Fuji Trip!

水豚先輩の週末旅日記

日本の祭を追う旅-烏山山あげ祭 <宇都宮餃子と烏山線篇>

2015-01-16 19:29:59 | とりっぷ!

前回のおはなし



宇都宮線が終点の宇都宮に着く。
この街は栃木県を代表する都市である。
駅前にはヨドバシカメラの入った複合ビルがあったりと繁華街のようでもあるが、宇都宮の市街地は駅前通りを1kmほど歩いた東武宇都宮駅付近にある。

宇都宮といえば餃子だ。
ここは餃子消費量日本一を掲げる都市であった。
駅中にも宇都宮餃子小町と言って、4店舗ほど餃子点が入っていて乗り換えや待ち合わせの間に食べることもできる。
さすがに大事な約束の前に餃子を食べる人はいないか。

ともあれ、駅中にも、駅前にも多くの餃子専門店が軒を連ねている。

さらには駅前のバスターミナルには餃子像なるものが立つ。
餃子に手足が生えて、さらにはヴィーナスのポーズをしているのだからインパクト大である。
デッキの下に隠れてしまって見つけづらいのが可哀想である。



◆餃子像と宇都宮餃子小町(駅構内) 2010.9


宇都宮の餃子は数年前に一度、日光見物の帰りに食べ歩きをしたことがあった。
駅では宇都宮餃子マップなるものが配布されているので、便利である。
ひときわ繁殖しているのが宇都宮餃子館で、駅周辺を歩くとこれでもかというほどあったのは覚えている。

そんな餃子まみれの都市であるが、震災以降、餃子消費率日本一の座を宿敵である静岡県・浜松市に奪われてしまった。
2年前、会津若松から帰るときに途中下車したら、心なしか餃子像が寂しげに見えた。

しかし、今では「宇都宮餃子日本一奪還計画」なるものが存在する。
文句は「為すことは、ただひとつ。食って、食って、食いまくれ!」というなんとも乱暴なものであるが、宇都宮市民の底知れぬ餃子愛を感じてしまう。
関東人として是非とも応援したい。




宇都宮餃子について長々と語ってしまったが、そんな宇都宮には今回降りないのである。
向かい側のホームに入線する烏山線へと乗り換える。

烏山線は東北本線の宝積寺から烏山までを結ぶ短いローカル線で、他の駅では一切、乗り換え駅はない盲腸線である。
終点にある那須烏山市の足として利用されている。
利用者の多くは宇都宮駅まで乗車するためか、大半の列車が東北本線に乗り入れて宇都宮駅までやって来る。

とことこやって来た2両編成の電車に乗車する。

今回、私が見学に行く祭はこの烏山線の終点、烏山駅のある那須烏山市で行われる。
一年に一度の祭りであるから、車内は老若男女が乗っていて賑やかである。
普段の景色を知らないから何も言えないが、たぶん普段の利用者は学生か老人が多いのだろうとも思う。




■蓄電池で走行可能な烏山線新型車



宇都宮駅を出発すると、興味深いものを見つけた。
車端部の頭上にモニターがあって、何やら流れている。
それによると、今乗車している電車は電化された線路を走るうちに電気を貯め込み、非電化区間では蓄電池で走行する新型車両らしい。

宝積寺駅を過ぎて東北本線から分岐するとモニターには「蓄電池の電力で走行しています」と表示された。
電車も電池で走れる時代が来たか、と感心してしまう。
明らかにディーゼルカーよりはエコな気がする。




■車窓には夏の景色が広がる


しかし、実際に乗車していると野暮ったいディーゼルカーの方が味があったなあとか思ってしまう。

確かに新型の車内は涼しく快適であるし、明るい。
だからこそ、車内からUVカットガラス越しに見る景色は薄暗くて寂く見えてしまう。
目の前に広がる青々とした田園風景やヒマワリ咲く畑など、鮮やかで四季折々の景観が霞んで見える。
本を読むのには最適であるのだが。

旧式が流用される地方に、旅人としての憧れを押し付けることはあまり好ましくないので、思案はこのへんまでにして心の内にしまっておくことにしよう。


それにしても、この路線は車窓に変化があって眺めていて飽きない。
蛇行する河川が迫ってきたと思えばぷいと離れていき、また近づいたと思ったら今度は交差する。
山地に入るかと思いきや縫うように抜けては次の平地へと飛び出す。

後になって地図を見てみたら、勾配を少なくするために線路はかなり蛇行して敷かれており、その姿は河川とどっこいどっこいであった。





◆龍門の滝と滝駅 2009.12



終点、烏山駅の一つ手前は「滝駅」という。
駅周辺に何があるのかといえば滝がある。非常に単純な名付けに感銘を受けて5年前の冬に訪れたことがある。
龍門の滝と呼ばれる横長の滝で、烏山線はその滝のすぐ上を走っていく。



横に伸びる滝は非常時にはうぃーんと開いて、地球防衛軍の小型ジェット機が勢いよく飛び出してきそうな感じがしてよかった。
夏に訪れたらそれはまた美しいだろうと思っていたが、今回は降りることはしない。
まっすぐに烏山駅へと向かおう。





■烏山線の終点・烏山駅


滝駅を出ると、進路を大きく変えて烏山の市街地へと入る。
宇都宮から1時間弱、突如現れた市街地にちょっとだけ驚きながら、烏山駅へと降り立った。


日本の祭を追う旅-烏山山あげ祭 序章

2015-01-11 21:00:53 | とりっぷ!



柳田國男の「日本の祭」を読んでみると、なんとなく祭と言うものを見てみたくなってくる。

戦後の新興住宅地で育ってみると、祭というものに全くといっていいほど関わりがない。

強いて言うならば、町内会の盆踊りだかふるさと祭りのようなものだろう。
幼い頃は露店で売られている焼き鳥などを食べながら、好きなひとの姿を探しながらぐるぐるしていたように思う。

この歳になってみるとはたして今まで私が目にしてきた「祭り」という行事は何が目的で行われていたのか気になってくる。

どうやら祭りというのは、古より個人の家において先祖神を「祀る」ことが中心となっていたらしい。
どんちゃん騒ぎをするわけではなく、あくまで丁重に畏まって行われる儀式であった。
たとえば、年に一度の祭日には先祖神を迎い入れて夜通しおもてなしをする。


しかしながら、いつの頃からか祭りというものは威勢が良くなった。
神輿が賑やかに渡御し、華やかな山車が出るような豪華絢爛な祭がそれである。
このような祭は祭礼とも言える。

祭礼と祭の違いは厳密に決められてはいないが、祭礼は祭の中のひとつのカテゴリーと考えていいと思う。


祭礼の誕生は都市の発達と共にあった。
日本で初めの本格的な都市としては平安京がある。
人口の集中する都市では衛生環境が悪く、しばし疫病が蔓延して人々を悩ませていた。

主に平安時代では怨霊という観念が一般的に浸透しており、これらの疫病などの禍は非業の死を遂げた人々の魂が引き起こすものと考えられていた。
それらの魂を神として祀り上げ慰撫することによって平穏を得ようとしたのである。

人々の悩みや不安は地域ごとにも差異がある。
疫病でなくとも、人間にとっての不都合な現象を神として祀り上げたり、そのまま追い出したりする行事は日本の多くの地域で見ることができる。
青森県のねぶた祭りや秋田県の竿灯祭りもねぶり流しという夏の睡魔を追い払う儀礼から来ているという。


旧来の個人祭祀の祭は小規模なものであるが、都市を中心に発展した祭礼的な祭は見物人も介入して巨大化することとなる。
また、風流(ふりゅう)と言って常に新しいものを求める人々の思想も相まって、華美な提灯や山車などの装飾も施されていった。

こういった祭礼的な祭は、形を変えつつ現在も残っているものが多くある。
代表的なものでは、東京の神田祭や京都の祇園祭が挙げられる。


一方、近年では「まつり」と銘打ったイベントが各地で開催され、気軽に誰でも参加して楽しむことができる。
民謡や友好都市の舞踊などを導入したイベントも増えてきている。

賑やかで、露店が出て見物人が多く集まる風景、目に見える部分では祭とイベント的な祭はさほど変わらない。

しかし、重要な点は目に見えない神の存在ではないだろうか。
私の幼い頃の「まつり」の記憶にも神はいなかった。
郊外に住む人々にとって祭という行事に神の存在を意識する者は少ないのではないか。
祭という伝統的行事が日々遠くなっていく。


では、神との関わりを根底として現在まで継承されている祭はどのようなかたちで残っているのだろうか。
神なき祭りが一人歩きする現代において、祭とは何を意味するのか。

改めて、「見る」ことが必要だなと感じた。



※※※

 



上野駅から始発の宇都宮線に乗って、北へ向かう。
すでに学生の夏休みに突入しており、青春18きっぷが使える。
とはいえ大学生はまだ山のようにレポートが残っている。1日だけは忘れよう。

長旅になるので、一部の車両にあるボックス席に腰を下ろして出発を待つ。
対面式の座席はよく利用する小田急線にはないから、無条件に旅してる気分になる。

上野を出ると、山手線や京浜東北線をすいすいと抜かして埼玉県へと入る。

大宮駅付近まで沿線に林立したマンションを横目に見ながら進んでいく。

大宮を出るとまもなく田畑が姿を見せはじめる。
よく言えばのどかな風景。悪く言えば単調な景色である。
18きっぷの愛用者はこの単調な風景に嫌気がさしているひともいるかと思う。

栗橋を過ぎて、利根川を渡ってもさほど景色は変わらない。
関東平野の広さをじわじわと感じることのできる区間である。

地図を見ても、遮る物がないため線路はまっすぐに伸びている。
列車の進む方向も変わらなければ、車窓から見ている景色も変わらない。
遠く平野にぽつり。家々が見えては過ぎて、遠ざかっていく。


2014年

2015-01-02 00:50:01 | とりっぷ!

大晦日はやっぱりじっくりと1年を振り返るのがいい。
今年もゆっくり回想するぞと意気込んでいたら風邪で寝込んで年が明けてしまった。

新年の朝が来ると同時にどうにか元気が漲ってきたのでとりあえず2014年はどれくらい出掛けたのだろうか、思い出してみる。





1月 名古屋のりものづくし(名鉄・愛知環状鉄道・市営地下鉄・リニモ・ゆとり―とライン・あおなみ線・城北線/豊川稲荷・瀬戸蔵ミュージアム・リニア鉄道館)
    横浜そごう「大リラックマ展」
    江戸東京博物館「大浮世絵展」

2月 くまのこ一人旅(大斎原-熊野本宮大社-川湯温泉-神倉神社-熊野速玉大社-徐福公園-大門坂-熊野那智大社-飛瀧神社-高野山金剛峯寺-大乗伽藍-奥ノ院)
    中学同窓伊豆(熱海秘宝館-伊豆高原きらの里)
    文化研究会大学博物館巡り(明治大学博物館-東洋大学井上円了資料館-紙の博物館-素戔嗚神社-あらかわ文化館-LIXILギャラリー「海藻展」)
    文化研究会早春秩父(宝登山神社-宝登山蠟梅園-聖神社-秩父神社-慈眼寺)

3月 葛西臨海水族園
    合宿プレミアムin三河(蒲郡水族館-竹島-無量寺-西浦温泉-犬山城-城とまちミュージアム)
      ムーンライトで行こう、大津(建部大社-石山寺-日吉神社-近江神宮)
    新江戸川公園-雑司ケ谷霊園

4月 文化研究会新歓江古田巡り(武蔵学園-江古田の森公園-野方配水塔-哲学堂公園)
    千鳥ヶ淵花見
    新宿高島屋「円谷英二特撮の軌跡展」

5月 文化研究会品川さんぽ(品川神社-鈴ヶ森刑場跡-大森貝塚遺跡-品川歴史館-天空橋-穴守稲荷)
    武蔵野めぐり(武蔵国分寺薬師堂-武蔵国分寺跡-お鷹の道-野川公園-武蔵野の森公園)
    古代オリエント博物館-サンシャイン水族館 「へんないきもの展~ナマモノ~」
    高尾山ナイトハイク

6月 文化研究会雨の上野(東京国立科学博物館-上野大仏-不忍池-下町風俗資料館)
    生田緑地 蛍の国

7月 江古田富士登頂
    よみうりランド
    東京ディズニーランド
    文化研究会現代アートとは何ぞや(東京都現代美術館「ワンダフルワールド展」「宇宙×芸術展」「MOTコレクション展」・深川江戸資料館)
    渋谷ヒカリエ「G博 ゴジラ東京に現る」
    那須烏山市「山あげ祭」

8月 神奈川新聞花火大会
    北陸最後の夏(松本城-富山ライトレール-高岡大仏-万葉線-近江町市場-尾崎神社-21世紀美術館-にし茶屋街-武家屋敷-ひがし茶屋-粟津温泉)
    サンシャインシティ「大ゴジラ特撮展」
    男海in御宿
    鴨川シーワールド
      文化研究会夏合宿京都(平等院鳳凰堂-源氏物語ミュージアム-京都国際マンガミュージアム-下鴨神社-上賀茂神社-祇園-安井金毘羅宮-六道珍皇寺-
                   伏見稲荷大社-豊国神社-方広寺-六波羅蜜寺‐霊山歴史資料館‐祇園閣)
    「稲川淳二ミステリーナイトツアー2014」日本青年会館
    八王子城跡
    Bunkamuramuseum 「進化するだまし絵展」

9月 再びの京都(源光庵‐今宮神社-祇王寺-渡月橋-伏見稲荷大社-下鴨神社-錦天満宮-錦市場)
    ゼミ合宿(山崎山荘美術館-石清水八幡宮-信貴山朝護孫子寺‐東大寺大仏殿‐三月堂‐戒壇堂‐京都御所‐三十三間堂‐鞍馬寺)
    おまけ京都(曼殊院門跡-詩仙堂)
    世田谷文学館「日本SF展」

10月江戸東京博物館「東京オリンピックと新幹線展」
    江戸東京たてもの園「ジブリの立体造形物展」-第13回こうのす花火大会
    文化研究会闇TOUR(玉川大師-穴澤天神社-多摩川-野川公園-武蔵野の森公園)
   
11月湘南モノレール途中下車
    国立天文台三鷹キャンパス「4D2Uドームシアター」
    文化研究会親睦会(国営昭和記念公園)
    紅葉秩父(圓融寺-岩井堂-大淵寺-橋立堂・橋立鍾乳洞-法雲寺)
    長野にいく。(諏訪大社上社前宮本宮-神長官守矢資料館-松本城-縄手通り商店街-旧開智学校)

12月東京都庭園美術館「アールデコ+内藤礼」
    すごろく箱根(深沢銭洗弁天-箱根湯本-NARAYAカフェ-彫刻の森美術館-大涌谷)


サークル活動として出掛けることが多くなった影響で前年より出かける機会が増えたような!
今年も合間を縫って出かけよう。
さてさて初夢。