津軽ぐだめ記

青森県の南津軽は「田んぼアートの里」、田舎館(いなかだて)村から冴えない”おっさん”の「ぐだめき」を。

2005年11月

2005年11月01日 | 日記
「邂逅の森」の作家、熊谷達也氏に「冒険の日々」と言う小品がある。昭和40年代の田舎町を舞台に、著者の少年時代を回顧風に綴った作品で、塾通いやテレビゲームがなかった頃の少年達の文字通り冒険に満ちた日々が活き活きと描かれている。
著者を含めた”悪ガキ三人組”を中心とした連作集なので区切りがよい。この三人の内の一人が、気が弱く臆病なクセして、話が大きく、法螺話を吹聴するのが得意なのだが、法螺と現実の境がなくなり、他の二人は法螺と知りつつ、つい話に乗せられ、河童やら天狗やらを探しに行く憎めない悪友なのだ。
これを読んでいて、自分の小学生だった頃を思い出してしまった。当時、私も気の合った仲間が二人いて、しかも一人は法螺吹きとして名が通っていた。小説と同じで私ともう一人は「また法螺を・・・・」と分かっていながらどう言う訳か乗せられてしまうのだ。
ある冬の日、三人で凍ったリンゴを取りに行った時の事だ。雪の上に犬の足跡が点々と続いていた。法螺吹きの彼は「これは狐の足跡だ」とのたまう。私ともう一人は「きつね?」山里でもあるまいに狐なんかがいる訳がないのだが、何の躊躇もなく「これは狐だ」
と平然と言ってのける所に彼の面目躍如たるものがある。足跡を辿ったが勿論犬であった。まだまだ彼の法螺にまんまと引っかかった話は一杯あるのだが紙数の関係があるので一つしか書けない。
他愛のない法螺は笑って話す事もできるが政治家の舌先三寸、二枚舌はそうはいかない。その豹変ぶりには呆れてしまう。もうこれは、「百年河清を待つ」と言うべきか。
コメント
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