おんぼろのディンギーヨットを手に入れたのは昨年、初めは手に余る大きさとパワーを感じていたのが だんだんと普通になってきて、そのうち ”さらに”という気持ちがフツフツと心の底に沸いてきた。
ウインドサーフィンもそうだけれど、スポーツ面の楽しみにしか目が行かない僕の場合、どうしても追求先が 高度でスピードが出る物 へ向いていく。
とは言っても、この上はスループ艇となり、Y-15、シーラーク、他オリンピック艇の470となってしまうために大きさもでかいが価格も半端じゃ無い。
最悪なのはその重量。
特にY-15みたいに180Kgなんて事になったらとても一人で動かせるような代物では無く、二人でも大騒ぎだ(笑)。
そんなわけで、一人でも動かせる軽い重量と、スマートな強度(ゴリラみたいに不要な頑丈さはいらない)、それによって操作は難しいけれど抜群の加速性と過激な乗り味を持つ、な~んていう船
どこかにそんなのは無いかな~? と探していたのだけれど、そんな戦闘機みたいなのなら470が近いのだけど、本来の目的がそういった存在の艇であるから当然中古価格もぶっ飛ぶほど高い。
他にフライングモスなんていうハイドロ艇もあるが、これだと中古が無く、新品で新車1台分のお値段とさらに夢の世界だ。 というか一人しか乗れないじゃん・・・
半分諦めていたのですが、たまたま目に入ったのがとても珍しい一艇。
年式は古いが程度は上、まったく無名に近いヨットで、それ故誰の目にもとまらなかったのもあり、幸運にも巡り会うことができました。
その無名なのが災いしたのか? その為に安くなってさらに売れない理由になっていたのかまでは知りませんが、 誰も買い手が付かなかったらしくて激安、 当然家内に無断で購入をきめてしまい。 ははは ふ~
当然に激怒する家内ですが、娘がもし大学へ行ったらヨットやるかもしれないんだから、これで今から練習して云々、等と色々言い訳。
今乗っている船を売り払って殆ど持ち出しが出ない様にするから、とかいう気持ち?でなんとか説得。
そう、問題なのはこれまで持っていた船なのですが、なんと運良く買い手が現れ(震災で同型のヨットが流されてしまったそうです)、あっさり貰われていきました。
こういうのってタイミングというか、巡り合わせというか、天が導くとでも言うのか、不思議な事というのは有るのですね~。
そんなわけで船の入れ替えになった訳ですが、陸送することは考えていなかったので、当然の事ながら回航をしてこなければならない訳でして、
これでその船に初めて乗ることになったのですが、大きさはシーラークやY-15とほぼ同じで、ディンギーとしてはでかいサイズ。
ところが重量が前に乗っていた一人もしくは二人乗りのやつより10kg重い程度で、レース艇の470なんかより遙かに軽い。
吃水が浅く、艇底に深さがなく平べったいのですぐにプレーニングする設計で、スピンネーカーとトラピーズは当然使えるようになっている。
二人から三人乗るのが標準ですから、一人だけだと艇がやたらでかい。 とりあえずジブセイルも展開してメインと両方操作しながら長い回航をしますが、セイルサイズがでかいので微風なのに淡々と走る。
やがて岬を出たところで4mくらいの風にいきなり遭遇。
ガ!っとセイルが風をはらんでいきなり船体がフルヒール。 「ウォ!」と慌ててハイクアウトでバランス取るが、その後の加速力が半端じゃ~ない、「なんなんだこの船は!?」と、とにかく驚きしか出てこない。
前の船ならこの速力を出すには安定した7mくらいの風速がなければダメなはずが、この程度の風であっさり出てしまう巡航性。
加速を開始するとすぐにマストがあの独特の音をメロディのように奏で始め、とにかく早い。
しかし、同時に分かったのが、一人だと完全にもてあます性能であるということ。 運の良いことに家にはレーサー(ヨット&ウインドサーフィン)の娘(高2)がいるんだけれど、彼女がスキッパーで僕がフルハイクアウト出来るトラピーズを使わないと完全な性能は出し切れないようだ。
過敏さが余りにも面白いので色々とやってみるが、クラブハウスの有る湾にはいると何回も湾内を往復。
今日は風が超不安定で長いブローホールがあるのだけれど、前の船だったらすぐに止まってしまうのが、この船は殆ど速度を落とさず走っていく。
「何て良い船なんだろう・・・」と、正直思うのだけど当然その分のポテンシャル(=恐ろしい経験が多々)が有るということで、この先結構もてあましそうだ。
ゴールデンウイークなんて物が無い僕にとっては有給消費の一日、空は暗くて雨ぽつぽつ、でも心ウキウキの一日でした。