Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

京都探訪記27~絶景かな?~

2013-08-25 23:55:13 | とらべる!


前回


ねじれたトンネルを抜けると境内だった。

と言っても言い過ぎではないくらいに雰囲気が一変し、右も左も見えるのは寺院である。

たぶんもう、南禅寺の塔頭なのだろう。


山口氏はレンズを繰り出して瓦の上の獅子を狙う。




門の獅子もなかなかかわいい。(山口氏撮影)

人によって同じ風景を見ていてもピントの合い方が違って面白い。
それが目に見えてわかるのがカメラで撮った写真であると思う。

京都の道端には狸だとか鍾馗様だとか色々なものと出会う。


かの有名な金地院の前を通って、南禅寺三門へ。

 




松の林を抜けると現れたのは三門。

想像していたのと同じような大きさで、古色で、静かで、いい。

小さいころから様々な媒体を通して自ら作りあげた寺、のイメージはまさしくこれに近い。


背後には山に抱かれ、背の高い樹林に囲まれた閑静な地。
そこに現れる、思わず見上げてしまうような三門。

絵に描いたような寺だ。
そんなことを思う。



1泊目の宿の主人は、「雨の日の朝の南禅寺はいいですよ」と言っていた。
霧がかる境内で聴こえる念仏、、、

私たちのような観光客が消え去った時、
ここは俗世から離れた異世界になるに違いない。



とりあえず最初は高いところから、境内を見渡すことにしょう、  
 南禅寺は京都でも珍しく、年中三門に登れる。

寺院の三門は基本的に登れないのだが、
京都では他に東福寺とか知恩院の三門は期間を限って登る事ができる。
知恩院の三門は日本最大級というからいつか登ってみたいと思う。

飾りとしての大きな門ではなく、しっかりと人が登れるようになっているのがいい。
きっと高い建物がなかった時代、三門からの景色を楽しみにしていた奴がいるに違いない。

登ることの許されたものだけの特権だったのだけれど。

石川五右衛門はかつてこの三門に登りこう言ったという。

『絶景かな 絶景かな』

五右衛門が言ったか言わなかったかは置いておいて、そんなことを言われたら自ら登ってその景色を堪能するしかない。


本当に絶景かな?
 

 

 


京都探訪記26~ねじりまんぽ~

2013-08-23 02:56:23 | とらべる!

 前回

 

今日の予定は班別自由行動といったところである。
宝ヶ池から出発した地下鉄はうねうねとカーブしてやがて京都市街に入る。

大徳寺大仙院に始まる禅寺を見学したいというクソリン氏一行は北大路から地上へ、
東山を中心に攻める私と山口氏は烏丸御池から東西線に乗り換える。
残る母衣君一行は四条烏丸から阪急電車に乗って神戸で洋館巡りという。

私の見たいとこ、山口氏の見たいとこを折り合わせた本日のプランはなかなかの過密スケジュールである。

行った事のない場所を巡るプランを立てるとき一番難しいのが時間配分である。
園内図や館内図をあらかじめ見てもそこにどれほどの時間をかけるべきかは迷いどころである。
みちくさをしてしまうことだってある。

何しろ京都は街角がおもしろい。

東西線に乗って降りるは蹴上駅。

蹴上というと琵琶湖疏水、インクラインが思い浮かぶ。

地上に出てみると見晴らしのよい坂道に自分たちが立っていて周囲を取り囲むのは
木々とそこから顔を出す疎水関係であろう古びた建物やパイプたちである。

この蹴上駅から京都五山之上、南禅寺を目指す。

 

南禅寺のあるはずの方向は延々と壁になっている。
それをアンダーパスするトンネルが一ヵ所だけあった。

 



オシャレ煉瓦造りのトンネルはこれから訪れる南禅寺水路閣を彷彿とさせる。
入り口が斜めに切り込まれているのも特徴的だし、潜ってみると積まれたレンガも斜めに・・
いや、ねじれているではないか。


「ねじりまんぽ・・・」
その独特のネーミングが記憶の奥底から呼び覚まされた。

 そうだ、これは日本でも珍しいねじりまんぽというトンネルだ。
何処かの土木系の本で読んだことがあった。



どうやらこのトンネルは上に琵琶湖疏水沿いに舟を運搬する傾斜鉄道・インクラインが通っていて
インクライン用の橋の役割も担っている。
隧道と橋、両方を兼ね備えているものを専門的にはカルバートトンネルと呼ばれる。


また橋の上部にあたる路とトンネル内の路が斜めに交差する際に内部の強度を保つために煉瓦積みがねじれたのが、この「ねじりまんぽ」である。


話の本筋からだいぶずれた。
これがみちくさという奴だ。



それにしても見事にねじれている。

見事にねじれて光の射す方へ!


中毒性の高い「ねじりまんぽ」というゆるかわワードを思い出し一人にやにやしながら
南禅寺境内を目指そう。

ねじれに任せてスクリューのごとく軽い足取りで前へ前へ。

 

 


京都探訪記25~念願スィートルーム~

2013-08-11 23:53:25 | とらべる!

 

前回

京都駅から地下鉄に乗る。

烏丸線はその名の通り烏丸通りの地下を走って南北を繋ぐ路線だ。

地上の混雑を知らん顔して北へと私たちを乗せていく。

北大路を過ぎて30分足らずで終点、国際会館駅に到着する。

終着駅らしい静かなホーム、
深い地中から外へと顔を出すと京都盆地の賑わいはどこへやら。

目の前には大きな闇と立ちはだかる山々。
地下鉄のワープ現象だ。

いつのまに地下鉄は京都盆地を飛び出して山を潜り別天地へと移動していた。

広々した駅前のバスターミナルの先は緑地になっていて、そのまま宝ヶ池公園へと続いている。
押し黙った重圧な建物は国際会館だろうか。

今日の宿泊先はこんな閑静な場所にぽつりと建つ。

森と空の闇に包まれて控えめに見えたホテルの建物は近づくと予想以上に巨大。
湾曲した建物に沿ってしばらくあるくと入り口がある。

グランドプリンスホテル京都。
郊外にあるからなのか人の気配が少ないフロントでチェックイン。

なるほど、中庭を取り囲むように建物がドーナツ型をしている。

階に上がっても自分達の部屋までカーブした廊下を進んでいく。
先が見えないから距離感と方向感覚がおかしくなってきた。

部屋は8人全員が泊まれるスィートルーム。
4間ぶち抜きの部屋には驚かされた。

 

 

部屋に入るとそれぞれ自分達の荷物を置いて縄張りをつくり、思い思いに寛ぐ。

女性陣たちも棚の中を開けてみたりベッドで跳ねてみたり可愛らしい。

会議机のような大きな机で食事をして、テレビを見て、闇夜の宝ヶ池を散策する。


京都の心霊スポットとして名を馳せる深泥池まで歩こうとしたが
ホテル目の前の闇の濃さに一瞬で断念。

闇夜の宝ヶ池公園を散策。
森に響く鳴き声を追って池の畔へ出ると真っ白い白鳥に出会う。

用を足そうとトイレを目指すと野生のシカにも出会った。

夜の公園での出会いは昼間よりも神秘的。
暗闇で過ごしてしまえば居心地もよくなる。


そんなうちに早朝に東京へ飛んでいった母衣君が飛んで帰ってきた。
再試の為に2日で東京↔京都間を1.5往復するとは阿呆な奴だがこんな友人をもてて光栄だ。

彼は早朝と変わらぬ格好で現れた。
せっかくなのでスィートルームに連れて行く。

 大部屋に興奮した母衣氏は大男のくせに部屋内を飛び回りシャンデリアを破損しかけた。

そんなかんじで夜は更けていく。

 

日付が変わって針が何周かすると、少しずつ部屋が静かになっていく。

髪をとかしていた女子もいつしか寝床へと消えた。
深夜アニメを見る母衣君その他。

とりあえず明日も一日中京都、
オールはよそう。

 

 





京都の朝は山からやって来る。
山ぎわから太陽が顔を出して、はじめて周囲の環境を知る。

本当に、山だらけじゃないの。

 

 

ベッドの上で迎える穏やかな朝は何とも起きるのが億劫になる。
ひとりは死んだ顔をし、ひとりは簡易ベット海溝に沈む。

女性陣は我々が起きるより随分前に起きていたようだ。
日常的に見ても朝の男はだらしない。

しかし男性が朝起きるのが遅いのは準備が速く終わるからである。

いつの間に女性人より先に重いトラベルバックを握っていた。

 


さて、京都の旅も本日が最終日である。

 


京都探訪記24~庭には庭?~

2013-08-11 23:52:35 | とらべる!

 

前回

東山安井から市バスに乗って北上する。

八坂神社、知恩院、平安神宮、真如堂と何処か聞き覚えのある寺社を通り過ぎて
ひときわ大きな白川通りをまっすぐと進む。

まもなく「銀閣寺道」とのアナウンスが流れ、多くの乗客が腰を浮かす。
市バスで巡る、私たちのような京都ビギナーには銀閣寺が京都の行動範囲でも最北西に位置するのではないだろうか。

このままバスに乗り続けると北白川、修学院と閑静な地帯に突っ込む。
森見さんの小説に出てきそうな学生たちが暮らしているに違いない。


それは置いておいて、銀閣寺道から疎水沿いを歩いてゆるやかな坂道を登りつめると銀閣寺こと慈照寺がある。
鹿苑寺とともに足利家ゆかりの相国寺派の寺院である。


銀閣と呼ばれる観音殿はしばらくの間修復工事をしており、修学旅行時には真っ只中だった。
ゆえに銀閣をお目にかかるのはこれが初めてなのだ。



拝観料を支払い、生け垣を進んでいくと横にぬっと銀閣が現れて驚く。
教科書や資料集で何度となく眺めてるから初めてなのに

「みたことあるわ、これ。」

感がある。想像通りの色をして想像通りの大きさをしている。

残念だと言うのではなくて、期待通りの現実感、落ち着く空間を今に残している。

信仰の寺院とは少し違うから、寺にいるという感覚は少ない。
義政の別荘にお邪魔する感じがいい。

腰を掛けてじ季節や天気の移ろいとともにじっと見ていたい。

義政が羨ましい。
 

 
庭を見渡すと、雨露に濡れる赤い実が気になる。
色の少ない冬の景色だからこそ目立つ存在。

 

建築として気になるのは、東求堂。
4畳半発祥の地とも言われる同仁斎は義政の芸術活動の根源であり興味深い。

しかしなかなか高い拝観料を支払わないと見ることはできない。
伝説の四畳半である。

 

 
慈照寺の庭園散策は起伏があって、気付けば高台にいる。

庭を歩いているはずなのに、下界を眺めるともう一つの小さな庭がある。
その中にまた何かを表現した枯山水。

まるでマトリョーシカだ。

ワビもサビもないようなことを考えてしまったなあ。


銀閣寺前の八ッ橋屋さんで八ッ橋を買って、バスでゆっくり京都駅へと戻る。

 

 

 

 



京都駅に着いて、まだ時間もあるので
とりあえず京都の中で目立つ存在、京都タワーへ。

灯台みたいとかフォローが入るくらい場違いな存在に思われがちな彼は日本の塔の中では珍種。

ビルの上に建ったその姿を見ると、ウルトラQに出てきたよくわからん花の怪物を思い出す。

東京タワーのように塔の支柱に組み込まれる形でビルが存在する例は多いが、
ビルの最上階から伸びている例は少ない。


そしてビルから延びるこのタワー、骨組みのないつくりで
円筒形の銅版を縦につなぎ合わせてできている。

タワーと言ったら内藤多仲の鉄骨タワーが思い浮かぶが、昭和生まれにもこんなタワーがあったもんだ。


そんな珍しい奴だから、ためしに一度登ってみるのもいい。
前世紀の香り漂う京都タワービルを抜けてタワー展望台へ。

 





展望台は2段構造になっていて、エレベーターは2階に到着する。
円形の展望台からは京都市街が一望できる。

タワーのアクセントとなっている赤い鉄骨が時々邪魔に思えたりもするが
高層建築の条例の厳しいこの街は見晴らしがとても良い。
といっても有名寺院がたくさん見えるわけではないのだが・・・・

 




洛中を見る。


まっすぐに伸びる光の路。
控えめに伸びるビル群。
三方を取り囲む山々。

ここからの景色はまるで箱庭のよう。
銀閣を山の上から眺めた時の同じ、庭を見ている気がする。

これこそが『京都そのまんま庭説』。
今作った。

山に囲まれた小さな街の
ざわざわとひしめき合う音もここまでは聞こえない。

 





南に目を向けると、京都を分断する巨大な塊、京都駅が見える。
周囲の光を我がものにして輝いている。

灯る京都タワー、煌く京都駅ビル、
夜の主役といったところだろうか。 


寺社拝観が早めに終わってしまう京都の夜は長い・・・・・!

 なんだかちょっと色っぽく見えてきた。