縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

企業文化、社風、あるいは共通の価値観

2006-06-11 23:56:00 | 最近思うこと
 以前、三つの銀行が一緒になって出来たM銀行にいた。
 外から見ると、会社が違うとはいえ同じ銀行業務をやっているのだから、仕事のやり方、進め方さらに考え方に大きな違いはないと思うことだろう。が、これが大きく違う。どの銀行が優れ、どの銀行が劣るというのではなく、ただ純粋に違う、異なっているのである。当然ながら全部が全部違うわけではないが、判断や行動の基準、根底にあるものが違っていたと思う。
 例えば、日本も中国も韓国も同じアジアだから大きな違いはないだろうと欧米の人は思っているかもしれないが、実際はそうではない。それぞれが独自の文化、歴史、思想などを持っている。それと同じである。

 さて、違いの卑近な例を挙げると、まず言葉、用語。このため統一用語集なるものが作られ、基本的には2対1の多数決、そして3行とも違うときは世間一般の常識を勘案し、新銀行で使う用語が選ばれた。
 あとおもしろかったのが、各行独自の言い回しや言葉があることだ。○○の“悉皆”セールスが重要、といった文を見ても意味がわからない。そもそも読めない。(注:“しっかい”と読み、すべて、ことごとく、といった意味)。
 又、問題点を“いっこついっこつ”潰さないといけない、といった言い方をよく聞いた。最初は意味が解らなかったが、漢字では“一骨一骨”と書き、火葬場で骨を拾うがごとく、ひとつひとつ丹念に、といった意味だと悟った。

 こんな言葉の違いだけならまだ可愛いが、システムに対する考え方も違っていた。人に出来ることはコンピュータにも出来る、だからコンピュータにやらせれば良いとスマートに考える銀行もあれば、コンピュータに出来ることは人にも出来る、だから人がやれば良いと浪花節的に考える銀行もあった。いきおいシステムに対する考え方、投資額などにも差があった。
 もっとも同じようなことは三菱東京UFJでもあるようだ。三菱グループを安定した顧客基盤に持つ旧三菱のシステム、特にATMなど個人向けサービスのシステムは旧UFJのシステムに比べ大変遅れている。いや、正確に言えば、日本の銀行の中で旧UFJのサービスが群を抜いて優れているのである。別に旧三菱がその他の銀行に比べて劣っているのではない。財閥グループの後ろ盾がなく、ピープルズ・バンクを標榜し個人向けサービスを充実してきた三和の考え方がUFJに引き継がれているのである。

 文化に優劣はない。企業の文化や価値観にも基本的に優劣はなく、比較できるものではない。例えば、寝る間を惜しんで働いて儲けるんだという価値観と、世のため人のために仕事をしようという価値観を考えたとき、一概にどちらが良いとは言えない。後者が立派に聞こえるかもしれないが、それで会社が潰れたのでは元も子もない。どこかの総理大臣が「人生いろいろ、会社もいろいろ」と言ったことがあるが、ある意味、その通りだと思う。
 要は、会社の強味や弱みなどを認識した上で、皆が納得し、共感できる価値観を作って行くことが重要なのではないだろうか。

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