すっかり近代化された新横浜のビル街に溶け込むように、新横浜ラーメン博物館はあります。
ここは世界初のフードアミューズメントパークとして1994年に開館した博物館で、館内には所狭しとラーメン店がひしめき合っています。
ここの見どころは何と言っても昭和30年代を再現した町並。
入場料を支払って地下へ1階へ降りると、地下2階までの吹き抜け空間に昭和の町並が広がります。
私たちがはじめに到着する場所は駅をイメージしているらしく、看板は鳴門橋駅。
改札や料金案内板など、小さなところにも凝っていて面白いです。
駅の目の前からは地下2階部分に広がる街が一望できます。
ここからの景色はこの博物館のハイライトでしょう。
右手の階段から直接下の階に降りることもできます。
地下1階は主にロの字型の回廊になっていて、下町の路地裏を表現した世界は探検に最適。
路地裏というからには通路も狭く、人とすれ違う時に少し窮屈に感じるほど。
家々には明かりが灯って、室内の生活を夢想してしまいます。
民家やバー、銭湯に至るまで細やかに表現され、冒険心がくすぐられること間違いなし。
銭湯の女湯の暖簾の先に、他の階を結ぶ階段があったりと遊び心が随所にみられます。
この階にあるラーメン店舗は3店舗。どちらも駅側に集中しています。
階を降りた地下2階は、6つのラーメン店舗が中央の広場を囲っています。
館内地図を見たり、店舗を覗いたりしながら次に食べるラーメンを決めるのもいいかもしれません。
良くも悪くも、ラーメン博物館としての機能はこの階に集約されているため、相当賑わいです。
休日の昼ともなれば、各店舗に並ぶ列が伸びていき、広場を埋め尽くします。
長時間列に並ぶと、再現された家々の看板や洗濯物などを観察してしまいます。
東宝特撮映画の『地球防衛軍』の看板もあります。
モゲラとかいうモグラ型兵器の侵略に地球防衛軍が立ち向かう物語で、東宝特撮映画の全盛期に製作されたもので、私も映画自体は見たことがありません。
昭和を生きた人々は話に花が咲くかもしれませんね。
バブルがはじけ、昭和という時代がやや遠ざかりつつあった1990年代。
古き良き時代として人々が懐かしむことの出来る昭和レトロは人気を博し始め、ここ10年から20年くらいは一定の人気があるように思えます。
お台場のデックス東京ビーチ内にある「台場1丁目商店街」や、居酒屋の半兵ヱなどは評判もいいようです。
そんな昭和レトロの世界観を踏まえたフードパークとしての性格を持つこの博物館は、オープン当時はかなり斬新なテーマパークだったでしょう。
しかし現在、東京立川のラーメンスクエアや大阪のなにわ食いしんぼ横丁など、テーマに沿った世界観を演出しているフードパークが増え、かつそのほとんどが入場無料という現実があります。
規模は未だにラーメン博物館に超えることはないものの、肉迫せんばかりの発展ぶりです。
入館料を支払い、館内でいくつかの店舗を梯子するのは経済的ではなく、家族連れなどは特に出費がかさんでしまいます。
また、ラーメン博物館と銘打っているわりに、博物館としての要素が欠けているようにも思えます。
以前にはラーメンの歴史やご当地ラーメンの紹介などを行うラーメンギャラリーなるものがあったようですが、現在はショップの片隅に追いやられてしまっています。
博物館というからには、単に食欲を満たす場所や、感覚的に楽しむテーマパークだけでは物足りないような・・・
以前のように企画展を行うなど、単なるラーメンフードパークとは異なる魅力を是非提供していただきたいです。
オープンから20年、多くの観光客に受け入れられて関東圏では定着したラーメン博物館。
これからの進化に期待しています。