージもあるけど、子供に教育の場を設けていたり、このハーレム・カルチュラル・フェスティバルでは警護をやっていくれていた(当初NY市警が警護してくれなかったから)。
普通にライブ映像にブラックパンサー党のメンバーが警護員として写っているのがドキドキする。。

***

知。

実際のライブ映像をたっぷり見せてもらいつつ、50年前その場にいた観客が当時を思い返すインタビューや、
スティーヴィー・ワンダー、メイヴィス・ステイプルズなど出演アーティストが50年ぶりに自分の出演シーンを見ながらトークしてくれるのが嬉しい。
さらに
当時の人種問題やハーレムのドラッグ問題(失業や街の荒廃もありドラッグに手を出してしまう)や、
それぞれのアーティストの生い立ち(綿花農家で週3ドルで働いていたなど)などを知れるので、
単に素晴らしい音楽ライブ映像を楽しむ以上の学べる喜びもこの映画には詰まってる。



音がいい

が、しかしなんといってもライブ映像ですよ。すごいの。
ていうか音がすごい。
これどういうことなんだろう。そもそもテレビ番組用に収録したもので、今の映画館での上映や今のテレビで再生しても素晴らしくかっこいい音なのはなんだろう。
よくわかんないけどリマスターみたいなことをしてるんですかね。
すっっごい後ろで叩いてるタンバリンの音とか聞こえるのさ。
トランペットの音になる一瞬前の唇とマウスピースの擦れる音まで聞こえるのさ。
どういうことなの。

***

僕はあんまりブラックミュージシャンのことを知らなくて、今回の出演者でも知らない人、グループも多かったんですが、全員すごいので全員に圧倒された。
音楽性も多様で、ポップス寄りのバンドもあったり、めちゃくちゃゴスペルだったり、アフリカ民族音楽寄りだったり、それぞれ個性は違うけどニグロではなく「ブラック(黒人)」というプライドで同じ場に立っているのが力強かった。


映画『リコリス・ピザ』

2022-08-03 | 映画感想
リコリス・ピザ
上映日:2022年07月01日 / 製作国:アメリカ / 上映時間:134分
監督 ポール・トーマス・アンダーソン
脚本 ポール・トーマス・アンダーソン
出演者 アラナ・ハイム クーパー・ホフマン




15歳の少年役(クーパー・ホフマン)はフィリップ・シーモア・ホフマンの息子だったんだ。

***



リコリス・ピザ最高!


見終わった後は「5だ!5だ!」と思いました。今は5日くらい経ったのでまぁ4.5に落ち着いてます。
情報量が多すぎて、、、何を書き残せばいいのやらと思って。。
このストーリーの中心軸は、アラナの成長とゲイリーとの恋模様でしょうね。
これについて映画ではほとんどセリフで語られないのです。
それがいい。
「なんの話なんだ!どこが軸なんだ!」と不安になった人もいるかと思いますが、僕は好きでした。
***

1970年代のハリウッドの風俗や実在した人物などをポンポン出してきて、主役の物語に絡めていくんですが、流石に1970年代のハリウッドの風俗なんて知らねぇので「出た出た!こいつ!」と笑ったりはできませんでした。
俳優たちの演技は面白かったので笑いましたけどね。

**
それでいうと、一番面白かったのはハリエット・サンソム・ハリスの顔芸。


演技というより芸。「ノー」を100種類の言い方で言ってみたり、突然唇プルプル震わせてみたり。。勝手なことを。。
最初はそんなに出演時間多くなかったそうですがあまりに面白くて出演時間伸びたそうです。さすが。

あと、好きなとこがネタバレ含むので以下に。



アラナがガス欠トラックを下り坂でバックしながら降りていく(実際本人が運転していたとのこと)シーンも、そんじょそこらのカーアクションよりもハラハラしましたが。
その後、こんな大変な目に遭ったのに男子たちは相変わらずワチャワチャしてて、、「さすがにないわ。。」とアラナは思った模様。
その後、市長候補の選挙ボランティアに入り、突然意識高い系へと変貌。
ゲイリーや姉たちに対しても「私は政治に力を注いでいるのに、ペプシがタダとかで騒いでるの?」と見下し始めます。
しかしアラナ自身もやはり底は浅い。
アラナは、市長選候補者のジョエルと選挙事務所の先輩男性の両方から「好かれている」とちょっと勘違いしてまして、
政治の世界に足を踏み入れて大人になったつもりでいても「2人の男、どっちにしようかな〜」くらいに思ってる。
で、やっぱ市長候補の方がいいよね的な感じでジョエルの誘いに乗って、呼ばれたレストランに行くと、そこにはジョエルの男性パートナーがいました。
ジョエルはゲイ。どうやらパパラッチに狙われている模様。
市長選の悪影響になるからとそのパートナーに冷たく接するジョエル。
アラナにジョエルと一緒にジョエルのマンションまで一緒に帰ってくれと頼む。パパラッチを誤魔化すために。
パートナーは悲しむ。
ジョエルは選挙優先なのは当たり前だろと折れない。
アラナはひたすらに蚊帳の外。ジョエルに気に入られてる(仕事については評価してくれてたけど)ってのは思い違いだし、
ジョエルとそのパートナーの物語とは全く関係ない人。
ゲイリーたち幼い男子を離れて、政治の世界に触れて大人になったつもりだったけど、そういえば男を両天秤にかけていたし(実際は違ったけど、、)、この私よりも過酷な人生を送っているゲイ男性2人の真剣なぶつかり合いをただ見てるしかできなかった私。
あぁやっぱり私にはゲイリーなのかも。
そしてずっとくっついては離れてをやってきた2人だけど、今度は求め合うタイミングがバッチリ合致してちゃんと結ばれて映画終わり。
でも、また別れるかも知んないけどね、この2人は。

↑この流れが好き!

フランスアニメ映画『神々の山嶺』 漫画版と映画版との違い 谷口ジローの漫画を原作

2022-08-03 | 映画感想
神々の山嶺(2021年製作の映画)
Le sommet des dieux/The Summit of the Gods上映日:2022年07月08日製作国:ルクセンブルクフランス上映時間:94分
監督 パトリック・インバート
脚本 マガリ・プゾル パトリック・インバート

目次

  1. 冬山モノ好きなんです。
  2. ネタバレは以下に
  3. 漫画と映画のラストの違い マロリーの写真
  4. 岸文太郎キャラ変
  5. 涼子キャラ変(これは良かったのでは)
  6. 120分にしても良かったよ!


冬山モノ好きなんです。

この映画でも話に出てくる『アイガー北壁』、恐怖のドキュメンタリー『運命を分けたザイル』など。
僕は高所恐怖症なので「落ちちゃうかも〜」ってシーンは誰よりも怖がることができます。
今作でも一番後ろの席で、1人で手に汗握って「ひゃっ!」とか「く〜〜〜」などの声が出そうになるのを必死に抑えながら見て楽しみました。

***

谷口ジローの漫画版が大好きだし
実写でもなくアニメでこの恐怖や絶望感を伝えられるのかと思ってたけど、ごめんなさいすみませんでしたJe suis désolé(フランス語)!
クレバスジャンプとか文太郎ピンチとか声出そうなの必死に抑えてました。
今思い出しても手に汗かくわ。

***

この映画は1998年の夢枕獏の同名小説ではなく、「谷口ジローによる同名の日本のマンガシリーズを基にした2021年のフランス語のアニメーション映画」とのこと。
なので、原作は谷口ジローの『神々の山嶺』。
『神々の山嶺』は大名作。大好き。
谷口ジローの漫画はフランスでも大人気。
ですが、割と改変があります。
全5巻の漫画を90分の映画にしてありますので、仕方ないし、改変自体は問題ない。
ただ不思議なのは、なぜかエモくない方へ改変してるような気がするんです。。
90分ですからいちいちエモいことやってる時間がなかったってことなのかもしれないんですけど。
この映画の作り手の好み、または表現したいメッセージがこの改変の中にはあったのでしょう。

***

僕は夢枕獏の原作小説を読んでいないのでそれとの比較はできません。
悪しからず。



ネタバレは以下に





漫画と映画のラストの違い マロリーの写真

まず史実で言うと、
エベレストの頂上付近の北壁で見つかったマロリーの遺体からはカメラは見つからなかった。

1924年にマロリーがヒマラヤに登頂チャレンジをしたが帰って来なかった。遺体は発見されなかった。
1953年にエドモンド・ヒラリーがヒマラヤ初登頂に成功!
1999年にマロリーの遺体を発見。
マロリーのカメラに登頂写真が撮られていれば歴史は塗り替えられたが、カメラは見つからなかった。。
というのが史実。
彼の遺体(服の中)にカメラがあって登頂写真が撮影されていれば「エベレストに初登頂したのがマロニーかどうか」という議論は起きなかった。
この映画では漫画と同じくマロリーのカメラが見つかったと言う別の世界線を描いています。
そのカメラの中のフィルムを現像すればエベレストに初登頂したのがマロニーかどうか」がわかるぞ!
というのが原作漫画とこの映画の一つの物語の柱です。

***

ただ漫画のラストでは、深町がマロリーのフィルムを現像するとそこにはエベレスト頂上で撮影したマロリーの姿があった、と描かれている。
史実を知らない人にしてみたら「マロリーさん、偉業が証明されてよかったね!」と思ったことでしょう。
史実を知っていた人は「イフを描いたんですね!これこそ創作だね!」と思ったことでしょう(もしくは、じゃあ1953年の初登頂エドモンド・ヒラリーの立場は…??と心配になった人もいたかも)。
この映画では、「マロリーがエベレストに登頂したかどうかを判別できるものは写っていなかった」というラストでした。
映画版は史実に近い方を選んで描いたわけですね。
うん。。。。事実そうなのでからね。。。
ただ、、、盛り上がらない。。
尻窄み感が否めない。。もちろん史実なんだし、ヒラリーの偉業を邪魔するのもどうかと思うし。。


岸文太郎キャラ変

漫画では岸文太郎が30代前半くらいだと思うんだけど、
映画ではほぼ少年。。20代前半に見える(18くらいにも見えるけどそれは流石にないんでしょう)。
映画では文太郎との北アルプスの屏風岩シーンは丁寧に描かれて、手に汗握ったし声出そうなのを必死に抑えるくらいに緊迫の素晴らしいシーンでしたが
その後の羽生のオンリー遭難シーンがだいぶ簡略化されてましたね。。
アニメならではの恐怖描写は素晴らしかったけど、
墜落などの動的な恐怖と
遭難の静的な恐怖の両面が冬山映画では描けるはずなので、もうちょいそこはじわじわ怖いシーンを作っていただきたかった。
あと、今回は文太郎が子供すぎたので、そもそもそんな子供を連れて行った羽生の責任問題という新たな罪が加わっちゃった。足手まといになるような人間を連れていくような男じゃないと思うんだけど。
(羽生の甥には甘いという人間的な面を描いたのかな)

涼子キャラ変(これは良かったのでは)

↓漫画版


↓日本映画版(尾野真千子)


↓今作


全体的にフランス人から見た日本人ってこういう感じなんだろうな。。。。と思って胸が締め付けられる思いもしましたが、ポイントはそこではなく。

むしろ原作漫画の方での問題点を今作では修正できてると思いました。

漫画では涼子のキャラって「恋愛パート入れときました感」がどうかと思うし、結局深町とデキちゃうってのも、あ、そうですか。。って感じ。。

そもそも涼子は、羽生からの手紙(仕送り)を受け取っていた(それにより深町が羽生の居所を辿ることに成功した)ということだけが必要なキャラ。

羽生の居所を辿るなら別のルートでも良かったし、いちいち女性キャラと主役が恋愛関係に陥る話の必然性もない。

なので、今作のように涼子キャラを簡略化したのは良かったかと。
120分にしても良かったよ!
90分はちょっと物足りなかったな〜。
ラストも尻窄み感が強かったし。。

120分にして北アルプス屏風岩の遭難シーンを長くして欲しかった。
あと史実に近いラストにするのであれば
映画のオリジナルとしてマロリーの人生についての描写も入れて欲しいかな。

そうすれば登頂したかどうか判別つかないマロリーの登山家人生についての悲哀を強く感じられたかも。

映画『ノマドランド』 過酷だけど癒しも感じる 

2022-08-03 | 映画感想
ノマドランド(2020年製作の映画)
Nomadland上映日:2021年03月26日製作国:アメリカ上映時間:108分
ジャンル:ドラマ
監督 クロエ・ジャオ
脚本 クロエ・ジャオ
出演者 フランシス・マクドーマンド


大きくて根深くて身近な社会問題だし
(僕だって老後どうなるかわからない…)
人間の根源的なものと現代社会との齟齬を描いてとても重い映画なんだけど、、
同時にこの映画を観てちょっと癒されてる自分もいる。

**

主人公ファーンはここまで過酷な状況を選んだわけではないけど
エンパイアから離れないという選択をしたし
姉と同居しないという選択をした。

もちろん年金を含めた社会保障や就職の問題などの選択できなかったこともあるんだけど、
彼女は「借金させてまで家を買わせて儲ける」不動産の仕事は選択しなかった。
サッとエンパイアを離れるとか
姉に頼るとか
姉の旦那に仕事を探してもらうとかは
彼女は選ばなかった。

**

全ての選択に納得いってるわけではなさそうだけど、
〝普通〟の生活をするためにやりたくないことは選んでこなかったっぽい。
その自由さ、真っ直ぐさには爽快感を感じる。
(めっちゃ過酷だろうけどさ)

**

2011年。
石膏採掘場が閉鎖され企業城下町であるネバダ州エンパイアも閉鎖。
住民は退去させられ、
街の郵便番号も末梢された。
街が閉鎖されるってことあるの?と思って調べたら
砂漠のど真ん中にあった人口750人ほどの町。

**
家とは心の中にあるもの。
先生はホームレスになったの?
ハウスレスよ。意味が違う。

**

年金の早期受給では金額が低くて生活できないし
働きたくても年齢がネックなって仕事がない。
私たちはラバートランプ(RUBBER TRAMP。車を使い放浪、旅をする人たち)。
クォーツサイト(地名)を目指して。

映画『夜明けの夫婦』かなり面白かった好きオススメ 

2022-08-03 | 映画イラスト
夜明けの夫婦(2021年製作の映画)
上映日:2022年07月22日製作国:日本上映時間:135分
監督 山内ケンジ
脚本 山内ケンジ
出演者 鄭亜美 泉拓磨 石川彰子 岩谷健司 筒井のどか 金谷真由美 坂倉奈津子 李そじん 吹越満 宮内良



面白かったぁ。悶えるほどに笑ったシーンもあるし、ずっと面白かった。

「映画らしさ」とか「リアルさ」に閉じ込められてない、演劇的な自由さがあるのが本当にいい。
監督が劇作家でもあるんですね。自分の劇団(城山羊の会)も持っている山内ケンジ監督。

終盤の、夢と現実、恐怖と安心が入り混じった演出が本当に素晴らしい。
「作り物・フィクション」を観れてるなぁと思う。
そしてちゃんとした作り物には人間の本質みたいなものが透けて見えてくる。
嬉しいなぁ、こういう創作。
人間そのものじゃないのよ。

***

カットの切り上げが面白い

カットの切り上げっていうのかな。
カットが切れるタイミングが面白い。
予測できないところでバンッと切れて面白い。
笑いが起きる装置にもなるし、ドキッとさせられる。


長回しとカメラ固定

会話シーンが多くてそれがほとんど長回し。
カメラも固定。アングルも変わらないし画角も動かない。
緊張感と妙なおかしみもあるし、流れが生まれないのでどこでこのシーンが終わるのかが予測できない。
下手な人たちがこれやると死ぬほど辛いんだけど、、、、、やはり演出も演技も素晴らしいんでしょうね、ずっと面白かったんです。


演技が素晴らしい

城山羊の会に馴染みのある俳優さんが多く出演されている模様。
(城山羊の会には劇団員という制度がない?)


鄭亜美さん

妻役の鄭亜美さんはこれで大ブレイクするんじゃないですかね、映像の世界で。
使いたいでしょ、どんな役でも。主役もアリなのは今作で証明されたし、飛び道具として唯一無二の個性もあるし。
声小さくて小刻みに震える子鹿演技だけじゃなく、
夫を責める時とか、同じ韓国の女友達と密接に会話する時とか、義父との妙な空気とか、
その都度違っていて演技を見ているだけで楽しい。
そしてそれは人間の多面性を表現することにもつながってる。
最高じゃないの。


石川彰子さん

義母役の石川彰子さん。ご本人は40歳なんですね。どう見てもカツラにしか見えないし60歳以上に見せたいんだろうけど全然見えなかった。
それもちょっと面白かった。演劇的な匂いがする存在。
リベラル派としてデモなどに参加するような人物なのに自分の嫁には「子供は作らないの?」と言ってしまうし、
孫が欲しすぎてノイローゼになってしまうというめちゃうぜー人物。
どんなに鬱陶しいか。こんな人いたら。。
でもこの義母は愛らしい。
孫を欲しがっちゃう自分に苦しめられているのがわかる。


坂倉奈津子さん

名前忘れちゃったな。
夫の会社の上司役。夫と過去になんかあったらしいし今でも夫のことが結構好きそう。
その恋心が誤作動を起こして夫をじわじわ追い詰めるシーンが本当に面白かった。5人くらい殺して欲しかった。
「意外と外にはゴミ箱ってないもんよ、全っっっ然!」ってセリフ自体も面白いけど、
ちゃんと魂こもって言ってくれるから、意味以上に深い心理みたいなものを表現しているセリフにも聞こえてきた。


岩谷健司さん

岩谷健司さんは僕はゴッドタンの人というイメージ(ごめんない)。
見ない日はないくらいの大活躍をされてますね、映画にドラマにCMに。
今作では、だるだるの初老の男なんだけど、エロスもあって陰ではちょこちょこ遊んでいるらしい。
でも家族には丁寧だし優しく接する。
有害な男性性というのをあまり出してない人物。

途中で犯罪級の酷い暴走をしてアレは擁護できないけど、、、
家族というものをうまく安定させながらも自分は自分で幸せに生きてる人ってのは周りを楽にさせるんですよね。
「こうあらねば!」と自分を締め付けて勝手に苦しんでいる人は、周りも苦しめちゃう。
義母がそういう役でしたね。
自分も周りも不幸にしていく人。


ヌード

映画館でこんなにヌードシーン見たの久しぶりでした。。
一応セックスシーンってことになるのかな、どこからセックスという定義づけが必要かな。
ベッドシーンっていうのかな?
でもめちゃくちゃ裸だし、割と生々しいことをやってるし。
少子化問題を扱うならそこにはかなり高い確率でセックスの要素が出てくるわけで、
そこから逃げずにむしろ必要以上にヌードシーンを出してくるところも
昨今のメジャー邦画に喧嘩売ってる感じがして面白かった。



ラストネタバレは以下に





幽霊みたいなスタンドみたいな不倫女性が夫婦の寝室に現れて、高島屋で買った贈り物を妻の枕元に置く。
その女性は夫と不倫しており、その贈り物は夫にあげたもの。
夫はそれを会社のゴミ箱に捨てて行こうと思ったが、坂倉奈津子さんに阻まれて家に持ち帰ってしまった。
誰もがネクタイだと思っていたその中身は包丁。
妻はその包丁で右手首を切る。
2ヶ月後くらいかな?
夫は転勤先の神戸から一時帰宅。
妻は右手に包帯を巻いている。
義母「私も死んじゃおうかなとか思ってたけどサキさんの見てそんな気無くしちゃった。だってすごい血の海よ。だから、ありがとう。」
シャンソン歌手のライブに家族みんなで行く。
義母は幻影を見始める。
ここにいないはずの妹がいたり昔の生徒がみんな子供を連れてきてたり、家族たちが全裸になっている。
その夜?翌朝?
妻と夫のセックスシーン。
ずっとEDだった夫が今回は元気っぽい。
膣内射精完了。
妻の顔にズームアップ(←ふざけてて最高)。
おわり