78回転のレコード盤◎ ~社会人13年目のラストチャンス~

昨日の私よりも今日の私がちょっとだけ優しい人間であればいいな

◎新聞配達をやってみた ~配達編5~

2009-11-27 23:08:09 | 本当の日記はこちら
翌日の朝刊。
不運にも天気は雨。
朝刊を1部1部ビニールに入れる作業で大幅にロスをする雨である。

だが、それで絶望している場合ではない。当方はチラシ入れの順番を変えてみた。

(1)団地:200部
(2)自分の区域(バイク荷台):約200部
(3)自分の区域(店に置いておく):75部

前日の失敗(団地担当A先輩を待たせて怒らせてしまった)を繰り返さないために、団地を最優先する作戦に切り替えた。
しかし、団地のチラシ入れ終了後に中継ポイント送りの分のチラシを入れたのではワゴン車の発車に間に合わない。
なので便利な中継システムの使用は諦めるしかない。バイクの朝刊が無くなったら一旦店に戻って残りの75部を積む作業をしなければならなくなる。
それでも団地担当を待たせてイライラさせるよりはマシ。

というわけで(1)からスタート。団地の分は車で配達するため、ビニールに入れる必要はない。チラシ入れは丁寧にやりつつ、スピードにも気を付けた。
この日も団地担当のA先輩は、当方がチラシを入れた団地の朝刊の束を黙って手に取り、無言で梱包機にかける。何とか怒られずに済んだ。



(1)を終わらせた当方は(2)(3)を急いで行う。あとは自分の区域のチラシ入れのみ。他方への迷惑は防げた。

しかし、それで安心は出来なかった。ビニールに入れる時間が勿体ない。前にも書いたがビニールに入れる機械は2台しかないので待たされるロスもあるのだ。



そしてとうとう、

「まだかよ!」

A先輩の怒りの声。

「お前もバイトで入ってるのか!?」



先日社員からアルバイトに格下げになったW先輩と比べるかのような発言まで。



その後の配達は再び順路帳を見ないで配り、雨にも関わらず4時25分に完遂したが、終始鬱だった。
自分なりに速くやったつもりだった。それでも「遅い」と言われるのなら、このまま毎朝怒られるのではないだろうか。





その翌日は週一しかない貴重な休日。
しかし、色々考えたあげく午前中はチラシ入れの練習をすることにした。寮部屋が店の2階なので、練習のためだけに訪れるのも容易に可能なのだ。

しかも、店長に見ていただき、アドバイスまでいただいた。
チラシ入れ自体はそんなに遅くないが、そのあとの新聞を揃える作業に大いに問題があるとのことだった。

盲点だった。当方は揃える時にモタモタしてかなりのロスになっていたのだ。

チラシ入れのみならず、揃える練習も繰り返し行った。休日とはとても思えない。



しかし、練習をしているところはA先輩に見られてしまった。出来ればこっそり練習したかったが、ここで奇跡が起きた。

「ちょっといい? これは……」

なんとA先輩から話しかけてくれて、一つだけアドバイスをいただいたのだ。

ただ怒るだけの人ではなかったようだ。励みになった。これはもう本当に頑張らねば。




そして翌日の朝刊。
とにかく練習で言われたことに注意しながら、チラシ入れを無我夢中で全速力かつ丁寧に行った。

結果、A先輩に怒られることは一度も無かった。

まだ雑なところはあると思うし完璧には程遠いだろう。

それでも当方は一歩前進したような気分になれた。



朝刊のチラシ入れの風景はもはや戦場。
このまま負けることなく戦い続けられるだろうか。



(一旦完)

◎新聞配達をやってみた ~配達編4~

2009-11-27 22:33:41 | 本当の日記はこちら
「遅くても4時半には終わらせろよ!」

A先輩にそう言われ、慌てて朝刊を積んだバイクを走らせた当方。
スタート時の時刻は1時55分。既にいつもより5分以上早く出発することが出来た。
とは言え、配達完遂ベストタイムの4時55分を更に25分も縮めるのは無謀としか思えない。



当方は迷うことなく最終手段に出た。それは、

“順路帳を見ない”

ことだった。

以前他の先輩、I先輩がこう話していた。
「順路帳を見ないで配ればぐーんと速くなるから」

しかし、順路帳を見ないで配るには、270軒以上もの家の場所やアパート・マンションの部屋番号まで全てを暗記していることが絶対条件。
しかも、順路帳を見ないだけでタイムを25分も縮めることが出来るかは不明である。

それでも今はI先輩の言葉を信じるしかなかった。
自分の記憶だけを頼りに、一軒一軒の家に朝刊を入れていく。
「次は確か◎◎さんだな」「次は◎◎さんだよな」「で次は……」その繰り返しで記憶を呼び覚ましていく。
意外にも覚えていた。家の場所のみならず、新聞の種類まで正確に。
あとは速さだけが問題。バイクはもちろん全速力で、バイクを降りてからもポストの場所まで全速力で走った。


今日はとにかく全ての力を出しきって走れ。
ペースなど考えるな。
常に全速力だ。
二度と出せない記録でもいい。
今日は絶対にベストタイムを更新しろ。
もし明日が雨ならベストタイムは絶対に出せない。
晴れている今日がチャンスなのだ。

怒られたくない。その気持ちだけが当方を全速力で走らせていた。
前夜から何も食べていないのに、全く苦にならずに急ぐことが出来た。




そして、全ての配達を終え、店に戻った。

時刻は────







55




なんと、それまでのベストタイムより更に1時間も縮めることに成功。
A先輩から指令された時刻も余裕でクリア。

なんということだ。順路帳を見ないだけでここまで速く配れるとは。





しかし、まだ「チラシ入れ」という難題が残されていた。

朝刊配達のベストタイムを出したこの日は健康診断。体重が1年前より8kgも痩せていた。
その帰り道、車の中でI先輩はこう話していた。
「早く自分のやり方見つけてチラシ入れ速く出来るようにしたほうがいいよ。Aさんは新人には皆ああやって怒ってるんだよ。
で、もしマークされたら毎日怒られるようになるから。そうなる前にチラシ入れをマスターしたほうがいい」

まさか、当方は既にマークされているのか?

翌日の朝刊への不安が耐えぬまま、車は店へと近付いていく。


(つづく)