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【漫画】放課後のトラットリア 1

2013-01-13 | 漫画
放課後のトラットリア 1 (メテオCOMICS) 放課後のトラットリア 1 (メテオCOMICS)
価格:¥ 630(税込)
発売日:2013-01-12

 面白ェ━━━ヽ(∀゜ )人(゜∀゜)人( ゜∀)ノ━━━ !!!!

 webで試し読みしたときから続きが気になっていたんですが、単行本が発売されたっつーことで早速買ってきました。期待を裏切らないオモシロさ! でした。

 いちおう軽く説明をしておくと、今作『放課後のトラットリア』はアニメの放映がはじまった『まおゆう』の作者である橙乃ままれさんが原作を担当しています。
 そして『まおゆう』では中世(ファンタジー)の世界に現代の経済観念を持ち込むことで人々にイノベーションを起こすというのが物語の肝になっていましたが、今作『トラットリア』では料理などの食文化によってイノベーションを起こす……のかな? という感じの導入になっておりました。
 つまり俺TUEEというか知識TUEEみたいな話なので、僕のツボだと言うことです\(^o^)/ヤッター!

 んー、なんだろうな。僕は『まおゆう』も楽しめたので、そういう意味では橙乃ままれさんの作風というのが肌に合うというのもあると思うんですけど、作品構造的にも感心するところがあったりして、一言でいうと「多様性」を表現するのがすごく上手い作家さんですよね
 どういうことかというと、例えば作品の中で「地震が起きる」というイベントがあったとしたら、僕はそのときのキャラクターたちの反応というのは多種多様であって欲しいし、またそうあるべきだと思うのですよ。
 Aというキャラは地震が起きても平然としている。Bというキャラは地震が怖くて脅える。Cは強がっているけど実は怖いようだ。Dは自分のことよりも他の子を心配している。
 こうやってひとつのイベント(出来事)に対しての反応を描き分けることで、それぞれのキャラを立たせることができますし、また「このキャラはこういう設定です」と直接説明されるよりも、エピソードを交えて描写したほうが読者に伝わりやすかったりもします。橙乃ままれさんは、コレが実に上手い。
 具体例を挙げて考えてみますと、『トラットリア』では現代の女子学生四人が異世界へとトリップします。
 こういうケースにおいて、「異世界にトリップしたことに戸惑う」という反応はリアリティを表現するためには必要な要素ではありますが、四人が四人とも戸惑っていたら話が進まないわけです。
 逆に「異世界にトリップしたけど平然と環境に適応してみせる」という反応は、テンポよく物語を進行させるためには都合のいい振る舞いですけど、その反面あまりにもご都合主義すぎて読む側が興ざめしかねません。
 ここで重要になるのがバリエーション、つまり上で書いた「多様性」なんですけど、腕の良い作家さんはこの多様性の描き方が巧みである、というのが個人的な印象です。
 このへんは、単純にキャラの配置の仕方にも関わっていて、

・くいな→ムードメーカー。基本的に脳天気で前向き。料理はダメだがパン作りだけ得意。
・はるか→調理担当その1。刃物の扱いに秀でる。良家のお嬢でやや打たれ弱い。
・みやこ→調理担当その2。調理の発想力に秀でる。巨乳担当で全体のバランサー。
・あやめ→部長。グループのブレーン役にしてリーダー。落ち着きがあり観察眼が鋭い。


 メインキャラたちはザックリとこんなタイプに分けられますが、1巻を読んだだけでも、このキャラたちが「自らの得意分野で持ち味を発揮しつつ、状況に応じて互いに支えたり、支えられたりする」という関係性が表現されていて、いっぺんで好きになっちゃいました。
 まー、引き合いに出すのはアレなんですけど、「多様性」を上手く表現できないことでつまらなくなりがちなのは、某『SAO』をはじめとするネトゲを題材にした作品だったりします。ネトゲには多種多様なプレイヤーが存在するはずなのに、主人公に対して敵対する(男)かデレる(女)かの二択になってるような話が多かったりして、僕はそういうのがすげーくっだらねーと感じてしまうのですよ。
 なので、「世界には色々な価値観を持つ人がいるんですよ」という当たり前のことを当たり前のように描写できるのは稀有な才能だと思っていますし、橙乃ままれさんの作品は毎回そのへんが上手いなと思うわけです。

 とりあえず、そんな感じで面白い漫画でした。
 物語自体はまだまだ導入にすぎず、獣肉の調理やホワイトシチューの試作などのワクワクするエピソードもありましたが、こっから先ますます面白くなっていきそうなので期待大ですということで一つ。