Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

山陽オトナの修学旅行3 宮島路篇

2016-07-30 12:33:01 | とらべる!

前回(山陽大人の修学旅行は全10篇を予定しています。)




広島駅に着いて、ひと休みするまでもなく「オトナの修学旅行」最初の目的地である宮島へと向かう。

南口改札の目の前にあるホームから発着するのは山陽本線である。
6年前に来たころには古い車両がのそのそと走っていたのだが、到着した車両は最新式。
この春のダイヤ改正で導入されたらしい。

行先表示板の「R」という記号が謎であるが、どうやら広島駅を中心としたJRの路線に新たにラインカラーを与えたらしい。
広島から宮島口・岩国方面の山陽本線は赤色なのだという。

広島駅から宮島口駅までは3分程度で着くという。

 



いくつもの河川を渡って、車窓から遠くなる広島の街を眺める。
市街地を抜ければ、広電の宮島線が寄り添うように走る。

路面電車として市街地を走る広電も、宮島線は専用軌道を走っているから普通の鉄道のようだ。


 



しばらくすると、宮島線と並走する。
道路が線路に挟まれているのも面白い。

それらの背景に、うねうねと特徴ある山々が現れたら、それが目的地の宮島である。
宮島口駅は、思ったよりも素朴。
駅前から伸びる大通りが、宮島航路の乗船口を繋いでいる。

 



宮島行きのフェリーは2社で運行していて、向かって右手がJR宮島航路、左手が松大汽船である。
JRは昼間は往路のみ鳥居に接近することを歌い文句にしていることくらいで、料金も運行間隔も同じなので気分次第である。

今回は松大汽船で、宮島へと向かう。



 



フェリーは三層構造になっていて、一層目が自動車や二輪車、二層目が客室、三層目がデッキになっている。
どうやら船は何種類かあるようのなので、それぞれ構造が異なるのかもしれない。

15分間隔で出航しているため、乗船するとすぐに船が鈍い呻りをあげて動き出す。





客室でのんびり過ごすのもよいけれど、これから向かう宮島をデッキから眺めるのもいいものだ。
3月も中旬になると瀬戸内に吹く風も暖かい。
内海だから、波も穏やかである。

遠くに見える宮島は、観音菩薩の寝姿に例えられるように、印象的な稜線をしている。
その麓に広がるのが、厳島神社を中心とした宮島の集落である。

島の人口は港や神社のある北側1ヶ所に集中しており、そのほか島の8割を山地が占めているという。



あまり関係ないのだが、こうして近づいてくる島をぼうっと眺めていると、市川崑監督作品の『獄門島』を思い出す。
原作の横溝正史は戦中に岡山に疎開していたことから、金田一耕助の活躍するシリーズをはじめ多くの作品で岡山や瀬戸内が登場する。
獄門島も瀬戸内海に浮かぶ「周囲2里ばかりの小島」という設定で、映画では実際に真鍋島で撮影が行われた。

場所は違えど、船から眺める瀬戸内の穏やかな海と、徐々に陰影を濃くする島の全貌が、『獄門島』の記憶を呼び覚ましたのである。


そんなことを思ったり、考えたりしているうちに船は宮島桟橋に到着した。
乗船している人々は、我々と同じく観光客が多いらしく、軽い足取りで船を降りていく。


初めて宮島を訪れたのは14歳の頃。
この度、大人になって再上陸である。


江戸東京たてもの園(増補版)

2016-07-30 11:45:41 | 東京都

 東京都立小金井公園内にある江戸東京たてもの園。
両国にある江戸東京博物館の姉妹的施設で、こちらは屋外博物館博物館の趣です。

広々とした園内には江戸時代から昭和にかけて江戸東京に建てられた歴史的建造物を移築・復元しています。
愛知県犬山の明治村のように、テーマ性を持った建築博物館というべきでしょう。
住宅建築から民家、商業建築など種類はさまざま。

もちろんそれぞれの建築内にお邪魔することもできます。


園内は西ゾーン・センターゾーン・東ゾーンの3エリアに分かれひとつの街のよう。
西ゾーンには民家から近代建築まで、「住宅」がテーマとなったエリア。
センターゾーンは皇居の旧光華殿を利用した入口兼ビジターセンターを中心に、高橋是清邸など邸宅。
東ゾーンは下町風情を残す住職兼用建築や商業建築が集まるエリアとなっています。

園内の白眉は東エリアの中心となる「下町中通り」。
東京の銭湯を象徴する唐破風が印象的な子宝湯を中心に通り沿いを向いたいくつもの店舗建築が連ねています。
以前建っていた場所も作られた時代も異なる建築が集められた空間は日本の街並みの縮図を見ているようでリアリティがあります。

江戸東京博物館と同様、自ら歩いて見たり、触れたりすることが大切にされており、
異なる様式や時代の空気をも感じることのできる博物館です。


アクセスはJR中央線の武蔵小金井の駅からバス利用となり、若干交通は不便ですが、入園料は400円と安く、半日以上は退屈せず見学できます。
また、季節折々の民俗行事を体験できるイベントや紅葉や夕涼みの時期には夜会開園も行っていて、魅力的です。





 



住宅を眺めるだけではなく、「お邪魔する」ことができるのがたてもの園の醍醐味です。




家具などもしっかりと配置されており、居住空間であった時代の面影を残しています。




人のおうちから眺める景色もなかなかです。
窓の景色は季節により印象を変えるのます。






西ゾーンでは表通りに面して近現代の住宅が並んでいます。
背後は樹林なので緑豊か。






吹き抜け構造が印象的な前川國男邸。
表札まで再現されていています。








建築見学では外観と内部のギャップを感じることもしばしば。
西ゾーンの「三井八郎右衛門邸」は外観は日本建築ですが、
内部は食堂や2階廊下天井のシャンデリアなど、和洋の様式が混在しています。






赤い屋根が印象的な「デ・ラランデ邸」。
ドイツ人建築家ゲオルグ・デ・ラランデが改築した洋館です。

1階部分はカフェになっていてテラスで軽食も頂けます。







新興住宅街である常盤台に建っていた「常盤台写真場」。
シンプルな白亜の壁面と格子窓が印象的。
2階は撮影場になっており、往時の雰囲気を留めています。




西川家別邸は細部まで木材を使用した日本建築。
畳の部屋から眺める景色は格別です。




東ゾーンの広場には路面電車が静態保存されています。
オレンジ色に赤いラインの都電7500形。
製造年は今から50年以上前の1962年でした。

車内のシートに腰を下ろして、窓の外を眺めると今にも動き出しそうです。




 



東ゾーン下町中通りにある「丸二商店」は昭和初期の荒物屋。
荒物屋は昔ながらの商店街にでも行かないと見れなくなりました。

裏手の長屋2階には布団が干されていて微笑ましい。
様々な角度から見てみると、小さな発見があって楽しいです。







同じ並びにある「武井三省堂」と「花市生花店」は街歩き愛好家が好む「看板建築」のあるお店です。
ひと昔の神田神保町あたりにはたくさんあったことでしょう。






化粧品屋の「村上精華堂」は石造りの建築で、柱はイオニア式。
堂々としながらも美しさのある建築です。




丸く可愛らしい電灯とお店の看板があるのは「花市生花店」。
反復した細部のデザインが非常にお洒落。






室内には花がたくさん飾られています。
生花ではなく、造花ですが、往時の雰囲気を感じることができます。





東ゾーンのラスボス的立ち位置の「子宝湯」。
唐破風を用いた銭湯建築はいまだ東京郊外に現役でも残されていますが、子宝湯はそのなかでも規模の大きいもの。
どこか邸宅のような雰囲気さえあります。





風呂上りに利用者が涼んだであろう広々とした脱衣所には西日が射し込んでいます。
ゆっくりとした時間の流れを感じることができます。





「子宝湯」は、暖簾をくぐって男湯・女湯どちらでも見学することができます。
高い天井から射し込む西日が美しいです。

ペンキ絵はもちろん富士山。