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Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

岳南電車と岳南原田駅

2016-04-25 21:49:55 | 駅と鉄路



日本には風情あるローカル私鉄は数あれど、静岡県の岳南電車ほど夜に乗りたいローカル線はないでしょう。

東海道線の吉原駅から岳南江尾駅までの9.2kmを結ぶ岳南電車は昔貨物営業も行っていた路線。
沿線には製紙工場が立ち並び、その明かりが夜の軌道を照らしています。

そんなことから、岳南電車は日本夜景遺産に登録されています。
展望台や橋梁が夜景遺産になることはよくあることですが、鉄道路線自体が登録されるのは珍しいことです。

10km未満の路線は、コトコトと夜に鉄道に揺られても極度に寂しくはならない絶妙な長さ。
車両も1両という可愛らしさ。
ちなみに電車の走る富士市は富士山の裾野にあるため、車窓からは雄大な富士山が見えます。
吉原といえば、東海道五十三次の「左富士」で有名ですね。

ということで、昼は富士見路線、夜は夜景路線と、小さく魅力の詰まった路線です。





岳南電車には10駅あり、起点の吉原駅からの4つ目が岳南原田駅。
1面2線で上下線が列車交換が可能な駅となっており、朝のみ駅員が配置され、それ以外の時間帯は無人駅。

昔は駅員が常駐したと思われる駅舎の待合室には多くの案内板が貼られて賑やか。
吉原乗換えの東海道線経由で東京都区内までの切符も売っているのには驚きです。

 

駅舎からホームへは貨物時代の留置線と本線を跨いで向かいます。
構内踏切はありません。




ホームはキノコのような傘のような雨避けが印象的です。
やってくる車両は1両もしくは2両編成なので、十分な大きさです。

背後には日本製紙の工場プラントが見えます。
岳南原田駅と比奈駅では製紙工場の敷地内を走るようです。

 



駅標の文字は独特なフォントで、「岳南フォント」と呼びたくなります。
岳南電車の駅名には「岳南」が付く駅名が全部で4つあります。




工場の方から吉原行きの列車がやってきました。
周囲が薄暗いので、車内の明かりがまぶしいです。


岳南原田駅に停車する、吉原行き列車。 
橙色の可愛らしい車両、もと京王電鉄の車両だそうです。

空気ばかり運んでいそうでしたが、この駅から2人の乗客がありました。




続いて到着する岳南江尾行きの列車。
こちらは2両編成の「かぐや富士号」で、朝夕の繁忙時のみ運行しています。

こちらは緑色のカラーリングになっています。


京王競馬場線

2015-11-06 02:08:23 | 駅と鉄路




京王競馬場線は京王線東府中駅から府中競馬場正門前駅間を結ぶ支線です。
その距離はなんと900m、乗車すればあっという間に到着してしまいます。

競馬場線はその名の通り、府中市内にある東京競馬場へのアクセスを目的として敷設されました。
そのため、日中の運転は毎時3本程度。2両編成のワンマン車両がピストン運行しています。

競馬開催時は増発や臨時列車の運行が行われて、都心からの直通列車もあるようです。



頭端式のホームがある府中競馬場正門駅は、広々とした改札とコンコース。
その出口はまっすぐ競馬場まで続いています。

平日は鳥の鳴き声も聞こえるほど平和なホームでは時折、映画やドラマの撮影が行われるなどしているようです。
記憶にあるものだと、映画「ソラニン」や、ゲスの極み乙女。「猟奇的なキスをして」のMVで出てました。


10両編成も停車できる長いホームに、ちょこんと2両の車両が停まっているのも可愛らしいです。

競馬場の最寄駅は他にJR線の府中本町駅がありますが、都心に直結していないことからもこちらが多く利用されています。








2両編成となった7000系が日夜往復しています。





平日と休日で利用差の激しい府中競馬場正門駅。
2面2線を有していますが、屋根は改札寄りにしか設置されていません。






7000形は外見に比べて、車内はリニューアルされており綺麗です。
日中の乗客はほとんどおらず、空気を運んでいます。



夜の湘南モノレール

2015-10-17 22:07:57 | 駅と鉄路



大船駅と湘南江の島駅間、6.6kmを結ぶ湘南モノレール。
鎌倉山周辺の鉄道空白地帯の通勤通学輸送と江の島をはじめと観光客輸送を目的に敷設された路線です。
しかしながら、現状は通勤通学利用者がほとんどであり、観光客をはじめとする他地方の人にはあまり認知されていないようです。

このモノレールは懸垂式と呼ばれて軌道が車両の上部に位置している珍しいタイプ。
日本では他に千葉都市モノレールと上野動物園内のモノレールしか例がありません。

鉄道や他の交通機関は車体の下に軌道なり路線が存在するため安定感がありますが、懸垂式モノレールでは車体が吊り下げられているため空中に浮いているような感覚です。
そのため、車窓からは直下に建物や道路が広がっている光景も目にすることができます。

沿線は山が多いため、路線は急勾配の連続。
最高速度の75kmはモノレールとしては速い方で、ちょっとした遊園地のアトラクションのよう。
車窓からは天気が良ければ富士山や相模湾を望むことができるのは楽しみのひとつです。


昼間の乗車も楽しいのですが、醍醐味はやはり夜。
前世紀の人々が夢見た近未来交通のような、メタリックなフォルムの車両が一層映えて見えますし、駅や軌道もなんだか幻想的です。

深沢の夜景を横目に、どんどんと高度を上げながら闇を裂いていく光景は何処か銀河鉄道のようでもあって、しばしの異空間旅行へと誘われていきます。

全線乗り通しても14分という短時間コースなので、寂しさの深淵に落ち込むことなく終点に到着。
このちょっと物足りなさを感じるような、乗車時間もまた絶妙で、気軽何度でも出掛けたくなってしまいます。





今回は湘南江の島駅から深沢駅までを途中下車します。





湘南江の島駅ホーム。
夕方から夜間は大船発湘南江の島駅行きの列車が通勤通学客で混雑します。
途中駅でほとんどの人は降りて、終点までの乗車している人はごくわずかなようです。

逆に大船駅の列車を待っている人はほとんどいません。
江の島の最寄り駅といっても、夜は静かな終着駅です。

ホームに停車中の車両はシルバーに赤いライン。
メタリックな感じと配色は、どこか特撮のメカのようでカッコいいです。









一部の車両を除いて、座席がクロスシートになっているところも旅情を盛り上げてくれます。

湘南江の島駅を出ると、すぐにトンネルに入りますが、トンネル内は急勾配・急カーブ区間なので、車体がうねるよう上下左右に大きくうねります。
後方の車両から眺めていると、前方の車両が半分以上見えなくなったりします。
すごいカーブです。








勾配を上りきると、片瀬山駅に到着。
住宅地の末端に位置し、閑静な無人駅ですが、列車交換が行われます。

1面2線の簡素な駅ですが、車両が並ぶと無機物の作り出す冷たい近代的な雰囲気があります。
列車交換が終わると、それぞれの列車が闇に消えていきました。











西鎌倉駅は近年バリアフリー化が行われた行われた駅で、無人駅ですがホームに待合室があったり改札や券売機があります。
周囲には鎌倉山などの高級住宅街があるためか、利用者は多いようです。

駅前にはコンビニエンスストアもあります。




 

駅を降りて、湘南江の島駅方面に歩くと、上空の立派な軌道を眺めることができます。

周辺はどこにでもある住宅街の光景なのですが、上空を貫く建造物だけが異質。


 

 

歩道橋の上から、もう少し近い位置で眺めることができます。
軌道の下を車両が通るため、軌道は結構高い位置に造られていることがわかります。

駅付近までは自動車道路の上空を走っています。








大船行きの列車がやってきました。
湘南モノレールでは平均7,8分に1本の列車が走っているようです。

車両が懸垂している姿は、見慣れていないと不思議な感覚です。

 

 



西鎌倉駅を出ると、鎌倉山トンネルを抜けて、低地にある湘南深沢駅まで一気に勾配を下ります。
駅間隔も非常に長いので列車も結構なスピードを出します。

トンネルを出ると進行方向左手の視界が開けて、街並みが見えてきます。
県道32号線沿いに広がる住宅地と、遠くには藤沢の市街。昼間には山並に富士山の姿も望むことができます。
この区間の車窓は湘南モノレールの車窓のハイライトでしょう。








湘南深沢駅も住宅地に程近く、利用者の多い駅です。
深沢付近では道路の上空の比較的低い位置を走行するためか、街灯や信号機が通常より低いつくりになっています。

街の風景に溶け込んだモノレールがおもしろいです。








湘南深沢駅から鎌倉山へと上っていく列車は、結構速度を出しています。

地上の渋滞を見下ろして、すいすいと進みます。

 

  

沿線の湘南ボウルの裏手には湘南モノレールの深沢車庫があります。
数本の車両が待機していました。

人気のない人工物は少しだけ不気味ですが、美しくもあります。


車庫の下は駐車場になっており、地上と上空、合わせて乗り物の仮眠場所のようになっているのが微笑ましいです。
それにしても、このモノレールはずっと重力に逆らっていると思うと不思議です。