横浜にはオシャレなミュージアムが多いのですが、2012年に開館した原鉄道模型博物館も大人も愉しめる素敵な博物館です。
みなとみらい線開業以降、開発が進められている新高島平駅からすぐの場所に建つ横浜三井ビルディング。
原鉄道模型博物館はその2階にあります。
この博物館は原信太郎(1919-2014)が製作・収集した鉄道模型のコレクションを公開しており、鉄道模型専門の博物館なのです。
自身が再現した多くの模型は国内の鉄道にとどまらず、ヨーロッパやアメリカなど世界を渡り歩いて記録・製作していました。
第一展示室から始まる前半部はディスプレイされた鉄道模型を展示、後半部はこの博物館自慢の「いちばんテツモパーク」を中心としたジオラマ展示といった構成になっています。
第一展示室は「原模型の神髄」。
原信太郎が製作した鉄道模型の代表作7点が展示されています。
このコーナーは、よほどの鉄道車両か模型マニアでなければ車両の名前を聞いてもさっぱりな展示です。
ただ、ディスプレイと照明が綺麗なのでじっと眺めていると、緻密だなあと感心してしまいます。
中にはオリエント急行や、2015年にJR九州が運行を開始したSWEET TRAIN「或る列車」の基になった車両の展示もあります。
或る列車は1906年に九州鉄道がアメリカに発注した豪華客車で、その後に九州鉄道は国有化されて活躍のないまま眠りに就いた幻の車両。
原氏は九州にて眠りについていた豪華客車の詳細なスケッチを残しており、鉄道模型も作っていたのでした。
第二展示室は「語る模型」。
この展示室では膨大な数の所有模型がずらりと並んでいます。
鉄道模型にもさまざまなサイズが存在するらしく、私たちがよく目にするNゲージよりはるかに巨大なも模型が中心です。
中には抱きかかえるほどのサイズもあります。
所蔵品の核を成すのは国外の鉄道車両。
この博物館、しいては原信太郎のコレクションの特色をここで理解することができます。
国内の鉄道が好きで訪れた方は少し戸惑うかもしれません。
第三展示室は「ヴァンテージ・コレクション」。
氏は幾度も海外を旅して鉄道模型や資料の収集を行ってきました。
この展示室では旅にまつわる貴重なきっぷやコレクションが展示されています。
レトロな懸垂電車模型も可愛らしいです。
パサージュはお洒落な鉄道模型屋さんといった感じの展示。
ここではHOゲージと呼ばれる規格の模型を扱っています。
国際的にはこのHOゲージが主流だそうですが、鉄道模型にも多くの規格があるようです。
細長いパサージュを抜けると、いよいよ博物館の目玉であるいちばんテツモパーク。
こちらは一番ゲージと呼ばれる規格の模型で作られた巨大ジオラマです。
一番ゲージでは世界最大級のジオラマだそうです。
他の鉄道博物館と同じく、照明によって昼夜を表現したり時間限定の車両を走らせたりしているようです。
詳しくはこちら↓
http://blog.goo.ne.jp/fujizero3/e/3efc818269c85ace18ff9aa5c2414122
一番ゲージの特徴は、日本で普及しているNゲージに比べて大きい規格であること。
そのため、車両や建造物の再現度が高いということが利点です。
このジオラマではヨーロッパの町並みが再現されていて異国調なところもオシャレです。
ベンチも用意されているので、空いているときはいつまでも眺めていられます。
最後は横浜ジオラマ。
いちばんテツモパークに比べると小規模ですが、京浜東北線など、馴染の車両が走行しています。
神奈川県庁や横浜税関の建築も再現されています。
原鉄道模型博物館。
鉄道好きの聖地というよりかは、模型趣味や懐古主義な人にお勧めできるオトナの隠れ家的空間です。
展示が日本の現代の鉄道とは距離を置いていて、海外であったり前世紀の見たこともないような車両。
中心となるいちばんテツモパークジオラマは特に、現実とは切り離された異国世界が忠実に作り上げられており、鉄道や模型に興味がなくとも引き込まれてしまう空間になっています。