仲良さ気なモリゾーとキッコロに別れを告げて、愛・地球博記念公園駅に戻る。
リニモの運転間隔は10分ごと。思ったより運行本数は多い。
リニアモーターの最新式なのに、乗車手段がきっぷのみというのが悔やまれる・・・
ホームに上ると、待っている人は一人しかいない。
ホームドアが付いているけれどもガラス張りで、しばらく眺めていたいほど景色が良い。
緑地と市街地がくっきり分かれているのが見て取れる。市街地の中心にはセントラルタワーズビルが建っている。
風景の中から急勾配を登ってリニモがやって来た。
ここからは二つ先の終点、八草に向かう。
12:24 愛・地球博記念公園駅発<リニモ>
乗車するとクロスシートに座る。
車窓から見えるのは道幅の広い道路と自動車工場。
地上からだいぶ高いところを走っているが遠くを見るほど自然がまだ多く残っている。
すぐに八草駅に到着。
八草駅はこれ以上進んでももう人家はおろか道路もなさそうな末端に建っている。
先程も乗車した愛知環状鉄道と接続しているのみで、駅前には大して何もなく、乗換駅としての役割が大きいのだろう。
ここからまた愛知環状線の高蔵寺方面に乗車する。
新豊田から八草まで17分で来れたものを、5路線を乗り継ぎ1時間半の遠回りをしてきたことになる。
それにしてもリニモは車窓の見晴らしが良くて満足。
上手く接続する事ができ、あまり待つことなく高蔵寺行きはやって来た。
車両は先程のペンキ塗ったみたいな奴とはカラーリングの異なるタイプ。
12:36八草駅発 <愛知環状鉄道・普通>
愛知環状鉄道は実際環状運転はしていないが、名古屋都市圏を取り囲むように郊外の端っこを大人しく走っている。
もし名古屋が鎌倉のように要塞都市となるのならば、第一防衛線はきっとこの愛知環状鉄道線に沿って設けられるに違いない。
首都圏で言うならば、武蔵野線みたいな存在だと思う。
都市間を結ぶわけではないので、最寄りの駅から都市へ直結する路線の乗換駅まで利用する人が多いのだろう。
私の降りる瀬戸市駅は名鉄瀬戸線との乗換駅。
この駅で多くの乗客が降りた。
乗り換える名鉄瀬戸線は新瀬戸駅。
またも駅名の異なる乗換駅。こちらでは普通なのかもしれないけれどなんとも新鮮。
名鉄瀬戸線は名鉄の中でも他の名鉄の連絡しない独立路線。
名古屋の繁華街、栄から瀬戸市を結ぶ都会派路線のようで、準急や急行の設定がある。
ここから終着の尾張瀬戸まで行く。
上り、栄方面行きのホームには多くの人が列車を待っているが、下りホームには少ない。
12:52 新瀬戸駅発<名鉄瀬戸線・普通>
車内はもはや誰も乗っていないんじゃないかってほどにすっからかん。
そして日中は車内の照明を切るというエコ精神。
節電が叫ばれた頃が懐かしくなるほど、最近の首都圏では見られない活動だ。
新瀬戸駅から終点・尾張瀬戸までは2駅と短いのですぐに到着する。
終点だけに尾張瀬戸ということか。
ホームの先に改札があり、延伸などする気はさらさら無いことが伺える。
瀬戸は愛知郊外に栄える市で、やきものが盛んな地として有名らしい。
「セトモノ」と言えば誰もが聞いたことがあるはず。
瀬戸内海の瀬戸と混同するが、瀬戸物の瀬戸は尾張の瀬戸のこと。
せっかくなので、瀬戸物の町をちらっと覗いていこうと思い、散策する。
駅前の大通り沿いには焼き物の販売所がちらほら。
瀬戸の文化発信拠点となるのが、駅から徒歩5分ほどに立地する「瀬戸蔵」で、瀬戸物の直売所や博物館がある。
備前とか有田だとか陶磁器はさっぱりで、「機能性と生産性に媚びた現代の食器とは異なる味がある。」
・・・なんて分かったようでまるで分っていない発言しかできない。
この建物の2階と3階に、瀬戸物の歴史を展示した「瀬戸蔵ミュージアム」があるので、入場料はかかるが入ってみる。
入場料を支払った時に入り口で
「今年の干支を差し上げております。」
と言われ、白い包みを頂いた。
気になって開けてみると、真っ白な馬の土鈴だった。
お正月は過ぎてしまっているが、予期しないところでお年玉をもらう事ができた。
入口は電車のホームになっており、レトロな車両が停まっている。
ホームはそのまま改札に続き、ここが昔の尾張瀬戸駅再現だと気づく。
導入に駅を持ってくるとは斬新だが、この尾張瀬戸駅は全く瀬戸物に関係がないわけではない。
むしろ瀬戸物と共に歩んできた歴史がある。
現在の名鉄瀬戸線の前身は瀬戸電気鉄道、電化する以前は瀬戸自動鉄道といい陶器の輸送の輸送手段だった。
一度に大量の品を運搬することができる鉄道は重宝されたことだろう。
現在瀬戸線は通勤路線になってしまったが、以前はたくさんの陶器が電車に積まれてコトコト運ばれていたと思うと、風情があっていい。
もちろん再現された駅や窯だけではなく、順を追うごとにコアな瀬戸物展示になっていた。
13:39 尾張瀬戸駅発<名鉄瀬戸線・急行>
尾張瀬戸駅に戻って、先発の急行に乗車。
名鉄の中でも瀬戸線はほぼ新型車両のようで、名鉄感が薄いなぁ。
名古屋東側に分布する路線は大方乗り終えたので、一気に都心部へと戻ることにする。
昼下がりということもあって発車して間もないうちに夢の中。
気付けば高架区間を走っており、ターミナル駅の大曽根駅で下車。
下車したホームからは隣を走るJR中央線線とゆとり―とラインの高架ホームが見える。
どちらの路線もいずれ乗ることになるが、とりあえずは本日2度目の市営地下鉄名城線に乗り換える。
寝ぼけてなのか方向感覚を見失って反対方向の列車に乗りかけた。
いまいち名古屋交通網が理解できていないのかもしれない。
14:02 大曽根駅発<市営地下鉄名城線>
名城線に乗るのはひと区間だけ。
内回りの列車に乗り、次の平安通駅で乗り換える。
平安通駅は郊外に向けて放射状に突起する上飯田線の起点になっている。
比較的新しい路線のために乗り換えるためには名城線のホームよりさらに階段を下りなくてはならない。