Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

内房線の旅 館山編2

2013-01-13 23:19:54 | とりっぷ!


 


『宮城』というバス停で途中下車。


バス通りから路地に入るとすぐ目の前には低めの山が構えていて木々が生い茂っている。
その山の麓にはひっそりと館山海軍航空隊・『赤山地下壕跡』がある。

館山は東京湾の先端部という立地条件からも戦中に館山海軍航空隊が組織された。
そのために館山市には現在も多くの戦争遺跡が残っているという。
 
現在海辺にある海上自衛隊館山航空基地もその名残であるし、この赤山地下壕もそうである。


入壕するためには、入り口付近にある『豊津ホール』と呼ばれる施設の一階で入壕料200円を支払う。
すると懐中電灯とヘルメットが手渡される。

長野県松代の大本営跡と同じように、ここからは案内無しで各自で入壕する。
パンフレットももらう事ができ、内部の地図も描かれているため参考になる。



ちょっとした冒険気分だし、地下ということもあり緊張感が高まる。







軍の施設だけあって、木々に隠れるように入り口が構えている。


中に入ると地下特有のしっとりひんやり感がたまらない。
湿度の関係で空気がもやっとしている。


入り口付近の天井は高く、倉庫としても使えそうな広い部屋だ。

小さな山の下にこんな世界が広がっているとは誰も思うまい。



奥へと続く道はいきなり狭くなり、侵入者を拒んでいるかのようだ。








内部へ入っていくと通路は枝分かれする。

通路は碁盤の目のようにまっすぐに掘られた場所もあれば、クランク状の通路など不規則に掘られた場所もある。

全体的に見て、歪な形をしていることは間違いない。


なぜこのように掘られたか、そして何のために計画されたのかなど
赤山地下壕の全貌については明らかにされていない。

戦時中の詳しい資料は残っておらず、歴史の闇の中に消えた。



しかし実際に壕内を歩くと、戦争遺跡としての価値もさることながら
トンネル壁に現れた地層の美しさに目を奪われる。

トンネル内にいる人を包み込むように流れる模様はまさに芸術作品!



夏休み期間だというのに誰もいない壕を入口まで戻り、
日の光に包まれると視界も気温も現実へと引き戻された。

 

ここから館山航空隊まではバス停1つ分なので
ゆっくりと歩いて向かうことにする。

 

つづく

 


内房線の旅 館山編1

2013-01-01 18:49:11 | とりっぷ!

 

たまには当日まで目的地を決めないで出かけるのもいい。
何が待ち受けているかわからないドキドキ感はなかなか味わえないものである。


フリー切符を二枚分持って、いつものように新宿駅に立つ。
同行のT瀬氏と南口で待ち合わせて、とりあえず改札内へと入る。


漠然とした目的は『海を見ること』。
それを適えられる場所は関東に数多くある。



各方面に分岐する新宿駅の路線から選んだのは総武線各駅停車。
向かうのは千葉方面。

きっと千葉の海は私の知っている神奈川の海より綺麗なはずだ。


総武線に揺られながら千葉駅までは約1時間。
東京からの延長線で住宅街と中核都市が続く近郊区間。

両国付近からしばらくの間は左手にスカイツリーの姿が見える。


乗降りの激しい列車に乗っていても
旅している気分にはなかなかなれない。
どうしても通学しているのと同じ気分だ。



千葉駅は千葉県の中心都市でかなり栄えている。
この駅から内房線へと乗り換える。

ロングシートの車両は普段乗っている列車と何ら変わりなく
多くの乗客が座っている。

唯一非日常的なのは行先表示板の『安房鴨川』の文字だけだ。


内房線は千葉駅(蘇我駅)から安房鴨川間を結ぶ路線で東京湾に沿うように走る。
千葉駅を発車すると、次第に郊外の雰囲気が漂い始め、景観を田畑が占める割合が多くなったような気がする。

進行方向左手には京葉工業地帯の煙突やパイプが見え隠れする。



木更津、君津と聞いたことのある地名の駅が続くと乗客は一気に減って車内閑散とする。

いつのまに女子中学生がロングシートに横になっているしなんだかいよいよ知らない街に来た感じがしていい。


話し続けていた私たちも、いかにも外者のように車内や車窓に目を向ける。


いよいよ左手には山が、右手には海が迫ってくる。

青々とした海が広がり、目を奪われているといきなりトンネルに入ったりする。
しばらくするとまた視界が広がって海が見えると言うことの繰り返し。

山と海の隙間を走っているような感覚。


神奈川に住んでいて海には慣れているはずだけれど、
青い海はなぜか心躍る。
海を隔てて遠くに見えるのは三浦半島だろうか。



新宿を出て3時間。
各駅停車のスローな旅で、ついに館山駅へと到着。









館山駅は南国風の駅舎が似合う街で、青い空が気持ち良い。
生えている木々も南国風で、海は駅舎から見えるほど近い。


周辺のコンビニで昼ご飯を購入。
列車に揺られているだけでもお腹は空く。










館山と言えば崖観音や野島崎灯台、八犬伝ゆかりの城山公園だとか
観光地が多くあるけれど、今回は『館山航空隊行き』のバスに乗る。


野島崎灯台も訪れたかったけれども、この日はバスの接続がなく断念。
館山航空隊の先にある沖ノ島公園に行くことに。


小さな路線バスは館山の市街を抜けて、城山公園の山麓を通って
住宅地を進む。

終点の一つ手前、『宮城』で途中下車。



ここのバス停の近くに『赤山地下壕』という軍地下施設があることを知っていたので
この度、わざわざ立ち寄ってしまった。




つづく