Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

千川通りにて

2016-04-27 22:40:26 | 東京都



我が母校の武蔵大学の目の前を走る千川通りに、今年も変わらず桜が咲きました。
初めてOBとして眺める桜は少しだけ違ったようにも見えます。
というのも、昨年までは新歓活動などで慌ただしく、気づけば桜は散っていたから。

今年は部活に顔を出すついでに、少しだけ眺めてきました。

 

空模様はあいにくですが、ほぼ満開でした。
武蔵大学付近から、環状7号線をくぐって桜台駅に向かって、桜並木は続きます。





薄暗くなってきた頃の、青白い桜が好きです。
暖かくてちょっと肌寒い、この時期の気候をそのまま色で表しているようでもあります。

 



日常風景に溶け込んでいます。
歩道を歩く人たちは、無関心に前だけ見て通り過ぎていきます。




信号機の照明が目先の桜を照らしています。
赤・青・黄色の不思議なライトアップです。




在学生は信号待ちの時間が桜の鑑賞時間のようなものです。
慌ただしい季節に、ふと気づく満開の瞬間。

 


岳南電車と岳南原田駅

2016-04-25 21:49:55 | 駅と鉄路



日本には風情あるローカル私鉄は数あれど、静岡県の岳南電車ほど夜に乗りたいローカル線はないでしょう。

東海道線の吉原駅から岳南江尾駅までの9.2kmを結ぶ岳南電車は昔貨物営業も行っていた路線。
沿線には製紙工場が立ち並び、その明かりが夜の軌道を照らしています。

そんなことから、岳南電車は日本夜景遺産に登録されています。
展望台や橋梁が夜景遺産になることはよくあることですが、鉄道路線自体が登録されるのは珍しいことです。

10km未満の路線は、コトコトと夜に鉄道に揺られても極度に寂しくはならない絶妙な長さ。
車両も1両という可愛らしさ。
ちなみに電車の走る富士市は富士山の裾野にあるため、車窓からは雄大な富士山が見えます。
吉原といえば、東海道五十三次の「左富士」で有名ですね。

ということで、昼は富士見路線、夜は夜景路線と、小さく魅力の詰まった路線です。





岳南電車には10駅あり、起点の吉原駅からの4つ目が岳南原田駅。
1面2線で上下線が列車交換が可能な駅となっており、朝のみ駅員が配置され、それ以外の時間帯は無人駅。

昔は駅員が常駐したと思われる駅舎の待合室には多くの案内板が貼られて賑やか。
吉原乗換えの東海道線経由で東京都区内までの切符も売っているのには驚きです。

 

駅舎からホームへは貨物時代の留置線と本線を跨いで向かいます。
構内踏切はありません。




ホームはキノコのような傘のような雨避けが印象的です。
やってくる車両は1両もしくは2両編成なので、十分な大きさです。

背後には日本製紙の工場プラントが見えます。
岳南原田駅と比奈駅では製紙工場の敷地内を走るようです。

 



駅標の文字は独特なフォントで、「岳南フォント」と呼びたくなります。
岳南電車の駅名には「岳南」が付く駅名が全部で4つあります。




工場の方から吉原行きの列車がやってきました。
周囲が薄暗いので、車内の明かりがまぶしいです。


岳南原田駅に停車する、吉原行き列車。 
橙色の可愛らしい車両、もと京王電鉄の車両だそうです。

空気ばかり運んでいそうでしたが、この駅から2人の乗客がありました。




続いて到着する岳南江尾行きの列車。
こちらは2両編成の「かぐや富士号」で、朝夕の繁忙時のみ運行しています。

こちらは緑色のカラーリングになっています。


都営西台アパート×志村検修場

2016-04-25 20:41:55 | 発見!不思議な世界



「高層団地の1階に地下鉄の車庫がある。」
そんな不思議な話を聞いて、平日の講義後に都営地下鉄三田線に乗り込む。

しばらくすると三田線は地下鉄のくせに地上へと顔を出して、高架橋を走る。
終点の西高島平にも近づいた西台駅で下車。
駅に直結した都営西台アパートこそが、目的地である。


1970年代前半に郊外に建てられた高層団地のひとつで、沿線上に建つかの有名な高島平団地とも同世代である。
三田線の路線と垂直になるように並ぶ団地は4棟。
東側から5号棟、6号棟、7号棟、8号棟となり、どちらも地上10階以上の高さを誇っている。
建物は、中央に吹き抜け空間のあるツインコリダー型をしており、巨大ボックスのような迫力だ。


これらの団地の直下に都営地下鉄三田線の車両基地、正式には志村検修場がある。
地下鉄だからといって、車両基地が団地の地下にあるのではなく、あくまでも地上1階にあるのである。
車両を留置・点検するための路線が地上には張り巡らされ、それらを跨ぐように敷かれた人工地盤上に4棟の団地が聳えているのだ。

あと数年で四半世紀が経とうとする建築なのになんと近未来的な立体構造であろう。
昔はこの人工地盤上に、区立小学校もあったという。








西台駅のホームは高架だが、改札口は地上にある。
地上の改札から、団地へはいくつかの階段で連絡している。

連絡階段からは基地に整然と並ぶ三田線の車両を覗き見ることができた。
地上では電車が集まって、その上では人々が集まって暮らすという都市ならではの構成。







人工地盤上は非常に静謐な空間。
自動車や人々の往来が絶えない地上とは隔たった別世界のよう。

日が暮れると、蛍光灯がコンクリートを照らす独特の寂しさがある。

団地に暮らす人々の利用する自動車や自転車なども停車していて、人工物ばかりが目につく。
ちなみに団地の北側には地上と人工地盤をつなぐスロープあり、自動車や自転車はそこを行き来するようだ。




 



北側のスロープ。
住居者の自動車用道路と歩道がある。
コンクリートに覆われて薄暗い雰囲気だが、住居者であろう老人の往来があった。

 



スロープ歩道からも車両基地を覗くことができる。
帰宅ラッシュの時間と重なったため、車両の多くは出払っているようだ。

 



似たような車両が整然と並んでいると、綺麗。

 



物音さえしない静寂の空間。
普段は音を立てて動く車両も、眠れば大人しい。

 



西台駅から、団地へと続く階段。

 

西台駅側から基地を覗く。
X型の補強柱が上部の団地を支えている。


 

 

三田線がみっしりと並ぶ。
場所によっては夕刻でも車両が多く寝ていて驚き。

 



人工地盤の下からはみ出るように2本の留置線も敷かれている。
団地に行くにはこの留置線の上を通ることになる。

人工地盤は地上3階ほどの高さにあり、階段で上るには少し疲れそうだ。

 



留置線に停まっているのは三田線が直通運転を行っている東急線の車両。
車内には電気が点いていて、今にも動き出しそうだ。




からっぽの車内はどこか水槽の中を覗いているようで楽しい。



しばらくして車両は動き出し、日吉行きとして駅へと向かっていった。
ごくろうさまです。

 



無機質な屋根も団地らしい。
単純な反復とそれを照らす白熱灯。

 



丸、三角、四角、、、、
目に見える景色がたくさんの同じカタチで作られている。
しかしそれを見ても、人は何も感じることはない。


団地への通路、駅構内の通路、従業員の通路が絡み合って、迷路のよう。
大通りに面している東口とは異なって、西口は少し裏口っぽい雰囲気がある。
 

人が住まう場所と地下鉄の住まう場所。
機械と人とが同じ場所に集う不思議な空間。


それではおやすみなさい。


夜のヘビ公園

2016-04-19 21:50:45 | 発見!不思議な世界



板橋区にある蓮根川緑道は、通称:ヘビ公園と呼ばれる。
その名前のとおり、公園には大きなヘビがいらっしゃる。それも2匹。

2匹は対峙するように向かい合って、何やら話しているようでも、威嚇し合っているようでもある。

なぜこんなふしぎなへびが現れたのであろう。

どうやらこの公園、「蓮根川」というように昔の川の跡を公園化したらしい。いわゆる暗渠である。
その緑道内に設けられた公園は非常に細長い。
道路と道路に挟まれた、横わずか5,6mの敷地が縦にながーく続いている。

そうなると公園で可能な遊びも、設置できる遊具も限られてくるのである。
すべり台にベンチ、ブランコなどが縦一列に並んでいるのが微笑ましいのであるが、この公園のエライところは細長いという特徴からヘビを雇ったところである。
これなら公園の幅にも収まるし、巨大なものでも設置することができる。

異才過ぎて若干周囲からも浮いているのだが。

このへびさん、日中は子どもたちに結構な人気で、登ったり滑ったりと自由に遊ばれている。
決してオトナが近寄れる雰囲気ではなかったので、夜にもう一度訪ねてみた。






街路灯や自動車のヘッドライトに照らされたヘビの肌は白く、そして艶めかしい。
日中の数倍は異彩を放っている。

それがまた2匹もいるのだから不思議な感じがする。

 



身体は美しくS字を描いていて、互いに同じ格好をしている。

1匹10mあるとしたら、あわせて20m。
とっても細長い。

 



へびのうしろにはすべり台もある。

すべり台も、へびと一緒で細長い。

 



細長い緑道へと続く滑走路のよう。

 


【DVD】mr.children wonderfulworld on DEC21

2016-04-19 19:10:47 | 映像作品レビュー

ここのところ、帰宅してからすることと言えば、Mr.ChildrenのDVDをその日の気分ごとに流しては聴いている。
じっくり観るというよりは、聴きたい曲を流しながら聴いている感じ。

基本的にMr.Childrenのライブは、NEWアルバムリリース後に収録曲中心に組まれたアルバムツアーを行うという形態が取られている。
そのため、アルバムの世界観を深めるセットリストになっており、ライブ演出・映像などを含め一つの作品として楽しむことができる。

あらかじめ非常に聴きたい曲があって購入する場合もあれば、CDでもあまり聴いていなかった曲なのに映像を見て大好きになってしまったものもある。
ファン歴も10年になって、気づけばDVDも14枚。
ちょっと振り返りがてら、それぞれのTourの魅力とお気に入り曲、あとは特典とかその他もろもろを紹介したい。



■『mr.children wonderfulworld on DEC21』


2002年、10thアルバム『IT’S A WONDERFUL WORLD』リリース後、ホールツアーを行う矢先に桜井が小脳梗塞で倒れバンドは活動休止を余儀なくされてしまう。
その年の12月21日、横浜アリーナで一夜限り行われたライブを収録したものが、『mr.children wonderfulworld on DEC21』である。
その状況から見ても、このライブが異端であったことはわかる。

DVDのパッケージは当日会場となった新横浜(どうやら雨)の風景で構成されている。
表紙を飾るのはJR横浜線新横浜駅のホームで、公衆電話で通話しているサラリーマンらしき男性の姿。
Mr.ChildrenのライブDVDとは一目でわかりづらいデザインになっているのだ。

DVDは2枚組。
Disc1には一部MCを含めたライブ映像、
Disc2には公演中にバックスクリーンで流れた「HERO」、「Dear wonderful world」、「ファスナー」、「いつでも微笑を」、「It's wonderful world」のMVと、
メンバーがライブ映像を見ながら振り返る「talks&interview」がそれぞれ収録されている。

セットリストは『IT’S A WONDERFUL WORLD』の収録曲を中心に22曲。
「名もなき詩」、「ニシエヒガシエ」、「終わりなき旅」といった過去のヒットシングルから、またまだアルバム未収録曲の「Any」、「HERO」などを含んでいる。

一言でいうと、封入されているブックレットの巻末に載る、小林武史のインタビューにも語られている通り、明らかに迫力不足なのである。
照明などの舞台色が控えめなのもあるだろうが、桜井のMCのすべりっぷり、演奏時のアクシデントなども挙げられる。
しかし、そのすべてを隠すことなく収録されているのがこのDVDの良いところなのである。
完全復活とは言えない、バンドの姿。今後の活動の暗示などが込められていて個人的には好きである。

特に桜井は死と一度向き合うことによって、彼の意識に大きな影響を与えている。
特に「HERO」、またその後に発表される「タガタメ」、そしてap bankの設立などMr.Childrenとしても桜井和寿としても2002年は大きな転換点だった。

曲についての個人的な感想を述べれば、まず「ファスナー」がよい。
「It's wonderful world」でも歌われ、アルバムのテーマともなっている”醜くも美しい世界”観。
バックに流れるライブ用のMVがまた秀逸で、心に潜む相手への関心と畏怖が混じった心理状態を体現している。

アンコールで演奏される「いつでも微笑を」も可愛らしい。

日常のすべてのことは両義的であって”捉え方次第”ということがアルバムのメッセージにあると私は思うのだが、
このライブではそこに「復活を果たしたMr.Children」という要素も合わさり、全体が把握しづらくなっているかもしれない。

後半の「ALIVE~終わりなき旅~光の射す方へ」という選曲は、近年の未完TOURにも似た、前向きなMr.Childrenを代表する曲である。


さがみ風景その2 2015/夜

2016-04-11 22:10:33 | とりっぷ!


夜は静かに、月と街灯に照らされる麻溝公園。
ちょっとばかり色白になって、植物がつくりものっぽい。






夜になると、普段は気にも留めないものが異彩を放っていたりする。
樹木ってこんなに色鮮やかだったっけなあ。






傾斜の花壇も露に濡れて、ニスを塗った彩色済み粘土造形のよう。
本物が偽物に見える。
そういえば、手塚治虫『火の鳥』に自然が醜く、機械が美しく見えるようになった青年の話があったっけ。
関係ないけど。







夜空の鑑賞特等席は大階段の上。
メタセコイヤ並木が遠近感を演出。






寝っころがると、こんな感じに見える。
名脇役の並木が天と地を意識させてくれる。
月の日もあれば、星の日もある。







秋口にはどんぐりが落ちている。
風で落ちてきたのか、まだ青い。





夏の森の妖精といえばキノコ。
夕立のあとに現れて、気がつけば消えてしまっている。






湿気のある夜はキノコの宴。
光に照らされても、なお踊る。






きっと気づかれずにひっそりと過ごしている。
出会えたら幸運。




さがみ風景その1 2015夏/夕刻

2016-04-09 03:46:58 | とりっぷ!



ちょっとそこまで、っていう散歩。
そこで出会う景色も捨てたもんじゃないと、いや、どんな景色よりも美しいよって気づいたのはつい最近のこと。

近いものほど、慣れたものほど、しっかりと見ていなかったりする。

花とか月とか愛でたり、ちょっと歳をとったのかな。
いや、ちょっとオトナになったってことで。






水道路に控えめに咲く、コスモスの花。
6月のコスモスってなんかしっとりとしてよいですな。

花言葉は「乙女の真心」なんてかわいらしい。









夕立のあとの露濡らす道端の花も素敵。
普段は花など眺めることは少ないのだけれど。










こもれびの森は中へと入れば、ちょっとした迷子気分を味わうことができる。
木々は高く、そして暗い。








木漏れ日となって射し込む夕陽と蝉の声。
影が徐々に伸び、そして弱くなっていく。








森をまっすぐに貫く道路は木々に覆われてトンネルのよう。
買い物袋を自転車の前かごに載せて家路へと急ぐ主婦が過ぎていく。








誰も入ることは許されない、貯水池の塔。
雑草の生えた橋。







貯水池の土手からの見える景色は、どこかトトロに出てくるような原風景。
少しだけ涼しい風が雑草を撫でる。







暮れていく空と貯水池。
ファインダーを覗くと、蒼く音のない景色が広がっていた。







カモがゆっくりと水面を揺らしながら進んでいく。
その跡もすぐに消えた。

 


仰ぎ見る 江戸川散歩

2016-04-07 21:23:46 | 東京都



東京の景観で好きなものは、ぽっかりと空が広がる河川敷です。
対岸のビル群を眺めるのもよいけれど、川に架かる橋を仰ぎ見たりするのも好きです。
ぽかりと空いた天を貫くかのごとく立つ橋のダイナミックたるや・・・

都市から放射状に延びるいくつもの交通網は川を橋で越えていくため、東京近郊の大型の河川にはいくつもの橋が架かります。

関東地方を縦断し、葛西臨海公園付近で東京湾に注ぐ荒川。
土手は遊歩道になっていますが、近くから橋を仰ぎ見ることができるスポットが多く魅力的です。

橋を下から眺めると実に様々なカタチをしていて面白いのです。
若干、橋を渡る電車の音や自動車の走行音はうるさいですが、幾何学的な美しさを見出してしまいます。






葛西臨海公園にもほど近い、湾岸地域には4つの橋が架かります。
河口側からJR京葉線の「荒川橋梁」、2番目は国道357号東京方面の「荒川河口橋」、
3番目は首都高速湾岸線の「荒川湾岸橋」、最後が国道357号千葉方面の「荒川河口橋」です。

この3種4本の交通網が束になって湾岸地域を横断していることから、幅も広い。

それぞれの橋が異なった構造をしていることは、橋を自らが渡っているときには気づくことはありません。
横目で見ても、4つの橋が並列になっているためにすべてを把握することは難しいです。
ともすれば、下からの橋鑑賞はなんとなく特別な気がします。







国道の荒川河口橋は湾岸線を挟んで方面別に分かれているため、スタイリッシュな印象です。

一方で首都高速湾岸線が通る荒川湾岸橋は橋自体が葛西JCTにもなっているために頑丈なトラス構造。 
合流・分岐するのは荒川に沿って走る首都高速中央環状線です。








湾岸線を跨いで更なる高さで伸びるのが首都高速中央環状線。
なめらかな曲線が美しいです。

背景は何もなく、空が広がっています。

 



道路は鉄道に比べて架線などの構造物が少ないのですっきりとした印象。

環状線はこの先、足立区の江北JCTまで荒川の左岸に沿って建てられています。





 



首都高速は建設してだいぶ時を経た区間もありますから、時折修復工事を行っています。

高架橋は鉄板と格子に包まれますが、どのように設置して、どのような作業をしているのか気になります。

 




川を渡る送電線は非常に大きいもの。

普段は何気ない構造物ですが、じっくり見てみるとかっこよいです。

 

対岸の江東区へと送電線は続いています。

送電線が密集している場所には江東変電所があるようです。


 

次に架かる橋は清砂大橋。

遠くからでも目立つ2連の斜張橋で、自動車のほか歩行者も渡ることができます。
北側には東京メトロ東西線が並走しています。



斜張橋は橋の桁下でなく、渡る際中にも仰ぎ見ることができます。
進むたびに、ケーブルの角度が変わっていくので見ていても飽きません。
放射状に伸びるいくつかのケーブルは、空の青に映えて美しいです。


葛西臨海公園 西なぎさ

2016-04-05 22:03:08 | 東京都



東京で自然に還りたくなったら、葛西臨海公園にいこう。
都市部で風を感じたいとか、広い空に抱かれたいとか、そんなの無理な話かと勝手に思っていましたが、ここには空があって、風があって、そして海があります。

JR東京駅から京葉線で約15分。
夢の国の入り口となる舞浜駅のひとつ手前の葛西臨海公園駅が最寄駅です。
平日は各停以外は停車しないので注意が必要。

この公園は都立公園の中でも大規模なもので、園内には唯一の都立水族館となる葛西臨海水族園をはじめ、大観覧車やホテルシーサイド江戸川などの施設も点在します。

なかでも自然を感じることができるのは、東京湾に浮かぶ西なぎさ。
園内の南端に位置し、橋を使って上陸することができます。
西なぎさには、これといって何があるわけではありません。
何もないところがまた素晴らしいのです。

冬場は風が砂を巻く寥寥とした砂浜、遠くには工業地帯の煙突が浮かぶ、場末的な光景。
一方で春になれば草木が芽吹き、彩り鮮やかに。園内の観覧車が絵になります。

時折、強く吹く海風と変わりゆく雲のかたちなどを眺めていると時間を忘れてしまいそう。
私はまだ訪れたことはありませんが、夕日もまたよいそうです。





なぎさの芸術的な砂浜。
ゆるくなめらかな曲線を描いて海水が迫ります。

遠くに見えるのは臨海副都心などのウォーターフロントでしょう。






冬場は特に色のない世界。
海風が強く、軽い砂をさらっていきます。

右方向に見える陸地は若洲公園。
その先に見える変なかたちの橋は東京ゲートブリッジです。

 

旧江戸川を挟んだ対岸には、リゾートホテルが林立しています。
風もそちらの方向に吹いていくような気がしました。






初夏には草木が茂り、Windowsの初期画面のような美しい光景が広がります。
周囲に高いものがないばかりか、遠景の建造物も主張してこないため、自然と目は空へと移るような気がします。

ここが東京とは。
見えている世界はほぼ千葉県ですが…







なぎさに繁茂している草木のほとんどは雑草なのだけれど、なんだか綺麗に思えて撮ってしまいます。

芝生も美しいので、寝転がりたい気分ですが、もちろん虫くんもおられます。



陸地に目を向けると、見えるのは公園内の大観覧車。
おとぎの国のような雰囲気がして、つい撮影したのですが、余計なものがないと風景はここまで非現実的になるんですね。

余計なものといいましたが、電柱や高圧鉄塔、ビルなどが嫌いなわけではないのです。
生活には必要不可欠なそれらが無い景色にリアリティがなく、不思議な感じです。

 

 



大観覧車があることで葛西臨海公園の景観が印象的になっていることは間違いありません。

観覧車も単体で真横から眺めてみると、なかかな滑稽な姿をしています。

 


冬雨の鎌倉江の島散歩 江の島篇

2016-04-03 00:55:23 | とりっぷ!


江の島上陸の前に、今回のメインスポットのひとつともなる新江ノ島水族館へと向かう。
前身は1954年に開館した江ノ島水族館で、2004年に新たに開館した際に新江ノ島水族館となった。

この水族館は毎年春休み期間(1月下旬から3月)には学割キャンペーンを実施していて、今回もこの恩恵にこうむろうという魂胆だ。
通常大人2100円のところ高大生は一律1050円となって、学生には非常にうれしい。

ちなみに、えのすいの入館券は幾通りも用意されていて、印刷されている魚や動物が異なるから、複数人で入館すると楽しい。
私自身も訪れたのは3年半ぶりのことで、入り口に掲げられた「進化するえのすい」の立て看板が期待を煽る。
階段を上がって、2階から入場する。







最初に迎えてくれるのは相模湾大水槽の水面となる部分。
大水槽をぐるっと取り囲むように回廊が用意されていて、高いところから低いところへ、スロープになっている。
この順路は河川や浅瀬の生き物から深海へと移りゆく展示を見事に体現している。

大水槽に至っては2階から見下ろすもよし、1階から見上げるもよし。
舞うように泳ぐイワシの群れや、ゆるくマイペースなエイはいつ見ても美しいなぁ。













色とりどり、多種多様な生き物たちに思わずシャッターを切りすぎてしまうのであるが、写真を撮ろうと凝視するからこそ見えてくる生態もある。
なんて思ったりもするのだが、水族館では本当に時が過ぎるのが早く感じる。

特に、潜水艇から海中を覗きこむような円形の窓が気に入った。
魚たちは私たちに見られていることには気づかない様子で暮らしを続けている。
その無意識を見ることができるのが水族館の醍醐味であろう。







本日の私のお気に入りショットはこちら。
大水槽と、参加者K氏の右手。
触れられそうなくらい近いけれど、触れられないこの感じが好きだ。

私だけの見かたとか、私の感じた美しさとか、そいうったものを量産していく。
そして、帰った後にそれぞれの景色を共有することができるのは情報社会の、そしてこのサークルのよさでもある。

ほかの人にはほかの美しさというか景色が見えているのだろう。
それが知りたくもある。








最下層まで降りてくると待ち構えていたのはタカアシガニ。
ユニットを組んだように決めポーズで動かないのが面白い。

この階にはえのすいが注力している「深海」と「クラゲ」の展示もある。
と、その前に大水槽を下から見上げてみる。








大水槽は他の大型水族館に比べてしまえば若干劣るものの、このサイズが私は好き。
幕の上がった舞台というか、スクリーンのようで印象的である。

特徴は横幅や奥行きよりも高さがあることである。
深いところから、ずっと高いところを泳いでいる魚を見るという構図がいい。







それに加えて、エイがお腹を見せてきたときの姿がとてもかわゆいのである。
ひらひらとヒレを動かしながら泳ぐその姿はエイヒレにして食べてしまいたいくらいの可愛さがある。

参加者のS氏がエイタソと呼ぶのもわかるくらいに、癒し系であるし推していきたい所存である。








えのすいの真髄といえば深海展示である。
JAMSTECとの共同研究を行い、化学合成生態系水槽とやらを展示している。
あまり難しいことはわからないが、人の潜ることのできない深海の生態系を再現しているということらしい。

展示室内も暗く、水槽内も暗いので目を凝らさないといけないが、生き物を発見した時の興奮はひとしお。
しかしながら、先ほどまでの生き物とは異なり個性派ぞろいなので若干苦手なひとも多そうだ。

みんなのアイドル:メンダコの展示は終了してしまったが、水族館界のダークホース:グソクムシの展示は見ることができる。

深海生物はその特性ゆえあまり動かないのであるが、飽きないほどに未知なる魅力を放っているのだ。

1階にある深海展示は「深海Ⅰ」となっていて、潜水艇「しんかい2000」を展示する「深海Ⅱ」の展示もあるらしいが時間の都合上訪れることが叶わなかった。







もうひとつ、忘れてはならないのがクラゲの展示。その名もクラゲファンタジーホール。
毎回訪れるごとに新しくなっているようにも思う。

幻想的な照明演出の中、多種のクラゲが展示されている。
特に中央にある球型水槽「クラゲプラネット」は美しく、思わず触りたくなってしまうほどだ。

ふよふよと泳ぐクラゲが美しいと思うようになったのはいつの頃からであろうか。
たぶん15年前には水族館でクラゲがもてはやされようとは思ってもいなかったはずだ。








そしてこのクラゲファンタジーホールでは毎日クラゲのショーが行われているという。
クラゲをしつけるでもあるまいし、ショーとはなんだろうと興味本位で待っていると、多くの人がホールへと集まり始めてあっという間に埋まってしまった。
「海月の宇宙(そら)」と銘打たれたこのショーは3Dプロジェクションマッピングによるショーであるという。

クラゲ水槽とその壁面に映像が映し出されて、より印象的にクラゲを紹介していた。
約10分のショーではクラゲの生態や種類の紹介、またえのすいのクラゲ研究の軌跡などが説明された。









ブラックシーネットルやアカクラゲの怪しくも美しい姿にはほれぼれしてしまいます。
美しいものほど持っている毒…











続いては太平洋の展示。
優しげなトラフザメや色鮮やかなカクレクマノミ、臆病なチンアナゴなど他の水族館での人気者がそろっている。
特にここのチンアナゴは飼育数も少なく、臆病なのであまり出てきませんが、そこがまた可愛いくもあります。

その隣にはまたもクラゲの展示。
先ほどのクラゲファンタジックホールが雰囲気で魅せる展示であったのならこちらは内容で見せる展示といった感じ。
30種ものクラゲが陳列され、中にはポリプと呼ばれる幼体の展示など先ほどとは異なったクラゲたちを目にすることができる。
正直、クラゲという生き物の未知さゆえ、クラゲそのものがゲシュタルト崩壊しかけるほどの濃密な展示内容なっている。







エスカレーターでふたたび2階へと上がれば、ペンギンとアザラシの展示。
ここのフンボルトペンギンは大家族のようで、展示解説に家系図が載っている。

こんな大家族の家系図を見ると、すぐに遺産をめぐる血なまぐさい事件の匂いがしてしまうのは推理小説の読みすぎであろう。
それにしてもメスが多い。

さてさて、このようにじっくりと見学をしていたらいつの間にやら閉館時間。
深海Ⅱやウミガメの浜辺の展示は見ることができなかったのである。

時刻は17時。
えのすいの出口でいったん解散して、最後に有志で江の島散策をするとしよう。
 
 



時は夕刻。
夏には海の家が軒を連ね関東のウェイ達が熱い太陽の下で狂喜乱舞する片瀬海岸も重機が乗り入れてどことなく場末的な情景になっている。
そう、冷たい風が吹き、海水浴もできず、花も咲かない湘南と鎌倉は冬はオフシーズンなのだ。
えのすいが春休みに学割を行うのも、そういう影響があったり?とか考えてみる。

重機が動く片瀬海岸の先に見えるは江の島である。
もともとは離島であったが、関東大震災による隆起のため陸繋島になったという。

その名のいわれは「絵島」であり、絵になる島であったからと聞く。
確かに、江戸時代の名所絵にも多数描かれているところを見ると、格好の画題だったのかもしれない。
本日は曇天であるが、晴れた日には富士山も望め、それは風光明美な場所である。

江の島へは歩行者専用の江の島弁天橋を渡るか、日中であれば弁天丸という船が島の最奥になる稚児が淵まで運行している。




江の島は弁天信仰の聖地。
島には江島神社が鎮座して参道が主な散策ルートとなる。
まず、島へと上陸すればうねる坂道に連なる商店たち。
土産物屋あり、飲食店あり、旅館ありと門前街?といった趣である。

特に岩本楼と呼ばれる旅館は江戸時代から続く由緒ある旅館で、ローマ風呂とか弁天洞窟風呂なんていうものがあるという。
弁天洞窟風呂に至っては、往時宿坊だった際に地下牢として利用されていたとかされてないとか。

いろいろと語る前に、少しだけ江の島の歴史を話しておかなければならなそうだ。
この島は『吾妻鏡』にもみえるように、頼朝の昔から弁財天を祀っており、鎌倉幕府歴代将軍をはじめ武家から厚い信仰を受けていた。
以前にも述べたように、弁財天という神様は初期は腕の8つある八臂弁財天と呼ばれる武神として信仰されていた。
一般庶民による弁天信仰が流行するのは江戸時代であり、杉山検校が岩屋で断食をし、満願の日に針術を授かったことでも有名であった。
それからというものは、諸芸上達の神として多く人々の参詣する地となった。

神仏分離後は江島神社となったが、本来は神仏習合の地であり、江の島弁天や江の島明神と呼ばれることが多く、別当は鶴岡八幡宮が務めていた時期もあった。
江戸時代には上之坊・岩本坊・下之坊が各別当になり、そのなかでも勢力を持った岩本坊の宿坊が、現在の岩本楼であるという。








由緒ある門前町や城下町の夜は早く、江の島も例外ではない。
若者の集客が見込める長期休みには頂上のサムエル・コッキング園と灯台が夜間営業しているものの、ほかは日没とともに営業を終了する。

本日はひっそりとした夜の江の島を楽しむことにしよう。

参道商店街の途中で、右手に細い路地があり、ちょっとだけ進むと海岸に出ることができる。
あまり観光情報誌にも載っていないので、人気の少なく落ち着く場所である。








夜ともなれば対岸の片瀬浜の夜景が一望でき、その海岸は辻堂、茅ヶ崎、そして平塚へと続いている。
よくどのあたりまでが湘南であるか、という議論が起こるが、私的には大磯や二宮までは準湘南であり、小田原や真鶴は異なる印象である。
でも、どうやらナンバープレート区分は藤沢以西の海岸沿いの市区町村は湘南に当たるという。

そもそも湘南というのは、現在の中国湖南省にあった湘南県がルーツである。
鎌倉時代に禅宗が入ってきたことによって、名付けられたと聞く。









参道商店街へと戻って、坂を登りつめるといよいよ神社の入り口となる。
鳥居の下は十字路となっており、島の道路はここで3手に分かれる。

正面階段は江島神社辺津宮へと至る参道階段である。
左手は辺津宮へと経由せず頂上へと向かう階段と、エスカーこと有料エスカレーターの入場口がある。
右手は裏参道ともいうべき特に何もない道で、頂上へも至らずに奥津宮や稚児が淵へと至る。

今回は正統派、正面の参道を選ぼう。
急峻な階段で一気に辺津宮まで駆け上がる。
途中、振り返れば木々の合間から対岸の夜景を目にすることもできる。

階段の途中に手水舎があるのがおもしろい。









江島神社は島内に3つあり、手前から辺津宮、中津宮、奥津宮となっている。
宗方三女神がそれぞれに祀られている。

ここ辺津宮がもっとも規模の大きな社であり、拝殿の左手の奉安殿には武器を持つ「八臂弁財天」像と琵琶を持つ「妙音弁財天」像が安置されている。
妙音弁財天は通称、裸弁財天とも呼ばれ、全裸で琵琶を奏でていらっしゃる。
なぜ裸なのかはわからないが、同じような形式の弁財天像が鎌倉の鶴岡八幡宮にも伝わっていて、そちらは着物を着ていらっしゃることからも、
現代風に言えば、着せ替え人形的なスペックを持っていたとも考えられなくもない。

中学時代の思春期に初めて訪れた私には、裸という文字がどうにも艶めかしくて、でも見ることができなくて記憶にだけは強く残った記憶がある。
ちなみに2015年の1月に私が行った企画では皆でこの弁天様を参拝した。









辺津宮の参拝が済むと、次は中津宮へ。
途中、北東の方向に視界が開ける場所は昼間も美しいが、夜景は特に美しい。
写真は以前のものであるが、照らす月明かりと、ヨットハーバー、灯台がいかにも湘南らしい。

ちなみにヨットハーバーのある江の島東部は1964年の東京五輪の際に埋め立てられた場所であり、もともとは海であった。
江の島にはこうして新旧二つの歴史が共存している。

階段を上って中津宮に詣で、また階段を上るといよいよ頂上だ。









頂上は思いのほか現代風で、海を眺めることのできる飲食店やデッキ、それに加えて夜間ライトアップした公園もある。
無料なので入ってみたはいいものの、芝生いっぱいに広がったLED電球がまぶしくて目がちかちかする。
綺麗ではあるが、私には少し刺激が強すぎるようだ。



また、反対側には有料のサムエル・コッキング園および江の島シーキャンドル(展望灯台)の入口がある。
サムエル・コッキング園は1882年にイギリス人貿易商のサムエル・コッキングによって開設された庭園で、よく手入れされているので散策は楽しい。
藤沢市と姉妹都市であるマイアミビーチ市、松本市、崑明市などにまつわる施設や広場もある。










その園内に立つ、江の島シーキャンドルは2002年に完成した灯台兼展望塔で、円錐を逆さにしたようなフォルムは印象的である。
今回は上らなかったが、展望塔は2層になっていて、屋外にも出ることができるのがうれしい。
いつの日にか訪れた時のパノラマ写真を載せておく。

高台から感じる海風もまた心地よい。
また、灯台にはエレベーターが付いているが、下りは外の螺旋階段も利用することができて冒険心がそそられる。
高所好きにはたまらないだろう。

しかし、夕刻以降は周囲にカップルしかいないことはあらかじめ覚悟しておかねばならない。








江の島といえば、猫。
夜になれば、人は減って、猫が増える。
家先や路地、神社の境内など島内のいたるところで、見かけることになる。

夜まで営業しているお店の前でおいでませしているのは、このお店の看板猫だろうか、それとも違うのだろうか。
猫は何も語らない。









江の島の猫との出会いは一期一会。
出会ったら逃げられないように、こっそりと写真を撮っている。

今までもいろいろな猫に出会った。
こう見ると、江の島はいつも平和だなぁなんて思ったりもする。

最後に奥津宮に詣でて、参道を折り返す。
その先の急な階段を下れば稚児が淵と呼ばれる岩場と海蝕洞窟の江の島岩屋があるが、暗くなりすぎてしまったので断念。
日中に行けば磯遊びができるのでおすすめだ。

復路は裏参道を通って、商店街まで戻る。
街灯はあるが人家はないので、薄暗い夜道は妖怪でも出そうな雰囲気がある。
聴こえるのは崖下の波音だけ。

江の島は漁師がいるから、昔から海にまつわる伝説は多かったと聞く。
波高く、雨降る悪天候の日には死者の声が聴こえるとか、船幽霊が出て柄杓を貸せというらしい。

自然と隣り合わせだからこそ、現実味を持って語り継がれてきた伝説であろう。









本土へ戻って、小田急線の片瀬江ノ島駅から帰路へつく。
闇夜に浮かぶ駅舎は竜宮城のようで現実離れしている。

様々な意味で非日常を歩いた一日もこれで終わり。
小田急線のシートに座って身を任せれば、行き先にはいつもと同じ現実が待っている。


でもきっと、私にとっては一番身近な非日常。
変わらないようで変わっていく光景にこれからも無常を感じ、変わっていくようで変わらないものに安堵し続けよう。
次に会うときは、そう遠くないだろう。

その時まで、さようなら鎌倉・江の島。

 

「完」

 

 

 

 

※この記事は武蔵大学文化研究会Blogむさぽけっとに投稿した
「これが最後だ!!えのかまTOUR 1」~「これが最後だ!!えのかまTOUR 5」を加筆・訂正したものです。