米どころ津軽は稲刈りも終わり、稲作農家は何はともあれほっと一息であろう。
さて、かつてこの時期、津軽平野のあちらこちらでは稲ワラお焼く光景が見られてものである。何しろ、処分するには手っ取り早い方法なのだから。晩秋の風物詩と言えば聞こえはよいが、実際はそんな詩的なものではない。野面を煙が覆って視界不良も珍しくなく正に「公(煙)害」そのものであった。特に高速道路は事故が起きてもおかしくないほどの視界不良となる事もしばしばで、一時期大きな問題となったものだ。流石にこれは放っておけないと県や各市町村は「ワラ焼きはやめましょう」と呼びかけた。その甲斐あってか今では大幅に減った。だが、一部地域では未だにかつての光景が見られるも事実である。この”煙害”は視界不良と同時に健康にも大きな影響を及ぼす。
小学生の子どもが喘息発作を悪化させ苦しんでいるとの母親の訴えもある。所が、症状が新型コロナウイルスの症状に似ていると言う事もあり、感染を危惧した学校から登校を控えるように言われたとか。コロナ禍前までは「まぁ、ワラ焼きの時期だから」で済んでいたが、この御時世そうはいかなくなっているのだ。学校側がコロナに神経質になるのは分からぬではないが、一番の被害者は喘息で苦しんでいる子ども達やその親御さん達だ。
このような事態を解決する方法は唯一つ。それは、ワラ焼きをやめる事。それには当該農家の人達の良心に俟つしかないのだが‥‥このままでは親御さんは勿論、周囲の人達の”ぐだめき”は尽きないのではないか。何とも悩ましい古くて新しい問題である。